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完結2
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人はえてして噂好きだ。
そしてまだ子供である学園に通う子息子女たちは
自分たちがする噂のその影響力がどれほどあるか
図りきれずに大きくしてしまうことがある。
今回は王家の失策だ。気づくのが遅れ対応が遅れ
手がつけられなかった。
学園の生徒はみな思い思いに噂し、それは尾ひれを伴い瞬く間に広がった。
そうなったのは皮肉にも第二王子たちが彼女と出会うまで、元は優秀であった。
そしてそれ故に油断ができ、監視が野放しになっていた。
彼らがおいそれと自分から醜聞を振りまくような行動はしないだろうと
信頼ゆえの油断が不幸を招いた。
そういうことだろう。
ミリも婚約者を信頼していた。
だから噂を初期の段階で打ち消し、王子を諌め
彼女から引き離すことが出来ず親密にさせてしまった。
悔やんでも悔やみきれないこと。
ミリが知るころには学園でその噂は持ちきりで
手を尽くす前に学園の外に出てしまった。
「マリアさん、せめて貴方が生粋の貴族だったなら」
「なによ、まだ私を馬鹿にする気?」
「貴族はね、とても臆病なの。貴族が権威にこだわり庶民と一線を引くのは
庶民以上に貴族が庶民である民衆を恐れていることもあるのよ。民衆が一致団結してしまえば王家の威信が揺らぐことさえあるのよ。
せめて貴族同士ならたちの悪い天上人の遊びである醜聞とかわせたわ。
でもあなたではそれができなかったの」
マリアの無理解にミリは嘆息し、もういい加減状況を理解してきただろう
王子たちへとその矛先を向ける。
「庶民の間で殿下達のゴシップが面白おかしく話されているようですわ。
なんでも一人の女に手玉に取られる馬鹿な王族と貴族。
しかもその手玉に取るのは下町で評判の悪い身持ちのわるい女の娘
その娘も庶民時代から男が途切れないような少女だったとか
色々、庶民の新聞に書かれているようで…そんな女に落とされ貢ぎまくる王子は希代の阿呆だと評判ですわ。民衆の中にはそんな王子に税を使われているのかと怒っているものもいるとか。庶民出に翻弄される王子と殿下は庶民に見下され、侮られたのよ」
そのまま捨て置けば民衆に最悪の場合、
暴動を起こす火種を与えることにもなりかねない
ミリは最新のまだ新聞にも載っていない情報を口にする。
「マリア様が男爵家に養子として迎えられた裏に隣国との陰謀を
唱えるものがおりまして、殿下達の間諜としてマリア様が情報を流していたと
一部のものが騒いでおります。陛下もこれには苦慮されまして。王妃様は
昨日、それはもう必死にマリア様との関わりは否定され
戯れ程度だとして実はそれらの噂の真偽を図るために態と女に近づいただけだと最後には婚約者である私がいると昨日はあつまったご婦人たちに説明されておいででした。私たちの結婚は政治的にとても重要な意味を持つ結婚です。
それを疎かにすることはないと今度の陛下のお誕生日の夜会で大々的にそのことを発表すると火消しに奔走しておいででした」
いつもの余裕がない王妃様の姿がミリの中で過ぎる。
「まもなく王家からの使者が迎えにこられるでしょう。そこでこれからの殿下たちの処遇を話し合う審判がなされるはずです。
もうよろしいですか、殿下。この茶番劇をおしまいにしても」
魂の抜けたように座り込む王子にミリはそれ以上かける言葉もなく
取り巻きたちとともにその場を後にする。
最後にマリアへと振り返ったミリはマリアの耳元にこう囁く
「ゲームごっこは楽しかった?攻略対象を落とすのは面白かった?
でもこれは現実だったのよ。もう少し上手く立ち回ってほしかったわ」
マリアの目が限界まで見開かれるがミリは答えを問うことはなくその場を去った。
すべては自業自得。身から出た錆だが、それに巻き込まれたミリたちはたまったものではなかった。
「これからどうなるのでしょう」
不安そうに零す令嬢にミリは力なく微笑む。
「大丈夫ですわ。ほどなくして私と側室の子である第一王子との
婚約が整うはずです。その頃にはすべて上手くいくように陛下たちがとりなしていてくれるでしょう」
「…ミリ様」
「婚約破棄後にすぐに婚約は体面が悪いですが、女など政治を上手くいかせるための駒と知っております。ですが皆さんを不幸にさせたりなどしませんわ。
私は生まれもって王妃となるように育てられました。すばらしい王妃となって見せましょう。ねえ皆さん、支えてくださいますでしょう?」
※これで一応の完結です。急ぎ足で書いたので矛盾するところもあると思いますが
おいおい書き直そうと思います。
お付き合いくださりありがとうございました。
人はえてして噂好きだ。
そしてまだ子供である学園に通う子息子女たちは
自分たちがする噂のその影響力がどれほどあるか
図りきれずに大きくしてしまうことがある。
今回は王家の失策だ。気づくのが遅れ対応が遅れ
手がつけられなかった。
学園の生徒はみな思い思いに噂し、それは尾ひれを伴い瞬く間に広がった。
そうなったのは皮肉にも第二王子たちが彼女と出会うまで、元は優秀であった。
そしてそれ故に油断ができ、監視が野放しになっていた。
彼らがおいそれと自分から醜聞を振りまくような行動はしないだろうと
信頼ゆえの油断が不幸を招いた。
そういうことだろう。
ミリも婚約者を信頼していた。
だから噂を初期の段階で打ち消し、王子を諌め
彼女から引き離すことが出来ず親密にさせてしまった。
悔やんでも悔やみきれないこと。
ミリが知るころには学園でその噂は持ちきりで
手を尽くす前に学園の外に出てしまった。
「マリアさん、せめて貴方が生粋の貴族だったなら」
「なによ、まだ私を馬鹿にする気?」
「貴族はね、とても臆病なの。貴族が権威にこだわり庶民と一線を引くのは
庶民以上に貴族が庶民である民衆を恐れていることもあるのよ。民衆が一致団結してしまえば王家の威信が揺らぐことさえあるのよ。
せめて貴族同士ならたちの悪い天上人の遊びである醜聞とかわせたわ。
でもあなたではそれができなかったの」
マリアの無理解にミリは嘆息し、もういい加減状況を理解してきただろう
王子たちへとその矛先を向ける。
「庶民の間で殿下達のゴシップが面白おかしく話されているようですわ。
なんでも一人の女に手玉に取られる馬鹿な王族と貴族。
しかもその手玉に取るのは下町で評判の悪い身持ちのわるい女の娘
その娘も庶民時代から男が途切れないような少女だったとか
色々、庶民の新聞に書かれているようで…そんな女に落とされ貢ぎまくる王子は希代の阿呆だと評判ですわ。民衆の中にはそんな王子に税を使われているのかと怒っているものもいるとか。庶民出に翻弄される王子と殿下は庶民に見下され、侮られたのよ」
そのまま捨て置けば民衆に最悪の場合、
暴動を起こす火種を与えることにもなりかねない
ミリは最新のまだ新聞にも載っていない情報を口にする。
「マリア様が男爵家に養子として迎えられた裏に隣国との陰謀を
唱えるものがおりまして、殿下達の間諜としてマリア様が情報を流していたと
一部のものが騒いでおります。陛下もこれには苦慮されまして。王妃様は
昨日、それはもう必死にマリア様との関わりは否定され
戯れ程度だとして実はそれらの噂の真偽を図るために態と女に近づいただけだと最後には婚約者である私がいると昨日はあつまったご婦人たちに説明されておいででした。私たちの結婚は政治的にとても重要な意味を持つ結婚です。
それを疎かにすることはないと今度の陛下のお誕生日の夜会で大々的にそのことを発表すると火消しに奔走しておいででした」
いつもの余裕がない王妃様の姿がミリの中で過ぎる。
「まもなく王家からの使者が迎えにこられるでしょう。そこでこれからの殿下たちの処遇を話し合う審判がなされるはずです。
もうよろしいですか、殿下。この茶番劇をおしまいにしても」
魂の抜けたように座り込む王子にミリはそれ以上かける言葉もなく
取り巻きたちとともにその場を後にする。
最後にマリアへと振り返ったミリはマリアの耳元にこう囁く
「ゲームごっこは楽しかった?攻略対象を落とすのは面白かった?
でもこれは現実だったのよ。もう少し上手く立ち回ってほしかったわ」
マリアの目が限界まで見開かれるがミリは答えを問うことはなくその場を去った。
すべては自業自得。身から出た錆だが、それに巻き込まれたミリたちはたまったものではなかった。
「これからどうなるのでしょう」
不安そうに零す令嬢にミリは力なく微笑む。
「大丈夫ですわ。ほどなくして私と側室の子である第一王子との
婚約が整うはずです。その頃にはすべて上手くいくように陛下たちがとりなしていてくれるでしょう」
「…ミリ様」
「婚約破棄後にすぐに婚約は体面が悪いですが、女など政治を上手くいかせるための駒と知っております。ですが皆さんを不幸にさせたりなどしませんわ。
私は生まれもって王妃となるように育てられました。すばらしい王妃となって見せましょう。ねえ皆さん、支えてくださいますでしょう?」
※これで一応の完結です。急ぎ足で書いたので矛盾するところもあると思いますが
おいおい書き直そうと思います。
お付き合いくださりありがとうございました。
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