クロロの大冒険〜田舎の少年が組織に入り”オーラ”を習得、葛藤や紆余曲折を経て大人になり親になり、やがて星を救う物語〜

M3 STUDIO

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組織(ハウス)見習い編

ー 20 ー 組織員ー見習い④

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-   特訓!五大基礎   -



ヒュウウ………
果てしなく広がる草原の舞台に風が吹き抜けていく。
流れる雲が、草原に大きな影を落としながら、通り過ぎていく。

コン太「い、いよいよだ」
クロロとコン太がごくりと唾を飲み込む。

ジュディ「最初はゆっくりと教えるから、しっかり着いてきな。まずは。できるわね?」

すらっと伸びた指先で、ぱっちりとした大きな目を指さす。

クロロ「よ、よし」

ズズズ…
クロロとコン太は目に意識を集中させて、オーラを集めていく。
ジュディの体全体がぼんやりとした光に包まれているのが分かる。


ジュディ「いくよ、まずは五大基礎の一、よ」
ジュディの体を包んでいた光が右手の先に集まっていく…

ジュディ「あんたらは、オーラの熱を体中のどこにでも集めることができるよね。ってこと。あたしの特訓のおかげでね!」

コン太「…は、はは (ぼ、ぼこぼこにされたおかげで…)」


ジュディ「そして、!」
ジュディが拳をグッと握りしめると、淡くて薄ぼんやりとしていた光がキリっと鋭くなる!
その光は、雲に隠れた朧月と、澄んだ夜空の満月くらいの違いがある。

ジュディ「五大基礎の二、はオーラを握り、固めるイメージ。腹筋に力を入れるように、オーラの強度を上げるの。そして…」

ジュディが右の拳を顔の前に掲げる。

ジュディ「五大基礎の三、っ!」
バシュッ!

クロロ・コン太「!!!」

衝撃音と共に、拳からまるで火花が噴き出るように、光が迸る!

クロロ「す、すげえ!」

ジュディの拳は、炎を湛えているように光の揺らめきに包まれている!

ジュディ「は、少しイメージが難しいと思うけど、凝縮して固めたオーラを一気に爆発させる感じね。まっ、これはできるようになるまで繰り返し特訓してもらうわ。で…」

ジュディがにやりと微笑む。

ジュディ「これで攻撃の準備が整った!どれだけの威力なのか、試してみようか」

徐に左手を振りかざすと、草原の上にが現れた!

コン太「わわっ!」
軽自動車くらいの大きさの岩だ。一体何トンあるのかも知れない…

ジュディ「見てなっ!」
そう言うと、腰を落とし、光が迸る右手をゆっくりと引いた。

ジュディ「はあっ!」
そして一気に拳を突きつける!!!

ズドン!!!
強烈な衝撃音と共に、光が炸裂した!!!


クロロ・コン太「うわぁっ!!!」

光が消え、砂煙が晴れるとジュディの前には粉々に砕かれた岩の欠片が広がっていた。

ジュディ「オーラ・ドライブを戦闘用に使うとここまでパワーを引き出せる。生身で食らったら、致命傷どころじゃないわね。オーラの攻撃は、オーラで相殺するしかない。また、オーラでない攻撃、ナイフや銃弾なんかの道具を含む攻撃だって、オーラ・ドライブの状態で受ければ、なんてことない。オーラによるガードがいかに大事かも分かったね?」

クロロ・コン太 (ごくり)


ジュディ「そして、実戦の攻防は、一瞬よ。オーラを溜めるまで拳銃の引き金を待っててくれるようなミッションなんて存在しない。無意識レベルまでオーラ・ドライブをマスターする必要があるってのは、あらゆる実戦に耐えうるためよ」

コン太「い、一瞬で…」
クロロ「こ、これはまいったな」

目をまん丸にしたクロロとコン太を見て、ジュディがあははっと笑った。

ジュディ「驚かせて悪いね、まあ、今のあんたらにこんなの見せたらそうなるわな。安心しな、このレベルに至るまでは…そうね、1年か2年か…って…ん?」


クロロとコン太が呼吸を整え、両手の拳をぐっと握りしめる。

ジュディ「何やってんの?あんたら…」

クロロとコン太がにやっと笑う。

クロロ「一瞬、ってのは確かにまだ難しいけど…」
コン太「ゆっくりやればできそうな気が…」

ズズズ…
オーラの光が2人の拳に集まっていく。

ジュディ「いやいや、今の見ただけじゃ無理よ…」
呆れ顔で手を振る。
しかし2人はオーラの集中を止めない。

クロロ「オーラを拳に集めて…」
コン太「ぐっと固める…」

ジュディ「おいおい、さすがにまだ早いってば。移動・凝縮・増大は五大基礎の中でも基本とはいえ、そう簡単に実践できるほど甘くないよ。オーラの移動だけでも2ヶ月近くかかってんだよ?地道に鍛錬を積んで凝縮、そして増大と少しずつ……って…え?」

クロロとコン太の拳に移動させたオーラの硬度が増している。これは確かに、…!
ま、まさか。

クロロ「オーラを固めたら…」
クロロ・コン太「一気に噴き上げる!」

バシュシュッ!!!

ジュディ「え?」

ボボボボボ…!!!
クロロとコン太の両の拳から光が噴き出る!!!

クロロ「ははっ!できたぞ!」
コン太「こ、これがオーラの拳か!」
拳をぶんっと振り回す。松明を振りかざすように、光の軌跡が駆け抜ける。


ジュディ「う、うそでしょ?」
こ、これは、紛れもない…の形だ。

クロロ「あはは、なんか、前にコーラがぶしゅって噴き出したときがあっただろ?ジュディがコーラを投げてくれたとき。あんなイメージしたらできた」

コン太「ボクは花火のイメージかな、ほら手持ち式で、火をつけると勢いよく噴き出すやつ」

ジュディ「…そ、そんな」
ジュディが額の汗を拭う。

クロロ「でも、一瞬でここまで持ってくってのは、まだちと時間がかかりそうだなぁ」

ジュディ「…!」
(…オーラ・ドライブの要は、。オーラは精神と密接に紐づいているから、自分を信じることが何よりも重要だ。それも、疑いもなく信じなきゃならない。だが、それが本当に難しい…まだ素直さが残る子供とはいえ、オーラという今までの人生で一切触れてきたことのないものに対して、ここまで純粋に向き合えるとは…)

ジュディがクロロとコン太を見つめる。


………

クロロ…
この子は素直すぎる。疑うことを知らない。ね。良くも悪くも…。でもオーラ・ドライブに限ってはポジティブはプラスにしか作用しない。
…もはやポテンシャルはあたしでも測りきれない…だって、ここまでで素直なヤツはみたことないし…

そしてコン太…
ナイーブで常識的だけど、クロロを目の当たりにして、急成長している。
格闘技の素養もあるし、想像力も豊か。
クロロがどう成長するかはわからないけど、コン太はイマジネット・オーラで自分の個性を大いに生かしそうね…発現が楽しみだわ…

………

ジュディがにやりと笑う。

いずれにしても、これはとんでもない原石だね!

ジュディ「気に入ったよ、あんたたち!」
ジュディが腰に手を当てて大声を出す。反動でTシャツの下の胸がぷるんと弾む。

ジュディ「スピードを上げて鍛えたげようじゃないの!」



-   クロロ&コン太vsジュディ   -



ジュディ「まずは早速、攻撃のコツを掴んでもらおうかね!」
ジュディが髪をかきあげる。

ジュディ「2人とも、今やったようなオーラ・ドライブを使って、全力であたしにかかってきなさい」

コン太「え?」

ジュディ「2人で向かってきな」

クロロ「い、いいのか?2人が相手って…」
クロロが光の拳を見つめながら言う。

コン太「こ、このオーラの威力だと、ジュディさんに怪我させちゃうんじゃ…」

ジュディ「おいおいおい、ちょっと待て」
ジュディが完全にかちんときて声を尖らせる。

ジュディ「あのね、ちょっとオーラ・ドライブがうまくできたからって調子に乗らないでくれる?
なんか、あんたらが優勢みたいな前提になってるけど、それ完全におかしいから。
怪我するしないの前にそもそもまともに攻撃も当てられないっての。いいから、全力でかかってきな!」

ジュディが大きな瞳で2人を睨みつける。

クロロ「そっか、よしっ!んじゃ遠慮なくいくぜ!」

クロロが腰を落とし、静かにオーラを両足に集める…!

ジュディ「ふん、いつでもどうぞ」

クロロ「…はっ!!!」


ドン!

ジュディ「!!!」

クロロが蹴った勢いで、爆発したかのように地面が捲れ、土が舞い散る!

クロロ「ほほっ!足にオーラ溜めると、とんでもねえスピードになるなあ!飛んでるみたいだ!」

歩幅が何倍にも増え、ジュディとの距離が一瞬で縮まる!!!


ジュディ「は、はやっ!!!なんつースピード!」

クロロ「でやっ!!!」
オーラを宿した拳で3連撃!!!

ジュディが間一髪で避けるが、最後の一撃が肩を掠る!!!

ジュディ「っつ!!!」

連打の勢いのままステップを踏み、体を回転させて蹴りを繰り出す!!!

バシン!光の帯がジュディを捉える!

ジュディ「ぐうっ!」
辛うじて腕で受け止める!
衝撃波が空気を切り裂き、草原の葉を揺らす。

クロロ「へへっ!まだまだいくぜっ!」
腰をぐっと落とすと、空高くジャンプ!

しかし…

クロロ「あれっ?」

ビュンーーー…
あっという間に見えなくなるほどの高さ…。
オーラを溜めすぎたようだ。

ジュディ・コン太 (ぽかーん…)



コン太「はっ!み、見とれてる場合じゃない!よ、よしっボクだって!」

コン太も両足にオーラを集め、一気に駆け出す!
進みながら拳にオーラを凝縮し、爆発させる!

ジュディ「!!!」

きょ、強烈!!!このパワー!!!これは、確実にガードしないとやばい!

ジュディが両手にオーラを増大させ防御の姿勢を取る!

コン太「はぁっ!」
オーラの正拳突き!!!

ドカン!!!!!

オーラとオーラがぶつかり、火花ような光が一面に降り注ぐ!!!

ジュディ「ぐぐう!なんという威力!」

コン太「やっ!」
すかさず上段突き!

バシン!

再びオーラの火花が舞う!

速い!突きも正確だ!

コン太「やあっ!」
光が弧を描いて死角から迫る!

ジュディ(回し蹴り!まだ避けられるスピードだけど、正確に攻撃を仕掛けてくる!さすがの格闘技経験者!)


ひゅーん…


ジュディ「ん?な、なんの音…」


「だっはー!!!!!」

!!!!!

クロロだ!

隕石のようなスピードで、斧のように右脚を振り下ろす!

ジュディ「うそっ!!!」

ドッッッゴーーーン!!!!!

衝撃で地面が噴き上がり、大穴がぽっかり空いている。

ジュディ「あ、あぶな…!や、やばいだろこれは!」

クロロがくるりと飛び上がり、コン太の横に着地した。

クロロ「はぁっ、はぁっ。さ、さすがに、当てられないなぁ」
肩で息を切らしながら言う。

ジュディ「は、ははん!だから言ったでしょ」
ジュディが冷や汗を拭いながら言う。

クロロ「よ、ようし!」
コン太「フルパワーで行こう!」

2人が全身にオーラを凝縮させる!

ゴゴゴゴゴ…

ジュディ「あ、あんたらまだそんな余力があんの?これは、遊んでる場合じゃないね!」

ジュディも全身のオーラを炎のように噴き上げる!

クロロ「でやぁーっ!!!」
コン太「はぁーっ!!!」

増大!!!オーラの圧が爆風のように吹き荒れる!!!

ジュディ「!!!ぐうっ!」

しかし…

クロロ「いっくぞ…お?」
突然、糸が切れた人形のように、千鳥足になる。

コン太「ううっ…!」
コン太の方も、蝋燭を吹き消されたかのように燃え上がっていたオーラが消える。

ばったーん!

そのまま地面に倒れ込んでしまった。

クロロ「ち、力が入らない…な、なんだこりゃ…」
コン太「も、もう動けない…」
虚な目で空を見上げる。


ジュディ「…はぁっ、そりゃ、そこまでフルスロットルでオーラを使えばそうなるわね…。前に、って言ったでしょ。無駄遣いすると、あんたたちのオーラ量だとすぐにガス欠になるよ」

髪をかき上げ、ふうっと息をつく。

ジュディ「それにしても、大したもんだよ。あんたたち。荒っぽいし、力配分がぐちゃぐちゃだけど、攻撃力だけは実戦レベルだわ」

クロロ「へ、へへ」


ジュディ「これは、最速レベルでの免許皆伝もありえるね。よしっ、少し休憩したら、続きやるよ!」

パンパンと手を叩く。

ジュディ「最初に言った通り、無意識のうちに五大基礎を自然にこなせるようになるまでひたすら特訓するからね!
オーラの配分にも意識しながら実践しなさい。あと、あたしの反撃も少しずつ増やしていくから、ガードも怠らないようにね。
それと、目への凝縮は当たり前のようにやりな。戦闘中はもちろん、組織員たるもの、常にオーラの動きを把握しておく必要があるからね。ひどい近視の人が外へ出かけるときにメガネかけないと危ないのと一緒。さ、分かったね?」

ヒュウーと草原に冷たい風が吹き抜ける…。

クロロ「ひ、ひえー…」
コン太「や、やることがいっぱいだ…」



……
………


その頃…

真っ暗な空間。
閉した窓の隙間から僅かな光が差し込み、荒れ果てた瓦礫の山がぼんやりと浮かんでいる…。

「はぁっ?に入りたい?寝ぼけてんの?あんた?」

「まあまあ」

「ハエがアジトに紛れ込んだと思ってわざわざここまで出向いたんだよ?そんで『入りたいんですー』ってアホか」

「ここまでって…入り口まで数メートルじゃん」

「うるさいわね、出向いた甲斐があればともかく、こんな寝ぼけたって」

二つの影がもう一方の一つの影と対峙している。

「ふん、寝ぼけるかどうか、試してやろうか?」
ズズズ…

一つの影の右手から鋭い光が立ち昇る。

「!!!こいつ!」

殺意に満ちたおぞましいオーラだ。

「いや、いい」
二つの影のうち、大柄の方が立ち上がる。

「ちなみに、動機はなんだ?に入りたいっていう動機は」

「強くなりたいからだ」

「強く…?なぜ強さを求める?」

「ふん。もしかして、復讐とか、悲惨な過去とか…そんなんじゃないの?」
小柄な影がふっとため息をつく。

「そんなものは無い。俺は強い。だから上を目指すだけだ」
対峙している一つの影は微動だにしない。

「なに。その自信…なんかきっも」

「自信じゃない。事実だ」
暗闇の中、瞳がギラリと輝き、オーラの光がナイフの様に鋭く光る。

「…いいね。受けて立とうじゃん。そんな程度のオーラ、ひねり潰してやんよ」
小柄な影も立ち上がる。ドス黒いオーラが全身から噴き出している。

「まあまあ、ちょっと待て」

「ああん?」

「ちょっとこっちこい」
大柄の風が小柄な影を引っ張り出す。

「おい、おまえ、逃げんなよ?そこで待ってろ!ちょ、離せよ!おいこら!逃げんなよ!」

「…ふん」



「は?あんないかれたガキを?に会わせる?」

「まあ、会わせるだけだよ。それで断られたら諦めつくだろ(それに、そうしないとアジトでドンパチ始まりそうだから…)」

「まぁ、確実に断られるだろうけど、万一受け入れられることがあったらホントあんた承知しないよ。あたしはあいつマジやだ。生理的に」

「…おまえ…昔俺にも同じこと言ってたぞ」

「あ、そう?でも、あんたも暗いけど、もっと陰湿っていうか。服も全部黒いし、ナルシストっぽいしさ。あ、でも、あんたと似てるかもね。あはは!キモいわほんと」

「…。そんじゃ、のとこに連れてくぞ」



二つの影が瓦礫の空間に戻る。
「いいだろう、上への面会を認めよう」

「…」
黒づくめの影が、ゆっくりと前に出る。
その時、窓から漏れ出した光がその影を照らした。

だ!

「言っとくけど、あんた絶対断られるからね。そしたらすぐにこっから出てきな。次顔を見せたら…」

小柄な影から氷のようなオーラが空気を凍らせる。

「殺すよ」


……
………


バキっ!
ドン!
草原のステージに体と体がぶつかり合う音が響く。

ジュディ「いくよ!」
ジュディが草原の風の様にふわりと舞い、クロロの胸元に光の拳を叩き込む!!!

クロロ「!!!」
すかさず、オーラを集めた腕を十字に組んでガード!!!

バチっ!!!
オーラとオーラが衝突し、光の粒子が弾け飛ぶ。

ずざざざざざ…!
拳を受けた圧力で草原を滑る。腕からは、シュゥーと蒸気が立ち昇っている。

クロロ「ふう…。…ん!?」

バキン!
もう一つの閃光がクロロの前方で瞬く!

そして、光に弾かれるように、コン太がくるくると回転しながら飛び上がり、クロロの横にトっと降り立った。

オーラを漲らせた体は重力が半分になったように軽く、高く跳ねたりアクロバティックな動きをしたりするのも夢の中みたいに自由自在だ。

クロロ「大丈夫か?」

コン太「ああ、ちょっと掠っちゃったけど…」
コン太が左頬を撫でる。

コン太「でも、オーラを集めておけば、攻撃を受けたとしてもダメージは少ない。全身に分厚い毛布を纏って攻撃を受けたような…そんな感じだな…」

クロロ「へへ、確かにな」


ジュディがキラキラ光る髪をなびかせながら、2人に近づく。

ジュディ「ダメージが少ないって言うけどね。ここ最近の特訓は、これまでとは比じゃないくらいのオーラ量で殴ってるよ。生身で受けたら、それこそ命が危ないくらいの…ね」

クロロ「えっ!そうなんか」

ジュディ「すごい成長率だよ、ほんとに」

…今まで、現在のも何人か見たけど、成長のスピードだけでいえば、トップクラス。
特にクロロはありえないポテンシャルを持ってるけど、コン太もコツを掴んでからはぐんぐん伸びてきている。
…移動・凝縮・増大を合わせた組み手を始めて4ヶ月か…。
たった4ヶ月で、凝縮も増大までも、ほとんど自動でコントロールできている。
成長が早いことがそのまま優秀なに繋がるわけじゃないけど…期待はしちゃうわね。

ジュディがふっと息を吐いた。

ジュディ「よしっ!ここらで、2をやってみようか!」
コン太「えっ!?」
クロロ「そういや、試験のときから数えても、コン太と戦うってのは初めてだな…」

コン太「く、クロロと…!」
コン太がくらくらと後ずさる。

(お、おいおいマジか。どう考えても一方的にやられるんじゃないか?
ああ…、試験の光景が蘇るぞ…アルマジロウスを叩き落とした身体能力と馬鹿力、
フンコロガシの黒い塊を砕いた光の拳。お、思えばあの時すでにあいつはオーラ・ドライブをやってみせたってことだよな…?
天狗の時も、とにかくあいつのパワー頼りだったところもある。いやむしろ、1人じゃ合格は無理だったよな?
いくら、ボクもオーラ・ドライブの基礎が少し出来てきたとはいえ…あいつは天才的な
うう…特訓の足をひっぱるイメージしか浮かばない!
ああっかっこわるい姿をジュディさんにも見られてしまう~ぶつぶつ)

ジュディ「…おい、コン太、あたしが何だって?さっきからぶつぶつと」
ジュディがコン太の顔を覗き込んだ。

コン太「!!!ああっ!いやその」
(うひょ~!か、顔近い!い、いい匂い!ぼ、ボクらより年上かもしれないけど…
というかおばさ…い、いや、それはどうでもいい。だってかわいすぎるんだもの…
って、いかんいかん!そんなことを考えてる場合じゃない!これからクロロとの一対一というのに…うえ~ど、どようしよう…)

ジュディ「びびってんでしょ。分かるよ(だって震えてるし)。自信を持ちなさい。試験のときとかはどうだったか知らないけど、いまのあんたらに力の差はないよ」

コン太「ま、まさか!」

ジュディ「むしろ、戦略的な戦い方ができるあんたの方がいい戦いをするかもね。期待してるわ」
そういって、コン太にウインクをした。


コン太「(ずぎゅん!!!か、かわいい…!ぼ、ボクにだけのウインク…)…うおお!」
雄叫びと共に、全身のオーラが燃え上がる!

ジュディ「…(こ、コン太…単純な子…。…本当のところは、規格外なのクロロの方が少し先を行っている。…クロロは底が見えないようなポテンシャルの怪物だ。だけど、実際のところコン太は、そんな怪物合わせのスピードで進められてる特訓に、全然遅れを取らずに着いてきている!
他の組織員だったらとっくに置いてけぼりになってるくらいの特訓に…レベルの差が大きければ同じ特訓にはならない!もっと自信を持つのよ!)



-   クロロvsコン太   -



コン太「…ごくり(冷静に考えろ…。ジュディさんのウインクに完全に浮かれてたけど、冷静にだ。力の差はないってジュディさんは言ってくれたけど…本当にクロロくらいに伸びてるのか、ボクは…?)」

クロロ「よしっ!」
クロロが手のひらを組んで、ググッと前に伸ばす。

クロロ「コン太っ!オレたちきっと相当強くなってるはずだぞ!楽しみだな」

コン太「あ、ああ…(い、いやお前は強いかもしれんが、ボクは果たしてどうなのか。そりゃこれだけ特訓したとはいえ、クロロは常に一歩先を行っていると感じている…。そうか…。クロロとは力の差があるとは自覚していたけど、ボクはこの組み手で、その力の差を現実的に突きつけられそうなのが怖いんだ…)」
コン太がぷるぷると震えている。

ジュディ「…(コン太、再び迷ってるね…このまま戦うと、必ず負けるよ…!自分を信じな!)」

クロロ「準備はいいか?オレは全力で戦うぞ!コン太、おまえも全力で戦ってくれよな!オレたち、こんなに頑張ってきたんだからよ!」
そう言って、大きく手を広げ、ニカっと笑った。

コン太「……か」

自分の道着に目をやる。試験からずっと一緒だったのは、クロロの他にはこの道着だけだ。
その紺色の道着は、あちこちが破れ、ほつれ、擦り傷だらけで、ボロボロになっている。

コン太(…そうか、一番肝心なことを忘れてた…。
じゃないか。
ビーチのときから数えて何万発殴られたか…殴られては、オーラを感じるために集中して、また殴られて吹っ飛ばされて…。
自分の傷や疲れはそのうち癒えるけど、この道着は特に直してもなかったから、今までの全てが生地に刻まれてる…。
これがボクの頑張ってきた証拠だ!ここに刻まれてる全てを出し切ればいい…!…自分を信じて…!)

コン太が拳をぐぐっと握りしめ、キッとクロロを見据えた。

ジュディ「…ふふ(いいね!コン太の目の色が変わった!これまでの積み上げをしっかりと自覚して、自分と向き合った証!
今のコン太のように、自分を信じ切れば、きっと100%の力を出し切れるわ。怖くなったときこそ、歩いてきた道を振り返りなさい。になる!さあ、この組み手の勝敗だって、もはやわからないわ!)」

2人がゆっくりと対峙する。

クロロ「…へへ。なんか緊張するな」

コン太「ぷっ、柄でもないことを…」

クロロ「…」
コン太「…」

クロロの足がじりりと動き、草の葉が擦れる音が風に乗る…!

クロロ「…いくぞ!」


ドンっ!


クロロが草原を這う様にコン太に突進する!
クロロ「はあっ!」

光の軌跡を刻みながら渾身の蹴りがコン太の胴体を狙う!
ジュディでさえ、目で追うのがやっとのスピードだ!

バシン!

コン太の腕が蹴りを受け止め、オーラの火花が舞い散る!
そのまま、クロロの足首を両手で掴むと、地についてる方の足を、薙ぎ払った!

クロロ「うわっ!」

体勢を崩したクロロに正拳突きを叩き込む!
ドン!!!

暴力的な光の塊がクロロの鳩尾に炸裂!
光の尾を引きながら、吹き飛ばされる!

コン太「やった!」

しかし、空中でくるんと体を回転させると、ざざざっと、草原を滑りコン太に笑みを投げる!

クロロ「へへ…!やるなあ!」
クロロの掌から蒸気が揺らめいている。瞬時に掌を重ねてガードしたのだ!

コン太「ちぇっ…、そんなあっけなくやられないか」



草原を雲の影が走り抜ける…。

クロロ「だっ!!!」
コン太「はああっ!」

2人が同時に飛び出る!
その一瞬後に、閃光のような火花が空間に咲き、衝撃が圧となってジュディの髪を揺らす!

ジュディ(…速い!すごいスピードと手数!やっぱ、とんでもないな、この子たちは!)

クロロ「だあっ!」
特大の光の塊となった拳が、火の玉のようにコン太に牙を向く!

コン太「!!!」
素早く腰を落としたコン太の頭上を、クロロの腕が通り過ぎる!

ジュディ(クロロ!あいつはポテンシャルはあるかもしれないけど、格闘経験はでたらめね!あんな大きな空振り!)


コン太が冷静にクロロの死角を読み取り、素早く拳を引いた!

ジュディ「!」

コン太「隙だらけだっ!くらえっ!」
コン太の拳が二重、三重にぶれ、クロロに襲いかかる!


ジュディ「決まったか!?」

クロロの体に拳が到達するその瞬間!
空中で体を捻り、拳をいなした!

クロロ「かかったな!」

ジュディ「なんと!」
クロロ…!あんな自然に隙をさらして…!それを見越したカウンターの作戦か…!?

攻撃の反動で、逆に隙が出来たコン太の背中にクロロの足技が襲いかかる!!!

バキン!

クリーンヒットだ!!!


だが…

クロロ「な、なんで?」

クロロの脇腹には、コン太のつま先が食い込んでいた。

ドンっと、草原に背を付ける。

コン太「はは、カモフラージュさ。お前はボクのオーラの流れや動きを感じ取ってガードしてたろ?だから、感じ取れないように、んだ」

クロロ「…な、そんなことが!」

ジュディ「!うそでしょ!」
って、簡単に言ったけど、それはまさしく5大基礎の四、
カウンターやゲリラ活動で使うオーラ・ドライブのテクニック!攻撃時に消失を取り入れると、それは死角からの攻撃と同じ!
…オーラの光を消している間は、ガードが壊滅的に甘くなるけど、カウンターの後にオーラをしっかり復帰させている…使い方もばっちりだわ。それをいつの間に…!)


コン太「ははん!ジュディさんが言ってたことは本当だったんだな!ボクだって、負けてないぜ!」
コン太が人差し指で鼻の下を得意げに擦る。

コン太「さっ、それじゃもう動けないだろ、大人しく覚悟しな!」

クロロ「ぐっ…!」
確かに、ダメージが大きい…!ガードが不十分な箇所への一撃は、しばらく立ち上がれないくらいに重い…!

コン太がびゅんっ!と高く飛び上がり、拳を引いてクロロに最後の追い打ちをかける!!!

ジュディ(あのスピードの攻撃をクロロが避けるのは難しい…!コン太の勝ちか…!?)


グオオオオオ!!!

コン太の拳がスピードを増してクロロの胴体を目掛けて急降下!!!

コン太「はぁっ!!!」
拳がうなりを上げる!!!


その時!!!

クロロ「ぐううう!」
クロロの右手にオーラが漲る!!!

コン太「なっ!何をいまさら!そんな体勢の突きじゃボクに当たらないぞ!」

た、確かに。これじゃ、拳を突き出しても絶対に当たらねえ…。
で、でも、…!

コン太「ボクの…勝ちだー!!!」
コン太の拳が風を切り裂く!

クロロ「とっ、届けーーー!!!!!」

空中にいるコン太に向かってブワっと掌を突き出した!

ボンっ!!!

破裂音とともにクロロの掌から爆風と火の粉が噴き出した!
まるで持っていた爆弾が爆発したみたいに!
そして、その爆風をかき消すように、が飛び出した!!!


コン太「う、うそっ!」


ドーン!!!


光の弾がコン太の顔面に直撃!
爆煙が盛大に弾け、太陽の光を遮った!


コン太「そ、そんな…」

どしん………
煙を引きながらコン太が力無く草原に落下し、砂埃が舞い上がった…


クロロ「…へ、へへ!や、やったぜ!」

クロロが最後にみせたのは、五大基礎の五、だった!
崖っぷちに追い込まれ、無意識に放った一撃だ!

ジュディ「な、なんてこと…はは。お、教えてもいないのに、も…あきれた」

………
……


その頃。

「ありがとうございました」
「はい、どうも」

モーリーが、よっと、大きな段ボールを抱える。
モーリー(ふう。今回の買付も、すごく良いものが仕入れられましたね)

地球の反対側の国。季節は真冬だ。
白い息が、異国の空に消えてゆく。

モーリー「もうじき、半年ですね…果たしてクロロさんとコン太さんは、ジュディさんの特訓に着いていけてるのか…。順調に行っていれば、そろそろの特訓に差し掛かる頃ですね。まっ、気長に待ちましょう」

石畳の大通りをキョロキョロと見渡し、人の流れが途切れた瞬間を見計らい、ビルとビルの間に滑り込む。

大人一人がやっと通れるくらいの狭い路地に、錆だらけのドアが等間隔で並んでいる。

モーリー「さっ!新作入荷です、忙しくなりますね」

そう言って、手前のドアを開けると、白い空間に消えていった。


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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
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本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

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