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第七章:Reach
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「卒なくまとめてるが……君が、その講義を聴講して疑問に思った点は何だ?」
大騒動が一段落した後、その前にボクがやらかした大騒動の罰ゲームは終ったと思ったら……最後の最後で予想外の展開になった。
「へっ?」
ボクの彼女に頼まれるまま、彼女の友人に付き纏ってるストーカーをブチのめしたら……何と、そのストーカーが市会議員だった。
それがバレた結果、ボクは職場の上司の日焔さんから、民間福祉施設の職員向けの人権教育を受けてきて、その内容を他の職員に説明しろ、と言われたのだが……。
「え……えっと……」
「あの……それ、意地悪ゲームじゃ……?」
職員の1人がフォローしてくれた。
「大学のゼミなんかでは、よくやられる手だぞ。渡した論文の内容を説明しろ、という課題で、わざとツッコミ所が有る論文を使う、とか」
「すいません……その……えっと……」
「もう1回だな。いつ何の講義を聴講にし行くかは、後で知らせる」
罰ゲームが終った頃には、すっかり夜。
「もし、私の顔も見たくない気分なら無理強いはしないが……食堂で少しゆっくりするか?」
最後の最後で見事に罠にハメられたと思ったら、その罠を仕掛けた張本人から、そう言われた。
「はぁ……」
食堂に下りて席に付くと、日焔さんは冷えたコーン茶が入ったプラスチック製のグラスを2つ持って来てくれた。
「例のトラックだが……『大阪』内に入る直前で地元の同業が止めた」
「え……? 大阪内に……その……」
「正確には近隣地域の同業だが……その過程でトラブルが起きた」
「何か……嫌な予感がするんですけど……」
「あの荷物を『大阪』に売った『熊おじさんホールディングス』の系列組織のメンバーが博多港に入った事が確認された。それも荒事専門部隊だ。ついでに『大阪』の特殊部隊も福岡に向かっている。……どうやら、荷物が『大阪』に届かなかったせいで、『大阪』と『熊おじさんホールディングス』の間でトラブルが起きたらしい」
日本の夏は夕立の季節でもある。
ただし、近々、降りそうなのは……赤黒くて嫌な臭いがする夕立らしい。
大騒動が一段落した後、その前にボクがやらかした大騒動の罰ゲームは終ったと思ったら……最後の最後で予想外の展開になった。
「へっ?」
ボクの彼女に頼まれるまま、彼女の友人に付き纏ってるストーカーをブチのめしたら……何と、そのストーカーが市会議員だった。
それがバレた結果、ボクは職場の上司の日焔さんから、民間福祉施設の職員向けの人権教育を受けてきて、その内容を他の職員に説明しろ、と言われたのだが……。
「え……えっと……」
「あの……それ、意地悪ゲームじゃ……?」
職員の1人がフォローしてくれた。
「大学のゼミなんかでは、よくやられる手だぞ。渡した論文の内容を説明しろ、という課題で、わざとツッコミ所が有る論文を使う、とか」
「すいません……その……えっと……」
「もう1回だな。いつ何の講義を聴講にし行くかは、後で知らせる」
罰ゲームが終った頃には、すっかり夜。
「もし、私の顔も見たくない気分なら無理強いはしないが……食堂で少しゆっくりするか?」
最後の最後で見事に罠にハメられたと思ったら、その罠を仕掛けた張本人から、そう言われた。
「はぁ……」
食堂に下りて席に付くと、日焔さんは冷えたコーン茶が入ったプラスチック製のグラスを2つ持って来てくれた。
「例のトラックだが……『大阪』内に入る直前で地元の同業が止めた」
「え……? 大阪内に……その……」
「正確には近隣地域の同業だが……その過程でトラブルが起きた」
「何か……嫌な予感がするんですけど……」
「あの荷物を『大阪』に売った『熊おじさんホールディングス』の系列組織のメンバーが博多港に入った事が確認された。それも荒事専門部隊だ。ついでに『大阪』の特殊部隊も福岡に向かっている。……どうやら、荷物が『大阪』に届かなかったせいで、『大阪』と『熊おじさんホールディングス』の間でトラブルが起きたらしい」
日本の夏は夕立の季節でもある。
ただし、近々、降りそうなのは……赤黒くて嫌な臭いがする夕立らしい。
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