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第七章:Reach

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「あの……表の仕事、大丈夫なんですか?」
 兄さんと呼んだら怒られる兄さんは、6人乗りのバンで迎えに来た門司もじチームの人にそう言った。
 三〇前後ぐらいの女の人で……知ってる誰かにビミョ~に顔や体臭のパターンが似てる気がしないでもない。
「まぁ、何とかなるよ」
「知り合いだったんですか?」
「『工房』の責任者」
「いや、まだ、副責任者。あ、そうだ。この辺りの地元チームから場所を借りる事が出来た。その箱の中身の確認は、そこでやろう」
 そう言われた後、ボク達は車に乗り込み……。
「ところで、後ろの座席の荷物、何ですか?」
「念の為に持ってきたモノだけど……その段ボール箱を開ける時に使う」
「えっ?」
「いや、だって、下手に何かしたらドカ~ンとか有るだろ」
「えっ?」
 そんな話をしてる内に、ボクたちが乗ったバンは、町中からかなり離れた一軒家に到着。
「アジトって、定期的に変える決りじゃなかったですか? こんな所だと逆にバレませんか、借りるか買うかして数年後には再度引っ越しとかだと……?」
「いや、ここは、メインのアジトじゃなくて、アジトじゃ出来ない事をやる為の場所……だそうだ」
「北九州の門司のチームの人か?」
 その一軒家の敷地内に車を入れると、四〇ぐらいの男の人が出て来た。
「はい」
「じゃあ、ちょっとブツを見せてくれ」
 ボクたちは、ボクと兄さんで各1個づつ持っていた段ボール箱を渡す。
「その手の『気』とか『魔力』は感じないな。箱に『隠形』系の術がかかってて、中身の力を隠してる訳でもなさそうだ」
 その人は、しばらく段ボール箱を持って精神集中した後に、そう言った。
「じゃあ、その段ボール箱と、後ろの席に積んでるモノを家の中に持ってくぞ」
 ボクたちは、言われた通りに荷物をこの家の中に運び込み……。
「えっと……これって……」
「新型の地上ドローンだ」
 車に積んでた荷物の中から出て来たのは、猫ぐらいの大きさの……
 更には、巻尺に小型の重量計。
 段ボール箱の大きさと重さを計量&記録し終ると……。
「操作は外でやる、一旦、戻れ」
 その指示と共に、外に逆戻り……。ここまで来るのに使ったバンの背後でモバイルPCの専用アプリを起動すると、家の中に置いてきたドローンのカメラが撮影してる映像が画面に映る。
 ヴェロキラプトル型ドローンの腕に仕込まれてる隠しブレードを段ボール箱に浅めに突き刺し……そして……。
「何だ、この音……ん?」
 その時にした異音をパターン分析すると……プチプチの梱包材を斬り裂くか潰した音の可能性が一番高い、という結果が出る。
「精密機器でも入ってるのか?」
「でも……PCのパーツにしても小さくないですか、あの箱の大きさだ……え?」
 箱の中に入っていた無数のそれの内の1つをドローンの指でつかませて、大きさを計測。
「あのトラックに仕掛けたGPS発信機の識別コードは?」
「これです」
 そう言って兄さんは、GPS発信機が入っていたパケに印刷されていた識別コードを見せる。
 トラックの位置は……太平洋側・岡山県内を北上中。
「そう言う事か……たしか、今の大阪府内には、これを大量生産出来る工場なんかは無かった筈……。だから、半鎖国状態の『大阪』は『外』から密輸する必要が有る訳か……」
 ドローンのカメラに映っているのは……大きさ・外見からして……だった。
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