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組織(ハウス)見習い編

ー 22 ー ファースト・ミッション①

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ゴ・ザの駅前広場…。

最初に降り立った時と同じ様に、煉瓦敷のテラスの上を多くの人が行き交い、ざわざわとした喧騒に包まれている。

クロロ「ふーっ、あっついなあ。特訓のときは季節が分かんなかったけど、夏かあ!」
手で顔をパタパタと扇ぐ。

「ゴ・ザは常夏だからな」
コン太も腕で額の汗を拭う。


椰子の木が植えられた大きな鉢植えの横には、真夏の太陽のような鮮やかなビビット・オレンジのパラソルが立てられている。

ジュディ「おっ、あそこ空いてるね!」

パラソルの脇にあるカフェのテラス席を指さし、人波の中を早足で進む。

ボディ・ラインを強調するぴったりとしたTシャツとハーフ・パンツを纏った美女に、道行く人が振り返る。

ざわざわ…
「女優か、モデルかな?ねえ、知ってる?」
「すげえ、美人!たまんねえな」
「ゴ・ザにお忍びでバカンスで来てるんじゃないのかしら?」
「なんで、小汚いガキを連れてるんだろ」
「映画かドラマの撮影?後ろに連れてる薄汚れた2人はなんだろう?」
ざわざわ…

コン太(…ううっ、し、視線が痛いぞ…はっ!そうか!ジュディさんのような絶世の美女と、アイドルのような美男子のボクが連れ立って歩いているからか!…あっ!ボクを見て微笑み掛けてくる女の子たちもいるぞ!ようし!)

コン太たちを見てクスクスと笑っている女性グループに、徐にウインクを投げかける。
すると、びっくりしたように飛び上がり、短い悲鳴を上げて駆け足で去って行った。

コン太(ふ、ふふ…。恥ずかしがらせちゃったかな?ボクも罪な男だぜ)




ダーク・グリーンのテラス席に腰を下ろすと、ジュディがシュポッと、タバコに火をつける。

ジュディ「もうじき、モーリーが来るはずよ」
ぷかりと煙を吐き出しながら言う。

クロロ「おおっ!久々だな!そういえば、ここでレノンにも会ったんだよな」

ジュディがむせかえる。
「ごほっ、れ、レノンて、レノン?気安く幹部を呼ぶもんじゃないよ」

コン太「い、いや、実はこいつ、レノンさんと同じ村の出身だそうで」

クロロ「おう、兄貴分さっ!」

ジュディ「ごほっ、ごほっ!」
ジュディが更に咳き込む。
「な、なんと…どえらい村ね」


その時、テーブルにコーヒー・カップがコトリと置かれた。

カップの先に目を遣る。

クロロ「ああっ!モーリー!!!」

「お待たせしました」
モーリーがにこりと笑い、丸い眼鏡をクイっと引き上げた。

クロロ「久しぶり!」
コン太「ご無沙汰してます!」
クロロとコン太が立ち上がる。

モーリー「おやおや、お2人とも背が伸びましたね?特にクロロさん!もう、1年半ぶりですもんね」

クロロ「へへ」

コン太(ギクっ!あいつ確かに!いつの間にかボクよりでかいぞ!同じくらいの身長だったのに!く、くそっ、で、でもこれからだ…!)


モーリー「ふむ…そして…」
丸眼鏡の中の目を細める。

「どうやら、オーラ・ドライブもばっちりのようですね!」

2人はにっと笑って、大きく頷いた。

モーリー(オーラ量が見違えるように増えていますね…史上最速での道場卒業と聞いていましたが…これはこれは…想像以上ですね!)


モーリーが腕を広げる。
「積もる話もあるでしょうが、場所を変えて、早速の説明をしましょうか!このミッションがクリアできる頃には、きっと…」

ちらりとクロロとコン太の右腕に目を遣る。

「そのも外れていることでしょう」

クロロ「おおっ!」
コン太「さ、最初のミッションかあ…一体どんな内容なんだろうか…」


ジュディ「ふふっ」
ジュディがにこりと微笑むと、タバコの火を消して立ち上がる。
「んじゃ、あたしはここでお別れね」

クロロ・コン太「ええっ!?」

「あたしはあくまでだからね、ミッションは担当外なのよ」
ふうっと煙を吐き出す。

「そ、そんなあ」
コン太ががっくりと肩を落とす。

「それにね、うふふ。あんたたちが予定よりずっと早く特訓を終えてくれたおかげで、
残りの時間は羽を伸ばせるの!たっぷりとね!」

ジュディが大きな胸を弾ませてウインクする。

「むふふ!今度こそイケメンの酒池肉林よ!」
ゆらゆらとオーラが湯気のように立ち昇る。

クロロ「あ、あはは。なんだか知らないけど、すげえ気合い入ってるな…」
クロロがぽりぽりと頬をかく。

ジュディ「ふふ。でもね、どんなミッションだって、あんたらなら絶対、大丈夫!このあたしが保証してあげる!」

そう言って右の拳を突き出した。

ジュディ「クロロ、コン太、これから先、組織員としての人生に、平坦な道はほとんどないかもしれないよ。でも、それだけは絶対に忘れないでね!」

クロロとコン太が顔を見合わすと、2つの拳を差し出した!

クロロ「おう!任せとけ!」
コン太「はいっ!」

3人はコツンと拳をぶつけ合った。
夏の日差しが3つの拳をキラキラと照らしている。


モーリー「ふふ。では、行きましょうか。ジュディさん、バカンス、楽しんでくださいね!」

ジュディ「もっちろん!言われなくても全力で満喫するわ!それじゃ、元気でね!」
ジュディがひらひらと右手を振る。

クロロ「ジュディ、ありがとう!!!」
コン太「じゅ、ジュディさん!お世話になりました!」

「またねっ!」
ジュディがふわりと髪をかき上げ、雑踏に消えていく。

「ありがとなー!!!」
クロロの声が人ゴミに吸い込まれていく…。



モーリーがコーヒー・カップを片手に2人に声をかけた。
「では、私たちも行きましょう」


ゴ・ザの駅の構内。
人波を掻き分けた先、奥まったところにひっそりと立つ、がかかったドアを開けた。



-   いざ!最初のミッション!   -



ドアの先は、試験の時に見慣れただ。
レコード・ショップ「ストロベリー・フィールズ」内に作られた、の空間…

「へへへっ、久々だなあ!」
クロロが大きく腕を広げる。

モーリーがふわりと手をかざすと、真っ白な床がぐぐぐっと盛り上がり、三脚の椅子と丸テーブルに姿を変えた。
モーリーがどうぞ、と促す。

モーリー「いよいよ最初のミッションですね」
椅子に腰掛けながら言う。

クロロ・コン太 (ごくり…)

「まず先に言っておくと、このミッションは2てもらいます」
モーリーが丸眼鏡をチャっと引き上げる。

コン太「!!!」

クロロ「お、オレらだけでか!」
ピリッとした緊張が走る。


「でも安心してください。オーラ・ドライブを使える方にとっては、となりますよ」

コン太がほっと息を吐く。


「任務の内容は、が示してくれます」
モーリーの背中からひょっこりと手のひらサイズのドラゴンが顔を出した。

クロロ「あっ!こいつも久しぶりだなあ!」

モーリーの腕を伝い、ぴょこんと床に降りると、トトトっと2人の前で背を見せた。


ズズ……
……
ズズズ………


カナドラゴの胴体に文字が浮き出す…!

!!!

…レ…ビオ…ラ……を…壊滅……せよ…

クロロ「れ、?を、壊滅???ははっ、変なの!何だこりゃ?」


隣を見ると、コン太が青い顔をしてガタガタと震えている。
「れ、れれ、…だって…?」

クロロ「おっ、なんだよ、コン太っ!知ってんなら教えろよ!」
コン太の肩をパシンと叩く。

「ば、ばかやろっ!つーか、なんで知らないんだよ!?レビオラだぞ!?レビオラっ!!!じゃないか!」

クロロ「な、何っ!ま、マフィア…?…って、なんだっけ?」

コン太がずっこける。


モーリー「ふふ、コン太さん、御名答!度々報道でも名前が上がる、最凶最悪として知られるマフィア団ですね」

モーリーが手をかざすと、白い部屋の壁がチカチカと光り、プロジェクターで投影したような映像が映り始めた。

クロロ「おおっ!映画館みたい…」

映像には、炎のようなロゴの下に"leviora"というロゴタイプが組み合わされたマークが映っている。




ーレビオラー

構成員は数十万人とされ、全世界に支部がある最大級規模のマフィア組織。
銃火器だけでなく、戦闘機や戦車、潜水艦と軍隊並みの兵力を所持している。

裏社会の大ボス的なポジションで、政界にも通じており、経済力も小国並みだと言われている。

レビオラの仕事は、テナントの用心棒から、要人の暗殺までと、非常に広い。

敵対組織との抗争と構成員の取り込みを繰り返し、今日に至る大規模組織に成長したとされている。
レビオラとは「火を灯す者」の意。




モーリー「ほとんどの都市に支部が存在していまして、まさにこの街もレビオラの事務所がありますよ」


映像が切り替わり、ツンツンに逆立ったが映し出される。

クロロ「ああっ!あいつ…!じゃんか!」
クロロが目を見開く。

コン太「ぼ、ボス?」

クロロ「そうそう、あいつ!この試験会場に行く前に、レノン兄ちゃんの手紙をばらばらにしたやつだ!」


……
………

クロロ「オレ、クロロってんだ!あの、ちょっと、こっちのボスに教えてもらいたいことがあって」
そういって、赤髪をビシっと指差した。

赤髪「なんだ、このガキはよお~!おい、少年よ。何を教えて欲しいんだって? 俺が知ってることなら教えてやろう」

クロロ「本当?ありがとう!ボス!実は、ちょっと知りたい場所があって・・・」

クロロはレノンの手紙を差し出した。

ビリビリビリ!

クロロの眼前で手紙が真っ二つに破られた!

クロロ「!!!」

ビリ!ビリ!ビリ!

さらに細かく破られ、ハラハラハラ・・・と紙片が舞った。


赤髪「このおっ!クソガキがあ!!!!!」
怒りの形相でクロロに口角泡を飛ばした!

赤髪「このムカついとるときに、何だてめえは!!!!ボスだと?なぜ貴様がボスと呼ぶ?
オレがの人間と知ってのことか?あ?」

………
……


クロロ「…そういや、確かにマフィアだって言ってた気がするな」

コン太「ななっ…!そ、そうだったのか!よく無事だったな…」

「ああ、ふっとばしてやったかんな!」

「ふ、ふっとばしたって…」
コン太が呆れ顔で眉を顰める。

(…く、クロロ、こいつは…やっぱとんでもない奴だな…。末端構成員とはいえ、レビオラと一戦交えていたとは…。
だが………、今考えるべきは、ミッションの内容だ!
モーリーさんは、オーラ・ドライブが使える者にとっては簡単な任務だと言っている。
のボクらでも達成可能だということは、きっと、を叩けということだろう。
だけど、簡単な話じゃないぞ…。
サンホンは地方ではあるが、かなり大きな都市だ…。
支部を中核に、さっきの赤髪のような末端集団が枝分かれしてあちこちにアジトを構えているはず…。
構成員は一体何人くらいなんだろうか。百人?二百人?いや、千人は超えているかもしれない…
その全員が殺傷能力を持つ武器を持っているだろう…。
オーラ・ドライブを使えるとは言え、こちらも相応の装備をしていかないと、怪我だけじゃ済まないかも…。と、どう対策をすればいいのか…ぶつぶつ)


再び画面が切り替わり、のような場所が映し出された。
ジャングルの空撮映像のように、遙か果てまで森林が広がっている。

コン太「ん?ここは…?」

モーリー「都市イーマの郊外にある、の一帯です」

コン太「イーマ国立公園!…確か、世界最大規模の森林面積を持つ国立公園ですよね」

モーリー「そうです、その広さは約30万平方キロメートル。小さな国1つ分くらいはありますね」

コン太「…そ、それが今回のミッションと何か関係が…?」

「もちろんあります!」
モーリーが画面をトントンと叩いた。

「ここがなんですよ」

コン太が顔を歪めてのけぞった。
(なっ!なんだってー!超絶嫌な予感っ!)

クロロ「ほ、本部って…?でも森しかねえけど…」

モーリー「そう、一見するとただの森なんですが…、最新鋭の光学迷彩シールドにより、今ご覧になっている森の一帯が、レビオラの本拠地になっているのです。
我々のと同じ発想ですね。
ただ、もちろんオーラの能力ではないですので、我々にはバレバレなのですが」

モーリーがメガネがチャっと掛け直す。

コン太の額を冷や汗が伝う。

「今回のミッションは、この本部をお2人で壊滅してもらいます!」

コン太(ガガーン!!!)

コン太「ほ、ほほ、本部を壊滅って…こ、この街の支部じゃないんですか?」
コン太がくらくらと後ずさる。

「ははは。まさか、そんなわけないでしょう」
モーリーがニコニコして手を振る。

画面には、いかついダムのような、アーチ型の巨大な要塞が映し出されている。

「これが光学迷彩の中、レビオラ本部です」

映像がズームアウトしていくと、軍事基地のような広大な敷地の中心にアーチ型の要塞が聳え、土地の周囲をコンクリートの巨大な壁が囲っているのが分かる。
敷地内には、レーダーを備えた管制塔のような建造物や格納庫、そして多様な型式の戦車や戦闘機が点在している…。
最新兵器を詰め込んだのようだ。
もはやマフィアというよりは、ほとんど大国の軍隊だ。

「3年に1度、3日間だけ、主要幹部があつまる総会議が行われるのですが、なんと、それがなのです!タイミングばっちりですね!」

モーリーが笑顔で拍手をする。

「お2人には、この本部に直々に乗り込んで頂きます!幹部が集結するタイミングを叩ければ、自ずとレビオラは壊滅するでしょう。ただし…」

銃火器を手にした屈強な構成員が画面を埋め尽くしている。

「まあ、はっきりいって、オーラ・ドライブがなかったら即死です」

クロロ「よ、要は悪いやつらだし、ぶっとばせ、ってことだろうけど…」

画面ぎっしりに映し出された構成員達が、大型のSUVに大量の銃火器を詰め込んでいる。
中にはロケットランチャーを抱えて小型の戦車に乗り込む者もいる。
抗争の様子を切り取った映像のようだが、完全に戦争の風景だ。


コン太「い、いくらなんでも、こりゃ無茶苦茶ですよ!幹部が集まる会議って、この映像どころの警備じゃないですよね…?こ、こんなの命がいくつあっても足りないのでは…」

「ふふふ。不安な気持ちは分かりますが、最初に言ったとおり、我々のミッションの位置付けとしては、至極簡単なものですよ。もっと言うと、ハウスのメンバーになってからは、こんなミッションはそうそうないでしょう」

クロロ「な、生ぬるい…?こ、これが?」

モーリー「…お2人は、ジュディさんの道場を経て、オーラ・ドライブを修得しました。
ただ、これはあくまて初歩の初歩。ようやく芽が出たばかりです。
これを育てて花を咲かすためには、が必要です。

オーラを使う経験が、オーラそのものの成長に直結します。
そして、よりリスクのある実戦の方が、成長スピードが早い。特に、を遂げます。のです」

コン太「い、命の危機…!」

モーリー「ははは、少し脅かし過ぎましたかね。…ですが、難しいミッションが山ほどあるのは事実です。そして、そんなミッションを乗り越える度に、組織のメンバーは一回り大きくなって帰ってきます」

クロロ「…め、メンバーになるには、やるしかねえってことか。命を賭けた実戦…、オーラ・ドライブで…!」

試験のアイテムで作られたバングルは、腕に固く巻き付いたままだ。
特訓でも随分オーラを使ったが、まだまだ見習いレベルからは抜け出せていないという証拠…。


コン太「で、でもマフィアとは言え…なぜ壊滅を…」

「ふふ、さすがはコン太さん、大事なポイントです。では、このミッションの目的をお話ししましょう!」



-   レビオラ壊滅ミッションについて  -



「…ハウスとレビオラは仕事の分野的に競合していますが、ハウス側からすると、ため、これまで積極的に関与することはなかったのです。
ですが、先方からすると、我々はとにかくに邪魔な存在であり、どうにかして潰してしまいたいようでした。
そして最近、が、レビオラに加入していたことがわかったのです。加入してからはおそらく数年…

元ハウスメンバーの名はチャップマン。

老齢の組織員で、生物工学のスペシャリストだったため、と呼ばれていました。
戦闘員ではなく、在籍していたチームでは、メンバーの肉体強化のサポートをしていました。

脱退する組織員は一定数います…。もちろん脱退後も、何かハウスの不利益になるような行動をすれば、すぐに処分されるでしょう。
ただ中には、巧妙に組織の目を掻い潜って離反をする者もいます…」


コン太「そ、その1人がこの元組織員、ドクター・チャップマン…ということですか?」

モーリーが無言で頷いた。

コン太「れ、レビオラで何を?」

モーリーが目を閉じて首を振った。
「レビオラ本部で研究開発をしているようですが、何の研究をしているか、不明なのです。…

クロロ「い、今は?」

その時、床にいたカナドラゴが、ぴょんと白いテーブルに飛び乗り、先ほどの指令が浮き出た方とは反対側の胴体を差し出した。

クロロ・コン太「ああっ!!!」

カナドラゴの体には、が浮き出ていた。

調


「…そういうことです」
モーリーがにっこりと微笑んだ。

「ドクター・チャップマンが、世界的マフィア団レビオラで一体何の研究をしているのかを突き止め、今後一切、妙な動きができないように、レビオラごと潰していただく。これが今回のミッションの目的です」

コン太「こ、これをボクたち2人だけで…」

クロロとコン太は自分の拳を見つめた。

確かに、1年半に及ぶオーラ・ドライブのスパルタ特訓を乗り越え、実戦を想定した組み手も数えきれないほどこなしてきた。
しかし、リアルな実戦は全くもって未経験だ…。
それに加えて、相手は一国の軍隊のような兵力を持つマフィア団レビオラ。
更には、隙を突くことが不可能なくらい、これ以上無いほどの厳戒態勢ときている。
そして、極め付けは元組織員の存在…。

コン太(…ううう…。ど、どう楽観的に見積もっても銃火器による攻撃を受けざるを得ないだろう。
重鎮が集まる、最大級の警備が敷かれた要塞の中に殴り込むんだ…。それもレビオラの…)

画面では、ちょうどグレネード・ランチャーから放たれた弾丸が、黒塗りのいかつい自動車をひっくり返しているところが映し出されている。

(…い、いや…!こりゃミサイル攻撃もあり得るぞ…!!!あ、あわわ)

コン太の全身からどっと冷や汗が吹き出す。


その時、クロロが真っ白い椅子から立ち上がった!
両手の拳をぐっと握り、目を閉じると、すうっと息を吸い込む…

そして…

「はっ!!!」

モーリー・コン太「!!!」

バシュっ!と音を上げ、クロロの全身がオーラの炎に包まれる!

モーリー「…!おお、こ、これはこれは」

クロロ「…へへ。コン太っ!オレたちのオーラ・ドライブ、どこまで通用すんのか、いよいよ試せるんだな!」

コン太「!!!」

クロロ「初めてのミッション!やばそうだけど、これは想像以上だっ!!!ワクワクするぜ!なあ、コン太!」

コン太「…!!!」

クロロのオーラが熱を帯びる!

コン太(わ、ワクワクってこいつ…!な、何を…)

その時、コン太の頭の中に、ジュディの言葉が響いた。

ー今まで歩んだ道のりを振り返って、自分を信じること!それだけは絶対に忘れないで!ー

コン太「う、うぐぐ」
(拳銃にライフル、ロケットランチャーに戦車…マジでこういった兵器に狙い撃ちにされるかもしれない…!それに謎の元組織員…モーリーさんは非戦闘員って言ってたけど、組織員であった以上はオーラ・ドライブも使えるだろう…
い、今までは、こんな無茶苦茶な状況は到底受け入れられなかったけど…)

クロロのオーラを見つめる。
ゴオッと、ガスバーナーのように燃え上がり、周囲を照らしている。

(く、クロロ、こいつは本気だ…!心底本気だぞ!絶対にやれると信じてる!く、くそっ!)

コン太の脳裏に、ジュディとの特訓が蘇る!

(ぼ、ボクだって、乗り越えてきた!あのとんでもない特訓を…!
特訓を乗り越えたのは紛れもない事実だっ!こ、これまでは逃げてきたかもしれないけど…!)

コン太がボロボロになった紺色の道着を見つめる。特訓の証、努力の痕跡だ!
そして、画面に映るレビオラの構成員に目を遣る。

(ぐぐっ…、こ、今度は!今度は逃げないぞ!よ、弱気に潰されるな!)

コン太が拳をぐっと握ると、体中に渦巻く不安や恐怖を無理矢理押し出すように、全身からオーラを爆発させた!

バシュッ!!!

モーリー「!!!おおっ!コン太さんも…!これは素晴らしい…!」

コン太「ふ、ふふ!わかってるさ!や、やってやるぜ!これまでの道のりも、随分ハチャメチャだったけど、どうにか乗り越えてきたんだからな」

クロロがにっと微笑む。
クロロ「おう!その通りだぜっ!」

モーリー「ふふ。覚悟が決まったようですね」
(しかし、いざ2人のオーラ・ドライブを目の当たりにすると…瞬間的に引き出せるオーラ量でいえば、私を超えているかもしれませんね…いやはや先が楽しみです…!)


2人がふうっと息を吐くと、オーラの残滓が花火のようにキラキラと光を瞬かせて消えていった。



「だ、だけど…、今回、たまたま3年に一度の会議と当たるなんて…。そ、そんな偶然ってあるんですね」

「ははは。偶然というか、大量にある案件の中から、今のあなたたちにマッチしたものがセレクトされただけです。
今回、あなたたちが道場から戻ったタイミングで存在するミッションの中で、最も最適だったものが、本件だったというわけです。
道場から戻ってきたのが一週間遅れたら、それはその時の案件が当てられたでしょう」

コン太「な、なるほど…」

モーリー「まあ、でも元組織員の案件はレアだし、前向きに楽しんでください!」

クロロ・コン太「は、はは」


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