異世界転移した現役No.1ホストは人生設計を変えたくない。

みなみ ゆうき

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本編

28.打診

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今日は新規のお客様だというので入念に準備を整え部屋で待っていると、コリンの案内でやってきたのは確かに新規ではあるが見覚えのある男だった。

名前を聞いてまさかとは思ったけど、やっぱりコイツか……。


男の名はブライアン・シェーカー。職業は王都の冒険者ギルドを取り仕切るギルドマスターだ。

青色の髪に深緑色の瞳を持つこのワイルド系イケメンは、以前役所のお兄さんと一緒に俺に会いにっていうか文句を言いに来て、『お前のその能力は正しい場所で生かされるべきだ。すぐに男娼なんぞやめて冒険者ギルドに登録しろ』と一方的に言い捨てて去っていった人物である。


まさかとは思うがコイツわざわざ俺を指名してまで文句言いにきたんじゃねぇだろうな……。

こうしてここに来れるってことは身元も確かで金もそれなりに持ってるってことなんだろうけど、この間俺が男娼してることに文句言っといて、やることやりに来たとかだったらビックリだ。

前回のことについては、後日オーナーが厳重に抗議した──要はうちのナンバーワンに会いたけりゃ、ちゃんと予約してから金払って会いに来い的な文句を言った──と聞いている。

だからわざわざ指名してまで会いに来たのだとは思うが、俺が手掛けている仕事に関係してない用事で会いに来られんのは正直困るし、特に魔力関係の話で来たってんなら厄介だ。


そうは言っても相手は一応ちゃんとした手順を踏んで俺を指名してきたお客様である以上、前回会った時のような態度で節する訳にもいかず、俺は気持ちを切り替えて営業スマイルでブライアンを迎えた。


「ご指名ありがとうございます。シェーカー様」


そんな俺を見て、ブライアンは軽く口の端を上げる。


「この間会った時と随分態度が違うじゃねぇか。金を払わない奴には笑顔すらも出し惜しみするって噂も案外嘘じゃなかったってことか」


うっわー。嫌味ったらしい。そんでもってどんだけ守銭奴だと思われてんだよ、俺。

誰から聞いた話かは知らないが、のっけからこういう態度できたってことは、純粋にここで一夜の関係を楽しむためにやって来たんじゃ無さそうだ。


俺は確かに金が大事だ。
人間、生きてるだけで金がかかるような世の中の仕組みが出来上がってる以上、金がなければ快適な暮らしは望めない。

だからって、金で何でも解決出来ると思ってもらっちゃ困るんだけど……。


「私という商品に対して対価をお支払いいただく以上、プロとしてそれに見合ったサービスを心掛けているだけなのですが」


笑顔のままそう答えるとブライアンはいきなり俺の頭をガシガシと撫で始めた。


「悪い。ちょっと嫌味っぽかったか。まあ、俺的にはそんな胡散臭ぇ笑顔で従順なふりされるよりも、この間みたいに迷惑なことは迷惑だってハッキリ態度に表してもらったほうがいいって思っただけなんだけどな」


だったらそう言えよ。とは思いつつも、とりあえず今日はコイツがどういうつもりでここに来たのか見極めなきゃ話にならないのであえて笑顔で受け流すことにした。

するとブライアンはそのまま俺を引き寄せ、軽々と俺を横抱きにしたと思ったら、そのままソファーに腰を下ろしたのだ。

ここの世界の連中はなにかというと姫抱っこだな……。

突然の超至近距離での密着にちょっとだけ戸惑いながらも、男としてのプライドが刺激される体勢にときめくとかそういった気持ちは微塵も沸いてこず、微妙な気持ちにしかなれなかった。


「この間は悪かったな。カールにも飲み過ぎだって後でタップリ説教されたぜ」


見た目酒豪っぽいのに酒が得意じゃないのか? ってことはあれも酔った勢いで……。
──まあ、でもそういうヤツいるよな。酒飲むと気が大きくなってやたらと誰かに絡みにいくヤツ。

酒飲んで他人に迷惑をかけるのは褒められたことじゃないが、済んでしまったことは仕方がない。一応謝ってるわけだし。


「いえ、そういう事でしたらお気になさらず」

「おう。ありがとよ。普段はあんなに悪酔いすることねぇんだけど、あの日は色々あってな……」


ブライアンはどこか遠くを見ながら少しだけ切なそうに目を細めると、すぐに口元に自嘲するような笑みを浮かべ、俺の唇に軽く口付けてきた。

俺はというと。
さっきの表情が少しだけ気になったものの、余計な事に首を突っ込む気は更々ないのであえてそこはスルーして、積極的に自分から濃厚なキスを仕掛けていった。


「でもお前への勧誘は酔った勢いとかじゃねぇから」


深い口付けの合間にブライアンがそっと囁く。

それをここで言うなんてムードもへったくれもねぇな、と思いつつも、俺は何も答えずにブライアンの服を脱がしにかかった。



お互いに全て脱ぎ去った状態でベッドへとなだれ込む。

ブライアンは慣れた仕草で俺の脚を割り開くと、その間に身体を入れ、露になった俺の後孔をじっくりと眺めた。


「なんだよ。もう準備出来てんのか? せっかくトロトロになるまで舐めてやろうと思ったのに」

「申し訳ございません。お客様から事前にご要望がなければ予めこちらで準備することになっておりますので……」

「ああ、そういやそうだったな……。娼館なんて久しくご無沙汰だったから忘れてたぜ。次から何も準備しなくていいぞ。俺、相手が気持ち良くて蕩けそうな顔してんの見ながら愛撫すんのが好きなんだ。──じゃあ舐めるのはこっちにしとくか」

「ん…ッ…」


突然与えられた甘い衝撃に思わず仰け反る。

なんの躊躇いもなく俺のチンポを手に取り先端を舐めてきたブライアンに俺のほうが焦ってしまった。


「シェーカー様……!そこは……!」

「ん?何だよ?気に入らねぇ? それとも客にこういうのされんのが抵抗あるとか?」

「いえ、そういう事ではないのですが……」


この世界じゃ恋人同士でもフェラするってことがあまりないらしいので、当然のように舐められたことに驚いただけだ。


「だったら俺に任せとけ。そんなに下手なほうじゃないと思うぞ。──それとも、自分だけされんのに抵抗があるってんなら一緒にやるか?」

「一緒に……?」


ブライアンは俺の身体を抱き起こすと、今度は自分がベッドに仰向けになる。


「ケツこっちに向けて跨がれよ。お前も俺のしゃぶってくれ」


俺は小さく頷くと、ブライアンの要望どおりヤツの顔に俺の陰部がくるような体勢で跨がった。


所謂シックスナインでお互いを高め合うことにしたのはいいが、チンポをしゃぶるだけじゃなく、後孔にも指を差し入れ丁寧な愛撫を施してくるブライアンに、俺はすぐにこの体勢になったことを後悔する羽目になっていた。


「んん…ッ…」


本人の自己申告どおり下手じゃないっていうか、ぶっちゃけコイツ相当上手い。
俺は懸命にヤツの半端ないデカさの剛直をしゃぶりながら、自分が先にイカないように意識を逸らすのに必死だった。

でも既に媚薬成分入りのローションを使って準備してた俺のほうがどう考えても分が悪く、いくら我慢しようとしてもすぐに絶頂の波が押し寄せ身体が震える。

そんな俺の状態に気付いているのか、ブライアンがクスリと笑った。


「我慢してないでこのままイケよ」


息がかかるだけでも堪らず腰をくねらせる俺に、ブライアンは容赦のない追い上げを開始する。

チンポを深く咥えながら、太い指で後孔をかき混ぜ前立腺を擦りあげられると目の前がチカチカした。


「あぁ…ッ…、それ…ッ…、ダメぇ……!」


最早演技なのかどうかも怪しい声をあげながら、こんな状態になってもひとりだけ気持ち良くされて先にイクっていうことに抵抗がある俺は、与えられる快感に抗う術を必死に模索する。

いいようにされてひとりだけイカされんのはプロとしてのプライドが許さねぇ。
──だったらやっぱりこうするしかないよな。


「シェーカー様……。お願いします……。早くこれで中いっぱいにして……!」


片手でブライアンの屹立を扱きながら後ろを振り返ると、目一杯甘えたような表情で懇願した。

ブライアンはそんな俺を見て軽く目を眇めると、中に入れていた指を引き抜き、四つん這いになっている俺の身体の下から抜け出ると、とっくに受け入れ準備が出来ている俺の後孔に自分の切っ先をあてがった。


「これで奥まで可愛がってやるから、無理せずさっさとイケよ」


チクショウ!コイツ余裕かよ!


その言葉にまたしてもプライドが刺激された俺は、挿れられてからも極限まで我慢を重ね、何とかドローに持ち込むことに成功した。





「お前今度の休みっていつだ? 店の外で会おうぜ」


帰り際。身支度を終えたブライアンがそんな事を言い出しギョッとする。

今日がほぼ初対面みたいなもんだってのに、プライベートで会うとかあり得ないだろ。


「申し訳ございません。プライベートでお客様とお会いすることは店の規則で禁止されておりますので」


実際にそんな項目はなかったが、普通に考えて休みに客と会うとかダメだろ。……っていうか俺が嫌だ。そういうケジメがない行為も嫌だけど、プライベートの時間まで他人に気を遣いながら過ごすとか真っ平ゴメンだ。

それに俺、仕事以外で愛想よくすんのも男とセックスすんのも出来れば御免こうむりたいんだけど……。


これで諦めてくんないかな、なんて考えていたら。


「じゃあ、プライベートじゃなきゃいいんだろ? オーナーと話つけるから、俺に一日付き合えよ。勿論その分の料金は払うぜ」


ブライアンは勝手にそう決めると、俺の返事を聞くこともなくすぐに部屋を出ていった。


残された俺はといえば。

少しだけ呆然としたもののすぐに我に返り、慌ててオーナーに念話の魔法で連絡を取ったのだった。
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