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後編3 あえて胸糞が悪くなるように悪意あるように書いてます。ご容赦を。
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「うそ!うそ!うそ!この女はっ私を嵌めようと嘘を言っているのよ!だってこの女は私を陥れようとする悪役令嬢だもの!そのくらいのことやるわ!!それに私見たんです殿下!昨日の朝、学校で職員室に入っていくこの女の後姿を!殿下もご覧になったでしょう?たくさんの取り巻きを連れたこの女の姿、あの巻き毛は確かにこの女でしたでしょ?」
「あ、ああ。確かに俺たちは朝、学校でミリを見た」
「ほらごらんなさい。嘘つき」
殿下たちを味方につけたマリアが彼らに同意をつけてミリへと振り返る。
こちらに唾は飛んできてないわよね。
これまでの可憐で大人しく男性が思わず守ってやりたくなるような
か弱く儚い淑女の演じていた男爵令嬢であるマリアが化けの皮をはがしたように
喚きだしたのにミリは咄嗟に手に持っていた扇で彼女の唾がかからないようガードした。万が一でもあんな小汚い女の唾が一滴でも顔にかかるなんて嫌。
その一瞬の条件反射で扇でさりげなく顔を隠したその流れるような所作は
武道のたしなみを感じるほど無駄がなく流れるようにしなやかだったが
今はそこを指摘するものは誰もいなかった。
ただミリの嘘を暴いたと満足そうに笑うマリアを皆みていた。
「出席簿にも貴方が昨日は出席だったと生徒会の顧問の先生も言っていたわ。貴方は昨日学校にいたわ!そして私に殿下のことを詰った後、指輪を投げつけて私を階段から突き落としたのっ!!」
その顔には何か狂気に取りつかれたような恐ろしさがあった。
「あら、それは無理じゃないかしら」
一人、黙ったミリに己の価値を見たと勝手にほくそ笑み睨みつけるマリアたちに予想もしなかった外野から声がかかった。
「昨日、私もミリ様と一緒に王妃様のお茶会に出席いたしました。昨日はとても忙しくて、貴方の言うようなことができる暇が一時でもあったととても思えませんわ。ねえ、皆さま」
「まあ、これは侯爵家令嬢のアイネ様に伯爵令嬢のユーリア様、子爵令嬢のミント様。おはようございます」
「「「おはようございます。ミリ様」」」
ミリがこのバカバカしい茶番劇に新たに参加してきてくれた令嬢三人に
場の空気にそぐわない朝の挨拶を交わす。
それに三人も麗らかに返事を返す。
「昨日はお疲れさまでした。忙しくてとても疲れましたわね。」
「それは仕方ありませんわ。王妃様のお茶会ですもの。何か粗相があっては一大事です。朝から一分の隙も無いようお化粧から洋服の着付けからしていく宝石を身に着けて重いのなんの。何時間も時間がかかってしまうから早起きもつらかったですわ」
「まあ、ミント様ったら」
「ですが確かに。特に王妃様のお気に入りであらせられるミリ様は支度にお時間がかかったでしょう。それから学校に王妃様のお茶会ですからそのことを職員室で先生に告げて公欠扱いの出席にしてもらわなければならず出向いたでしょう。万一にもお茶会に遅刻するわけにもいかず時間に余裕はありましたが、大慌てでしたわね。でも朝からミリ様は完璧でしたわ。素晴らしいお召し物に着けていらした宝飾品が素晴らしくてどれも王家にも引けを取らないような一級品ばかりでしたもの」
「ええ、どの品も素晴らしく私共でもとても手が出ないようなもの。特に子爵家のミントなどはそのあまりの豪華さに息をのんでいましたわ」
「ええ、子爵家の私にはその一つでも買ったら家が破産しそうですわ。ですがその中に庶民が買える指輪があったようにはとてもとても思えませんでしたわ」
「まあ、皆さま。お褒めのお言葉、なんだかくすぐったいですわ」
「「「ご謙遜を」」」
「でも不思議ですわね。昨日学校にいたのはその一時だけで周りには私どもやその従者。果ては寮に王宮からの迎えの使者も来ていて誰も転げ落ちる男爵家のマリアさんを見ていないんですもの」
「本当ですわね」
「階段から落ちたということですから保健室に運ばれた記録でもあるかと思いますが、だれか知りませんか?」
令嬢の一人が周囲を見回し声をかける。
「私、保健委員ですが昨日一日、そんな記録ありません」
それに一人の女生徒が答える。
「階段から落ちて保健室にもいかないなんて随分頑健なのですわね」
扇で口を隠した複数の貴族の女生徒たちがくすくすくすと顔を見合わせあいながら囁き笑いあう。
「うそ!うそ!うそ!この女はっ私を嵌めようと嘘を言っているのよ!だってこの女は私を陥れようとする悪役令嬢だもの!そのくらいのことやるわ!!それに私見たんです殿下!昨日の朝、学校で職員室に入っていくこの女の後姿を!殿下もご覧になったでしょう?たくさんの取り巻きを連れたこの女の姿、あの巻き毛は確かにこの女でしたでしょ?」
「あ、ああ。確かに俺たちは朝、学校でミリを見た」
「ほらごらんなさい。嘘つき」
殿下たちを味方につけたマリアが彼らに同意をつけてミリへと振り返る。
こちらに唾は飛んできてないわよね。
これまでの可憐で大人しく男性が思わず守ってやりたくなるような
か弱く儚い淑女の演じていた男爵令嬢であるマリアが化けの皮をはがしたように
喚きだしたのにミリは咄嗟に手に持っていた扇で彼女の唾がかからないようガードした。万が一でもあんな小汚い女の唾が一滴でも顔にかかるなんて嫌。
その一瞬の条件反射で扇でさりげなく顔を隠したその流れるような所作は
武道のたしなみを感じるほど無駄がなく流れるようにしなやかだったが
今はそこを指摘するものは誰もいなかった。
ただミリの嘘を暴いたと満足そうに笑うマリアを皆みていた。
「出席簿にも貴方が昨日は出席だったと生徒会の顧問の先生も言っていたわ。貴方は昨日学校にいたわ!そして私に殿下のことを詰った後、指輪を投げつけて私を階段から突き落としたのっ!!」
その顔には何か狂気に取りつかれたような恐ろしさがあった。
「あら、それは無理じゃないかしら」
一人、黙ったミリに己の価値を見たと勝手にほくそ笑み睨みつけるマリアたちに予想もしなかった外野から声がかかった。
「昨日、私もミリ様と一緒に王妃様のお茶会に出席いたしました。昨日はとても忙しくて、貴方の言うようなことができる暇が一時でもあったととても思えませんわ。ねえ、皆さま」
「まあ、これは侯爵家令嬢のアイネ様に伯爵令嬢のユーリア様、子爵令嬢のミント様。おはようございます」
「「「おはようございます。ミリ様」」」
ミリがこのバカバカしい茶番劇に新たに参加してきてくれた令嬢三人に
場の空気にそぐわない朝の挨拶を交わす。
それに三人も麗らかに返事を返す。
「昨日はお疲れさまでした。忙しくてとても疲れましたわね。」
「それは仕方ありませんわ。王妃様のお茶会ですもの。何か粗相があっては一大事です。朝から一分の隙も無いようお化粧から洋服の着付けからしていく宝石を身に着けて重いのなんの。何時間も時間がかかってしまうから早起きもつらかったですわ」
「まあ、ミント様ったら」
「ですが確かに。特に王妃様のお気に入りであらせられるミリ様は支度にお時間がかかったでしょう。それから学校に王妃様のお茶会ですからそのことを職員室で先生に告げて公欠扱いの出席にしてもらわなければならず出向いたでしょう。万一にもお茶会に遅刻するわけにもいかず時間に余裕はありましたが、大慌てでしたわね。でも朝からミリ様は完璧でしたわ。素晴らしいお召し物に着けていらした宝飾品が素晴らしくてどれも王家にも引けを取らないような一級品ばかりでしたもの」
「ええ、どの品も素晴らしく私共でもとても手が出ないようなもの。特に子爵家のミントなどはそのあまりの豪華さに息をのんでいましたわ」
「ええ、子爵家の私にはその一つでも買ったら家が破産しそうですわ。ですがその中に庶民が買える指輪があったようにはとてもとても思えませんでしたわ」
「まあ、皆さま。お褒めのお言葉、なんだかくすぐったいですわ」
「「「ご謙遜を」」」
「でも不思議ですわね。昨日学校にいたのはその一時だけで周りには私どもやその従者。果ては寮に王宮からの迎えの使者も来ていて誰も転げ落ちる男爵家のマリアさんを見ていないんですもの」
「本当ですわね」
「階段から落ちたということですから保健室に運ばれた記録でもあるかと思いますが、だれか知りませんか?」
令嬢の一人が周囲を見回し声をかける。
「私、保健委員ですが昨日一日、そんな記録ありません」
それに一人の女生徒が答える。
「階段から落ちて保健室にもいかないなんて随分頑健なのですわね」
扇で口を隠した複数の貴族の女生徒たちがくすくすくすと顔を見合わせあいながら囁き笑いあう。
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