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epilogue
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『ねえ、そのお菓子私にも頂戴』
君という人はよく勘違いされるけれど本当は誰より努力して
自分を変えてきた人だと俺は思う。
第一王子であるヨゼフはこの日、はじめて婚約者としてミリアーナ・ロードナーとあった。もちろん婚約者としての初の顔合わせだというだけで彼女のことは知っている。彼女自身はどうかは知らないがヨゼフにとって今日という日は特別だった。
いい女だな。
自分の目の前に座った女性を見て思う。
女性には素直に賞賛を贈れと王子教育で教えられてきたが
そういうジェントルな心構えがなくても目の前の女性には自然とその言葉が男なら出ておかしくはないだろう。
社交界の大輪のバラ
そういわれる彼女は完璧だ。
白い肌に金糸のような美しい髪。瞳は赤に近いアメジスト
線の細さ、くびれた腰つき。色気の前にそれを禁じるような神聖な静謐さを持った女性は男に無言の禁欲を押し付けるようでそれが返って男の闘志を燃やす。
並の男ではその隣に並ぶことは出来ない。
そういう意味で弟(第二王子)は気後れし、道を誤ったのかもしれない。
他人事だが今のヨゼフにとってはこれ以上ない僥倖だった。
幼き日にはじめて彼女を見た時、妖精が現れたのかと思った。
ヨゼフは一人、笑みを浮かべる。
昔の彼女は今ほど気高くもなくまた近寄りがたい孤高さも備えていなかった。
普通になんにでも興味を示す元気な女の子の心を持っていた。
『だめです、お嬢様。このお菓子は下町で求めたものでお嬢様が食べていいものではありません』
『えー、でもとってもおいしそう。食べたいの。駄目?』
『だめです』
何も貴族ばかりが人を差別している訳じゃない。階級を持たない庶民も
同じように貴族である彼女に線引きしそう扱うのだ。
だがそう扱った城に勤めるした働きの娘たちが悪かったのではない。
そういう社会なのだ。身分制度が強くしかれたこの国は。
城の中をお付を巻いて迷い込んできただろう貴族と分かる娘。
休憩時間にお茶をしていた使用人たちは驚きとっさに行動したのだろう。
自分たちが食べていたお菓子をさっさと仕舞い、厄介ごとはごめんだと
少女一人その場に残し蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
一人寂しく肩を下げる少女にヨゼフは自分の境遇を重ねてしまう。
だから声をかけてしまった。
『おい、泣くなよ』
普段貴族など大嫌いな少年が貴族の少女を心配した。
はじめてのことだった。
『あら、人がいたのね』
だがそんな彼にこの後予想外のことが起きる。
『ねえ、あそこの棚に隠してあるお菓子を取ってくれる?一緒に食べましょう。』
にこりと笑った少女は小悪魔だった。
一緒に食べたお菓子は不思議な味がした。
正直、それがお菓子自体の味だったのかともに食べた人間がそうだったからなのか。後に同じものを取り寄せてもただの甘いお菓子だったのだから明白だろう。
ヨゼフは彼女に一目ぼれしていた。
『これは勝手に食べてしまったお詫びに入れときましょう』
そう言って菓子皿に入れられたのはきれいな髪留め。
ヨゼフはこっそりそれを懐にしまって変わりに金貨を一枚入れておいた。
あの少女はあの時以上に人を惹きつけてやまない女性へと変貌を遂げた。
焦がれてやまない女性にこれまで手を伸ばすのは禁忌だった。
それが馬鹿な弟が失脚し叶うというのだ。
ヨゼフは巡ってきた機会に自分の人生がまだ捨てたものでないと知る。
「白い結婚を望みます」
その浮かれはやるヨゼフを彼女はまた絶望へと突き落とす。
■□■
ミリは目の前に座った男を見た。
自分の新たな婚約者となった男だ。第一王子だというこの男の子とは常識程度には知っている。
浅黒い肌はこの国ではない南方の血を感じさせ
自分のうちに秘めた獣を上手く隠すように冷静沈着をさらに印象付けるような
眼鏡は理にかなうものしか受け取らないという彼の冷酷さを物語る
評判を裏付けるようだ。
そしてこの男のピンクブロンドの髪はどこかの誰かを連想させて
ミリがこの男を嫌う理由の一つだ。
もっとも彼女は金茶の髪に添えた程度の桃色だったが
こちらは毒々しいまでにそまった血の色に近い桜色で角度によって
紫がかる。
しっかりとついた筋肉と共にその整った甘いマスクと
垂れ流すようなフェロモンで女性は一目で惚れるというその軟弱さがミリはすかない。大変優秀という話だがミリは第二王子の毒のない金の髪や憎めないかわいさを持った暖かい陽だまりのような無邪気な顔が好きだった。
そう思ってまだ引きずる自分に唇をかむ。
とにかくこの男とは相性が悪い。
夫婦となっても距離をとって接したい。ミリは思惑をそのまま隠さず告げた。
「婚約は仕方ないものとします。ですが結婚まではしなくてはいいのではないかと思っています。貴方も好いた女性がいるのなら私に遠慮は要りません。所詮政略です。愛する方を側室とすればいい。その前に今の国政が落ち着くまでは我慢しますが当初の噂どおり他国の姫を迎えるのもいいでしょう。性格のいい出来た女性を私も陛下に推薦しましょう。その後に婚約は解消とし、私は修道院へと入ります」
ずっと考えていたことだ。ミリの言葉に淀みも迷いもない。
第二王子と王妃の失脚の後、ミリの予想通り陛下から第一王子との婚約を
言い渡された。
「…まだ弟のことを引きずっているのですか?」
第一王子が問う。
その言葉はせっかく出来たばかりのかさぷたを剥がすようにミリに痛みを与えた。
「いいえ。よく考えてこの国の王妃となる娘には傷のない娘がよいだろうと判断したからですわ。」
ミリがにっこりと笑みを浮かべて答える。
ミリの本心など透けて見えるとこの男は遠まわしに言うのだろうか。
探るような言葉がミリの傷ついた心を見透かした上でミリ自身を値踏みしているようでミリをイライラさせた。
「…もし、私が貴方を望むとしたら?」
「ご冗談を。一度男に捨てられた傷のついた娘です」
「あれは男が愚かだっただけだ。誰でも知っている」
王子は引き下がらない。
ミリの視線が険しくなる。
この男の言葉はいちいち癇に障る。
すんなりと第一王子がミリの要求に応じると思っていたようだ。
そして回転の速い頭をめぐらせて答えを探っているのだろう。
しばらくすると彼女は納得したように笑った。
「ロードナー公爵家は貴方の後ろ盾となりましょう。たとえ私と婚姻という結びつきを持たずとも第一王子を支持します」
これで安心すればいい。
「そうではない。貴方は私を支えてくださらないのか?」
「無理ですわ」
ミリの言葉に両者の間に見えない火花が飛んだ。
それを二人は確かに感じ取った。
「俺はあきらめませんよ」
王子が被っていた王子としての仮面を脱ぎ捨て隠していた獣の本性をちらつかせる。
それに絶対零度の氷姫の冷たい笑みでミリが受けて立つ。
「わたくし、婚約した男を破滅に導く悪女ですの」
態と女性にあるまじき下品な言いようで自分を貶める。
こんなことを言う女と知れば大概の男はミリに幻滅するはずである。
そしてこれはミリ自身の後悔と自戒の言葉でもあった。
「ほう。俺には幸運の女神にしか見えない」
なのに男は笑う。そんな言葉では揺るがないと。
「死神ですわ」
精一杯の拒絶でミリは返した。
一部の噂で第二王子の失脚の裏で暗躍したのはミリだと実しやかに噂されている。その噂の元になるものは多く、第一にミリという女性がありながらそれをないがしろにした第二王子にミリが制裁をしたという動機と
第二王子の失脚の大きな決め手となった庶民へと広がった王子の噂。
あれを先導した新聞社が実はミリの派閥にいる娘の実家の新聞社でだからかそれに誘導されるようにミリたちに対する内容はどれも同情的だったとされる噂。
そして元はあの王妃の息子であり、アレさえなければ王となっても問題がない程度には優秀であったということ。
最も優秀さで言えば側室腹の第一王子の方がはるかに上であり。
故に第一王子が長らく粗雑に扱われた理由にもなるがそこら辺は割愛する。
今まで王妃の子を王にとする派閥が主流で長年辛苦を味わい邪魔扱いされたのが第一王子だ。それが長男でありながら婚約者なしに現れている。
そのことに関して王子本人は感謝しているぐらいだが。
いつか政の道具で知りもしない他国の女と番わせられるか売られた国に婿に出されるか。その道しかない未来に反発して優秀になろうと決意した
そして他国に出すことが上手くない選択だと思わせるくらいには自分は実績を上げた。
ただ、自分のものになりもしない女を影からでも見ていたいそのたった一つの願いのため。
傷ついた傷を隠し、凛としながらも癒えない傷はどんな強気に見せようと大人から見ればいたいけだ。どんなに頭では理解しようと心は他を拒絶する。
心を見透かされたなど彼女からすれば屈辱だろう。
白い結婚を望まれるほど自分たちは遠く、溝は深い。
だが、それでも逃れられないだろう政略で縛られた結婚にヨゼフは笑う。
いかに切れ者だとされる公爵令嬢でも恋は同じと言うことだろう。
まだ二十歳にもみたいない少女にとって初恋だっただろう恋心が消えるのは時間がかかるらしい。自分が思う以上に恋情とは理性でままならない。
ヨゼフはよく知っていた。知っていて待つ覚悟もある。
すべてを包み込むように愛したいと思える。
「君が私の妻となると頷いてくれるまでいつまででも待とう。必ず忘れさせてみせると誓う」
ミリの前の男はミリの願いとは別の願いを持って
そう爽やかに宣言した。
※影の薄さで空気よりも薄かった第一王子、出してみました。
とりあえず他とキャラ被りないようにキャラのパーソナルデータは
どエスに見せかけたどえむの変態で。
思えば私ヤンデレ書くのが一番得意だったと思い出す。
別のお話を望まれてたと思いますが一応これをエピにします。
本編の方、書き直ししようかと思いましたがキャラ設定きちんとして
書いたら本当の長編になってしまううえにまったく別物出来上がりそうだったんでやめておきます。未熟なのも実力。あまり改稿もないだろうとおもうので少しの手直しにとどめたいと思います。
長くなりましたが、ここまでこれたこと途中で書くの断念せずにおれたのは読んでくださる方がいたからだと思います。ありがとうございました。
※こちら2015/09/04~2015/09/30に別の場所で投稿したものです。そちらを閉じるので移動しました。
『ねえ、そのお菓子私にも頂戴』
君という人はよく勘違いされるけれど本当は誰より努力して
自分を変えてきた人だと俺は思う。
第一王子であるヨゼフはこの日、はじめて婚約者としてミリアーナ・ロードナーとあった。もちろん婚約者としての初の顔合わせだというだけで彼女のことは知っている。彼女自身はどうかは知らないがヨゼフにとって今日という日は特別だった。
いい女だな。
自分の目の前に座った女性を見て思う。
女性には素直に賞賛を贈れと王子教育で教えられてきたが
そういうジェントルな心構えがなくても目の前の女性には自然とその言葉が男なら出ておかしくはないだろう。
社交界の大輪のバラ
そういわれる彼女は完璧だ。
白い肌に金糸のような美しい髪。瞳は赤に近いアメジスト
線の細さ、くびれた腰つき。色気の前にそれを禁じるような神聖な静謐さを持った女性は男に無言の禁欲を押し付けるようでそれが返って男の闘志を燃やす。
並の男ではその隣に並ぶことは出来ない。
そういう意味で弟(第二王子)は気後れし、道を誤ったのかもしれない。
他人事だが今のヨゼフにとってはこれ以上ない僥倖だった。
幼き日にはじめて彼女を見た時、妖精が現れたのかと思った。
ヨゼフは一人、笑みを浮かべる。
昔の彼女は今ほど気高くもなくまた近寄りがたい孤高さも備えていなかった。
普通になんにでも興味を示す元気な女の子の心を持っていた。
『だめです、お嬢様。このお菓子は下町で求めたものでお嬢様が食べていいものではありません』
『えー、でもとってもおいしそう。食べたいの。駄目?』
『だめです』
何も貴族ばかりが人を差別している訳じゃない。階級を持たない庶民も
同じように貴族である彼女に線引きしそう扱うのだ。
だがそう扱った城に勤めるした働きの娘たちが悪かったのではない。
そういう社会なのだ。身分制度が強くしかれたこの国は。
城の中をお付を巻いて迷い込んできただろう貴族と分かる娘。
休憩時間にお茶をしていた使用人たちは驚きとっさに行動したのだろう。
自分たちが食べていたお菓子をさっさと仕舞い、厄介ごとはごめんだと
少女一人その場に残し蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
一人寂しく肩を下げる少女にヨゼフは自分の境遇を重ねてしまう。
だから声をかけてしまった。
『おい、泣くなよ』
普段貴族など大嫌いな少年が貴族の少女を心配した。
はじめてのことだった。
『あら、人がいたのね』
だがそんな彼にこの後予想外のことが起きる。
『ねえ、あそこの棚に隠してあるお菓子を取ってくれる?一緒に食べましょう。』
にこりと笑った少女は小悪魔だった。
一緒に食べたお菓子は不思議な味がした。
正直、それがお菓子自体の味だったのかともに食べた人間がそうだったからなのか。後に同じものを取り寄せてもただの甘いお菓子だったのだから明白だろう。
ヨゼフは彼女に一目ぼれしていた。
『これは勝手に食べてしまったお詫びに入れときましょう』
そう言って菓子皿に入れられたのはきれいな髪留め。
ヨゼフはこっそりそれを懐にしまって変わりに金貨を一枚入れておいた。
あの少女はあの時以上に人を惹きつけてやまない女性へと変貌を遂げた。
焦がれてやまない女性にこれまで手を伸ばすのは禁忌だった。
それが馬鹿な弟が失脚し叶うというのだ。
ヨゼフは巡ってきた機会に自分の人生がまだ捨てたものでないと知る。
「白い結婚を望みます」
その浮かれはやるヨゼフを彼女はまた絶望へと突き落とす。
■□■
ミリは目の前に座った男を見た。
自分の新たな婚約者となった男だ。第一王子だというこの男の子とは常識程度には知っている。
浅黒い肌はこの国ではない南方の血を感じさせ
自分のうちに秘めた獣を上手く隠すように冷静沈着をさらに印象付けるような
眼鏡は理にかなうものしか受け取らないという彼の冷酷さを物語る
評判を裏付けるようだ。
そしてこの男のピンクブロンドの髪はどこかの誰かを連想させて
ミリがこの男を嫌う理由の一つだ。
もっとも彼女は金茶の髪に添えた程度の桃色だったが
こちらは毒々しいまでにそまった血の色に近い桜色で角度によって
紫がかる。
しっかりとついた筋肉と共にその整った甘いマスクと
垂れ流すようなフェロモンで女性は一目で惚れるというその軟弱さがミリはすかない。大変優秀という話だがミリは第二王子の毒のない金の髪や憎めないかわいさを持った暖かい陽だまりのような無邪気な顔が好きだった。
そう思ってまだ引きずる自分に唇をかむ。
とにかくこの男とは相性が悪い。
夫婦となっても距離をとって接したい。ミリは思惑をそのまま隠さず告げた。
「婚約は仕方ないものとします。ですが結婚まではしなくてはいいのではないかと思っています。貴方も好いた女性がいるのなら私に遠慮は要りません。所詮政略です。愛する方を側室とすればいい。その前に今の国政が落ち着くまでは我慢しますが当初の噂どおり他国の姫を迎えるのもいいでしょう。性格のいい出来た女性を私も陛下に推薦しましょう。その後に婚約は解消とし、私は修道院へと入ります」
ずっと考えていたことだ。ミリの言葉に淀みも迷いもない。
第二王子と王妃の失脚の後、ミリの予想通り陛下から第一王子との婚約を
言い渡された。
「…まだ弟のことを引きずっているのですか?」
第一王子が問う。
その言葉はせっかく出来たばかりのかさぷたを剥がすようにミリに痛みを与えた。
「いいえ。よく考えてこの国の王妃となる娘には傷のない娘がよいだろうと判断したからですわ。」
ミリがにっこりと笑みを浮かべて答える。
ミリの本心など透けて見えるとこの男は遠まわしに言うのだろうか。
探るような言葉がミリの傷ついた心を見透かした上でミリ自身を値踏みしているようでミリをイライラさせた。
「…もし、私が貴方を望むとしたら?」
「ご冗談を。一度男に捨てられた傷のついた娘です」
「あれは男が愚かだっただけだ。誰でも知っている」
王子は引き下がらない。
ミリの視線が険しくなる。
この男の言葉はいちいち癇に障る。
すんなりと第一王子がミリの要求に応じると思っていたようだ。
そして回転の速い頭をめぐらせて答えを探っているのだろう。
しばらくすると彼女は納得したように笑った。
「ロードナー公爵家は貴方の後ろ盾となりましょう。たとえ私と婚姻という結びつきを持たずとも第一王子を支持します」
これで安心すればいい。
「そうではない。貴方は私を支えてくださらないのか?」
「無理ですわ」
ミリの言葉に両者の間に見えない火花が飛んだ。
それを二人は確かに感じ取った。
「俺はあきらめませんよ」
王子が被っていた王子としての仮面を脱ぎ捨て隠していた獣の本性をちらつかせる。
それに絶対零度の氷姫の冷たい笑みでミリが受けて立つ。
「わたくし、婚約した男を破滅に導く悪女ですの」
態と女性にあるまじき下品な言いようで自分を貶める。
こんなことを言う女と知れば大概の男はミリに幻滅するはずである。
そしてこれはミリ自身の後悔と自戒の言葉でもあった。
「ほう。俺には幸運の女神にしか見えない」
なのに男は笑う。そんな言葉では揺るがないと。
「死神ですわ」
精一杯の拒絶でミリは返した。
一部の噂で第二王子の失脚の裏で暗躍したのはミリだと実しやかに噂されている。その噂の元になるものは多く、第一にミリという女性がありながらそれをないがしろにした第二王子にミリが制裁をしたという動機と
第二王子の失脚の大きな決め手となった庶民へと広がった王子の噂。
あれを先導した新聞社が実はミリの派閥にいる娘の実家の新聞社でだからかそれに誘導されるようにミリたちに対する内容はどれも同情的だったとされる噂。
そして元はあの王妃の息子であり、アレさえなければ王となっても問題がない程度には優秀であったということ。
最も優秀さで言えば側室腹の第一王子の方がはるかに上であり。
故に第一王子が長らく粗雑に扱われた理由にもなるがそこら辺は割愛する。
今まで王妃の子を王にとする派閥が主流で長年辛苦を味わい邪魔扱いされたのが第一王子だ。それが長男でありながら婚約者なしに現れている。
そのことに関して王子本人は感謝しているぐらいだが。
いつか政の道具で知りもしない他国の女と番わせられるか売られた国に婿に出されるか。その道しかない未来に反発して優秀になろうと決意した
そして他国に出すことが上手くない選択だと思わせるくらいには自分は実績を上げた。
ただ、自分のものになりもしない女を影からでも見ていたいそのたった一つの願いのため。
傷ついた傷を隠し、凛としながらも癒えない傷はどんな強気に見せようと大人から見ればいたいけだ。どんなに頭では理解しようと心は他を拒絶する。
心を見透かされたなど彼女からすれば屈辱だろう。
白い結婚を望まれるほど自分たちは遠く、溝は深い。
だが、それでも逃れられないだろう政略で縛られた結婚にヨゼフは笑う。
いかに切れ者だとされる公爵令嬢でも恋は同じと言うことだろう。
まだ二十歳にもみたいない少女にとって初恋だっただろう恋心が消えるのは時間がかかるらしい。自分が思う以上に恋情とは理性でままならない。
ヨゼフはよく知っていた。知っていて待つ覚悟もある。
すべてを包み込むように愛したいと思える。
「君が私の妻となると頷いてくれるまでいつまででも待とう。必ず忘れさせてみせると誓う」
ミリの前の男はミリの願いとは別の願いを持って
そう爽やかに宣言した。
※影の薄さで空気よりも薄かった第一王子、出してみました。
とりあえず他とキャラ被りないようにキャラのパーソナルデータは
どエスに見せかけたどえむの変態で。
思えば私ヤンデレ書くのが一番得意だったと思い出す。
別のお話を望まれてたと思いますが一応これをエピにします。
本編の方、書き直ししようかと思いましたがキャラ設定きちんとして
書いたら本当の長編になってしまううえにまったく別物出来上がりそうだったんでやめておきます。未熟なのも実力。あまり改稿もないだろうとおもうので少しの手直しにとどめたいと思います。
長くなりましたが、ここまでこれたこと途中で書くの断念せずにおれたのは読んでくださる方がいたからだと思います。ありがとうございました。
※こちら2015/09/04~2015/09/30に別の場所で投稿したものです。そちらを閉じるので移動しました。
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