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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
292.兆し
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レイヴンを可愛がって満足した次の日、魔塔にも急な招集の知らせが舞い込んできやがった。
俺とレイヴンは仕方なく、急ぎ王宮の会議室へと向かう。
扉を開くと、錚々たる顔ぶれが席についていた。
騎士団、聖女と神殿のヤツらに、政治を司る文官。
今回は、一番役に立たねぇ最悪なヤツもいるな。
舌打ちしたところで気分も晴れやしねぇが、陛下がちらりと目くばせで合図してきた。
なんかあったら対処するってことだよな?
俺はレイヴンを引き連れて、適当に椅子を引いて腰を下ろす。
隣の可愛い弟子は、座った途端に耳打ちしてくる。
「テオ……お願いだからおとなしくしていてくださいね」
「俺だっていきなり暴れたりしねぇよ」
無意味に暴れる魔物じゃねぇし。
暴れるときはそれなりの理由ってもんがあるんだよなぁ。
レイちゃんは、俺が適当に暴れてるとでも思ってんのかァ?
ちらりと、国王であるエルミュートス三世に視線を向ける。
現国王は、俺とディートリッヒと共に前国王を引きずり下ろした人間だ。
国の問題にも丁寧に対応し、時には俺らもこき使って解決へと導く。
賢王っていう二つ名には、ずる賢いも含んでるから厄介なんだが。
前国王の体制があまりにも酷かったせいで、まだ残党を狩り切れていないんだよな。
お国が荒れてるなんて話は、どこにでも転がってる話だが。
正直面倒ごとに引っ張り出されるのはごめんだ。
だが、火の粉がレイヴンに降りかかるのであれば容赦はしねぇ。
「一体何事かね? 我々まで呼び出されるとは……」
嫌味ったらしい口調のデップリとした醜男は、アレーシュの貴族街に住んでいる貴族代表のエスカ・ヴィセンティー。
俺が嫌悪する要素をしか持ち合わせてない、クソ貴族だ。
ヴィセンティー家は国を支えている名家の一つで、俺の生家のバダンテール家とディーの生家のアーベライン家も同じく、国を支える柱の名家になる。
生まれだけで言えば、バダンテールとアーベラインの二家と対等な位だ。
ただ、コイツは見た目通りのド腐れ野郎だから、他の貴族とも折り合いが悪い。
黒い噂も耳にするが、うまいこと隠してんのか陛下が探りを入れても尻尾を出さない。
以前俺が処断したヨウアルの母親が、ヴィセンティー家の血筋だったはずだ。
俺の父親も貴族の位ばかりを大事にしてるどうしようもねぇ野郎だったから、似たようなもんだが。
腐っていようとも、この国の根幹である以上、陛下も簡単には手を出せねぇってとこだろうな。
聞く耳持たず、宰相のアスシオが無視して話を切り出した。
「最近人攫いが増えているとの報告を受けました。それも多くの子どもが攫われていると」
「どうせ庶民の子どもだろう?」
エスカが言い放つ言葉は典型的すぎて、誰もが沈黙する。
お貴族様第一主義で、それ以外は愚民みてぇな古典的な考えしかできない愚かなヤツ。
陛下の前でもくだらねぇ思想を貫く姿勢だけは褒めてやってもいいが、頭の中まで肉でも詰まってんのか?
馬鹿すぎて話にならねぇ。
周りも呆れ返って言葉すら出ない状況だってのに、コイツは何も気づかずに鼻を鳴らす。
俺とレイヴンは仕方なく、急ぎ王宮の会議室へと向かう。
扉を開くと、錚々たる顔ぶれが席についていた。
騎士団、聖女と神殿のヤツらに、政治を司る文官。
今回は、一番役に立たねぇ最悪なヤツもいるな。
舌打ちしたところで気分も晴れやしねぇが、陛下がちらりと目くばせで合図してきた。
なんかあったら対処するってことだよな?
俺はレイヴンを引き連れて、適当に椅子を引いて腰を下ろす。
隣の可愛い弟子は、座った途端に耳打ちしてくる。
「テオ……お願いだからおとなしくしていてくださいね」
「俺だっていきなり暴れたりしねぇよ」
無意味に暴れる魔物じゃねぇし。
暴れるときはそれなりの理由ってもんがあるんだよなぁ。
レイちゃんは、俺が適当に暴れてるとでも思ってんのかァ?
ちらりと、国王であるエルミュートス三世に視線を向ける。
現国王は、俺とディートリッヒと共に前国王を引きずり下ろした人間だ。
国の問題にも丁寧に対応し、時には俺らもこき使って解決へと導く。
賢王っていう二つ名には、ずる賢いも含んでるから厄介なんだが。
前国王の体制があまりにも酷かったせいで、まだ残党を狩り切れていないんだよな。
お国が荒れてるなんて話は、どこにでも転がってる話だが。
正直面倒ごとに引っ張り出されるのはごめんだ。
だが、火の粉がレイヴンに降りかかるのであれば容赦はしねぇ。
「一体何事かね? 我々まで呼び出されるとは……」
嫌味ったらしい口調のデップリとした醜男は、アレーシュの貴族街に住んでいる貴族代表のエスカ・ヴィセンティー。
俺が嫌悪する要素をしか持ち合わせてない、クソ貴族だ。
ヴィセンティー家は国を支えている名家の一つで、俺の生家のバダンテール家とディーの生家のアーベライン家も同じく、国を支える柱の名家になる。
生まれだけで言えば、バダンテールとアーベラインの二家と対等な位だ。
ただ、コイツは見た目通りのド腐れ野郎だから、他の貴族とも折り合いが悪い。
黒い噂も耳にするが、うまいこと隠してんのか陛下が探りを入れても尻尾を出さない。
以前俺が処断したヨウアルの母親が、ヴィセンティー家の血筋だったはずだ。
俺の父親も貴族の位ばかりを大事にしてるどうしようもねぇ野郎だったから、似たようなもんだが。
腐っていようとも、この国の根幹である以上、陛下も簡単には手を出せねぇってとこだろうな。
聞く耳持たず、宰相のアスシオが無視して話を切り出した。
「最近人攫いが増えているとの報告を受けました。それも多くの子どもが攫われていると」
「どうせ庶民の子どもだろう?」
エスカが言い放つ言葉は典型的すぎて、誰もが沈黙する。
お貴族様第一主義で、それ以外は愚民みてぇな古典的な考えしかできない愚かなヤツ。
陛下の前でもくだらねぇ思想を貫く姿勢だけは褒めてやってもいいが、頭の中まで肉でも詰まってんのか?
馬鹿すぎて話にならねぇ。
周りも呆れ返って言葉すら出ない状況だってのに、コイツは何も気づかずに鼻を鳴らす。
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