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第七章:Reach
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『秘かに両方始末するのと、ニュースになるようなぶつかり方をさせた上で鎮圧するの、どっちがマシだと思う?』
『厄介だな。短期的に見れば前者だが、長期的に見れば判断が難しいな。両者がしばらく冷戦状態になってくれるのがありがたいが……』
九州と関西の「正義の味方」達がオンラインで打ち合わせをしていた。
発言者の顔は不明。音声も変性されたもの。モニタには発言者を示すシンボルと発言者の所属と暗号名が表示され、場合によっては、音声ではなくテキスト・メッセージによる「発言」も有る。
「ちょっと待って、この打ち合わせへの韓国の釜山チームの参加を要請する」
そう言ったのは瀾さん。
「ああ、多分だが……私も同じ事を考えてた」
続いて日焔さん。
「え?」
『言いたい事は大体予想が付くが、一応、訊く。質問は何だ?(翻訳:韓国語→日本語)』
続いてテキスト・メッセージでそう表示される。なお、日本語のテキスト・メッセージの下には原文と思われる韓国語の文章。
「すまない、釜山チーム。『熊おじさんホールディングス』が日本に送り込んだのは、福岡で目撃されたチームだけか?」
『まだ未確認。ただし、日本に暗殺部隊を派遣したのが判ったのとほぼ同時に、熊社長とその直属チームの所在が不明になった。(翻訳:韓国語→日本語)』
ところが、更に打ち合わせに広島の廿日市チームが参加。
『大阪でマズい事が起きそうだって話だけど……事態が更にややこしくなるかも知れない』
「どうした?」
『佐伯漣が大阪に向かうそうだ』
全員が……唖然となった。
佐伯漣……それは広島県を実効支配している暴力団「神政会」のラスボスを超えた裏ボスだ……。
「何の為に?」
『えっと……「大阪」と「神政会」が共同経営してる会社の株主総会だそうだ』
「何だ、その会社は?」
『何て言うか……「魔法少女」って芸能興業が有るだろ。それの会社だ』
『あ……ちょっとマズいぞ。多分だが……「大阪」は佐伯漣が「神様系」の特異能力者だって事を知らない。何だったら、「神様系」と「魔法使い系」の区別が付いてるかも怪しい』
和歌山県内のチームのメンバーから更に指摘。
「戦闘要員よりもレスキュー隊が必要な事態になりそうだな……それも、数千人単位で……」
瀾さんが絶望的な声をあげた。
『厄介だな。短期的に見れば前者だが、長期的に見れば判断が難しいな。両者がしばらく冷戦状態になってくれるのがありがたいが……』
九州と関西の「正義の味方」達がオンラインで打ち合わせをしていた。
発言者の顔は不明。音声も変性されたもの。モニタには発言者を示すシンボルと発言者の所属と暗号名が表示され、場合によっては、音声ではなくテキスト・メッセージによる「発言」も有る。
「ちょっと待って、この打ち合わせへの韓国の釜山チームの参加を要請する」
そう言ったのは瀾さん。
「ああ、多分だが……私も同じ事を考えてた」
続いて日焔さん。
「え?」
『言いたい事は大体予想が付くが、一応、訊く。質問は何だ?(翻訳:韓国語→日本語)』
続いてテキスト・メッセージでそう表示される。なお、日本語のテキスト・メッセージの下には原文と思われる韓国語の文章。
「すまない、釜山チーム。『熊おじさんホールディングス』が日本に送り込んだのは、福岡で目撃されたチームだけか?」
『まだ未確認。ただし、日本に暗殺部隊を派遣したのが判ったのとほぼ同時に、熊社長とその直属チームの所在が不明になった。(翻訳:韓国語→日本語)』
ところが、更に打ち合わせに広島の廿日市チームが参加。
『大阪でマズい事が起きそうだって話だけど……事態が更にややこしくなるかも知れない』
「どうした?」
『佐伯漣が大阪に向かうそうだ』
全員が……唖然となった。
佐伯漣……それは広島県を実効支配している暴力団「神政会」のラスボスを超えた裏ボスだ……。
「何の為に?」
『えっと……「大阪」と「神政会」が共同経営してる会社の株主総会だそうだ』
「何だ、その会社は?」
『何て言うか……「魔法少女」って芸能興業が有るだろ。それの会社だ』
『あ……ちょっとマズいぞ。多分だが……「大阪」は佐伯漣が「神様系」の特異能力者だって事を知らない。何だったら、「神様系」と「魔法使い系」の区別が付いてるかも怪しい』
和歌山県内のチームのメンバーから更に指摘。
「戦闘要員よりもレスキュー隊が必要な事態になりそうだな……それも、数千人単位で……」
瀾さんが絶望的な声をあげた。
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