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第十六章 遊戯に翻弄される魔塔主と弟子と騎士と聖女
400.ウンディーネの話
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ウンディーネは全員を見回して話すかどうかを迷っているみてぇだな。
もしかして、秘密にしたいような込み入った話ってことか?
「レイヴンだけに話したいってんなら、俺らは聞かねぇからよ。防音結界はいつでも張れるぞ」
「そうですね……レイヴンに話があります。でも、私も少し緊張しているのです」
「それなら、テオドール様だけ一緒に聞けばいいんじゃないですか? なんてったって父親公認の仲なんでしょう?」
ウルガーの言葉にウンディーネも表情を和らげる。
父親って部分に反応したのか? よく分からねぇが、レイヴンに視線を流すと頷きを返してきた。
「師匠はこんな見た目だし粗暴な言葉遣いしかできない人ですが、俺の尊敬している信頼のおける人です。許されるのならば、師匠と一緒にお話を聞きたいと思います」
「分かりました。テオドールも一緒に聞いてください。他の皆様は少し待っていてもらえますか?」
「ええ。じゃあ、お嬢ちゃん。私と一緒にいましょうか。ディーちゃんとウルガーちゃんも少し離れていましょう」
聖女サマがちまいのを呼ぶと、大人しくとてとてと聖女サマの元へ駆け寄っていく。
ディーは何か言いたげな顔はしてたが、ウルガーにじっと見つめられると大人しく一歩離れる。
サラマンダーは我関せずといった雰囲気で、好きにしろと顔に書いてあるし問題ないだろ。
「じゃあ、一応防音結界を張るぞ」
パチンと指を弾いて結界を作動させる。
結界の中には俺とウンディーネとレイヴンだけだ。
「ありがとう、テオドール。あなたは察しがよさそうだから、何か気づいていそうだけれど……」
「別に大したことじゃねぇが。あんたを見てるとどうも絆されちまうんだよな。俺がそう思うのは……」
レイヴンへ視線を流すと、レイヴンはどういう意味ですか? と首を傾げた。
改めて二人を見比べると、雰囲気が似てるのかもしれねぇな。
「そうですか。あなたはレイヴンのことを大切に思ってくれているようですね。激しい面も持ちながらそれでもレイヴンを一番に考えてくれていることが伝わってきます」
「そうかあ? 会ったばっかりだってのによく分かるな。まあ、俺も隠しちゃいねぇけどよ」
「そう改めて言われると、何だか恥ずかしいんですけど……」
レイヴンはこの程度のことでも照れ始めるんだから、ホント可愛いもんだよな。
両腕を伸ばしてレイヴンを後ろから抱きしめてやると、ちょっと! という抗議の声があがる。
「何してるんですか! 今、そんな場合じゃ……」
「いいから。たぶんこうしてた方がよさそうだ。俺はあんたの言いたいことが少し分かった気がする」
「ありがとう、テオドール。本当は私も今すぐにでもレイヴンを抱きしめてあげたいけれど……それは正式に祝福を与えたらになるかしらね」
ウンディーネの表情は優しいがどこか寂しそうな感じもする。
まあ、俺が絆されるってことはウンディーネとレイヴンは何かしら共通点があるってことだろ。
とくれば、大体の予想はできる。
「そろそろ心の準備はできたか? じゃあ、話してもらおうか」
「そうね……レイヴン。お父さん……つまりクレインから聞いたのよね。あなたの生い立ちを」
「はい。俺のお父さんはエルフでお母さんは人間。だから俺はハーフエルフなんです。おかげでウンディーネ様にもこうしてお会いできる訳ですが……」
「あなたの母親は命を落とした。だけど……力を与えてもらって生き返った……というよりも、別の存在になった。というのが正しいかしら」
ウンディーネは悲しそうに優しく微笑する。
別の存在になれるもんなのか? まあ特別なんだろうが。
レイヴンも何となく話が呑み込めてきたのか、呆然とウンディーネを見つめたまま動かない。
もしかして、秘密にしたいような込み入った話ってことか?
「レイヴンだけに話したいってんなら、俺らは聞かねぇからよ。防音結界はいつでも張れるぞ」
「そうですね……レイヴンに話があります。でも、私も少し緊張しているのです」
「それなら、テオドール様だけ一緒に聞けばいいんじゃないですか? なんてったって父親公認の仲なんでしょう?」
ウルガーの言葉にウンディーネも表情を和らげる。
父親って部分に反応したのか? よく分からねぇが、レイヴンに視線を流すと頷きを返してきた。
「師匠はこんな見た目だし粗暴な言葉遣いしかできない人ですが、俺の尊敬している信頼のおける人です。許されるのならば、師匠と一緒にお話を聞きたいと思います」
「分かりました。テオドールも一緒に聞いてください。他の皆様は少し待っていてもらえますか?」
「ええ。じゃあ、お嬢ちゃん。私と一緒にいましょうか。ディーちゃんとウルガーちゃんも少し離れていましょう」
聖女サマがちまいのを呼ぶと、大人しくとてとてと聖女サマの元へ駆け寄っていく。
ディーは何か言いたげな顔はしてたが、ウルガーにじっと見つめられると大人しく一歩離れる。
サラマンダーは我関せずといった雰囲気で、好きにしろと顔に書いてあるし問題ないだろ。
「じゃあ、一応防音結界を張るぞ」
パチンと指を弾いて結界を作動させる。
結界の中には俺とウンディーネとレイヴンだけだ。
「ありがとう、テオドール。あなたは察しがよさそうだから、何か気づいていそうだけれど……」
「別に大したことじゃねぇが。あんたを見てるとどうも絆されちまうんだよな。俺がそう思うのは……」
レイヴンへ視線を流すと、レイヴンはどういう意味ですか? と首を傾げた。
改めて二人を見比べると、雰囲気が似てるのかもしれねぇな。
「そうですか。あなたはレイヴンのことを大切に思ってくれているようですね。激しい面も持ちながらそれでもレイヴンを一番に考えてくれていることが伝わってきます」
「そうかあ? 会ったばっかりだってのによく分かるな。まあ、俺も隠しちゃいねぇけどよ」
「そう改めて言われると、何だか恥ずかしいんですけど……」
レイヴンはこの程度のことでも照れ始めるんだから、ホント可愛いもんだよな。
両腕を伸ばしてレイヴンを後ろから抱きしめてやると、ちょっと! という抗議の声があがる。
「何してるんですか! 今、そんな場合じゃ……」
「いいから。たぶんこうしてた方がよさそうだ。俺はあんたの言いたいことが少し分かった気がする」
「ありがとう、テオドール。本当は私も今すぐにでもレイヴンを抱きしめてあげたいけれど……それは正式に祝福を与えたらになるかしらね」
ウンディーネの表情は優しいがどこか寂しそうな感じもする。
まあ、俺が絆されるってことはウンディーネとレイヴンは何かしら共通点があるってことだろ。
とくれば、大体の予想はできる。
「そろそろ心の準備はできたか? じゃあ、話してもらおうか」
「そうね……レイヴン。お父さん……つまりクレインから聞いたのよね。あなたの生い立ちを」
「はい。俺のお父さんはエルフでお母さんは人間。だから俺はハーフエルフなんです。おかげでウンディーネ様にもこうしてお会いできる訳ですが……」
「あなたの母親は命を落とした。だけど……力を与えてもらって生き返った……というよりも、別の存在になった。というのが正しいかしら」
ウンディーネは悲しそうに優しく微笑する。
別の存在になれるもんなのか? まあ特別なんだろうが。
レイヴンも何となく話が呑み込めてきたのか、呆然とウンディーネを見つめたまま動かない。
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