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5回天編

5回天編-2

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 アトランティア・ウルース


 アトランティア海軍近衛艦隊、トラッカー海佐艦長率いるジーベック級軍用帆船イザベッラ号は、大小様々な船舶を連ねて海上都市を形成しているアトランティア・ウルースへと帰還、未明の入港を果たした。
 しかしもやい綱を繋いだからといって一息つくことは出来ない。
 舷梯げんていを渡すと、早速労働力にならない捕虜達を船底ふなぞこから引っ張り出して奴隷商人に引き渡さなければならないし、消耗した水や生鮮食料品を積み込む作業も始めないといけない。海羊の肉も塩漬け加工を施したり売り払ってしまったりする必要がある。
 そしてそれらと並行し、アトランティア・ウルースの版図に新たな島嶼を加えたことを報告するため、伝令使を王城船へと向かわせる必要があるのだ。

「では、行け」
「はっ、お任せください!」

 トラッカーの伝令使として艦長室を飛び出していったのは、見習い士官のカシュ・ノ・フランジェリコであった。少年期から青年期へと移り変わる年頃のカシュは、任された仕事を果たすため足取りも軽く艦長室から出て行った。

「カシュの奴を王城船に行かせたの?」

 船守りのイザベッラがカシュと入れ違うようにして艦長室を覗き込み、二、三の必要事項を報告した後の余談という形で尋ねてきた。

「ああ、目をかけてやってくれと頼まれてるんでな」
「それって宰相さいしょう閣下の口利き?」
「ま、そういうことだ」

 作戦成功の報告を王城へともたらす伝令使は、提督や大提督の目に留まりやすい。報せの種類によっては女王ハーラム直々に声を掛けられることすらある。将来の栄達を夢見る若手にとっては垂涎すいぜんの役目なのだ。

「大人の世界って大変だね」

 プリメーラ・ルナ・アヴィオンを女王に推戴すいたいして再興を目指すアヴィオン王国。その宰相に、女王直々の使命を受けたイシハ・ラ・カンゴーは、アトランティア・ウルースの女王ハーラムレディ陛下からも宰相に任じられ、アトランティアの宰相も兼ねることになった。するとその周囲には、宰相の権勢けんせいの恩恵によくそうと、大臣、貴族、有力者達が次々と群がっている。
 イシハは彼らの願いを聞き入れる交換条件として、自分の願い事を叶えてもらったり、美酒美食の宴に招待してもらったり、財貨や宝物、美女の奴隷などを贈ってもらったりしている。ていに言えば、職権を乱用し、私腹を肥やす汚職まみれな毎日を送っているのだ。
 とはいえ、これがこのアトランティアの――否、特地世界の政治の日常でもあった。
 力なき者は、財貨や宝石、あるいはその他の別な何かを差し出し(差し出すものがなければ、自分の身や働きを対価とし)、力のある者の庇護下に入って寄子クリエンテスとなる。力ある者は寄親パトロヌスとして彼らを護るのだ。
 もし外部勢力と対立したり利益を争う事態となった時は、寄親同士で利害調節をしたり、それが出来ないような時は戦ったりする。もちろん寄子はその戦いに参加する。
 何だか武士のご恩と奉公、あるいはヤクザの親分子分兄貴舎弟、西洋騎士の君臣くんしん関係みたく見えるがその通りだ。洋の東西、時代、世界を問うことなく、似たような関係が形成されるなら、それは知的生命体が作り上げる社会の形態における「基本」なのだろう。
 そうしてイシハは、アトランティアの宰相となったことで巨万の富を築くことに成功した。
 ただし同時に、すがってきた寄子の頼み事も一杯抱え込むことになった。その中には、『今度、軍に入ることになった我が息子をよろしく引き立ててやってください』というものもあり、それが巡り巡ってトラッカーの元へとやってきたのだ。
 というのも、トラッカーを近衛艦隊の艦長職に引き立てたのは宰相のイシハだからである。トラッカーは寄子としてイシハの意向を叶えてやらねばならない。
 今回、見習い士官に伝令使の役目を与えたのもそれが理由だ。イシハから送り込まれた見習い士官が女王ハーラム陛下の前に立つ姿を示すことで、トラッカーはイシハからの頼みをしっかり叶えているぞと示すことになり、イシハもまた取り巻きとなった有力者に顔を立てることが出来るのだ。
 とはいえ、三人の見習い士官の中で誰を選ぶかはトラッカーの自由だ。

「カシュの奴、とっても嬉しそうな顔をしてたよ。自分が選ばれるとは思ってなかったみたい」
「奴は、自分を能なしだと弁えているからな」
「能なしは酷いよ。親の七光りを盾に威張ったり責任逃れをしたり、楽をしたがるあの凸凹コンビよりはよっぽどマシだし」
「ああ、確かにそうだな。奴は意欲があるだけマシなほうだ」

 イザベッラ号には、士官見習いの若者が三人乗り込んでいる。だが三人は経験もなければ、役に立つような知識も持っていない。それで艦長のトラッカーの役に立とうと思ったら、彼らに出来ることは意欲に溢れていることを示すか、付け届けをしてトラッカーの財布を温かくすることくらいだ。
 そして、コネでこの世界に入ってくるような連中は、熱意を示すより親の財力に頼って付け届けをして、楽な仕事を割り振ってもらって見習い期間を通り過ぎようとする。
 もちろん、トラッカーとしてはくれるという物を断ったりはしない。そして貰ったからにはちゃんと楽で責任の少ない仕事を割り振ってやる。とはいえ、トラッカーも自分の船を沈めたり、ドジをやったりして自分の評価を低下させたくはない。下から吸い上げた付け届けを、そのまま上に差し出し自分の評価を上げるという方法もあることにはあるが、それでは格好が付かないのだ。
 トラッカーも軍人であるからには、能力で評価されたいという矜持きょうじがある。だから部下にも銭金ぜにかねだけでなく能力を差し出すよう求めていた。それすら出来ないような無能者は、せめて意欲だけでも見せよと求めた。するとカシュは、たまたまなのか、あるいは必然か、付け届けではなく熱意を示すことを選んだのである。
 カシュは皆が嫌がる仕事を率先して引き受けた。号令でドジり、信号で失敗して皆から嘲笑され、水兵達から馬鹿にされつつも、しかし確実に経験と知識と力量を向上させていった。
 だからこそトラッカーは、カシュを伝令使に選んだのだ。
 もし、見習い士官の中からいきなり士官に出世させられる枠が二人分できたとしたら、トラッカーはそれを凸凹コンビに与え、カシュは見習いのまま手元に残すだろう。カシュにとってそれは不幸なことかもしれないが、トラッカーにとって、そしてこの船の乗組員達にとってはそれこそが幸いなのだ。

「でも、このことを知ったら、凸凹がくんじゃない?」
「別に気にする必要はないさ。俺は日頃から能力や意欲を、付け届けと同等に評価すると言ってあるからな。知ってるか? 金って代物も、量が増えると価値が下がるんだぜ」
「みんなが楽したがって賄賂わいろを差し出してるような時は、一生懸命働いてくれるほうが価値があるってことだね?」
「そういうこと。俺に差し出せるものが他の奴よりも少ないと思ったら、付け届け額を他の奴より多くするか、意欲的に振る舞うかすればいい。俺は艦長としてこの船のことに責任があるからな。多少の銭金なんかより意欲的なほうがありがたかったってことさ」

 トラッカーはそう言って笑った。

「面白いよ、あんた。悪名高い宰相様の口利きで艦長になったって聞いたからさ、一体どれほどの銭ゲバ野郎かと思ってたんだけど、あんた、なかなか悪くないよ」

 イザベッラは気に入ったと言いながら、相好そうごうを崩したのだった。


 さて――
 イザベッラ号に配属された士官候補生カシュ・ノ・フランジェリコは、艦長室を出ると足早に船から降りた。

「おい、カシュ! どこに行くんだよ?」

 埠頭ふとうで商人と価格交渉をしている士官に同行していたくだんの凸凹コンビ――見習い士官のデブとのっぽことバヤンとレグルスの二人は、カシュの姿を目敏めざとく見つけると声を掛けてきた。
 この二人はカシュの見習い仲間ではあるが、決して仲がよいとは言えない関係だ。

「艦長から伝令使を言い付かったんだ! ちょっと出掛けてくる」
「何でお前が?」
「たまたま二人が忙しかったからだろ!」

 カシュは二人の追及を軽く手を振って誤魔化すと、そのままその場から離れた。
 正直、理由を問われても彼には答えられないからでもあった。
 カシュは万事に要領が悪く、艦長への付け届けすら満足に出来ていない。それがために当直なら夜間ばかり、仕事もキツくて汚くて疲れるものばかり割り当てられてきた。ドジも失敗も多く、周囲に迷惑をかけがちで艦長の覚えがめでたいとは言えないのだ。
 それだけに、そんな自分が名誉ある伝令使に任ぜられるとは思ってもみなかった。しかしこうなったからにはちゃんと務めて艦長の信頼に応えねばならない。

「おい、カシュ!」

 だがその時である。バヤンとレグルスが追いついてきた。

「何だ二人とも、売買の立ち会いはいいのかい?」
「なあカシュ、艦長から言い付かったそのお遣い役、俺達が代わってやってもいいぞ」

 レグルスは足早に進むカシュに追いつくと肩に腕を回した。
 細身で長身のレグルスは、カシュより頭一つ高いから肩に腕を回されると上から圧迫される感じになる。

「ダメだよ。艦長は僕にって……」
「いいからいいから!」

 カシュがレグルスの腕を払いのける。するとバヤンがカシュを横から突き飛ばした。

「うわうわっ!」

 アトランティア・ウルースは大小様々な船が寄り集まって出来た水上都市だ。
 目的とする船に向かうには甲板かんぱん上の狭い通路を通り、船と船とを繋ぐ舷梯を渡らねばならない。そんな場所で不意に横から押されたら、足を踏み外して海に落ちてしまう。
 たちまち海面に水柱が上がった。
 しばらくして海面に浮かび上がってきたカシュを見下ろしながら、レグルスとバヤンは言った。

「おや、困ったね、我が同輩よ! そんなびしょびしょな姿では、王城にはとても行けないよな!? その姿で女王ハーラムの前に出たら失礼だ」
「しょうがない。お前に代わって俺達が王城船に行ってきてやる」

 二人のあまりな言いように、カシュは懸命に立ち泳ぎしながら言い放った。

「酷いぞ、レグルス! バヤン!」
「礼なんていらないぞ。これも同僚のよしみだ。後のことは俺達に任せてくれ!」
「そんな!?」
「早く上がれ。風邪引くなよ!」
「待ってよ! せめて縄梯子を下ろして!」

 だが二人は、カシュを海から助けようともせずに行ってしまったのである。


    *    *


 妓楼船ぎろうせんの朝は遅い。
 何しろ妓楼の稼ぎ時は『夜』だ。娼姫との一夜限りの恋を楽しんだ泊まり客は、朝になって寝ぼけ眼を擦って疲労でえた足腰を引きずるようにして家路に就くのだ。
 おかげで娼姫や従業員達の生活リズムは昼夜逆転――とまではいかなくとも、大幅にずれ込んでしまう。
 しかし、である。日本国海上自衛隊二等海曹の徳島甫とくしまはじめは、まだ誰も起きてこない朝の暗い頃から厨房に入り、料理の支度を始めていた。
 何のためかと言うと、泊まり客の朝食を作るため。『握り寿司』を出して欲しいという要望に応えるためでもある。

「握り寿司が流行るなんて思いませんでしたね……」

 徳島が飯台の酢飯をしゃもじで切りながら呟く。
 すると徳島の後ろで大釜の火加減を見ていた江田島五郎えだじまごろう一等海佐が言った。

「いえ、私はこうなってもおかしくないと思ってましたよ。アトランティアの人々の嗜好しこうはどこか日本人に似ていますし」

 海上生活を送るアトランティアの人々は、オリザルという海藻由来の米に似た穀物を、魚のエサなどとさげすまずに普通に食べるのだ。
 そして新鮮ならば、魚介類を生で食べることもある。
 醤油の代用として使える豆醤トウジャン(魚醤を作る際、魚と同量の豆を混ぜたもの)というものも存在する。
 更にわさびに似た香草エウトリが大陸にはあったりする。
 ならば酢や酒、糖蜜の類を混ぜて、炊いたオリザルにまぶして酢飯とし、すったわさびエウトリと程よい厚さに切った刺身を載せて、豆醤を付けて食べる握り寿司へと至るのも時間の問題と言えた。
 つまり徳島が持ち込まなかったとしても、いずれは誰かが発明したはずなのだ。
 しかし、とはいえ、まだ存在していなかった。
 握り寿司を受け入れる土壌は出来つつあったのにまだ存在していない。誰かが天啓を得るのを待つだけの状況であったのだ。

「そんなタイミングに徳島君が握り寿司を持ち込みました。しかも自然発生したものに付随する欠点も、我が国で数百年の時をかけた試行錯誤によってオミットされて完成形に至ってます。新しい宰相に気に入られたという物語性の後押しもありますが――その味こそがこの世界の人々を魅了したのですよ」

 徳島がこの妓楼船メトセラ号で握り寿司を作ったのは、アヴィオン王国の宰相となった日本人、石原莞吾いしはらかんごを持て成すためであった。
 特地に長くいるという石原は故郷の味にえているに違いないと、手に入る食材を使って心を込めて握ったのだ。
 もちろん石原は、久しぶりの日本の味に喜んだ。徳島は美味うまい美味いと言いながら寿司を食べる石原の姿に、料理人として深い喜びと満足感を得たのである。
 だがその時、石原の傍らでお酌をしていた娼姫の一人が首を傾げた。

「宰相様、生の魚がそんなに美味しいのかニャ?」

 その時、石原はツンと鼻に利くわさびのせいか、はたまた故郷への郷愁がそうさせたのか、目を潤ませていた。
 娼姫達の多くは貧困家庭出身だ。燃料となるまきを節約しなければならず生の魚を泣く泣く食べた記憶がある。酷い底辺生活の記憶だけに、懐かしさは覚えても、泣くほど美味いという印象はない。それ故、時の宰相が美味い美味いと頬張る「ニギリズシ」への興味が込み上げてきたのである。

「宰相様、うちらも、食べていい?」
「ああ、いいぞ、お前達も食べろ。食べてみろ!」

 女性が一口で放り込めるサイズだったことも幸いして、娼姫達は頬張った。そして目を白黒させた。
 シャリのほんのりとした温かさと、刺身が口の中でほろほろと崩れる食感、魚肉と脂、そして豆醤の旨味がじわっと舌の上に広がっていく。
 酢飯の爽やかな酸っぱさと、僅かながらの甘さでコーティングされたオリザル一粒一粒が、魚の旨味と渾然一体となっていた。

「あっ……」

 そして不意打ちのように、ツンというわさびの刺激が鼻を駆け抜ける。

「どうだ、美味いだろう?」

 石原は意地悪そうにキシシと笑みながら娼姫達に尋ねた。

「くぅぅ」

 涙目になった娼姫の一人は、返事代わりに石原の肩をペシペシ叩く。
 わさびのことをあえて警告しなかった石原への可愛らしい復讐だ。しかし同時に、みんな次の寿司に手を伸ばしていた。要するにこの新しい味が気に入ったのだ。
 以来、娼姫達は「うちらのお客にも、この料理を知って欲しいからニギリズシを出して」と徳島に求めた。客を理由にしているが、要は自分達が食べたいだけだ。とはいえ娼姫達が美味しい美味しいと言って食べれば、客だって「では、試してみよう」と思う。そして実食してみれば美味いことが分かる。
 こうして徳島の作った握り寿司の評判は瞬く間にアトランティア中に広まったのだ。
 この時、妓楼船メトセラ号の料理は、既にアトランティアで一番の声望せいぼうを獲得していた。しかしそれは二位や三位が追随する余地のあるものだった。だが新しい流行、食文化の一つを開拓してみせたことがダメ押しとなった。
 妓楼船メトセラ号は序列から離れた格別の存在、アトランティアの食文化発信の中核であり推進役と見做みなされることになったのである。


「ただいま! 戻ったよ」

 ご飯が炊けましたよ、と江田島がかまどから鍋を下ろした頃、シュラ・ノ・アーチとオデット・ゼ・ネヴュラの二人が戻ってきた。

「戻ったのだー」

 振り返ると、二人ともこのアトランティア・ウルースに入国した時の変装――シュラは眼帯を外して男装し、オデットは本来真っ白なはずの羽毛を極彩色に染めた姿だ。
 二人ともアトランティアから賞金付きで手配されているから、ここにいる限りは偽名と変装が欠かせないのだ。
 見れば二人の手には籠があり、朝の市場であがなってきた魚が山ほど入っていた。

「おおっ、ありがとう」

 徳島は早速シュラの籠の中身をあらためた。
 シュラはこの碧海の魚については、徳島以上の目利きだ。だから徳島はこの二人に魚の仕入れを任せていた。そのため二人は朝も早く、日も出ないうちから起き出しては漁港へ魚を仕入れに向かっていた。

「おおっ、さすが生きのいい魚ばっかり。血抜きもよく出来てる。では早速!」

 徳島はすぐに魚をまな板に寝かせると、素早く三枚に下ろしていった。
 刺身も牛肉などと同じく、ある程度熟成させたほうが旨味が出る。しかし大型冷蔵庫も氷も手に入らない特地の南洋で魚を生で食べるなら、その日に獲れたばかりのものを朝方の涼しい時間帯に料理してしまうほうが安全なのだ。
 そんな徳島の見事な包丁捌きを眺めているシュラ達に江田島が尋ねた。

「で、どうでした?」

 するとシュラよりも早く、オデットが唇を尖らせ不満そうにまくし立てた。

「他の店の料理人が市場に一杯来ていたのだ!」
「ダラリア号のパッスムまでいたのが見えたよ」

 徳島がこの海上都市に持ち込んだ握り寿司は今、アトランティアで大流行している。
「俺、食べてきたぜ」という者がいれば誰もが自慢話を聞きたがり、「ニギリズシって何?」「是非一度食べてみたい」と興味を持った。
 だがメトセラ号は高級妓楼だ。日々の糧を得るだけで精一杯の労働者には近寄りがたい。そもそも女子供には無縁な場所とも言える。そのため「美味い」「凄い」という噂を羨むばかりで、実際には食べられないという状況が続いたのだ。
 すると、あちこちの飲食店や居酒屋の料理人達が真似を始めた。
 そんなことが出来たのもニギリズシというものが、見た限りでは、炊いた飯に酢を混ぜ、一口サイズに握り、刺身を載せただけの簡単かつ単純な料理に思えたからだろう。
 噂に聞くニギリズシを興味本位で作ってみた。そうしたらみんなが食べたいという。だから出しているといったところだ。
 しかしそのため、余所の店でニギリズシと称して出されるのは、よう見真似みまねどころか、噂話から推測して形だけ真似てみたとしか思えないものばかりであった。
 サイズがお握りみたいにでかいとか、酢で飯をびしゃびしゃにして無闇に酸っぱくしたものまであったりした。
 もちろん、真面目な料理人が自分なりに美味くなるよう工夫したものもある。
 しかし、まだまだ形を追うことに精一杯で、味覚の分解能が「凄く美味い」「美味い」「マズい」の三段階しかないシュラですら、眉をひそめてしまうほどであった。
 だが、それでも多くの人々がそういった店に足を運んだ。そして生まれて初めてニギリズシを食べた客は、そこで食べたものをニギリズシだと思い込む。そのため「美味いという噂は聞くけど、実際に食べてみたら酷いものだった」という評判まで流れるようになってしまった。
 シュラとオデットはそのことにとても強く憤慨していた。
 実際の握り寿司は、酢の利かせ加減、飯の握り具合、ネタとシャリの大きさや質量比などなど高度に計算された奥深い料理だ。真似するなとは言わないが、真似するならせめて一度は本物を食してそれに近付く努力くらいしろと二人は主張している。
 すると江田島は軽く嘆息してシュラの肩を叩いた。

「違います。私が聞きたかったのは、そっちの様子ではありません」

 本来の目的を忘れてくれるなと告げると、シュラは笑いながら言った。

「ああ、兵隊達の件だね。街はとても警戒が厳重だったよ。そこかしこに見張りが立って、プリムに似た女は片っ端から調べられてるんだ」
「プリムが、ミスール号まで辿り着くのは無理そうなのだ」

 シュラとオデットは、買い物にかこつけて偵察してきた街の状況を報告した。
 プリメーラを女王に推戴してアヴィオン王国の再興を企てていた女王ハーラムレディ。ところが、捕らえていたはずのプリメーラが、徳島達の策略によって奪い返されてしまった。成り行きとはいえアヴィオンの宰相、更にはアトランティアの宰相をも兼務している石原は、間近に迫った戴冠式をプリメーラの偽物を立てて乗り切ろうと画策していた。
 そうなった以上、石原としてはもはや本物は目障りである。だから徳島達にも、早くアトランティアからプリメーラを追い出せとけしかけていた。
 だが、女王ハーラムレディは本物を絶対に逃がすつもりがないらしく、徹底的な捜索を命令したのである。
 明らかに別人であるシュラやオデットすら誰何すいかされ、手荷物検査を受けたという。
 おかげで徳島達もこの妓楼船で足止めを食らっていた。目的を果たすまでの仮拠点でしかなかったこの場所に居続けなければならなくなったのだ。

「問題は、あんまりここに長く居座ってると……」

 江田島が声をひそめる。
 するとシュラも皆まで言うなとばかりに頷いた。

「分かってるさ。早くここから逃げ出さないと」

 プリメーラをこの妓楼に隠そうと提案したのはシュラ達だ。
 もちろん、それは追跡から逃れるための一時凌ぎの嘘、木を隠すなら森の中、女性隠すなら妓楼へという計略で、その時はよい思い付きだと思ったのだ。
 しかし追及を逃れるためとはいえ高級娼婦を名乗ったがため、プリメーラは客を取らねばならなくなったのだ。大切なことなのでもう一度言うと、「プリメーラは娼姫としてお客を取らねばならなくなった」のである。
 その時、ヒュメ種のプーレが欠伸あくびをしつつ厨房に入ってきた。
 アトランティアの王城でプリメーラ付きの唯一のメイドだった彼女は、プリメーラの人柄に惹かれて脱出に協力、この妓楼船にも付いてきている。そして最高級妓女ぎじょには付き人として娼姫見習いが付くため、その役目を買って出ていた。

「みなさん、おはようございます」
「あ、おはようなのだ」

 新参者となるメイドに皆が注目する。

「プーレ。彼女はどうしてる?」

 徳島はプーレの顔を見るなり尋ねた。

「あ、トクシマ様、おはようございます。姫様はまだご就寝中ですよ。昨夜は遅かったのでお目覚めは遅くなると思います」

 最悪の事態を想像してしまったのだろう、シュラが心配そうに問いかけた。

「昨夜は遅かったって……ま、まさか、お客と同衾どうきんした訳じゃ……」

 するとプーレは胸を張って答えた。

「まさか! プリメーラ様は、このメトセラ号の三美姫さんびきの一人ですよ。そう易々と客に肌を許す訳ありません」

 不幸中の幸いは、このメトセラ号がお高くとまった格式の高い妓楼だということだ。
 最高級娼姫ともなれば、千金を積まれたってほいほい肌を許しはしない。
 そもそも高級妓楼とは客が娼姫の時間を買い、口説くことを許されているに過ぎない。「娼姫がその客を気に入ったら」同衾が許されるだけなのだ。
 もし手っ取り早く、すぐに欲求を満たしたければそういう店に行け、という何とも高飛車な態度である。しかし、それがよいという客がやってくるのがこの高級妓楼メトセラなのだ。

「それに……」

 プーレは言葉を続けた。

「それに?」
酔姫よいひめモードになった姫様は最強です。礼儀を知らない男には冷たい蔑むような視線と、高貴な罵倒が雨あられと浴びせられています。今ではそれがよい、たまらない、罵られたいっていう男が列をなして順番待ちしているくらいです」

 今や二回目の予約を取ることさえ大変な状況で、プリメーラは次々とやってくる初顔合わせのお客と差しつ差されつ料理を楽しみながら、罵ってさえいればよいのである。

「昨晩の就寝が遅くなったのも、そういうド変態な野郎が罵られたがって、いつまでもダラダラ居座っていたからです。あたしが蹴りを入れて追い返してやりましたけど……」
「いやいや、いくら何でもお客にやっていいことじゃないのだ!」

 オデットが安堵の苦笑をしながら冷静な突っ込みを入れた。

「それ、確実に人気の一因になってるよ」

 シュラも呆れ顔で言った。
 お客達はプーレをプリメーラの付属品と見る。そのためプーレに蹴っ飛ばされることも、お客が心待ちにするサービスとなってしまっているのだ。
 とはいえなれどさておいて。プリメーラの身の安全に責任を感じている徳島は、今のところ無事に乗り切れていると知ると、ホッと胸を撫で下ろしプーレの手を握った。

「ありがとう、プーレ。これからも彼女のことを頼むよ」
「あ、いや、その、あたしは何にもしてませんし……」

 するとプーレは耳朶を真っ赤にして恥ずかしそうに顔を俯かせる。実にチョロい子である。

「でも、格式を理由に客を拒めるのは今だけだろう? いざとなったら君だけが頼りだから」

 もし頻繁に通い詰める客がいれば、いよいよ娼姫としての役目を果たさねばならなくなる時が来る。そうなったら――もちろんそうなる前に、このアトランティアから脱出してしまわなければならないが、それとてどうなるか分からない現状だ――出来る限り引き延ばす努力をプーレに頼むしかない。

「任せてください! いざとなったらあたしが姫様の身代わりになりますから! なあに、灯を落としてからしとねに入る瞬間、素早く入れ替わればバレやしません!」

 プリメーラの腹心を自認するメイドは、主のために自らを犠牲にする覚悟がどれほどなのか、薄い胸を張りながら言い放った。

「「いや、そんなことしたら普通にバレるよ(のだ)」」

 しかし張れば張るほど薄さが強調されてしまう小柄なメイドの胸を見ながら、シュラとオデットはさすがに無理だろと声を揃えて突っ込みを入れたのだった。


「……」

 そんな話をしている中、蒼髪の少女メイベル・フォーンが挨拶もなく厨房に入ってきた。いや、どちらかというと気付かれないように気配を消して忍び込んできたと表現すべきかもしれない。
 だがそんな彼女の姿を徳島が目敏く見付けて声を掛けた。

「やあ、メイベル」

 するとメイベルは大いに狼狽うろたえた。
 悪戯をしているところを咎められた子供がごとく、「びくっ」と身を弾かせ、冷や汗を流しつつ「や、やあ」と挨拶を返したのである。

「どうしたんだい?」

 やましいことでもあるのか、徳島と視線を合わせようとしない。そして徳島の問いを聞き流すように担当する仕事を始めた。
 彼女の仕事は食器の支度だ。皿は客の格に合わせなければならないから、どれでもよいという訳ではない。いちいち確認しながらになるので、それなりに手間が掛かるのだ。

「な、何でもない。ハ、ハジメのほうこそ、作業の手を止めては朝食に間に合わぬぞ」

 徳島はしばらくメイベルを見ていたが、小さく嘆息してすぐに寿司を握る作業へと戻った。
 するとメイベルも幾ばくかホッとした表情となった。まるで苦行から解放されたような態度で、そんなメイベルが気になった江田島は徳島に囁いた。

「彼女、どうしたんです? ここのところ振る舞いがおかしいのが気になりますねえ?」
「僕も気にはしているんです。けど難しい年頃ですから」

 ロゥリィ・マーキュリーから聞いた話では、亜神とは亜神にしょうした時の姿で身体的な成長老化が止まる。だから、ほとんどの亜神が見た目以上に老成している。ロゥリィなどは見た目十代前半なのに、実年齢はよわい九百を超えているという。
 しかしメイベルは、最近ヒトから陞したばかりだ。
 最近といっても既に四、五年は経過しているが、それでも他の亜神と比べれば誤差の範囲。つまりほぼ見た目通りの中身なのだ。となれば、思春期真っ盛りということになる。情緒がなかなか定まらない年頃である。
 すると江田島も頷いた。

「私も徳島君の意見に同意いたします。あの年頃は難しいですからねえ。突き放すのでもなく、かといって過度に関わることもなく様子を見ているのがよいでしょう」

 するとその時、シュラがすれ違いざまに言った。

「メイベルなら、周りの娼姫からいろいろと入れ知恵をされて影響を受けてるみたいだよ」

 メイベルは、このところ妓楼船メトセラ号の最上位に君臨する三美姫の一人、三つ目美女のセスラと仲が良い。彼女の部屋に招かれては、仲良く話をしている姿が目撃されているとシュラは語っていた。彼女の部屋に泊まり込むことさえある。
 続いてオデットがやってきて、スッと徳島の腕に自分の腕を絡めた。
 そしてメイベルのことをじっと見つめる。するとメイベルもオデットの視線に気付いたのか手を休めてこちらに視線を向けた。

「な、何?」
「いや……何でもないのだ」

 オデットが目を逸らすと、メイベルは肩をすくめて仕事に戻った。

「やっぱりおかしいのだ……」

 以前のメイベルなら、徳島とオデットが密着していたらすぐにやってきて間に割り込もうとしただろう。しかし今のメイベルはオデットのことをいぶかしげに見ているだけだった。徳島に対する気持ちなどすっかり冷めてしまったかのようだ。
 けれど、とシュラは言う。

「それはオディにとってはいいことなんじゃないの?」

 オデットが徳島を攻略するにはメイベルは邪魔な存在だったから、徳島争奪戦から離脱してくれるならありがたい話のはずだ。

「それはそうだけど……」

 堂々と競い合って相手を蹴落としたのなら、オデットも勝利の余韻に浸ることが出来る。しかし何やら訳の分からない事情で勝手に離脱されたのでは納得しきれない気持ちになるのだ。
 そんな風に思ってオデットが唇を尖らせていたその時、舷窓げんそうの外から何かが海に落ちる音がした。音の具合からして、かなり大きなものが落ちたようだ。

「ん、何じゃろ?」

 メイベルが呟く。そして様子を見に行くと言って、手を拭きながら厨房から出て行ってしまった。
 そんなメイベルを見ながらオデットは呟いた。

「気持ちが失せてしまったように見せることで、ハジメの焦りを誘おうという高等なテクニックなのかもしれないのだ」

 以前、そうした恋の手練手管を娼姫達が教えてくれたとオデットはシュラに語った。

「実際、ハジメはメイベルを気にしているのだ……」
「そう?」
「そうなのだ」
「そうかな?」
「なのだ」

 オデットは、メイベルが出て行った戸口にいつまでも心配そうな視線を送っている徳島を見て、気持ちがざわめくのを感じて小さく嘆息したのであった。


    *    *


「そこのお前! 大丈夫か?」

 カシュは立ち泳ぎしながら途方に暮れていた。
 彼が落ちたのは、喫水きっすいの深い船ばかりが並んでいる船区。手を伸ばして届くようなところに船縁ふなべりはなく、二階建て建物の外壁のような高い乾舷かんげんに取り囲まれている。何の道具もなしに登るのは不可能であった。
 しかも、そのままでいるのも危険である。
 風に煽られ波に押された船同士が音を立てて衝突し、時には引き剥がされて船と船とを繋ぐ鎖が軋むような金属音を上げているからだ。
 もちろん、船体が激突の衝撃で破壊されてしまわないよう、舷と舷の間には緩衝材が挟み込まれているが、それすら押し潰すような大波が来ることもある。特にここ数日は、遠くで嵐が起こっているらしくうねりが大きい。そんな時に船の隙間にいたら、人間なんぞ簡単にぺしゃんこだ。

「早く上がったほうがよいぞ!」

 舷の上方から投げかけられた声は、カシュにとっては救いの声であった。

「もたもたしてないで早く上がって参れ!」

 命令口調だが、声の主は若い女性のよう。見上げると、船縁から蒼髪の幼い顔が見える。どう見てもカシュより若い。
 少女はただ声を掛けるだけではなく、海面まで届く長い縄梯子を下ろしてくれた。
 カシュは大急ぎで縄梯子まで泳ぐと海から上がった。

「ありがとう。助かったよ」

 全身ずぶ濡れのカシュから滴る水滴が、木製の甲板に水溜まりを広げていった。

「一体どうしたんじゃ? 朝っぱらから海に落ちるなんて、酒にでも酔っ払っておったのか?」
「違うよ」
「じゃあ一体何があった?」
「……」

 カシュは口をぎゅっと結んで事情を語らなかった。
 このアトランティア・ウルースでは、カシュが体験したようなことを他人に話しても、誰も可哀想とは思ってくれないからだ。被害者であることの主張は、特殊詐欺の実行犯がやりとりしているカモ・リストに自ら名前を書き込むようなもので、周囲は優しい同情顔を向けたとしても内心では間抜けと嘲笑する。だから苦境に陥った時ほど、つまり水に落ちた時ほど強がって胸を張らなければならないのだ。

「分かった。ならば事情を問うのはやめる。けれどに助けられたということは忘れるではないぞ。躬が縄梯子を下ろしてやらねば、お前は未だに海に浮かんでいたのじゃ」
「うん、それは分かってる。もちろんお礼も言うよ。ありがとう」
「言葉だけでは不十分だな」
「僕は何をすればいいんだい?」

 蒼髪の娘は海水の滴るカシュの足の爪先から頭のてっぺんまでをジロジロと見つつ言った。

「まずはその格好から何とかせねばな」
「大丈夫だよ。すぐに乾くし」
「いや、今日は風が強い。いくら日差しが強くとも、濡れたままでいたら風邪を引いてしまうはずじゃ。こちらに参るがよい」

 蒼髪の娘はカシュの腕を引くと、船の前部甲板の開口部へと誘った。そしてその開口部から梯子段を下り始める。

「ここはどこの船だい? 船長の許可なく勝手に入って見つかったら叱られない?」

 カシュも娘の後に続いたが、見ず知らずの船に立ち入るのに抵抗を覚えるようで、周囲をきょろきょろと気にしながら声量を落とした。

「大丈夫じゃ。この船の者はほとんどが眠っておるからな」
「もう朝だっていうのにかい?」
「ここは妓楼船じゃからなあ」

 カシュの言葉に覆い被せるように放たれた「妓楼船」という単語が、カシュの口を塞ぐ。
 妓楼――その単語の響きは少年から青年へとなっていく成熟半ばの若者には、かなり刺激的なものだ。
 ここは、春をひさぐ女性がいる場所。今、自分の目の前にいる蒼髪の少女も、金銭を対価に、男に肌を許している。昨日も一昨日も誰かに抱かれていたのだ。

「え、あ、じゃあ、君も、その、娼姫……なのかい?」
「そう見えるかや?」

 蒼髪の娘は軽く肩を上げ、背筋から腰にかけて美しい曲線を作ると、つやっぽい瞳でカシュを見据えた。
 その仕草はなかなか堂にっていてゾクッとした。自らの中でオスの欲望がとぐろを巻いて湧き上がるのを感じたカシュは、思わず目を背けてしまった。

「あ、いや、その、あの……わ、分からないよ」
「くすくす、お前は女を知らぬようじゃな?」

 カシュは自分が弄ばれていると感じた。相手が目下だと思っていただけに、心にあった余裕もたちまちしぼんで不貞腐れた気分になった。

「ど、どうせ僕は、君のようなベテランじゃないから!」
「どうも誤解があるようじゃな。確かにここは妓楼船じゃが、躬は自分のことまで娼姫だと紹介した訳ではないぞ」
「じゃあ、君は一体何なんだよ」
「躬はここでは給仕や雑用の役目を任されておるのじゃ。給仕という仕事を知っておろう? 食事や酒を客室へと運ぶのが仕事じゃ」
「も、もちろんそれくらいは知ってるさ」
「ならば話が早い。客と共寝ともねしてあれやこれやするのは躬の役目ではないのじゃ。もちろんこの美貌故、楼主からいずれは娼姫にならぬかと誘われてはおるがな」

 まだ娼姫ではない。その言葉を聞いたカシュは、何故かどうしてか安堵の溜息を吐いた。

「へ、へえ……」

 だが同時に自分の心臓がバクバクと音を立てていることを自覚した。どうもこの話題はカシュには負担が大きいらしい。

「おっ、着いたぞ。ここじゃ」

 いつの間にか目的地に辿り着いていた。


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