キミを救いたかっただけなのに

眠りん

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七話 家庭内イジメ

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 その日は日曜日で、俺は家族三人で買い物に出掛けた。俺と父さんは荷物持ちだ。

「和泉、どこか行きたいところある?」

 お母さんが俺に聞いてきた。俺は両親についていくだけで良いと思ってたから、急に聞かれて困惑する。

「んー。二人が行きたいところでいいよ」

「だめよ。皆一人一人が行きたいところに行くの。まずは和泉から」

 楽しそうなお母さんの声に、お父さんも笑顔で「そうだぞ」と言っていた。
 その瞬間だった。ドォォン! って鼓膜が破れそうな大きい音がしたと思ったその時には、後ろから激しく衝突されて、俺の家の車は前の車に衝突していた。

 俺は目の前が真っ白になった。突然トラックに追突されたんだ。
 一瞬の出来事だったように感じられた。

 運転席と助手席にいた両親は血を流して気絶していて、俺だけ意識があった。
 周りは騒然。

 すぐに両親は救急車で運ばれたけど、内臓が破裂していたみたいで、ほぼ即死だったらしい。
 俺は運良く打ち身だけで済んだ。

 その時、俺は高校二年生で、一人で生活するのは厳しい。
 両親の保険金や、運送会社からの賠償金やらでお金はあったけど、いきなり一人暮らしなんて出来なかった。
 その時、唯一の親戚である、父の兄である伯父さんが俺に一緒に住もうと提案してきた。

「うちは響生が小さい頃に母親を亡くしていてね、二人でやってきたんだが、良かったら和泉君も支え合える家族がいれば、安心して生活出来ると思うんだ!」

 伯父さんは逞しい人だ。一人で子育てをして、起業した会社も成長させて、それでいて優しい性格。頼りがいがあって、俺はすぐに心を開いた。

 だけど、従兄の響生は真逆みたいな存在だ。いつもネガティブ。んでもってヒキニートだ。
 俺より二歳上だけど、高校卒業してから進学も就職もせずに、ずっと家に引きこもってる。

 俺が伯父さんのお陰で明るく笑えるようになったあたりから、響生がおかしくなった。
 俺への嫌がらせが始まったんだ。

 家事は分担していたのに、全て俺に押し付けて、何か一つでもミスがあると嫌味を言ってくる。

「おい、和泉。お前掃除がなってないんだけど。隅の隅までちゃんとやれよ。
 これだから両親に甘やかされて生きてきた坊ちゃんは違うよなぁ」

「……ごめんなさい」

「謝れば良いと思ってんだろ? そう思うなら、掃除し損ねた隅の埃、テメェの舌で舐めとれよ!」

「で、出来ません」

 俺は両親がいなくなってから、メンタルが弱くなっていた。俺は全然悪くないのに、すぐに謝ってしまうし、言われた通り、埃を舌で舐めとって泣きながら服で舌を拭いた。痛かった。
 後で口の中をゆすいだけど、ずっと気持ち悪かった。

 次第に響生からのイジメはエスカレートした。ミスをする事にリストカットを強要され、出来ないと性処理をさせられた。
 だから俺は、バイトを始める事にした。

 なるべく響生と一緒にならないようにしたんだ。そして、伯父さんに家を出たいと話そうと思った。
 伯父さんは、俺が来た事で響生が明るくなったと喜び、家にいる事が段々と減っていったんだ。
 なかなか伯父さんには会えなかった。

 俺が響生を避けたからか、響生はより一層、俺へのイジメのレベルを上げた。
 家にいる時は冬でも裸で過ごさせて、響生がテレビを見ている時は四つん這いになって、足置きにさせられた。
 俺は怒りがどうしても止まらなくなって、家を出るんじゃなく、どうにか響生に復讐出来ないかを考えていた。

 だから、尻穴を響生のオナホ代わりに使われるようになっても、大人の玩具を乳首とペニス、尻穴に付けて家事を強要されても、俺は出ていくという選択肢は排除し続けた。


 ある日の事。響生に言われて、大人の玩具を尻穴に入れて買い物をした帰り、俺は辛さのあまり玄関に寄りかかるようにして、ゆっくりと扉を開いて家の中に入った。

 すると、部屋の中から響生の独り言が聞こえた。
 この家には、亡くなった母親の仏壇を置いた部屋が一部屋あった。玄関から結構近い。

「また和泉に酷い事を……俺、どうしたら……」

 俺はその瞬間、復讐の計画を思い付いた。
 一度閉じた玄関の扉を、わざと大きく玄関の扉を開いて今帰ってきたように装う。

「わっ、なんだ。帰ってきたのか。遅いぞ! 罰として今日は俺の椅子になれよ!」

「……はい」

 その日はワクワクが止まらなかった。全裸で四つん這いにさせられ、響生が俺の背中に座りながら、ディルドで俺の尻穴をグリグリ拡張してきても、怒りより復讐が出来る事に心が踊った。


 その翌日には、ボイスレコーダーを購入した。俺は学校以外ではなるべく家にいるようにして、出掛ける時は必ず母親の仏壇の裏に設置しておいた。

 響生の心の拠り所は母親のみらしい。
 一人になると、ネガティブな事を母親に言いに行く。何も解決するわけじゃないのに、不安に思っている事や、俺を虐めてしまうこと、独りで辛い事を沢山レコーダーに録音させてくれた。

 そして、その仏壇への懺悔とは別に、俺にしたイジメの内容も録音する事が出来た。
 かなりの証拠が溜まった。
 俺はその二つの証拠を持って、響生の部屋に押し入った。

「て、テメェ! 誰の許可を得て勝手に入ってきてんだよ!?」

「まぁまぁ。響生君、今までよくも俺にクソつまんない事してくれたね?」

 先に響生が俺を虐めてる声を再生させた。

『ほら、裸になれよ。お前は父さんに逆らえないだろ? 言う事聞かないと、父さんにお前の悪い事吹き込むぞ』

『裸で庭掃除しろよ! 終わったら俺の性処理な!』

『四つん這いになれ。よっと、和泉は俺の椅子になるの向いてんじゃねぇの?
 っと……! 何バランス崩してんだよ! 椅子なら人間様が快適に座れるようにしろ!』

 それらの声を聞かせると、響生の顔はみるみる赤くなった。

「よくこんな事言えたよね。いやはや、聞き返してびっくりしたよ~。こんな事言われてたっけ? ってね。随分、偉そうだよねぇ」

「脅す気か?」

「うん! でもね、俺が脅したいのはこの音声じゃないの」

 俺はもう一つのボイスレコーダーの音声を再生した。
 今まで響生は悔しそうにしてたのに、こっちを流したらみるみる顔が真っ赤になった。

 あぁ、やっぱりこっちの方が響生にとって痛いみたいだね?
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