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組織(ハウス)見習い編
ー 21 ー 組織員ー見習い⑤
しおりを挟む- 修得!五大基礎 -
ふわり、ふわり。
草原には場違いな、ピンク色のポップな風船が空に浮かんでいる。
その数、約20個。
ハートの形をしたものもあり、ゆらゆらと風に漂っている。
「はいっ!はじめて!」
ジュディが鋭い声を放つ。
その声を合図に、クロロとコン太がさっと腕を引く!
「はぁっ!」
2人がぶんっと掌を突き出すと、爆音と共にいくつもの光弾が宙を裂く!
ギュン!!!ギュギュン!!!
誘導弾のように空中をカーブし、風船を捉えた!
ボボボン!!!
ピンク色の風船が花火のように弾け、爆発の閃光が、3人の細く長い影を地表に描く!
シュウウウ…
火の粉の帯を引きながら、風船の燃えかすがゆっくりと風に流されていく。
ジュディ「おお!全弾命中ね!」
「やった!」
クロロとコン太が絨毯のような草原にぱたんと倒れ込む。
クロロ「はあーっ、つ、疲れた!」
コン太「はあ、はあっ、も、もう、何発撃ったか…」
ジュディ「威力もコントロールもばっちりね。うん、放出もこれで良いでしょ」
ーーー五大基礎の五、「放出」。
体の末端にオーラを集め、手の届かない距離へ放つ、オーラ弾。言わば飛び道具。
高密度に圧縮されたエネルギーの塊であり、対象に着弾した瞬間にエネルギーの塊が炸裂し、爆発する。
エネルギーであるオーラを溜め込むほど、威力が増し、オーラの拳などの体技では得られないような大きなダメージを与えることができる。
(オーラを溜めに溜め切った拳で殴るのは、爆弾を掴んで殴るのと同義で、威力は高いが自傷リスクが非常に高い。一方、オーラ弾は、爆弾を投げ飛ばすのと同じであり、アタッカー側のリスクも少ない)
………
……
…
ジュディがふわりと手をかざすと、大きめのハンモックが草原に現れた。
ぴょんとハンモックに飛び移ると、体を預けながら紙巻きタバコに火を付ける。
ジュディ「…ここへ来て今日で383日。放出もこれでクリア。移動、凝縮、増大、消去、放出…。五大基礎は全部修得ね」
プカっと輪っかのような煙を吐き出す。
コン太「や、やったあ…」
クロロ「なあ、そういえば」
クロロが上体を起こす。
「放出もマスターしたってことはさ、ライアンみたいなあの鉄砲も使えんのか?」
親指と人差し指を拳銃のように立てて、太陽にかざす。
ジュディ「あれはオーラ弾ではあるけど、前にも言ったイマジネット・オーラね。個人個人に発現する特殊能力の一つよ。ほら、あたしの『ラッキー・プール』のようにね」
コン太「ら、ラッキープール?」
コン太が立ち上がる。
ジュディ「あ、言ってなかったっけ。あたしの能力名。この舞台を作る能力よ。それが、ラッキー・プール」
ジュディがキラリとウインクをする。
今いるこの草原も、オーラで作られた空間…。
だが、現実にしか見えない。
草の葉の質感も、頬に当たる風も、気温も重力も何もかも、限りなくリアルだ。
クロロ「ほえ~、なんだかかっこいいな」
ジュディ「自分のイマジネット・オーラには、気に入った名前を付けるといいわ。自分にとってポジティブなことは、オーラにもプラスに作用するからね。
その他にも、必殺技と言えるような決め技なんかにも、名前や掛け声、モーションなんかを組み合わせると威力や効果が増すよ。ルーティーンになるからね」
ジュディがハンモックを揺らすと、ふわりと飛び降りる。
クロロ「る、るーてぃーん?」
ジュディ「そっ。決まった動作を取り入れること。ルーティーンは、気持ちを高め、集中力を上げ、自分の潜在オーラを引き出すことができるの」
クロロ「ほえ~、だからアニメや漫画なんかでもみんな必殺技の名前を叫ぶのか!!!」
コン太「…そ、それは場面を盛り上げるためだろ。…ま、でも結果的には必殺技にルーティーンを取り入れてるって意味だと同じか…」
ジュディ「ちなみに、ライアンの鉄砲の能力は、単純なオーラ弾よりも何倍、何十倍も威力は高いし、付属的な特性も持ってる」
コン太「特性…?」
ジュディ「途中で弾丸を分割させたり、軌道を自在に変えたり、ね」
クロロ「そんなことまでできるんか?」
ゴ・ザの中央ターミナルでライアンが発砲した時、クロロとコン太はあまりの速さに一体に何がおこなったのか気付いていなかったが、ライアンが放った弾丸は軌道の途中で半分に分かれ、クロロらの眉間に到達する直前にかき消えたのだった。
ジュディ「イマジネット・オーラは想像の能力。自分を信じて、強く思い描ければ、実現するのよ。そこには無限大の可能性がある」
クロロ「そ、そういえばモーリーもそんなこと言ってたな」
ジュディ「イマジネット・オーラはあんたらが自分で発現させるものだから、この特訓ではやらないよ。見習いから組織員になってから発現するかもしれないし、もっと後かもしれない。それはあんたたち次第」
ジュディがタバコの吸い殻をぽいっと捨てる。
吸い殻は空中できらりと輝き、小さなシジミチョウになって目の前をひらひらと飛んでいった。
コン太「イマジネット・オーラ…。確か、好きなものとか、趣味趣向とか、そういったものが反映されるって、モーリーさんも言ってたけど…」
クロロ「なあ、コン太はどんな能力がいいんだ?」
コン太「えっ?ぼ、ボクか?(…そうだな、う~ん、やっぱりアメコミみたいなヒーローっぽい能力がいいかな…ほら、メタルなプロテクターやマスクを纏って、強靭な肉体でヴィランをぶっ飛ばすような…。必殺技も当然あった方がいいよな、それもヒーローに相応しいような技名にしないとな。やっぱり飛び道具がかっこいいかもな…いや武器もありか。ビーム・ガンのような…。オーラが想像の力って言うくらいだから、今のうちにビジュアルとか必殺技のポーズとかしっかり練っておいたほうが良いか…う~むぶつぶつ…ってはっ!!!」
クロロがにたにたしながらコン太を見ている。
コン太「し、しまった!(つ、つい、頭の中のことを口に出してしゃべっていた!は、はずかし~)」
コン太が冷や汗を拭う。
コン太「そ、そういうお前はどうなんだよ!」
クロロ「う~ん、オレは強けりゃそれでいいかな、ははっ」
クロロが頭の後ろで手を組みながら笑う。
コン太「強くって…アバウトな…」
クロロ「へへ、ヒーローにはかなわねえけどな!」
コン太「ぐうっ!こ、この~」
ジュディがふっと笑って手を叩く。
ジュディ「ヒーローだって、強さを求めるだって、良いと思うよ!あたしがひとつだけ言えるのは、自分の内なる声に向き合って正直に、ってことかな。強く願って信じれば、きっと思い描いた能力が発現する。逆に人目を気にするくらいの思いなら、発現は難しい…。コン太、恥ずかしがることはないよ」
コン太「は、はいっ!(う、うひょ~、ジュディさんに褒めてもらえた~うへへ!)」
ジュディ「そしてクロロ!強さと一言で言っても、色々な強さがある。敵を打ち破る強さ、己に負けない強さ、他者を守る強さ…。自分が信じる強さを見出して、それに向かってまっすぐに進めば、きっと能力として花が開くよ」
クロロ「おうっ!!!」
クロロが右腕を振り上げる!!!
ジュディ「それじゃ、これから二大応用の特訓に入る!オーラ・ドライブの総仕上げよ」
- 二大応用 -
ジュディ「これが最後のカリキュラムよ。ステージも変える。ラッキー・プール!」
ジュディが右手をひらりとさせ、宙を撫でる。
ズズズ…
ビーチから草原に空間が変わった時と同じように、周囲の景色が溶けて混ざり、マーブル模様となり渦巻いていく。
そして…
クロロ「おおっ!」
コン太「こ、これは…海の中?」
藍と紫のグラデーションを背景に、あちこちで鮮やかな色彩の珊瑚や海藻が揺らめき、色とりどりの熱帯魚の群れが舞っている。
大小の泡の粒が光を反射させ、イルミネーションのように輝いている。
ジュディ「あたしの能力でゴ・ザの海を再現してる。もちろん、生き物たちも含めて、全てオーラの産物よ」
確かに、目の前を横切る魚もふわりと揺れるイソギンチャクも、うっすらとしたオーラの光に包まれていて、動くたびにキラキラとした光の粒が瞬いている。
コン太「す、すごい、幻想的な空間だ…」
「でもよ、海の中って言っても水まではないんだな」
クロロが大きく息を吸ってから、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。
地に足が着くたびに細かな砂粒が綿菓子のように宙を踊る。
クロロの言う通り、呼吸も普通にできるし海の中にいるような水圧も質量も感じない。重力だって普段通りだ。
なんら陸上と変わりがないように見える。
ジュディ「でもね、もちろんこのステージにも意味があるの。ほら、いつだったか、五大基礎を初めて説明したときに、二大応用には、固定概念を外す必要があるって言ったでしょ」
クロロ「ん?そうだっけ?」
コン太「…おまえ…」
ジュディ「固定概念を外すってのは、なかなか難しい。なにせ、生まれてから今の今まで、当たり前だと思っていたことを打ち砕く必要があるからね」
ジュディが再び腕を宙にかざすと、ミロのヴィーナスに描かれているような巨大な貝が現れた!
「雰囲気も出さないとね」
ジュディの体が光に包まれる…
クロロ「!!!」
コン太「うおお!!!」
オレンジとピンクのグラデーションがかかった長い髪、真っ白な華奢な体に似合わない大きな胸と貝殻のビキニ、そしてお腹から下はターコイズ・ブルーの滑らかなドレスのような鱗に包まれ、その先にはシルクみたいな長い足ヒレが…
クロロ「に、人魚だっ!」
ジュディが人魚の姿で泳ぐように浮かび上がると、巨大な貝殻の上に腰を下ろした。
ジュディ「ふふ、ぐんと海の中の感じが出たでしょ?」
コン太「…(は、鼻血が出そう…)」
ジュディ「じゃ、始めようか!」
- 星のオーラ -
「二大応用の前に、まずは外さなきゃいけない固定概念について説明するよ。ねえ、あんたたちとあたしの間、何がある?」
ジュディがにこりと微笑む。
クロロ「オレたちと、ジュディの間…?い、いや、魚もいねえし…別に何も」
コン太「み、見えない何かがある、ってことですか?」
「と、透明人間とかか?」
クロロが虚空に向かってぶんぶんとパンチを繰り出す。
「コン太、いい線いってるね(クロロは無視…)。まず一つは空気よ」
ジュディがふうっと甘い息を吐く。
「あたしたちの間には、空気を構成する物質で満ちてる。普段は誰も意識しないし、当たり前のように無意識に呼吸を繰り返してるけど、それはこの地上が空気で満ちているからよ」
ジュディが人差し指を立てる。
コン太「そ、それはそうですが…」
ジュディ「だけど、空気だけじゃないの。この地球を満遍なく満たしているものがもう一つある。それは、星のオーラ…。今からあんたらがやるべきことは、それに気づくこと!」
クロロ・コン太「ほ、星のオーラ?」
ーーー星のオーラ
星のオーラとは、この地球という天体が持つ、とてつもなく巨大なオーラだ。
地球の奥深く、コアに当たる部分に存在すると言われているが、他の多くの天体現象と同様、詳細は不明だ。
あまりにも巨大なエネルギーであるために、地殻からオーラがもやのように溢れ出し、大気みたいにこの地球上を満遍なく覆っている。
ジュディ「あたしたちは、星のオーラ、正確には星のオーラのもやの中にどっぷりと浸かっているの。それこそ、海の底にいるみたいに。あ、もや、って言っても、元のオーラがでかすぎるから、超濃厚よ」
目の前を虹ような鮮やかな魚の群れが通り過ぎていく…
クロロ「…海の底…」
ジュディ「自分がオーラの海の中にいることに気づけたら、二大応用である察知や飛行も、コツを掴みやすくなる。二大応用について説明するよ」
ーーー二大応用
その一、察知。
離れた場所にいる相手のオーラを捉えること。星のオーラの中にいることに気づければ、まるで海中のソナーのように、地球を満たしているオーラを介して、あらゆるオーラを察知することができる。
察知できる範囲は、オーラの量や質を高めることで広げることができるが、自分から離れれば離れるほど、察知の精度は低くなっていく。
また、敵対する相手もオーラ・ドライブを使用できることを前提だと思っておき、自らのオーラを察知されないように注意する必要がある。つまりに非戦闘時は、オーラを限りなく消去に近い形に留めておかなければならない。
さもないと、自分の居場所をGPSで公開していることと同じ状況になってしまう。
…ちなみに、全く訓練を積んでいない人が、無意識的に察知をしているケースもある。
誰かに見られている気がする、とか、第六感などは察知能力の典型だ。
相手側の強い想念が星のオーラを伝い、たまたま捉えてしまったことによるものだ。
最も、あまりにも非科学的なので、オカルトの類として整理されているのが現状である。
そして、二大応用の二、飛行。
魔法のように宙を舞うことができる能力だ。
鳥が空を飛べるのは、羽ばたくことで揚力を発生させ、それが重力と釣り合っているからだ。
オーラによる飛行も原理は似ている。
濃密な星のオーラで満たされた空間を、自らのオーラをコントロールすることで浮かび上がり、ジェット噴射のような推進力を得たり、オーラを纏って移動することにより翼のような揚力を得たりすることができる。
クロロ「うへ~ちんぷんかんぷんだぞ」
コン太「う~ん、な、なんとなく…なんとなくは想像できるけど…」
ジュディ「ふふ、そりゃそうだろうね。生まれた瞬間からオーラの海にどっぷり浸かってんだからね。重力という概念がなかった時代に、初めて重力についての理屈を聞かされた人々と同じくらいに訳が分かんないと思うよ」
ジュディが微笑み、両手を広げる。
ジュディ「だからこその、この舞台さ。あんたらにはこれから、今まで生きてる間ずっと星のオーラで満たされた世界にいたことに気付いてもらい、そのオーラの海の中を自在に泳ぎ回ってもらうスキルを身につけてもらうよ」
- 特訓!二大応用 -
ジュディがゆっくりと人差し指を上げる。
ズズズ…
人差し指の先に、ピンポン玉くらいのオーラの塊が生成されていく。
ジュディ「まずは察知。目を閉じてオーラを研ぎ澄ませて、この光の塊を感じ取って」
ジュディの指先のオーラが、点滅するように瞬いている。
クロロ「よ、よし…」
すっと目を閉じる。
当たり前のように、暗闇の世界が広がる。
ジュディ「…いい?ここを海の底と思って。あんたらがいるのはオーラで満たされた空間よ。このオーラの海の中に自分のオーラを溶け込ませるの…。自分の体の感覚を体の外まで、体から離れた場所にまで拡張させる…。体をぐんぐんと大きく膨らますイメージよ。
今、あたしの指先のオーラは、強弱を繰り返して波紋みたいなオーラの波を、星のオーラに伝えている…。
オーラを集中させて、体全体を引き伸ばすように、この波紋を捉えてごらん」
クロロ「ぐぐう…」
コン太「む、くく…」
…
体の外まで、体の感覚を拡張させる…。
オーラの海にオーラを溶け込ませて…。
クロロ「ぐぐ…!だっだめだ!」
コン太「か、感覚の拡張ってのが難しいな…」
クロロとコン太が尻餅を付いて息を切らす。
ジュディ「ふっ、そりゃそうよ。重力だって、月に行って初めて、本当の意味で重力の違いを体感できるだろうしね。感覚の拡張も巨人にならない限りは実感が掴めないのは当然。だからこそ難しいの」
クロロ「そっか。体がでっかくなるのに近い感覚ってことだもんな、そんなこと…」
コン太「…ん?それって…」
………
……
…
アローハ「イートミーキャンディだよ!知らないのか?今流行ってるだろう!そうか、君たちは田舎在住だからそのあたり知らないんだな・・・これはな、体の大きさを自在に変えることができるアメだよ!1個舐めれば小さく。2個いっぺんに舐めると大きくなる」
……
クロロがポケットからオレンジ色の飴を取り出した!!!
口をあんぐりと開けて、2個を放り込む!!!
ググンっ!!!
爆炎が噴き出すようにクロロが巨大化!!!
………
……
…
クロロ「!あん時の飴だっ!」
コン太「そ、それだっ!」
ジュディ「飴?」
ジュディがきょとんとした表情で顔を傾ける。
クロロとコン太がバッと立ち上がり、再び目を閉じる。
クロロ「あの時、飴を2個頬張った直後…!ググンと大きく体が膨らんだ時の感じ…!」
コン太「あの感じを思い出すっ!!!」
ジュディ「…!この子たち…!」
…!!!
体が膨らんでいく…座ったまま背伸びをしているような…
エレベーターで上がりながら、外の景色がどんどん目線の下に流れていくような…
不思議な感覚…!
…感じる!
微かだけど確かに…!
何か圧のような…、風が頬をなでるのとは違う…
水の中で波を受けるみたいな、そんな圧力を感じる…!
…。
圧が、圧がだんだんと強く…?
ゆっくりと近づいているような…
クロロが思わず目を開ける。
「え?」
目の前に光の玉が!!!
バシっバシン!!!
クロロ「いっいってえー!!!」
コン太「うぐわあーーー!!!」
光の塊が2人の額を直撃!シュウウーと熱を帯びた煙がおでこから立ち上る。
ジュディ「ふふふ。さすがね、いきなり察知の入り口に立てたようね」
コン太「こ、これは…」
コン太が半べそで額を撫でる。
ジュディが目を細めて意地悪そうな笑顔を投げかける。
「ジュディ式スパルタ第二弾よ!あんたらはこれから、目を閉じたまま、このオーラの弾を避ける特訓をする。避けられなかったら今みたいに…ばしん!よ!」
クロロ・コン太「う、うへえー」
ジュディ「んで、同時に飛行も修得してもらう。本来は察知から始まって飛行に移るんだけど、あんたらのポテンシャルなら同時でもいけそうだしね。…ねえ、クロロ。今から光の弾を投げるから、避けてごらん。目は開けたままでいいからね」
クロロ「へ?よしっ、わかった!」
ジュディが右手を掲げる!
ジュディ「はっ!」
ボボボボボッ!
ジュディの右手から、卵くらいの大きさの光の玉が5個出現した!
ジュディ「いくよっ、それっ!」
クロロの方に向けて、右腕を振り下ろす!
ギュンっ!!!
5つの光の玉が引っ張られるようにクロロへ向かって一直線に飛んでいく!
クロロ「へへ!目を開けたままでいいんなら、こんなの楽勝だぜっ!」
クロロが大きくジャンプ!体の下を5つの光が通り過ぎていく。
しかし…!
グググっ!
光の玉が軌道を変え、空中にいるクロロの背中に向かって一気に突撃する!!!
「へっ?」
ドドドドドン!
「いでええ!!!」
どしん!!!
背中から煙を立ち上らせながら、顔から地面に突っ込んだ。
ジュディ「この光の玉はあんたたちのオーラを捉えて追っていく。空中でも動けるようにならないと、こんな風に酷い目に合うよ」
クロロ「ひ、ひどい…」
ジュディ「察知を繰り返し特訓して、自分のオーラを星のオーラに溶け込ませていくと、水中にいるような粘性の質量を感じるようになる…。そこまでいくと、飛行の習得はすぐよ。
手足からのオーラを星のオーラに流し込み、体を押し上げることで浮かぶことができる…。そしてオーラを纏いながら、進行方向に向かってオーラを噴き上げることで、推進力と揚力を得ることができる。
コツさえ掴めば、上下左右、かなり細かく俊敏な移動が空中で叶えられる」
ジュディがくるくると、サーカスで見るように回転しながら宙を舞う。
ジュディ「さっ、久しぶりのスパルタ授業、始めようか!」
ジュディがグラデーションの髪をかき上げてウインクを投げる。
クロロ・コン太(ご、ごくり…)
…
……
………
そして…
ジュディ式スパルタ第二弾が始まってから133日…
チャカチャカ♪
ドーン…
ジュディ「ああっ、しくじったぁー!折角最終ステージまで来たのにぃ!」
ジュディが携帯型のゲーム機をソファに投げ出す。
「はあっ、外の様子はどうかね?」
ジュディが巨大な貝殻の蓋をぎぎっと開ける。
貝殻の中はちょっとした個室のようになっていて、1人が寝転がれるくらいのソファにサイドテーブル、小型の冷蔵庫がこじんまりと収まっている。
ジュディ「ふわぁーあ」
大きく伸びをする。
貝殻の外は、オーラの弾が蛍の群れのように空間一面を彩り、飛び交っている。
ビュビュン!!!
一つの光の弾がクロロに眼前に迫る!
クロロは鉢巻のような布を幾重にも巻き、完全に視覚を閉ざしている!
クロロ「きたっ!」
ビッ!!!
目隠ししたまま、光の接近を捉えて頭を引っ込める!
その後ろでは…
グオオっ!
地面から突き上げるように、三つの弾がコン太を狙い撃つ!コン太も同じく目隠しの状態だ!
バッ!
宙に飛び上がるが、光の弾は軌道を変えコン太の背中に襲いかかる!
コン太「やっ!」
コン太が空中に浮かんだまま、宙を蹴るように更に上へと飛び上がる!まるでゲームで見るような2段ジャンプだ。
「きりがないな…」
宙に浮きながら、コン太がつぶやく。
クロロ「ん?ジュディも外に出てきたみたいだ!そろそろおしまいにすっか!」
コン太「よしきたっ!」
クロロ「はあっ!」
クロロの体からオーラの光がバーナーのように噴き出す!
「いくぞっ!」
バシュッ!!!
クロロがカタパルトで弾かれたように空中に飛び上がる!
そして弾丸のごとく空中を舞う!
無数の光の弾が強大なクロロのオーラを捉えて、ぐぐんっとスピードを上げてクロロの背に迫る!
クロロ「コン太っ!」
コン太「よしっ!」
空中のコン太もオーラを爆発させ、ロケットのように宙を裂いていく!
そのオーラに引き寄せられるように、残りの光の弾もコン太目掛けて襲いかかる!
グオオオオ!
蛍のように飛び交っていた光は、今や二つの大きな火の玉となり、クロロとコン太の背中にぴったりとくっついている!
「いまだっ!」
クロロとコン太が火の玉を引き連れたまま、互いに向かって加速する!
まさに衝突の瞬間!
クロロとコン太が上下それぞれ垂直に軌道を変える!
ドドン!
2人を追っていた火の玉が急激な方向転換に間に合わずにぶつかり、打ち上げ花火のように炸裂した!!!
ジュディ「!!!な、なんとまあ」
光の粒が深海の舞台に、ハラハラと舞い落ちていく…
ジュディ「あっさりと…たまげたね、これは。最終レベルの難易度だったんだけどね…」
クロロ「へへ!」
ジュディ「ここへきて今日で500日を超えた…。これで、五大基礎と二大応用について教えることは全て教えて、実践してもらったよ」
コン太「そ、それって…!」
ジュディがすうぅと息を吸い込んだ。
「おめでとう!オーラ・ドライブの特訓はこれで卒業よ!」
クロロ「おおーっ!や、やったー!」
コン太「な、長かったぁー!」
2人が両手を上げて飛び上がり、空中でハイタッチをする!
コン太「あ、でも」
ふと、右腕に目をやる。
試験のアイテムで作られたバングルがはまったままだ。
ジュディ「あんたらはこれから組織のチームに入ってもらうけど、入る前に、最初のミッションにチャレンジしてもらう。ミッションをクリアする頃にはバングルが外れてるはずよ」
クロロ・コン太「み、ミッション?」
ジュディ「そ。準備ができたら、ゴ・ザの駅にもどるわよ。モーリーも待ってるわ」
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ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
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