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未来からの雷神
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「亜威音」
艦橋。
「敵アイオワ級、少なくとも5隻沈黙」
「了解。早急にモンタナ級を排除します。」
「斉射続けよ、敵モンタナ級検知次第火力を集中!」
艦長たる、「彼女」のか細い声を、副長松田千秋大佐が大声で通達する。
しかし。ここは未だ、ハルゼー直率の米戦艦部隊から距離150キロオーバー。
一体どうやって?
「宜候!51サンチ電磁加速砲1番から4番射撃続け!」
そう、レールガン…!
それも3門5基の主砲に加え、同3基の30サンチ副砲群も…。
「距離145000、重巡群 輝点7。」
「副砲群、5連斉射!」
「宜候、うちーかたーはじめ!」
「うちかたーはじめ!」
「観測機より入電!4隻に命中、中破以上確実!」
「り、理論上は可能だが、しかし…。」
「そう難しくもありません。その気になればその辺の理系学生でも趣味感覚で作成可能です。」
開戦2ヶ月前の艦政本部「4号艦」建造特別会議。
「いや、あまりにも…。」
「いえ、超大和級に見合う51サンチ巨大艦砲の鋳造よりは戦機に間に合う可能性が高いと考えます。
むろん電磁砲にも実戦用としての欠陥はありますが、この艦限定の一点ものと割り切れば…。
課題の一つである超高圧電流の供給に関しても、この艦の主機を以てすれば…。」
そう、そして彼女ならば…。
「よくぞ…感謝!!」
引き続き戦艦部隊と亜威音に弾着情報を送りつつ、久保は零戦88型のコクピットより内心手を合わせた。
一方…ハルゼー艦隊は大混乱に陥っていた。
「ノースカロライナ爆沈!」
「そんな…ただの一撃で…。」
「そ、それ以前にどれだけの距離から撃って来てるんだ!?」
「発射速度も…1分間3発以上…。」
「か、閣下…。」
カーニーが蒼白な顔を向けてくる。
ぐぬぬ。
この俺が、逆上して周囲を怒鳴りつけることも出来ぬとは…
ジャップ…。
何をどうやってこんな突き抜けた異次元の砲熕兵器を…。
次に何かを言おうとした瞬間。
「アイオワⅡが!」
頭を抱える幕僚もいた。
他ならぬモンタナ級の僚艦が、艦橋を消し飛ばされ、斜めに侵入した砲弾に主砲塔弾薬庫を貫かれ大爆発を起こしたのである。
あらゆるダメージコントロールシステムを嘲笑うかのような…。
この威力!
地獄はまだ続く。
ほぼ全ての戦艦が中破以上のダメージを喰い、そこへ小澤直率の日本艦隊の反撃の砲火。
アメリカ側旗艦のモンタナも傾斜が15度に迫る。
当然、40隻を超える駆逐艦部隊が健在であったのだが…。
そこへテニアン基地より整備、装備換装を終えた野中五郎率いる富嶽5機。
そして温存されていた新鋭4発重爆連山27機。
「しゃあ!宵のカチコミこそ出入りの華よ、全機4式50ミリ連装噴進砲使用自由!」
「合点承知!」
まだギリギリまで粘っていた数十機のベアキャット群に損害を出しつつも…。
圧巻の火箭の嵐で次々と大火災を起こす米駆逐艦群
(退くべきだ…)
ハルゼーの頭の中で、スプルーアンスの声が響く。
それはハルゼー自身のものでもあった。
既に航空戦力だけでも、60%を超える損耗。
水上兵力もすでに実質半壊。
いや、モノならば我が合衆国は無尽蔵に再生できる。
しかし、人はそうはいかぬ。
莫大な労力をかけ育成したパイロット、水兵…。それが…。
戦死者は1万に達しておるかも知れぬ…。
敵海軍を壊滅させてさえ、割に合わな過ぎる。
そしてあの、モンスターを超えた悪魔…。
現状の被害をこれ以上拡大させては…。
俺1人のクビでは。
その時、衝撃に艦橋が激しく揺れる。
第一砲塔部分に、敵大和級の砲弾が直撃。
誘爆が多区画に及び、モンタナ前方で大爆発が2度…。
「いかん、先刻までの左舷破口が再度開いた!」
「浸水止めろ!D11から18をロック!」
「間に合いません、傾斜20度!」
「閣下…。」
モンタナ艦長マシソンがハルゼーの正面に立ち、敬礼する。
「あたら新鋭艦を申し訳ございません。
これ以上の艦の保全に自信が持てませぬ故、何卒退艦を。既に駆逐艦10隻を護衛兼乗組員救助用に呼び出しております。」
「…!
貴様、俺に2度命を拾えと?」
ハルゼーの形相に、しかしマシソンは引かなかった。
「閣下はスプルーアンス提督同様、我が太平洋艦隊の柱であります。
閣下に万一のことあらば、合衆国海軍がいかに精強となろうとも、片翼をもがれた状態で戦わねばなりません。」
ハルゼーは何か言い返そうとしたが、若く屈強な水兵がsorryと叫び両脇を抑える。
「マシソン!ここからは1人でも多く救命し、ハワイ方面に逃れることを考えよ!
これは無論全艦隊への命令でもある。
あと、マシソン、貴様も死ぬな!」
「米艦隊、沈没寸前の艦から続々退艦。
残余の戦艦5隻基幹とした主力はハワイ方面に避退の模様!
繰り返す…。」
大和連合艦隊戦闘指揮所、先に避退していた葛城の指揮所から全艦にその報が伝わる。
「か、勝ったんかワイら…。」
「い、生きとる、足も生えとる。」
「おいっ、藤浪、勝ったぞ。」
「か、神風じゃあ…。」
万歳!万歳!ばんざーい!!!
葛城指揮所。
飛行服姿のまま、指揮所に入る久保拓也。
出入り口にて敬礼する。
それに他の幕僚同様、山口多聞第一機動艦隊司令が敬礼を返し、直後にニヤリ。
?
指揮所の隅の壁にもたれかかり、飛行帽を脱いだだけの姿でカリンが「爆睡」していた。
艦橋。
「敵アイオワ級、少なくとも5隻沈黙」
「了解。早急にモンタナ級を排除します。」
「斉射続けよ、敵モンタナ級検知次第火力を集中!」
艦長たる、「彼女」のか細い声を、副長松田千秋大佐が大声で通達する。
しかし。ここは未だ、ハルゼー直率の米戦艦部隊から距離150キロオーバー。
一体どうやって?
「宜候!51サンチ電磁加速砲1番から4番射撃続け!」
そう、レールガン…!
それも3門5基の主砲に加え、同3基の30サンチ副砲群も…。
「距離145000、重巡群 輝点7。」
「副砲群、5連斉射!」
「宜候、うちーかたーはじめ!」
「うちかたーはじめ!」
「観測機より入電!4隻に命中、中破以上確実!」
「り、理論上は可能だが、しかし…。」
「そう難しくもありません。その気になればその辺の理系学生でも趣味感覚で作成可能です。」
開戦2ヶ月前の艦政本部「4号艦」建造特別会議。
「いや、あまりにも…。」
「いえ、超大和級に見合う51サンチ巨大艦砲の鋳造よりは戦機に間に合う可能性が高いと考えます。
むろん電磁砲にも実戦用としての欠陥はありますが、この艦限定の一点ものと割り切れば…。
課題の一つである超高圧電流の供給に関しても、この艦の主機を以てすれば…。」
そう、そして彼女ならば…。
「よくぞ…感謝!!」
引き続き戦艦部隊と亜威音に弾着情報を送りつつ、久保は零戦88型のコクピットより内心手を合わせた。
一方…ハルゼー艦隊は大混乱に陥っていた。
「ノースカロライナ爆沈!」
「そんな…ただの一撃で…。」
「そ、それ以前にどれだけの距離から撃って来てるんだ!?」
「発射速度も…1分間3発以上…。」
「か、閣下…。」
カーニーが蒼白な顔を向けてくる。
ぐぬぬ。
この俺が、逆上して周囲を怒鳴りつけることも出来ぬとは…
ジャップ…。
何をどうやってこんな突き抜けた異次元の砲熕兵器を…。
次に何かを言おうとした瞬間。
「アイオワⅡが!」
頭を抱える幕僚もいた。
他ならぬモンタナ級の僚艦が、艦橋を消し飛ばされ、斜めに侵入した砲弾に主砲塔弾薬庫を貫かれ大爆発を起こしたのである。
あらゆるダメージコントロールシステムを嘲笑うかのような…。
この威力!
地獄はまだ続く。
ほぼ全ての戦艦が中破以上のダメージを喰い、そこへ小澤直率の日本艦隊の反撃の砲火。
アメリカ側旗艦のモンタナも傾斜が15度に迫る。
当然、40隻を超える駆逐艦部隊が健在であったのだが…。
そこへテニアン基地より整備、装備換装を終えた野中五郎率いる富嶽5機。
そして温存されていた新鋭4発重爆連山27機。
「しゃあ!宵のカチコミこそ出入りの華よ、全機4式50ミリ連装噴進砲使用自由!」
「合点承知!」
まだギリギリまで粘っていた数十機のベアキャット群に損害を出しつつも…。
圧巻の火箭の嵐で次々と大火災を起こす米駆逐艦群
(退くべきだ…)
ハルゼーの頭の中で、スプルーアンスの声が響く。
それはハルゼー自身のものでもあった。
既に航空戦力だけでも、60%を超える損耗。
水上兵力もすでに実質半壊。
いや、モノならば我が合衆国は無尽蔵に再生できる。
しかし、人はそうはいかぬ。
莫大な労力をかけ育成したパイロット、水兵…。それが…。
戦死者は1万に達しておるかも知れぬ…。
敵海軍を壊滅させてさえ、割に合わな過ぎる。
そしてあの、モンスターを超えた悪魔…。
現状の被害をこれ以上拡大させては…。
俺1人のクビでは。
その時、衝撃に艦橋が激しく揺れる。
第一砲塔部分に、敵大和級の砲弾が直撃。
誘爆が多区画に及び、モンタナ前方で大爆発が2度…。
「いかん、先刻までの左舷破口が再度開いた!」
「浸水止めろ!D11から18をロック!」
「間に合いません、傾斜20度!」
「閣下…。」
モンタナ艦長マシソンがハルゼーの正面に立ち、敬礼する。
「あたら新鋭艦を申し訳ございません。
これ以上の艦の保全に自信が持てませぬ故、何卒退艦を。既に駆逐艦10隻を護衛兼乗組員救助用に呼び出しております。」
「…!
貴様、俺に2度命を拾えと?」
ハルゼーの形相に、しかしマシソンは引かなかった。
「閣下はスプルーアンス提督同様、我が太平洋艦隊の柱であります。
閣下に万一のことあらば、合衆国海軍がいかに精強となろうとも、片翼をもがれた状態で戦わねばなりません。」
ハルゼーは何か言い返そうとしたが、若く屈強な水兵がsorryと叫び両脇を抑える。
「マシソン!ここからは1人でも多く救命し、ハワイ方面に逃れることを考えよ!
これは無論全艦隊への命令でもある。
あと、マシソン、貴様も死ぬな!」
「米艦隊、沈没寸前の艦から続々退艦。
残余の戦艦5隻基幹とした主力はハワイ方面に避退の模様!
繰り返す…。」
大和連合艦隊戦闘指揮所、先に避退していた葛城の指揮所から全艦にその報が伝わる。
「か、勝ったんかワイら…。」
「い、生きとる、足も生えとる。」
「おいっ、藤浪、勝ったぞ。」
「か、神風じゃあ…。」
万歳!万歳!ばんざーい!!!
葛城指揮所。
飛行服姿のまま、指揮所に入る久保拓也。
出入り口にて敬礼する。
それに他の幕僚同様、山口多聞第一機動艦隊司令が敬礼を返し、直後にニヤリ。
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指揮所の隅の壁にもたれかかり、飛行帽を脱いだだけの姿でカリンが「爆睡」していた。
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