132 / 254
№132 瓜二つ
しおりを挟む
私が良久と出会ったのは高校の入学式の時でした。お互いにびっくりしました。なぜなら私たちは他人とは思えないくらい似ていたからです。クラスメイトたちも「双子?」と聞いてくるくらいです。でも私には兄しかいませんし、彼女にも弟がいるだけだと言いました。
クラスメイトたちは「リアルロッテ」だの何だの盛り上がりましたが、私は同じ顔がいるなんて気持ち悪くてしょうがありませんでした。良久も私を見るとき不快そうな目をしていました。
一応両親に確認しましたが私に双子の姉妹はいないし、私が養子だということも絶対無いと戸籍も見せてくれました。誕生日も違いましたし、本当に他人の空似だったんだと思います。
ただ私たちはお互いに嫌悪感しかなくて、関わらないように高校生活を過ごしました。クラスメイトたちも最初は面白がったものの、すぐに関心は移り変わっていきました。
ちなみに見分けは最後まで付かなかったみたいです。私服の学校だったので服の嗜好で判断していたそうです。結局私たちはわかり合うことなく卒業しました。
そして卒業して3年目の今年、新年会も兼ねて同窓会をしました。結構参加率は高かったと思います。私は年末バイトで帰省できず、年が明けてから地元に戻りました。それなのに何人かの友達から「年末にどこそこにいたよね」みたいなことを聞かれました。もちろん否定しましたが、絶対私だったと皆主張するので、きっと良久だろうと私が言うと、ふとその場が静かになりました。そして
「ひょっとして知らないの?」
と一人が良久のことを教えてくれました。卒業後、彼女は病気で亡くなったそうです。それが卒業してから1年もたたずに亡くなったとか。健康そうに見えたんですけどね。
そういうわけだから、皆年末に私を見たと思ったそうです。でも私は絶対帰ってきていませんし、結局私に何かしらの事情があるのだろうと、気を使うような空気になってその話は終わりました。
私だけ、もう一人私たちに似ている人がいると言うことかと、嫌な気持ちになって帰路についたのですが、その途中私も見てしまいました。良久が道の向かいから歩いてきたんです。あれは確かに良久でした。高校の時のように私を不快な表情でちらっと見て、通り過ぎていきました。
すぐ振り返ったんですが煙のように消えていました。若くして亡くなってきっと思い残すことがあったとは思いますが、それが何なのか、そして全く仲良くなかった私の前に何故現れたのか。彼女のことを何一つ知らない私には分かりません。
クラスメイトたちは「リアルロッテ」だの何だの盛り上がりましたが、私は同じ顔がいるなんて気持ち悪くてしょうがありませんでした。良久も私を見るとき不快そうな目をしていました。
一応両親に確認しましたが私に双子の姉妹はいないし、私が養子だということも絶対無いと戸籍も見せてくれました。誕生日も違いましたし、本当に他人の空似だったんだと思います。
ただ私たちはお互いに嫌悪感しかなくて、関わらないように高校生活を過ごしました。クラスメイトたちも最初は面白がったものの、すぐに関心は移り変わっていきました。
ちなみに見分けは最後まで付かなかったみたいです。私服の学校だったので服の嗜好で判断していたそうです。結局私たちはわかり合うことなく卒業しました。
そして卒業して3年目の今年、新年会も兼ねて同窓会をしました。結構参加率は高かったと思います。私は年末バイトで帰省できず、年が明けてから地元に戻りました。それなのに何人かの友達から「年末にどこそこにいたよね」みたいなことを聞かれました。もちろん否定しましたが、絶対私だったと皆主張するので、きっと良久だろうと私が言うと、ふとその場が静かになりました。そして
「ひょっとして知らないの?」
と一人が良久のことを教えてくれました。卒業後、彼女は病気で亡くなったそうです。それが卒業してから1年もたたずに亡くなったとか。健康そうに見えたんですけどね。
そういうわけだから、皆年末に私を見たと思ったそうです。でも私は絶対帰ってきていませんし、結局私に何かしらの事情があるのだろうと、気を使うような空気になってその話は終わりました。
私だけ、もう一人私たちに似ている人がいると言うことかと、嫌な気持ちになって帰路についたのですが、その途中私も見てしまいました。良久が道の向かいから歩いてきたんです。あれは確かに良久でした。高校の時のように私を不快な表情でちらっと見て、通り過ぎていきました。
すぐ振り返ったんですが煙のように消えていました。若くして亡くなってきっと思い残すことがあったとは思いますが、それが何なのか、そして全く仲良くなかった私の前に何故現れたのか。彼女のことを何一つ知らない私には分かりません。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ガーディスト
鳴神とむ
ホラー
特殊な民間警備会社で働く青年、村上 祐司。
ある日、東つぐみの警護を担当することになった。
彼女には《つばき》という少女の生霊が取り憑いていた。つぐみを護衛しつつ《つばき》と接触する祐司だが、次々と怪奇現象に襲われて……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
怪奇短篇書架 〜呟怖〜
縁代まと
ホラー
137文字以内の手乗り怪奇小話群。
Twitterで呟いた『呟怖』のまとめです。
ホラーから幻想系、不思議な話など。
貴方の心に引っ掛かる、お気に入りの一篇が見つかると大変嬉しいです。
※纏めるにあたり一部改行を足している部分があります
呟怖の都合上、文頭の字下げは意図的に省いたり普段は避ける変換をしたり、三点リーダを一個奇数にしていることがあります
※カクヨムにも掲載しています(あちらとは話の順番を組み替えてあります)
※それぞれ独立した話ですが、関西弁の先輩と敬語の後輩の組み合わせの時は同一人物です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる