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第九章:Burning Heart

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「えっ……えっと……。あの人と、あの人……多分『魔法使い』系……」
 沙也加さんの連れの女の子が、そう言った。
 だが……ボクの方は……。
 明らかに、何かの近接戦闘術の訓練をしてる奴が3名。
 それも、筋肉の付き方からしてパワー重視の鍛え方をしてるっぽい男、スピードや瞬発力を重視した鍛え方をしてるっぽい男、夏の暑い盛りに……明らかにナイフや銃を隠せそうな上着を着てる女。
 マズい。
 こいつら……ボクら「正義の味方」のチーム構成をまねてる。
 例えば、銃器の扱いや近接戦闘が巧いのと、魔法使い系を組ませる。
 同じく超常系の異能力者同士なら、得意技や力の源パワーソースがかぶってない者同士を組ませる。
 ボクと沙也加さんのお兄さんなら……同じ系統の変身能力者だけど、ボクは銃火器を扱う訓練も受けてて、沙也加さんのお兄さんは純粋な技量ではボクより一歩劣るけど、接近戦向きの特殊な固有能力あり。
「お嬢ちゃん、我流か? それとも、余程、酷い師匠に付いたのか?」
「えっ?」
 冴えない顔の小柄な五〇ぐらいのおじさんが……沙也加さんの連れの女の子に、そう言った。
「次からは注意しな。その手を術を使うと、相手に気付かれる。そして……先に使った方が喧嘩を売った事になる」
「何の魔法使ったんだ?」
 沙也加さんのお兄さんは……ゲンナリした感じで、そう訊いた。
「え……えっと……普通の……」
「普通の……何?」
「相手が『魔法使い』系かを調べる探査魔法……」
「それって、ひょっとして、『魔法使い』系だったら、どの程度の力や腕前うでかも判るヤツ?」
「う……うん……」
「あのさ……知らない奴に、自分の力量や腕前を探られるような魔法使われたら、どう思う?」
「そりゃあ……あっ……」
「あら? 久しぶりね。そこの子は、仕事で九州の久留米に行った時に見た事が有る」
 続いた声の主は……。
「あ……」
 沙也加さんが……固まってる。
 多分だけど……当人が現われて、ようやく予想以上の化物だと気付いたらしい。
「さ……沙也加ちゃん……?」
「何で、私の同類が、わざわざ、私の近くに現われて、私を挑発するような真似をしたか知らないけど……」
 隙だらけに見える。
 単なる二〇代の普通の女の人に見える。
 威圧感も……それほどじゃない。
 身のこなし、体の細かな動き、視線の動き、その他モロモロからして……武術その他の戦闘技術を身に付けてるようには見えない……。
 でも……。
「1つ忠告しといてあげる。あの子だったら、こんな真似はしない。無茶苦茶な事はやるけど、危険に晒すのは常に自分自身。でも、貴方は、お友達を危険に晒してる」
「……あの子……?」
「姿を見せてないだけで、すぐ近くに居る。貴方達を無事に帰さないと、宣戦布告と見做すつもりみたいね」
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