表紙へ
上 下
67 / 80
5回天編

5回天編-3

しおりを挟む
 蒼髪の娘は、扉をくぐって小さな船倉に入ると、隔壁際に置かれた鞄を開け、ごそごそと中身の物色を始めた。
 小さな舷窓から入ってくる光に照らされたその場所は、古い箪笥たんすや鏡が保管されている場所のようだ。そんな倉庫をこの娘は私物の保管場所にしているらしい。
 気が付くと、目玉が勝手に蒼髪の娘の腕や足、衣類の盛り上がりや滑らかな曲線、そしてその隙間からチラチラと見える肌色を盗み見ている。やめなきゃダメだと思っているのに、何故か目玉が、意思でも持っているかのようにそれらを追ってしまう。
 次第にカシュの中に、誰もいない密閉空間に女性と二人っきりという、てつもない気まずさが湧き上がってきた。

「おおっ、あったあった」

 だが娘はそんなことに気付きもせず、荷物から布を取り出す。そして振り返るとカシュに放り投げた。

「これって環綿織タオル?」

 カシュはその柔らかな感触を試すように触ったり撫でたりした。
 環綿織の布は、異世界からの輸入品で、最近では碧海の周辺諸国でも流通している。だが需要に供給が追い付かず、高級品の扱いだ。海上生活者にとって吸水性のよい布の需要は、陸上生活者以上のため、人々は奪い合うように求めているのだ。
 ずぶ濡れの肌からどんどん水っ気が吸い取られていくことにカシュは強く感動し、頭から身体の隅々にまとわりついた海水をゴシゴシと拭いていった。

「よくこんな高級品を持ってるね」
「躬が前にいたところで手に入れた」
「ふーん」
「そう言えば、お前、名を聞いてなかったな……名は何と言う?」
「僕はカシュ・ノ・フランジェリコ。アトランティア海軍近衛艦隊所属、イザベッラ号の見習い士官さ。君は?」
「躬のことは、そうじゃな。カーレアと呼ぶがよい」
「か、カーレア!? ……い、いい、名前だね」

 すると蒼髪の娘は、カシュの顔を覗き込むようにして言った。

「ホントにそう思っているのかや?」
「いや、ごめん。ちょっと怖いなと思っちゃった」

 神が実在するこの世界では、神にちなんだ名を子供に付ける親が稀にいる。
 もちろん、そのまんまではさすがに畏れ多いので、少しばかり改変するのが常識だ。例えば美の女神ホロディにちなんだ場合はホロゥ、勇気の神バジャンにちなんだ時はバジャルなどなど。つまりカーレアとは、堕神カーリーにちなんだ名前ということになる。
 だが、カーリーは『絶望』と『嫉怨羨恨ルサンチマン』……つまり『嫉妬しっと』『恨み』といった負の情緒、人間の魂を腐らせる闇を主宰する神だ。神々との戦いに敗れ、地上に堕とされてから全てを激しく憎み、恨み、栄える者を引きずり下ろし、破滅と終焉に導こうとする。従って、その名を我が娘の名に付けるのは、日本人的感覚では、悪魔とか鬼といった文字を使うのに似ているのだ。
 すると蒼髪の娘は、不満げに頬を膨らませた。

「仕方なかろう? それが親から付けられた名なのだから」

 きっと名前のことでこれまで一杯損をしてきたのだろうなとカシュには思われた。

「でも、君は美しいし魅力的だよ。きっとカーレアという名前の持つ印象だって、君のイメージに合わせて美しいものになっていくよ」
「本当にそう思うかや?」
「ああ、もちろんさ」
「そうなってくれると嬉しい――」

 少女はそう言って軽く顔を俯かせる。そして上目遣いでじっとカシュのことを見る。その眼差しに、カシュの心臓はまたしても高鳴った。

「さて、お前に頼みたいことがある」
「な、何?」

 来るべきものがついに来たかと気合いを入れるカシュ。助けてもらった代償に、どんなことが要求されるのかと内心戦々恐々としている。だが生来の義理堅い性格と、カーレアへの好意もあって、自分に出来る限りのことはしてあげたい、いや、きっとするという気持ちにもなっていた。

「お前の乗っている船に乗せて欲しい」
「軍艦を見学したいってこと? そんなことなら、お安いご用だよ」

 最終的には艦長の許可が必要だが、トラッカーならば見てもらえと言ってくれるはずであった。
 しかし蒼髪の少女は、見学目的ではないと頭を振った。

「違う。密航させて欲しいのじゃ」
「えっ、密航だって!?」
「こう言えば、お前も納得するかや? 躬は、楼主から娼姫になれと強引に迫られて困っているのじゃ。このままでは、いずれ客を取ることになってしまう。好きでもない男にこの身の初めてを捧げねばならないのは嫌なのじゃ。だから逃げたい。躬を可哀想と思うなら救い出して欲しい。なあカシュよ、躬を助けてたもれ。そうしたらお前に、躬の初めてを捧げてやってもよいぞ」



 アトランティア王城船


 アトランティア海軍近衛艦隊所属イザベッラ号の凸凹コンビこと士官見習いのバヤンとレグルスは王城船の舷門前にようやく辿り着いた。

「海に落ちたカシュの顔を見たか? 今にも泣き出しそうで面白かったよな」
「はっ、奴には相応しい罰だよ。俺達を差し置いて伝令使に任命されるなんて生意気なんだ」

 レグルスは若干の後ろめたさを威勢のいい言葉で覆い隠すと、門番に伝令使としてやって来たことを告げた。
 すると中から侍従が現れ、その案内で二人は王城船へと立ち入った。

「こうしてみると、王城船のでかさを実感するなあ」

 バヤンは呟く。
 二人にとって、これまで王城船とは遠望するものであった。中に入るのはこれが初めてなのだ。
 こんな機会は、ウルースの名士である彼らの父母ですらなかなかない。後々の自慢の種になるに違いなかった。

「二人とも、そこで何をしているのです?」

 アリバと名乗った侍従は、足を止めてお上りさんよろしく周囲をきょろきょろ見回している二人に対し、もたもたするなと叱責した。

「あっ、すみません」

 王城船の内部は、細い通路を何度も曲がらねばならず、しかもかなり複雑だ。もし案内なしで進めば迷っていたに違いない。
 バヤンは侍従に追いつくと問いかけた。

「アリバ殿、王城船って、随分と入り組んだ造りをしてるんですね?」
「少し前に賊徒の侵入を許し、恐れ多くも女王ハーラム陛下の宸襟しんきんをお騒がせしたことがあった。以来、警戒を厳重にし、船内も若干の改造を施して、外部からの侵入を簡単には許さぬようにしたのです。だからお前達も勝手に歩き回らないように。私とはぐれたらあっという間に迷子になってしまいますよ。不審人物として誰何され、怪しいと思われれば捕縛されて手酷い拷問を受ける。お前達もそうはなりたくないでしょう?」
「え、ええ」
「それと、二人には前もって話しておかねばならないことがあります」
「何でしょう?」
女王ハーラム陛下はご多忙なので、多くを期待してはなりません。陛下がお前達のために割ける時間はごく僅かです。しかもそれがいつになるかは分からない。私も出来るだけ早く要件を済ますよう心掛けますが、お前達が報告できる順番は相当後になるでしょう。長々と待機しても陛下のご興味が他に優先されれば、どんどん後回しにされます。ですが、それを根気強く待つのがお前達の務めです。私の言っている意味が分かりますか?」
「あ、はい」
「では、参りますぞ」

 やがて二人は、玉座の間へと到着した。

「近衛艦隊所属イザベッラ号より、見習い士官レグルス・レン・スピカ、バヤン・ハ・ワルノリーの両名が、伝令使として参内さんだいいたしました!」

 布告官が彼らの名を朗々と告げ、その声は玉座の間全体に響くかと思われた。しかしほぼ同時に、玉座の間に拍手やら歓声がとどろいて、声が覆い隠されてしまった。
 おかげで誰も二人が来たことに気付かない。花形役者のごとく注目を浴びつつ朗々と戦勝報告する場面を夢想していた二人は、がっかりぺしゃんこ意気消沈、という心境になってしまった。

「せっかくの戦勝報告なのに……」

 バヤンはつい愚痴を零す。すると、アリバが振り返って二人をにらみ付けた。

「教えて欲しい。武装した敵が護っている訳でもない小さな島を占拠し、旗を立ててきた程度のことで、どうしてそう誇らしげに出来るのです?」
「それは……そう……ですけど」

 レグルスとバヤンは言い返すことも出来なかった。

「功績を誇りたいなら、せめて十倍の敵と戦って勝利するとか、敵の主将を生け捕りにしてからになさい。さすれば、お歴々も威儀を正してお前達の自慢話に耳を傾けてくれるでしょう」
「はあ」

 そんなことは見習い士官という立場では到底不可能だから、二人はますます肩を落とす。最初の晴れやかな気持ちはすっかり失せて、厭わしい仕事を片付ける時の切ない気持ちになってしまった。

「くそっ、こんなことならばカシュの奴にこの役目を押しつけておけばよかった」

 レグルスが愚痴り、バヤンが返す。

「何言ってるんだ。お前が伝令使役を横取りしようって言ったんだろ? 何もかも全部お前のせいじゃないか!?」
「分かってるって。だから今から戻って、奴に押しつけらんないかなって言ってるの」
「今更無理に決まってるだろ? 馬鹿野郎めっ!」
「二人とも、ここをどこだと思っているのです? 言い争うならば帰ってからにしなさい」

 アリバに叱責されて、二人はますます重苦しい気持ちになってしまったのである。


 玉座の間では、アトランティア・ウルースの女王ハーラムレディが、臣下達を前に演説している。

「――我がウルースは、島を占領し陸を手にしました。潮に流され碧海を漂うだけだったこのウルースは、大地と結ばれたことで誰もが認める国家となったのです」
「しかし陛下、海上をどこにでも行けるという強みを失うことになりませんか?」

 大臣の一人が尋ねると、次々と質問の声が上がった。

「そうです。ウルースの居所が分からないということが、これまで攻撃を受けずに済んできた理由でもありました。それを捨てた今、どうやってウルースを守るのですか?」
「その心配は当然でしょうね。では、わたくしが皆のもうひらいて差し上げましょう。わたくしは、近衛艦隊にこう命じました。カナデーラ諸島に隠れていなさいと」
「せ、せっかくの近衛艦隊をですか?」
「ええ、そうです。健在かつ有力な近衛艦隊がどこにいるか分からない。この事実は、敵を恐れさせ、疑心暗鬼を生じさせます。おかげでウルースの居所が分かっていても、敵は攻めてくることが出来ないのです。これを『艦隊保全主義』と言うそうです」
女王ハーラム陛下、恐れながら、私には理解出来ません。敵が近衛艦隊を捜すのを諦めて直接このウルースを突いてきたらどうするのですか?」
「それこそ勝機です。見てらっしゃい!」

 女王ハーラムレディは、玉座の間の床一面に広げられた大きな海図へと向かった。
 海図にはアトランティア海軍の船を示す兵棋が、カナデーラ諸島を示す位置に密集するように並べられていた。
 アトランティア・ウルースを守る青い船の数は少ない。アヴィオン海七カ国の艦隊を示す赤い帆船型兵棋の数は圧倒的で、アトランティアを取り囲むように配置されている。

「もし、我が艦隊を無視して敵が真っ直ぐここに来るようなら、その艦隊の背後から近衛艦隊が、このように襲いかかります」

 レディはカナデーラの位置から戦況図の赤い帆船型兵棋の群れ目掛けて、拳よりやや大きめの鉄製砲丸を転がした。
 砲丸はゴロゴロと音を立てて海図の上を転がる。だが、それは真っ直ぐ転がらず、目標に届く前に横へと逸れて青い艦隊をぎ払ってしまった。
 観衆が揃って残念そうな声を上げる。レディも不服そうだ。

「曲がりました! 曲がってしまいました! 砲丸が不良品なんです。こんないびつな形をした砲丸を使っているから、敵に当たらないのです!」

 癇癪かんしゃくを起こした女王ハーラムが、言い訳をするかのように周囲に当たり散らす。取り囲む女官や官僚達は皆、そのとばっちりが自分に来ないよう目を伏せ、顔を逸らすしかない。
 そんな人垣の最後部に到着したバヤンは、アリバに囁いた。

「あの方が、女王ハーラム陛下?」
「そうです。あの方がレディ陛下でいらっしゃいます」
「では、早速ご報告を……」

 空気を読まないレグルスが前に進み出ようとする。しかし、アリバにバシッと足を叩かれ引き戻された。

「まだです。陛下があんな不機嫌そうにしている時に前に出たら、叱責されてしまいますよ」

 すると、その時である。宰相の衣裳を纏った男が女王ハーラムの前に進み出た。

「どうしたんだ、陛下? 随分不機嫌そうだけど、何かあったのかい?」
「イシハ! ちょうどよいところに来てくれました。聞いてください。砲丸が真っ直ぐ転がってくれないのです! こんな歪な不良品を使っているからです!」
「ほんとに?」
「そうです。でなかったら、真っ直ぐ転がったはずです! こんな不良品を作るような者は死刑にすべきです!」

 男は床の砲丸を拾い上げる。その男の顔に貼り付けてあったのは、宰相という重責に相応しい威厳ではなく、道化のような軽薄さであった。

「あれは誰です?」

 レグルスがアリバに耳打ちする。

「イシハ・ラ・カンゴー閣下です……」

 バヤンとレグルスは「ああ、あの方が」と頷いた。
 二人をイザベッラ号の見習い士官にしてくれたのはあの男なのだ。つまり、二人から見ると寄親となる。礼を尽くして感謝しなければならない立場である。

「確かに酷い仕事をする職人なら死刑にすべきだが――ふむ、これはきっと投げ方が悪いに違いない」
「何てことを言うのです! わたくしはちゃんと投げました」
「いやいやいやいや、ボーリングのボールを真っ直ぐ投げるには、ちょっとしたコツがあるんだ。こっち来て持ってみな」

 宰相はレディに砲丸を抱えさせると背後から手を取った。
 必然的に身体を密着させる形になる。しかしレディは嫌がらない。イシハ宰相にされるがままに――否、その身の全てを託してしまっている。
 イシハに導かれたレディは、美しいフォームで砲丸を転がした。
 特にイシハがこだわったのは、投げ終えた時に足がクロスする姿勢になることだ。そのためレディのももや腰に手をかけ、しっかりと支えていた。
 するとレディの投じた砲丸は勢いよくゴロゴロと転がった。そしてアトランティアに襲いかかろうとした赤い帆船型兵棋の群れを一気に薙ぎ払ったのである。

「お見事、ストライクだ!」

 イシハ宰相が喝采かっさいを送る。

「どうです、やりましたよ! 敵艦隊を全滅させました! これがわたくしの作戦です。どうです、凄いでしょう?」

 レディも満面の笑みを浮かべた。

「おおっ、お見事」
「素晴らしい!」

 大臣や女官達は、レディに対してお追従ついしょうを含みながら、盛大な拍手を送ったのだった。


「アリバ殿、ちょっと尋ねたいんですが」

 女王ハーラムレディと宰相イシハのやりとりを見ていたレグルスは侍従に囁いた。

「何です?」
「宰相殿が、やたらと女王ハーラム陛下に気安いように思うんですけど……」
「ああ、それですか……それはですね……」

 侍従アリバは、言葉を一旦区切る。そしてレグルスの耳に口を寄せた。

「嘆かわしいことですが、女王ハーラム陛下と宰相は、特別な関係にあるのです」
「特別?」
「そう、極めて特別で特別な男女の仲ということです」

 意味は察しろとばかりに侍従は「特別」を繰り返した。

「分かりましたね? もちろん、そんなことは誰も表立って口にはしません。いろいろ思うところもあるだろうが黙っている。それが大人の対応というものだからです。お前達も無事でいたければ、言動に心を配るのですよ」
「は、はい」

 レグルスは気を引き締めて頷く。しかしバヤンは違った。

「やるもんだなあ、宰相閣下は。どうやって女王ハーラム陛下を口説いたんだろう? 女王ハーラム陛下は未亡人だからなあ、寒閨かんけいを温めて差し上げましょうと迫ったのかな?」
「こ、この馬鹿バヤン!」
「だからそういうことを口にするなと申してるのです! それで出世した宰相を、皆が快く思っていないのはもちろん、女王ハーラム陛下に対する不満を抱いている者も少なくないのです。みんなピリピリしているのです!」

 バヤンの軽率な発言に、レグルスとアリバは二人揃って、高々と上げた掌を振り下ろしたのだった。


 女王ハーラムは、イシハを振り返ると笑みを浮かべて言った。

「ありがとう、イシハ! お前はいつだってわたくしを喜ばせてくれますね。で、次はどんなことでわたくしを喜ばせてくれるのですか? よい報せがもたらされると分かっていると胸が躍る気分になります」
「ちょっと待った。どうして俺の報告がよいものだって分かるんだい? 不吉だったり、悲しくなるような報せかもしれないってのに」
「そんな顔をして凶報を持ってくる者がいるもんですか! お前、気付いてないかもしれないけれど、悪戯に成功した子供みたいな顔付きになってますよ」
「え、そうなの!?」

 イシハは言いながら、自分の顔をペタペタと触って擦って形を変えようとする。
 その滑稽な仕草に、女官や官僚達は揃って笑った。
 内大臣オルトールが言う。

女王ハーラム陛下のお言葉通りです。今、宰相閣下を相手にしたら、札物の賭け勝負が苦手な私ですら、百戦して百勝できますぞ」
「参ったなあ。じゃあ今後はカードの賭け事は避けるようにするよ」
「それでイシハ、どんなよいことがあったのですか? 早く教えてください」

 レディは少し前のめりとなった。

「もうちょっとらしてからと思ったんだけど、見破られちまったのなら仕方ない。実は、カウカーソス・ギルドの生き残りから、新兵器が形になったって報告が入ったんだ」
「まあ、素晴らしい! 早速見に行きましょう」

 レディは跳ねるように立ち上がった。そして宰相のイシハが差し出した手を掴むと、玉座の間から出ていったのである。
 もちろんお付きの侍従も、大臣達もぞろぞろとその後に続く。
 バヤンがアリバに尋ねた。

「あの、その……俺達も付いていくんですか?」
「当然でしょう。ここで待っていても女王ハーラムが戻るとは限らないのですよ。行った先で報告ということもあり得るのです」
「ですよねー」

 侍従の『順番は一番後』『どんどん後回しにされる』『それでも待つのが務め』という言葉の意味を強く噛み締めたバヤンとレグルスは、行列の最後尾に続いたのだった。


 女王ハーラムとそのお付きの行列は、玉座の間を出ると王城船の中央階段を下る。
 そして、王城船側面にある大舷門から出て隣に位置する庭園船へと向かった。
 バヤンとレグルスは、最初そこが目的地だと思った。しかし女王ハーラムとその一行はそこでは止まらず、更に進んでその隣に置き場所を変更された船渠ドック船へと向かった。
 囲い込んでいたパウビーノ達を船ごと強奪されて以来、女王ハーラムは重要な施設を王城船の周囲に集めた。ウルースを島に接続して施設の一部を地上に移す作業に合わせ、警備の人員を集中的に配置できるようにしたのだ。
 船渠船は船を建造、あるいは修復するために造られたものだ。それだけにアトランティア最大の巨体を誇っている。ただしその広大な内部空間は内蔵する船のために使われるので、人間の往来する通路は細い。そのため、女王ハーラム陛下に追従するお付き達の列は細く長く伸び、最後尾のレグルスとバヤンが船渠船の小部屋に着いた時には、既にカウカーソス・ギルド代表者の挨拶、レディの支援に対する感謝の言葉が終わり、彼らが作ったという品々の説明が始まっていた。
 レディは、長さや太さもまちまちな鉄の棒の前で立ち止まっていた。
 カウカーソス・ギルドの代表者が、その用途や使用法を説明している。

「……という訳で、発射機構も火縄から燧石ひうちいし式へと変えてみました。これによって火縄が濡れて、発射できなくなるということも避けられるのです」
「これが、その『ますけっと』なのね? そもそも、ますけっとって何に使うもの?」

 だが専門家にありがちな難解な用語が乱用されたため、レグルスとバヤンの二人には何がなんだかさっぱり理解できなかった。
 女王ハーラムもまた、同じような困り顔をしているから、きっと分かっていないに違いない。
 すると、宰相のイシハが女王ハーラムと技術者の間に立った。

「要するに、大砲を個人で扱えるくらいに小さくしたのさ。威力もそれなりに低くなったけど、人間やちょっとした怪異相手ならば十分に戦える」
「それならそうと言ってくださればいいのに」

 すると、技師代表が申し訳なげに頭を下げた。

「我々技術者は表現の正確さを求めるため、どうにも言葉数が増えてしまうのです。お聞き苦しいとは思いますが、どうぞご寛恕かんじょください」

 するとイシハが部屋の隅にいた少年二人を呼び寄せた。パウビーノ銃兵である。

女王ハーラム陛下に試射をご覧に入れよ」
「はっ!」

 少年達はそれぞれマスケットを手にすると、船渠船の舷側にあるテラスから海へと身体を向けた。
 船渠船の周囲は、隣の船まで広く距離が空けられている。もともとこのテラスは資材等を積み込んだ小型の船が横付けできるようにするために設けられているのだが、今日は荷船の姿もなく、広々とした海水面が眼前に広がっていた。
 海には、樽が二つぷかぷかと浮かんでいる。
 少年二人は床に立てたマスケットの銃口から、まず爆轟ばくごう魔法を注ぎ入れた。
 それが終わると、親指の先程度の大きさの鉛玉を落とし入れる。それを槊杖カルカを用いて一番奥まで押し込むのだ。
 その作業を終えた二人は、銃を海面の樽へと向けた。
 すると宰相のイシハが両手で自分の耳を押さえる。
 女王ハーラムもイシハを真似る。周りの大臣や官僚、お付きの者達もまた、耳を塞いでいった。

「打吧!(打て!)」

 技術者が号令すると、少年達の構える銃から轟音ごうおんとともに白い噴煙ふんえんが上がった。
 海面の樽が音を立てて割れ、粉々になった木片が飛び散る。それが生き物だったら間違いなく仕留められたに違いないことは、この場にいた誰にでも理解できた。
 実際、レディもそれを見て非常に満足したのか、満面の笑みで拍手したのである。


「思った以上に銃とは重いものなのですね?」

 レディはテーブル上に残っていたマスケットの短いもの――短筒に手を伸ばすと目を丸くした。
 片手で持てるほどに小さく作られていても、爆轟現象の圧力に耐えるため銃身は肉厚に作られており、それなりの重さがあるのだ。

「是非、このマスケットをたくさん作ってくださいな。そして近衛の兵達に、ゆくゆくは全ての兵士に持たせるのです」

 すると、侍従の一人が言った。

「しかしそうなりますと、全ての兵士をパウビーノから求めなくてはなりませんな」
「では、パウビーノを集める作業を急がせなさい。詳細は貴方に任せます。よいですね」
「は、はあ」

 そんな会話を遠望していたレグルスが呟く。

「実は俺、ちょっとだけ魔導が使えるんだ」

 驚いたバヤンが相棒を振り返る。

「おい、本当か? 初耳だぞ」
「別に魔導師を目指せるほどの力はないからな。それに最近は、そんなこと口にしたら無理矢理パウビーノにされちまうだろ? だから黙ってたんだ。けど、今なら近衛兵として女王ハーラム陛下のお側近くにお仕えできるかもしれない」

 するとバヤンは頬を軽く引きらせながら言った。

「志願するのはいいが、どうせなら正式に士官に任命されてからにしろよな。でないとパウビーノか、下っ端のマスケット銃兵にされちまうぞ。あいつらみたいに……」

 その忠告を聞くと、レグルスは遙か前方を見た。
 パウビーノの少年達が、短筒の構え方を女王ハーラムに教えている。
 女王ハーラムは、片手で持てる程度の短筒を両手で何とか持ち上げて的に向けていた。
 だが撃発の轟音が怖いのか、片目を閉じてびくびくと顔を背けている。そんな姿勢では、銃口も余所を向いてしまうため、少年達はその都度手を添えて修正しなくてはならない。仕方なく、イシハ宰相が女王ハーラムの腕に背後から手を這わせて、銃口を標的へと向けさせた。
 やがて轟音がして、弾丸が標的となった樽を砕く。海面にその破片が散らばった。

「素晴らしい!」
「さすが女王ハーラム陛下」

 従者達が拍手をしながら褒めそやしている。
 レグルスは思う。あのように女王ハーラムはべって銃の扱いを指導できる立場なら、パウビーノも悪くない。
 だが、どうせなら最新の武器を装備した部隊の指揮官になりたいとも思う。敵船を十隻ほど拿捕だほして、颯爽と戦勝の報告をするのだ。
 レグルスはマスケットを装備する海兵の部隊を指揮し、次々と敵を倒していく自分の姿を脳裏に思い浮かべ、悦に入った。
 バヤンはそんなコンビ仲間のことを苛立たしげに見ていたのであった。


    *    *


「さあ、陛下。次を見ようぜ」

 アトランティア・ウルースの宰相である石原莞吾は、マスケットが気に入ったのかなかなか離れようとしないレディを次のテーブルに行こうと誘った。
 レディが強い興味を示しているマスケットは、本日お披露目する発明品の一つでしかない。隣のテーブルでは、距離の測定に使う蟹の目玉みたいな形をした器具が待っているのだ。
 その隣はゼンマイ式の時計。更に隣には、ガラス管を用いた気圧計や、船が自分の位置を知るために天体の高度を計測する六分儀という装置が並んでいる。
 多くは航海の道具で、海上生活者達にとっては非常に有用となるだろう。
 だがレディは、マスケットほどの興味が湧かないようで、技師代表の説明にも「そう、そうなの」と頷く程度であった。
 これらに興味を持って足を止めたのは軍の高官達だ。
 船長として船を指揮したことのある彼らのほうが、そうした道具の有用性を理解しやすい。カウカーソス・ギルドの代表者は、そんな軍高官の質問攻めに忙殺された。
 その様子を微笑ましそうに見ていたレディは、後ろのほうで隠れるようにして立っている技術者に問いかけた。

「大変に素晴らしい発明ね? でも貴方達、どうしてこんないい仕事が出来るようになったのですか? これまでの貴方達ときたら、何の役に立つか分からない、ろくでもないものばかり作って、わたくしを困らせていたのに」

 すると、技術者達が困ったように笑った。返す言葉が思い付かないといった表情だ。
 石原が彼らに代わって告げた。

「ろくでもないものばかり作っていたような連中は、パウビーノ達が強奪された時に一緒に連れて行かれちまったんだとさ。おかげでようやくこいつらは作りたいものを作れるようになったんだ」
「人数はこれっぽっちになっちまったけどな」
「つまり、残った貴方達こそが、真の精鋭だったのですね?」

 石原が通訳すると、技術者の一人が胸を張って言った。

「真是不胜荣幸!」
「?」

 もちろんレディは何を言われたか分からない。

「奴らの仲間内だけで通じる言葉で、『女王ハーラム陛下にそのように仰っていただけたことは身に余る光栄です』と言ってるんだ」

 石原が大仰に説明する。
 技術者達も互いに顔を見合わせて笑った。

「何か変ね、彼らってわたくしの言葉が通じてる?」

 レディは彼らから離れると石原に囁く。

「もちろん、通じてるさ。ただ奴らは他人と喋るのが苦手な性格でね、人付き合いもそれほど上手くないんだ」
「まあ、確かにそういう人間って実際にいるわね」

 かつてのカウカーソス・ギルドの代表者の例もあってか、レディは石原のそんな説明でも簡単に納得してしまったのである。


 レディは石原に発明品の並ぶ部屋を出るよう促されると首を傾げた。

「今度は何を見せてくれるのですか? 船ですか?」

 石原が向かおうとしているのは、船渠船の中央部、つまり最も広い空間だ。そこで造っているものがあるなら、それは船に決まっているというのは通常の洞察力を持つ者なら当然の結論だ。

「船っていえば、確かに船なんだが……」

 石原はどう説明しようかと後ろ頭を掻きつつ背後の技術者達をかえりみる。
 すると技術者は、思わせぶりにニヤリと笑った。

「千の言葉を費やすよりも、陛下には実際にご覧いただいたほうがよろしいでしょう」

 レディもそれを見て、また何か自分を喜ばすようなものが待っているに違いないと悟った。

「楽しみにしていいのね?」
「もちろんだ」

 言いながら石原とレディは大扉一枚を潜る。
 すると船渠船の広大な空間の天井から、巨大な物体がぶら下がっているのが見えた。

「こ、これは――何?」

 レディはその物体を見上げながら問うた。

「船さ」
「でも、こんな形の船は初めてです……」

 それは、レディの知る船の姿ではなかった。
 レディはその物体を例えるに相応しい対象物を知らない。それでもあえて言うなら、「巨大で長細い樽」あるいは「神殿の柱が巨大になって横倒しになっている」とでも表現するべきだろうか。巨船用ドックがいっぱいになるサイズだから、全長にして二百二十メートル、太さは最大で二十メートルに達している。そんな巨大な代物が天井からぶら下がっている。レディ達はそれを下から仰ぎ見ているのだ。
 技術者代表が前に出ると、得意げな表情で語った。

「これはこの特地世界産の素晴らしい素材、そしてアトランティアの大型木造船建造技術と、我らのアイデアを融合、結集して作り上げたものでございます。その名を『飛行船』と申します」
「飛行……船?」
「はい。その名の通り、空に浮かぶ船です」

 技術者は、飛行船には硬式と軟式の二種類があるなどの蘊蓄うんちくを語り始めた。
 やたらと耳に付くのが、大きさがどれだけあるとか、総乗員数が二百名とかいった数字の羅列だ。
 レディもこの飛行船とやらの実態を何とか理解したくてしばらくは耳を傾けていた。だが、次第に辟易とした表情となって石原に囁いた。

「こんな大きなものがどうやって浮かぶというの?」
「今、技術者が説明したろ?」
「全然分からないのよ」
「はぁ……分かった。こいつはさ、見た目はでかくても、実際は中身がスカスカなんだ」

 すると技術者が頷いた。

「その通りです。軽量ながら、強度と靱性じんせいを兼ね備えた鎧鯨よろいくじらの甲皮が大量に手に入りまして、それを用いて骨組みにしました。そして中身なのですが……陛下ハーラムはパウルの実というものをご存じで? あの植物の一族に、空に浮いて飛んでいってしまうものがあるのです」
「もちろん、知っているわ。博物学の講義で家庭教師から学びました。確か空に飛んでいって、それであちこちに種を蒔くのだと言っていたわ」
「ご存じなら話が早い。この巨大な飛行船の中身は、ほとんどがそのパウルの実なのです」
「ホントに?」
「はい。実際、この船は浮いております。ドックの天井を開け、舫い綱を外してしまえば、この飛行船は空に舞い上がっていくでしょう」
「じゃあ、すぐにでも飛ばしてみせてちょうだい!」

 言いながらレディは、舷梯を上がって、飛行船の巨大な気嚢きのうにぶら下がる船体を覗き込んだ。
 彼女の目に入った光景は、この世界には存在しない船の艦橋かんきょう内部だ。そこには様々なパイプや装置が設置されている。
 すると石原がレディの袖を引いた。

「いや、実を言うと、これに乗せる乗組員はこれから選ばなきゃならんのだ」
「宰相閣下の仰る通りです。この飛行船の後方に付いているプロペラは、人力で回さなくては前進できないのですが、漕役そうえき奴隷もまだ乗せておりません」
「それに、艤装ぎそう作業も終わってないしな」

 通常、進水の終わった軍船は、艦長に就任する予定者が艤装委員長となって乗員予定者とともに艤装作業を進める。階段の位置から竈の場所まで、使う者が自分に使いやすいよう設置していくのである。
 だが、この世界では飛行船を扱ったことのある者がいない。そうなると、技術者達が自ら艤装を手掛けなければならないのだ。

「残念。それじゃあ、実際に就航できるのはもう少し先なのね」
「可能な限り作業を急がせていただきます。ですが、同じ船が更に二隻ありますので、急ぐと言っても自ずと限界が……」
「任せろ。乗組員のほうは俺が何とかするから」
「何とかなるの?」
「実は、艦長に指名しようかと考えている奴がいてな」
「ならば任せます。三隻とも飛べるようになったら報告をちょうだい。三隻で艦隊を組んでの初飛行、楽しみにしていますよ」

 レディはそう言いながら、飛行船の内部を歩いた。
 そして気嚢の中を見てみたいと求め、実際にそこにゴム風船のようなパウルの実がびっしりと詰め込まれているのを確認すると、ようやくこれが空を飛ぶのだと納得したのである。



 02


 東京/東銀座/毎朝新聞本社ビル


『日曜日版 編集局コラム――毎朝新聞本社編集局は決して眠らない――
 一年三百六十五日、一日二十四時間――本社編集局には常に誰かがいる。記事を書いたり、校正作業をしたり、ネットでネタ漁りをしていたりする。毎週日曜のウェブ版に掲載する連載コラムの記事をあらかじめ書いておくなんてことも必要だ。常に臨戦態勢。それが新聞社の日常なのだ。
 とはいえこれだけ準備していても、新聞は速報性という点でテレビ報道に負ける。新聞紙は朝刊と夕刊という形でしか家庭に届けることが出来ないからだ。
 だがそれでも新聞には新聞の良さがある。記者の問題意識や鋭い視点が掘り起こす事件の全貌詳解や社会への問題提起が、読者の知的好奇心を満たす。だからこそ文字媒体の報道は成り立っているのである。
 しかし最近では、それらの点でもネットに負けつつある。ネットは、テレビ報道の持つ速報性や映像の迫力と説得力、そして文字媒体の長所を全て備えているのだ。
 このままではきっと新聞や雑誌社は生き残れない。いや、【生き残れない】という単語は、文学的隠喩に過ぎて危機的な現実を描写しきれていない。だから、よりあからさまな表現である【倒産する】という単語を選ぶべきかもしれない。
 そう、新聞社が倒産してしまうかもしれないのだ。
 そうなったら何が起こるだろうか? 古くなった新聞紙がご家庭に溜まらなくなって、リサイクル回収に出す手間も省けてよいだなんて決して思わないでいただきたい。「実は誰も困らない」なんて言わないで欲しいのです。
 少なくとも我々が困ります。我々記者はことごとく失業してしまいます。再就職先を見つけるまで失業手当で食べていくしかなくなるのです。
 付き合いのある検察官を点ピン麻雀でボコボコに打ちのめし、いざという時に賭博罪で告発してやるための罠に嵌めたり、演説を控えた政治家にお酒をどんどん勧め、失言失態を誘って失脚に導いたり、夜の六本木に遊びに行くことも出来なくなってしまいます。
 ジャーナリストというステータスに群がってくるお姉ちゃん達からちやほやされるのがとっても楽しかったのに、それがなくなってしまったらホント何の楽しみもなくなってしまうのです。
 だから最近では、読者の嗜好に沿ったことを書くようにしています。読者の鬱積うっせきした感情や嫉妬心を刺激することに成功すると新聞が売れるからです。
 もし、痛ましい犯罪が起きたら読者の関心と感情を煽るため、被害者の名前や写真を手に入れて全力で公開します。SNSの誹謗中傷で自殺した芸能人がいたら、プライバシーである遺書をすっぱ抜いて記事にします。社会問題を提起するためと称していれば、大抵の行為は許されます。理屈と膏薬こうやくはどこにでも張り付きます。洋の東西、時代背景を問わず猟奇的な犯罪というのはいくらでも起きるものですが、時代が悪い社会が悪い、政府は何もやっていないとコメントしていれば社会問題を提起したことになるのです。
 けど、そんなことをしていたら――。ネットなどのニューメディアや、ネットを主たる情報源とする新聞を読まない層の人達から名指しで批判されるようになってしまいました。
 彼らは言います。
「現代のジャーナリズムは偏向の塊」「中立・中正の精神を欠く」「便所の落書き以下」と。聞くに堪えない言葉ですが、これとてまだマシなほうです。最近では「マスゴミ」という心ない中傷を受けます。まるでジャーナリストが反社会勢力と同等の賤業だと言わんばかりです。
 だが、ちょっと待って欲しい。議論はまだ尽くされていません。本当の本気で、お願いですからみなさんにはもっと真剣に考えて欲しいのです。
 そもそもニューメディアと称するネット記事や、まとめサイトの元ネタはどこから来ているのですか?
 彼らの記事の多くは新聞ウェブ版の引用や批評で成り立っています。
 彼らは、我々の書いた記事を土台にギャーギャー騒ぎ立てているだけ。我々新聞記者の労力にただ乗りしているだけなのです。一言で取材と言いますが、記事を書くネタを手に入れるまでにどれほどの努力が必要か、みんな分かっているのでしょうか?
 全ての情報が記者会見で周知される訳ではないのです。我々の記事は、我々が絶え間ない努力の末に掘り起こしたものなのです。
 政府関係者はもとより現場の警察官や検察官、役所の人間等々――そうした存在と立ち話をする仲になって、話を聞いて、教えてよとせがんで、時には向こうの頼み事を聞いてやって、縁故を作って、やっと掴み取るものなのです。
 そのために一体どれだけの資金と労力と時間が費やされているかご存じでしょうか?
 晩飯や酒を奢ったり、ゴルフをしたり、時には接待麻雀で勝たせたり――つまり我々新聞記者の努力がなければ、ニューメディアとやらも存在し得ないんだよ! そのことを、みなさん本当にご理解いただけているのかよ、こんちくしょうめ!! ――――――』


しおりを挟む
表紙へ
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

九龍城砦奇譚

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

私の通り名が暴君シッターでした。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:5,434pt お気に入り:301

ニケの宿

BL / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:38

追放令嬢は六月の花嫁として隣国公爵に溺愛される

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7,646pt お気に入り:378

王立学園食堂部にて〜没落令嬢は観察中〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:89

スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:6,091pt お気に入り:5,997

貴方のために涙は流しません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:40,577pt お気に入り:2,875

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。