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第十九章 旅に出る弟子と騎士
439.更なる祝福
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サラマンダー様から有益な情報も教えていただいたし、名残惜しいけど急ぐ身だ。
もっとお話もしたいけど、用も済んでしまったし出発した方がよさそうだ。
「サラマンダー様、ありがとうございました。早速師匠を追いかけようと思います」
「そうか。ではまたそのうちにゆっくりと会おう」
「レイヴンはいつも忙しそうだね。たまにはゆっくりと休むんだよ」
「シルフィード様も、この度は本当にありがとうございました」
二人の精霊王はにこやかに微笑んでくれる。俺たちはお礼を言ってお別れしようとしたんだけど、急に鍛冶場が騒がしくなり始めた。
「なんだ? みんなわらわらと入り口の方へ飛んでいったな」
「まさか、隠れ里に何か危険が近づいて来てるとか?」
俺とウルガーで顔を見合わせて頷き、何が起きてもいいように心構えと準備をしているとシルフィード様がクスクスと楽しそうに笑い始めた。
「いつもは寝てる気がするんだけど、さすがに僕ら二人がいると分かっちゃうか」
「ドワーフの隠れ里を住処にしているのは私じゃないからな。我らが揃ったのに気づいて目を覚ましたんだろう」
精霊王のお二人は楽しそうな雰囲気だから、危険なことではないのは理解したんだけど……サラマンダー様のお言葉が気になる感じだ。
すると、バタバタとブロさんが笑いながらやってきた。
「今日はすごい一日だな! 若いの、お前は本当に凄いヤツかもしれねぇ。我らの王までおでましたぁ、運がいい。姿が見られるだけでも凄いってのに、起きてらっしゃるなんてな!」
「それって……」
俺が確認する間もなく、ドワーフさんたちの間からヌッと誰かが姿を現して俺たちの方へ近づいてきた。
長い薄茶の髪をゆるりと一つに束ね、灰色のつなぎのような服を纏った若い男の人?
もしかして……?
「あなたは……地の精霊王、ノーム様ではありませんか?」
「正解。炎と風の気配を感じたから目が覚めた」
「ふふ。ノーム、おはよう」
シルフィード様は楽しそうに話しかけているけど、俺とウルガーは二人で顔を見合わせる。
ただいま、大混乱中だ。
まさか、この場に精霊王が三人も集まってしまうなんて。
俺たちだって驚くくらいだから、ドワーフの皆さんも驚くよな。
「この子はレイヴン。僕と今さっきサラマンダーも祝福を与えた子だよ」
「然り。ノームはどうしてここに?」
「二人がいるのが分かって、気になったから。それに……この子の雰囲気、少し変わってるな」
ノーム様は屈んで俺の顔をじっくりと眺める。
俺がハーフエルフだということは、見れば一発で分かることだけど……それが変わってるってことなのかな。
「優しい気配がする。ウンディーネの祝福も?」
「もちろん。レイヴンはウンディーネの子だ。と言っても、ウンディーネが人間だった頃のだけど」
「……そっか。寝てる間に見つかったのか」
ノーム様はめったに人前に姿を現さないとは聞いていたけど、精霊王様たちと会うことも稀なのかもしれない。
というか、この状況が珍しすぎるんだよな。
「うわー……俺、おいてきぼりなんですけど……」
「大丈夫。俺もついていけてない」
ウルガーと一緒に顔を見合わせていると、ノーム様が改めて俺の手を取った。
ほんのりと暖かい手だけど、力強さも感じる不思議な手だ。
「レイヴン、オレも祝福する。この里で出会ったのは意味があるはず。この力も役立ててほしい」
「え? でも、俺は……」
「大丈夫。ノームは少し変わってるけど、レイヴンの雰囲気で分かるんだ。君がどんな子なのかって」
「我らを同時に召喚することは難しいかもしれないが、いつかできるようになると信じている」
炎と風の精霊王様まで俺のことを後押ししてくれているのに、ここで断るなんて失礼すぎるよな。
俺は、よろしくお願いしますと伝えて目を閉じる。
すると、俺の手にじわりと暖かさと力強さが流れ込んできた。
「これで、おしまい。ふわぁ……久々に祝福を送ったから眠い」
「ノームとはめったに会わないから、僕も久々に会えて嬉しかったよ。今度お茶でもしようね」
「気が向いたら。じゃあ、サラマンダーもまた。レイヴン、困った時は呼んで」
「はい。ありがとうございました」
俺がお礼を言って頭を下げると、ノーム様は集まっていたドワーフさんたちの頭をなでながら行ってしまった。
もっとお話もしたいけど、用も済んでしまったし出発した方がよさそうだ。
「サラマンダー様、ありがとうございました。早速師匠を追いかけようと思います」
「そうか。ではまたそのうちにゆっくりと会おう」
「レイヴンはいつも忙しそうだね。たまにはゆっくりと休むんだよ」
「シルフィード様も、この度は本当にありがとうございました」
二人の精霊王はにこやかに微笑んでくれる。俺たちはお礼を言ってお別れしようとしたんだけど、急に鍛冶場が騒がしくなり始めた。
「なんだ? みんなわらわらと入り口の方へ飛んでいったな」
「まさか、隠れ里に何か危険が近づいて来てるとか?」
俺とウルガーで顔を見合わせて頷き、何が起きてもいいように心構えと準備をしているとシルフィード様がクスクスと楽しそうに笑い始めた。
「いつもは寝てる気がするんだけど、さすがに僕ら二人がいると分かっちゃうか」
「ドワーフの隠れ里を住処にしているのは私じゃないからな。我らが揃ったのに気づいて目を覚ましたんだろう」
精霊王のお二人は楽しそうな雰囲気だから、危険なことではないのは理解したんだけど……サラマンダー様のお言葉が気になる感じだ。
すると、バタバタとブロさんが笑いながらやってきた。
「今日はすごい一日だな! 若いの、お前は本当に凄いヤツかもしれねぇ。我らの王までおでましたぁ、運がいい。姿が見られるだけでも凄いってのに、起きてらっしゃるなんてな!」
「それって……」
俺が確認する間もなく、ドワーフさんたちの間からヌッと誰かが姿を現して俺たちの方へ近づいてきた。
長い薄茶の髪をゆるりと一つに束ね、灰色のつなぎのような服を纏った若い男の人?
もしかして……?
「あなたは……地の精霊王、ノーム様ではありませんか?」
「正解。炎と風の気配を感じたから目が覚めた」
「ふふ。ノーム、おはよう」
シルフィード様は楽しそうに話しかけているけど、俺とウルガーは二人で顔を見合わせる。
ただいま、大混乱中だ。
まさか、この場に精霊王が三人も集まってしまうなんて。
俺たちだって驚くくらいだから、ドワーフの皆さんも驚くよな。
「この子はレイヴン。僕と今さっきサラマンダーも祝福を与えた子だよ」
「然り。ノームはどうしてここに?」
「二人がいるのが分かって、気になったから。それに……この子の雰囲気、少し変わってるな」
ノーム様は屈んで俺の顔をじっくりと眺める。
俺がハーフエルフだということは、見れば一発で分かることだけど……それが変わってるってことなのかな。
「優しい気配がする。ウンディーネの祝福も?」
「もちろん。レイヴンはウンディーネの子だ。と言っても、ウンディーネが人間だった頃のだけど」
「……そっか。寝てる間に見つかったのか」
ノーム様はめったに人前に姿を現さないとは聞いていたけど、精霊王様たちと会うことも稀なのかもしれない。
というか、この状況が珍しすぎるんだよな。
「うわー……俺、おいてきぼりなんですけど……」
「大丈夫。俺もついていけてない」
ウルガーと一緒に顔を見合わせていると、ノーム様が改めて俺の手を取った。
ほんのりと暖かい手だけど、力強さも感じる不思議な手だ。
「レイヴン、オレも祝福する。この里で出会ったのは意味があるはず。この力も役立ててほしい」
「え? でも、俺は……」
「大丈夫。ノームは少し変わってるけど、レイヴンの雰囲気で分かるんだ。君がどんな子なのかって」
「我らを同時に召喚することは難しいかもしれないが、いつかできるようになると信じている」
炎と風の精霊王様まで俺のことを後押ししてくれているのに、ここで断るなんて失礼すぎるよな。
俺は、よろしくお願いしますと伝えて目を閉じる。
すると、俺の手にじわりと暖かさと力強さが流れ込んできた。
「これで、おしまい。ふわぁ……久々に祝福を送ったから眠い」
「ノームとはめったに会わないから、僕も久々に会えて嬉しかったよ。今度お茶でもしようね」
「気が向いたら。じゃあ、サラマンダーもまた。レイヴン、困った時は呼んで」
「はい。ありがとうございました」
俺がお礼を言って頭を下げると、ノーム様は集まっていたドワーフさんたちの頭をなでながら行ってしまった。
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