勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

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第6章エルフの森

3.引っ越し終わって

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帝都から建築の手伝いが来るまで、先に防衛の為の堀を作る事に、しかしこれがまあ大変だった。

「工藤君!そこ掘りすぎよ!そのままだと崩れるわ、補強して!」

何が大変って、委員長が張り切って大変。

「委員長!後で魔法で固めるんだからいいんじゃない?」

「ダメよ!人の手で作るのが意義があるんだから!」

「その意義を詳しく……ん?」

委員長と話ながら掘っていたらスコップが何かに当たった。

「どうかした?」

「何かに当たったみたいだ」

「平気なの?」

委員長が心配して見に来る。

「あー、問題ない、ただの人骨だ」

掘り進んで出てきたのは白骨体であった。

「工藤君、それ問題あるんじゃない?」

「いや、無いだろこの世界普通に盗賊とか居るし、わりとポピュラーな掘り出し物じゃない?」

「いや、そんな有名要らないよ」

「とりあえず適当に埋め直しとく」

「うん、場所は移してね?」

白骨を堀とは関係無いところに移して埋め直し、作業に戻る。

「それにしても、委員長こんな深く掘る必要有るのか?しかも多人数で」

「あまり浅いと飛び越えられる魔物も居るみたい、狼とかね」

「あー、確かに落ちても簡単に出られたら……ん?」

またしても何かに当たった、今度はかなり硬い感触があった。

「………まさかとは思うけど、また?」

委員長が訝しげに寄ってくる、いや、そんな目をされても。

「あ、大丈夫だ今度は白骨じゃない」

「じゃあなに?」

「宝箱だ」

土が被り古ぼけているように見えるが宝箱があった。

「おーお宝発見じゃん!」

「急に寄ってきたな、鈴」

鈴たげじゃなく澪や司、敦もこちらに来る、白骨じゃないと解ると急に皆寄って来る。

「だって、もう骨は嫌なんだもん」

「あれは綺麗に白骨化してたぞ?」

「あれはって工藤君どうゆう事?」

「ああ、委員長は知らないよな、つい最近白骨化したデュラハンに会ってな」

魔王城で会ったデュラハンの話をする。しかしもう既に委員長は首を傾げていた。

「もう、白骨化したデュラハンでワードがパンク状態なんだけど」

「確かに、でもそれ以上にショッキングが有るんだよ」

「まだあるの?」

「ある、で、そのデュラハンにお茶を入れてもらった時に、鎧の中身が見えてな」

「デュラハンにお茶?」

「中身は確かに骨だったよ、一部だけ」

「それって……」

「言わないでも分かるだろうがあえて言おう、デュラハンだからか、鎧で密閉されてるからか、中は白骨化に時間が掛かっていて、一部肉が残った状態だった、腐ってだけど」

「うわぁ」

委員長がドン引きしていた、ちなみに鈴と澪は聞きたくないのか耳を塞いでしゃがみ込んでいた。

「そう言えば、あのデュラハン臭くはなかったね」

「あー、確かに」

「司も掘り下げないでいいよ!それより宝箱!」

「あぁ、ごめん鈴、そうだね明開きそうかい?」

鈴が無理矢理話題を変える、まあ、話した所でデュラハンだからにしか行き着かないがな。

「ふむ、どうやら鍵は付いてないな、開けようと思えば開けられる」

「じゃあ、さっそく開けようよ!」

「が、開けたら中に骸骨が入ってたり……」

「よし、開けるのは明に任せた」

そう言って鈴と澪は後ろを向いて再び耳を塞いでしゃがみ込んだ。

「開けたらこの二人だけ置いていくか?」

「やめてあげなよ」

「にしても、どうするかな?」

「どうって?開けるんじゃないの?」

委員長が不思議そうに聞いてくる、ここが元の世界なら迷わず開けるが。

「ここは異世界、魔法が懸けられていて、開けた瞬間爆発なんて事もあるんじゃない?」

「ええ!?絶対開けたらダメよ!」

〈いえ、その様な仕掛けはされていません〉

「ナビさん?解るのか?」

〈はい、これと言って不振な魔力の流れはありません〉

「ナビさんが言うなら大丈夫だろう、開けてみよう」

「工藤君、気になってたんだけどこの人誰?エレナ様やメイドさん達はお城で何度か見たけど、この人と獣人のメイドさんは見たこと無いんだけど?」

そう言えば委員長に説明はしていないな。

「ぶっちゃけめんどいから、あとで誰かに聞いて?」

「本当にぶっちゃけたわね、分かったわ、もういいから箱を開けてちょうだい」

「あいあいさー」

船乗り的な挨拶をして宝箱を開ける、気分は海賊だな。

「さて、何が入っているかなっと、おぉ!」

「なになに?何が入ってたの!?」

箱の中には金貨や宝石類、豪華な装飾のされた短剣等、宝の山が入っていた。

「おぉ!すごい宝の山だ!」

「……いや、この金貨使えない」

「どうして?」

「ベアトリス、ガレオン、ルクレア、どこの国でも見たことない、恐らくかなり前の金貨だ」

「え~、そうなのぉ?」

露骨に残念そうな声を出す鈴。

「とりあえず、使えようが使えまいがどうするかエレナ姫達に相談しよう、ナビさんエレナ姫とクロエ、あと村長も呼んできてくれ」

「連れてきました明様」

「早いよ」

ナビさんに頼み終わる前に、クロエがエレナ姫と村長を連れてきた。

〈わたしの、仕事が、ない、だと?〉

膝から崩れ落ちるナビさん、そこ汚いよ?

「また、工藤様はとんでもない物を引き当てましたね?」

「さすが明様です」

「いや、引き当てたくて引き当てたんじゃないから、それでこれいつのか分かるか?」

「申し訳ありません明様、見たことがありません」

「私もありません」

「ワシらは元々貨幣を使いませんので」

「誰も知らないか、困ったな」

堀の中で悩んでいると、上から声が聞こえた。
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