異世界転移した現役No.1ホストは人生設計を変えたくない。

みなみ ゆうき

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本編

27.情交

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唇を深く合わせたまま、オレールの手がゆっくりと肌を撫でながら俺の身に付けているものを全て取り去っていく。

最初の頃に比べたら格段に成長したその動きにどこか感慨深いものを感じながらも慣れた仕草でオレールの服を脱がしにかかると、その俺の行動を咎めるかのように乳首を軽く摘ままれた。


「んッ……」

「今日は全部私にさせて下さい」


今度は指の腹で捏ねるように乳首を撫でながら耳許で優しく囁いてきたオレールに、俺は内心苦笑いしつつも小さく頷く。

いつも俺がリードする立場だっただけに、オレール相手に受け身でいるのは落ち着かないが仕方ない。


オレールは一糸纏わぬ姿の俺を易々と抱き上げるとベッドに横たえ、自分も身に付けていたものを全て脱ぎ去ってからベッドへと上がってきた。

そして。


「コウキさん。本当に綺麗だ……」


どこかうっとりとした表情で全裸の俺を観察し始めたオレールに、こんな商売をしていて裸を見せることに慣れてる俺でもさすがに恥ずかしさを感じ身動ぎしてしまった。

羞恥で少し火照った素肌に口付けを落とされながら、全身を指でなぞられる。
五感の全てを使って俺の感触を確かめ、脳に記憶させようとしているかのような行為に、正直俺はもどかしい思いを感じていた。

こういうのって、ノリと勢いでパッとやることやってもらったほうが俺的には気が楽なんだけどな……。

しかし緩やかに肌を辿る指の動きはなかなか熱を孕まない。


「バートランド様……」


早くこのまったりモードから抜け出したくて甘えた声で名前を呼ぶと。


「──オレールと呼んで下さい」


オレールはどこか切なそうに目を眇め、俺に家名ではなく、個人名で呼ぶよう促してきた。

──確かに恋人モードって言われてるのに名字呼びじゃ盛り上がりにかけるか……。


「オレール様……」


尤もな指摘にすぐに希望どおりの呼び方で言い直すと。
オレールは嬉しそうな表情を見せ、漸くセックスに繋がるような直接的な愛撫を開始してくれた。


「ふ……、あ…ッ……、ん……」


片方の乳首を指先で弄ばれながら、もう片方は舌でねっとりとねぶられる。
それを左右交互に繰り返されると、演技なんてしなくても勝手に身体が反応し抑えきれずに声が漏れ出た。

媚薬入りのローションが体内に吸収されてきているせいもあるのだろうが、オレールからの愛撫は思った以上に気持ちがいい。

しかし。


「コウキさんが感じてくれて嬉しいです……」


安堵するように小さく呟いたオレールに引っ掛かるものを感じ、チラリとオレールの股間に目をやると、いつもは服を脱ぐ前からビンビンに反応しているチンポにはなんの変化も現れていないことに気がついた。

緊張してるのか、それともこれから向かう任務のことを考えるとエロい気持ちになりきれないのかはわからない。
でもこれじゃ、オレールの希望する『恋人同士のセックス』に発展するまで相当時間がかかりそうだ。


大人びて見えるけどコイツはまだたったの十五歳で、俺らの世界で云うところの中学卒業したてのガキなんだよな……。

俺が十五の時なんて、いかに学校をサボって仲間と遊びにいくか、適当にナンパして女とヤることくらいしか考えてなかった気がする。
将来国のために役に立てるよう努力しようだとか、好きな人のために自分が出来ることは何かを考えるなんてことは微塵もなかった。

それにもし俺が逆の立場だったとしても、コイツみたいに自ら危険な場所に行こうなんてたぶん考えもしなかったと思う。それどころか、裏工作でもなんでもして自分が安全な場所にいられる道を必死に探してそうだ。

だって俺、基本自分が一番大事だし。
愛する誰かのために命の危険をおかしてまで頑張ろうって気には全くなれない。

でもって、ついでに言えば周りにいる人間にもそんな事をして欲しいとは思わないんだよな……。
それってやっぱり俺がこの世界の人間じゃないからなのか?

考え事をしながらつい俺の胸付近にあるオレールの頭を優しく撫でると、少しだけ顔を上げたオレールに困ったように微笑まれてしまった。

その表情に何故か堪らない気持ちにさせられる。


──馬鹿だな……。俺を勇者として討伐に向かわせないように身体を張ってくれるよりも、王都にいて定期的にここに通ってくれるほうが嬉しいのに……。


俺にはコイツと同じ温度や量の気持ちを返すことは到底出来ない。況してや命を懸けると言われても正直その重みもピンとこないのだ。

これが他の客だったらそんなもんだと割り切って大して気にすることもなくお別れできるのかもしれないが、やっぱりコイツには無茶して欲しくないし、これが最後かもしれないっていうんなら出来る限り最高の夜にしてやりたいと思う自分がいる。

──だったら。


「オレール様……。私にもあなたに触れさせていただけませんか?」


しっかりと視線を合わせてそう言えば、オレールの動きが一瞬止まる。俺はその隙に身体を少しだけ起こしてオレールの首の後ろに腕を回すと、噛みつくようなキスを仕掛けた。

戸惑うオレールの舌を強引に捕らえ濃厚なキスで蕩けさせる。


「一緒に気持ちよくなりましょう?」


唇の角度を変える際にそっと囁きながら身体を密着させると、芯が通り始めたオレールのモノが俺の太腿に当たった。

漸くその気になってくれたことに安堵しつつ、とりあえず手コキで様子を見ようと手を伸ばすと。


「コウキさん。ちょっと待ってください」


その手をオレールに掴まれ、俺の算段はあっさり阻止されてしまった。

一体何だっていうんだよ……。


「……ダメ、ですか……?」

「いえ、そうではないんです。ただ、いつもコウキさんがしてくれるみたいに、私もあなたのものを口で可愛がってみたくて。……あなたにも私とのセックスを気持ちいいものだと感じてもらいたいので……」


まさかのフェラ希望というなかなかチャレンジャーな試みに呆気にとられていると、オレールは躊躇うことなくあっという間に俺の足を大きく割り開き、その間に顔を埋めてきた。


「あ、はぁ…ッ…!」


不意討ちで一番敏感な所を舐められ、俺の身体はビクリと跳ねる。再びベッドに仰向けにされ腰の下にクッションを入れられて高く抱えられれば、俺の秘部はオレールに丸見え状態になった。


「あなたという人はホントに綺麗でいやらしい……」


オレールは先程とは全く違ったオスの顔でじっくりとその部分を眺めると、半勃ち状態になっている俺のチンポに舌を這わせながら、既に受け入れ準備が整っている俺の後孔に遠慮なく指を差し入れてきた。

この間まで童貞で、これまでずっと俺にリードされっぱなしだったくせに今日はやけに手際が良い。そんでもって、今のやる気満々な様子を見たら、さっきまでのコイツの態度は一体なんだったのかと言ってやりたくなる。

でもそんな風に考えていられたのもそこまでだった。


「あぁ…ッ…!」


内部を確認するように長い指でかき混ぜられ敏感な部分を擦られると、快感で緩んだ穴から事前に仕込んでおいたローションが溢れだす。
格段に滑りが良くなったところで指が増やされ、前立腺を容赦なく責められると、俺のモノはあっけなく完勃ち状態になった。
その刺激だけでも充分だというのに、オレールは器用にも俺の先っぽを擽るように舐めながら乳首まで同時に弄りだしたのだから堪らない。

……やべぇ。これ、マジでイクかも。

このままじゃコイツの口か顔に出すことになりかねないと気付いた俺は、大変なことになる前に次の段階へ移ってくれるよう促した。


「もう我慢できない……。早くオレール様が欲しい……」


わざと甘えたように懇願すると、オレールは軽く目を瞠った後、俺の目論見どおり中に埋めていた指を引き抜き一旦身体を離してくれた。

とりあえず顔射の可能性を潰せたことにホッとしたのも束の間。

オレールはすぐに俺の腰を抱えるとすっかり通常モードでフル勃起した自分のモノを、既に準備が整っている俺の穴へと当てがい躊躇することなく一気に最奥まで突き入れてきたのだ。


「うぁ……ッ…!」


指とは比べ物にならないほどの圧迫感と衝撃に一瞬息が詰まる。

しかし俺に突っ込んだことで自制が効かなくなったらしいオレールは、内部の感触確かめるようにゆるゆると腰を動かすと、すぐに大きめのストロークで激しい抽挿を開始した。


それから何度も穿たれ揺さぶられ、欲望の証を中に注ぎ込まれながら愛を囁かれ続けた結果。

俺は無事オレールよりも先にイクことなく、本日の営業時間を終了させることに成功したのだった。




◇◆◇◆




「またのお越しをお待ちしております。」


オレールの首の後ろに腕を回し、少し背伸びをしながら触れるだけのキスをする。

普段の俺なら絶対にこんな真似はしないが、今日は恋人同士という名目でのサービスなんだから最後までそれらしくするのも悪くないんじゃないかと思ったのだ。

既に部屋の外に出ているにも関わらず俺のほうから仕掛けたキスに、廊下で待機していたハルが驚きに目を瞠っているのがわかったが、あえてそれに気付かない振りをした。


──スタッフのくせにお客様の前で個人の感情を露にするなんて、後で説教だな。

とは言っても、斯く云う俺も今日はプロに徹しきれていない部分があっただけに、とやかくいう資格はないのかもしれない。


重なるだけのキスが段々深いものへと変わっていき、ひととおり貪りあった後、どちらからともなくゆっくりと唇が離れていく。

そして。


「コウキさん……」


オレールは絞り出すような声で俺の名前を呟くと、まるで全ての未練を断ち切るかのようにスッと身体を離し、それきり言葉を発することも振り返ることもないままこの場を後にした。


俺はというと。
オレールの姿が見えなくなるまで見送ってから、再び客室へと戻ってきていた。

部屋の扉を閉めた途端、どっと疲れがやってくる。

行儀が悪いことは百も承知でソファーに突っ伏すと、一晩中抱かれっぱなしで疲れ果てている身体を投げ出した。


俺は昔から他人の感情の機微に敏いほうであり、それを商売に活かしてきた自覚もあるが、今日ほどそれを疎ましく思ったことはない。

──今回の北の砦行きにあたり、オレールは死を覚悟している。

本人の口からはっきり言われたわけではないが、あの様子ではむこうの状況は既に楽観視できるようなものではないのだろう。


俺はこれでいいんだろうか……。

ふと今までになかったような考えが頭を過り、慌てて思考を中断させた。


客はあくまでも俺の理想の人生設計に必要な金を落としてくれるだけの存在であり、俺はその客が払う対価に見合うよう相手の理想を演じる存在。──そこに個人の感情は不要のはずだ。


俺は自分の中に芽生えてしまった複雑な感情を消し去るように大きなため息を吐くと、アイツが俺の身体に残した全ての痕跡を魔法の力で消し去った。
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