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しおりを挟む「んっ……、ぜ……たく……?んにゃ?」
朝、温かいものと懐かしい匂いに包まれて、幸せな気分で目が覚めた。
「っ!」
うぉぉぉぉ!ちっ、ちか!
無造作に開かれたシャツから見える素晴らしい胸と乳首。そして、まるで計算されたかのように無駄なく筋肉がついている大きな右腕……そんな貴重な腕を俺なんかのために腕枕だと……。更に、時雨の左腕は俺の腰辺りにあり、下半身同士が密着している。
そう、ようするに、俺の体をすっぽりと囲む形で、抱き込まれてました!
あぁ、何この安心感……いや、めっさドキドキしてるわ!
そろりと目線を上げれば、キリリと可愛い寝顔。ん?言葉がおかしい気もがするが、他に言い表しようがないのでこれでいいのです、はい。要するに尊いです!!ありがとうございます!
時雨が眠っていることをいいことに、手を伸ばし、そっと唇に触れる。
うわぁ、当たり前だけど柔らかいな。……この唇が昨日俺の唇に!くっ、想像しただけでも夜のおかずになります!何度もイケソウ……くっ、いかん。今は押さえるんだ俺!
「は……んっ」
溜め息を押し殺す。他の場所にも触りたいが起こしたら申し訳ないので至近距離で待機です。
ん、胸がヤバイぐらいドキドキしてる。カッコよくて可愛いなんて……最高か!あー、おでこにチューしたくなってきた。
でも届かないので、そっと顔を上げ、首をギリギリまで伸ばす。
「ペロ」
ぐふふ、顎をなめっちゃった。
満足顔でニマニマし、時雨の顔をもう一度見ようと視線を上げると、パチリと目と目が合いました。
「……」
「……あ……えっと、いっ、いつから、オキテマシタカ?」
時雨はニヤと笑うと俺の体をぐいっと引き寄せ、ギュッと抱きしめた。
その勢いでムニっと俺の唇が時雨の胸に触れる。
時雨の胸にキスしちゃったよー!!
嬉しさと恥ずかしさでパニックになっている俺を更なる出来事が襲う。
「いつからだと思う?」
甘い低音ボイスが耳を襲い、ゾクゾクっと全身が震え上がった。
「んっ!」
更にピチャピチャと柔らかく湿った何かが、耳を、中を、犯されている!
「んっ……ふぁ……しっ、しぐれぇ……やっ……ぁ」
これ以上されると俺のモノが完全に立ちしそうなんだけどぉぉぉぉ!
耳から時雨が離れ、今度は手が服の中へ……。
これ以上は本当にヤバイので、止めてほしいと、懇願するため視線を上げると時雨の喉仏が上下に揺れていた。
「ククク、エロい声だなぁ。誘ってんのか?」
角度的に見えないが、意地悪く笑っているであろう時雨の顔が頭に浮かび、カァーと顔が赤くなるのを感じた。
「うぅぅぅ!」
顔を合わせられない。俺の顔は真っ赤だろう。
グリグリと時雨の胸に頭を押し付けていると、時雨の長い指が俺の髪をすくいグシャと優しく撫でる。
「ふはっ、くすぐってぇよ」
穏やかな優しい声。幼い頃の無邪気に笑う時雨が脳裏に巡り、今どんな顔をしているのか気になり顔を上げた。
「ん?どうした?」
目が合いふわりと愛しそうに笑う時雨を見て、心に温かいものが巡り、心が満たされた。……が、すぐにズキリと胸が痛む。
「……ううん、なんでもない」
微笑した後、泣きたくなるのをグッと我慢し、時雨に抱きついた。
もうすぐ、時雨は主人公を……。わかってる……だから
、もう少しだけでいい……もう少しだけでいいから……時雨の側に、いたい……。
暫く抱きついた後、ふと時間が気になり時計を確認するといつもの起きる時間だった。だるい体を何とか起こし、お互い準備を始める。
その後、朝御飯を食べる準備をする。いつもはカフェオレだけなのだが、昨日時雨が折角買ってきてくれたので無理してでも食べますよ。うん。
冷蔵庫から取り出し、温められるものはレンジで温めた。
テーブルの上には、おにぎり、菓子パン、サラダ、ゆで卵、蒸しチキンが並ぶ。
うぷ、見ただけでお腹一杯です。
その中から菓子パンをチョイスした。
3口食べたぐらいで時雨と目が合うと、頬に貼ってあるガーゼを見ながら、自分の頬をトントンと叩いた。
「取れかかってるな。後でやり直してやる」
「ん、ありがとう」
何とかご飯を食べ終わると、救急箱と薬を持ってきて時雨に渡した。
向かい合わせになり、目を瞑るとビリと音を立てガーゼが外れる。
「っ!!」
微かに息を飲む音が聞こえ、そう言えば縫ったことを言わなかったなと呑気に考えていた。
「……?」
数秒立っても何も言ってこないし、触れてこないことに不思議に思い、目を開けて見ると、時雨は唖然とした表情で固まっていた。
「時雨?」
俺の声に反応してか、時雨の大きな手がそっと頬に触れてきた。その手は微かに震えているようだった。
「縫った……のか」
「えっ、うん。昨日麻酔したって言ったよね?」
眉間に皺が寄ったかと思うと、次の時雨の言葉に思考が停止する。
「ミツル、今日から俺の所にこい。一緒に住むぞ」
「……へ?」
「こんな何もないところに、ミツルを1秒たりとも一人にさせてたまるか」
「ちょっ、ちょっと待って!ケ、ケンさんは!?」
「ケンさんはその提案者だ」
「えっ?どうゆうこと!?」
思考が追い付かないんですけどぉぉぉ!
「ここ出る。俺と住む。Are you OK?」
「全然、OKじゃない!」
俺の言葉にますます眉間に皺を寄せた時雨は、両手で俺の頬を優しく包み込んだ。真剣な眼差しに逃れることができず、ゴクリと唾を飲み込む。
「俺が側にいたらこんな怪我、絶対させねぇ」
「時雨……でも……」
「ミツル、つべこべ言うな。決定だ。拒否権はねぇ」
ニヤリと笑う俺様な時雨にドキッと胸がトキメキ、思わず反射的に頷いたのだった。
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