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第十一章 強気な魔塔主と心配性の弟子
293.厄介ごとは勘弁してほしい
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「我が国の民は等しく私の民である。その民に対して蔑むような発言をするということは何を意味するか。考えて言葉を発しているのか?」
「へっ? お、仰る通りかと存じます、陛下!」
苦言を呈した陛下にヘコヘコと頭を下げて、周りには見るなと言わんばかりに不遜な態度を取り続けている。
コイツは本当に貴族の教育ってヤツを受けてんのか?
じゃなければ、陛下の目は節穴だとでも思ってるのかもな。
余りのつまらなさに欠伸が止まらねぇ。
宰相様は全てを無視して、淡々と報告を続けていく。
「我が国の城下町だけではなく、近隣の街、村からも被害の訴えが来ています。エルフの里でも被害が出そうになったと報告がありました。我が国でも騎士の派遣、見回りの強化をしておりますが、賊の仕業なのか、魔物の仕業なのか、調査が難航しています」
「魔物の防護結界はあるが、人間に関してはないからな。人攫いをやってる実行犯は人間だろうよ」
「テオドールの言う通り、騎士団でも城下町や近隣を調査しておりますが、時間帯も様々で、見張るにしても人材が足りていない状態です」
わざわざディーが目配せしてくる。
真面目に考えろって?
俺らが関わってる魔物の召還陣も、何かしらこの事案に絡んでる可能性が高いだろうな。
具体的な繋がりは見えてこねぇが、時期的にも不自然だ。
わざわざエルフまで巻き込むのはきな臭い。
俺が考え事をしていると、隣のレイヴンが気づく素振りを見せた。
不安がらせないように、口元だけ笑みの形を作る。
「王国騎士団は引き続き調査を頼む。魔塔からも人材の派遣をお願いしたい」
「そうは言ってもなぁ。ウチは個人で動いても対して力にはならねぇぞ? 俺とレイヴンは別だけどよ。見回りしたところで賊に対して咄嗟に魔法を打ち込めるかと言われると、な。それなりのヤツを出さねぇと。まぁ、建物を壊してもいいならどうとでもなるが」
「師匠……建物を壊していいわけないでしょう。陛下、魔塔からは私が。他、魔力の扱いに長けている者を派遣します」
国王は鷹揚に頷く。
すぐ勝手に言い切っちまうんだから困ったもんだ。
「あのなぁ……そうやって面倒ごとを勝手に決めるのはやめろって」
レイヴンだけに聞こえるように囁いたってのに、当の本人は聞こえないふりをしやがって。
元々調べるつもりだったってのに、陛下の勅命で動くやり方は好きじゃねぇ。
秘密裏に処理もできねぇし、まず民を優先しろだのって話になるじゃねぇか。
俺は、レイヴンにちょっかいかけたヤツを引きずり出したいだけだ。
後の小難しいことは、その場のノリで適当なのが楽だってのによ。
「よろしく頼むぞ。これ以上の被害は食い止めたい。ギルドにも同じく調査を依頼しているな?」
「はい。何人かの冒険者が依頼を受けて動き出しています。ただ、時間帯も様々なので後は人海戦術しかないのでは、と」
「ふむ……引き続き見回りの強化と調査を頼む。私もエルフの里との連絡を密に取り合うこととしよう」
この流れじゃ逃れられねぇし、渋々飲み込むしかねぇか。
つまらねぇ話が終わって、集まった奴らも退出していく。
俺らもまずは魔塔へ帰ろうと、王宮の長い廊下をレイヴンと一緒に歩いていたが、後ろからあまり聞きたくねぇ声が聞こえてきた。
「へっ? お、仰る通りかと存じます、陛下!」
苦言を呈した陛下にヘコヘコと頭を下げて、周りには見るなと言わんばかりに不遜な態度を取り続けている。
コイツは本当に貴族の教育ってヤツを受けてんのか?
じゃなければ、陛下の目は節穴だとでも思ってるのかもな。
余りのつまらなさに欠伸が止まらねぇ。
宰相様は全てを無視して、淡々と報告を続けていく。
「我が国の城下町だけではなく、近隣の街、村からも被害の訴えが来ています。エルフの里でも被害が出そうになったと報告がありました。我が国でも騎士の派遣、見回りの強化をしておりますが、賊の仕業なのか、魔物の仕業なのか、調査が難航しています」
「魔物の防護結界はあるが、人間に関してはないからな。人攫いをやってる実行犯は人間だろうよ」
「テオドールの言う通り、騎士団でも城下町や近隣を調査しておりますが、時間帯も様々で、見張るにしても人材が足りていない状態です」
わざわざディーが目配せしてくる。
真面目に考えろって?
俺らが関わってる魔物の召還陣も、何かしらこの事案に絡んでる可能性が高いだろうな。
具体的な繋がりは見えてこねぇが、時期的にも不自然だ。
わざわざエルフまで巻き込むのはきな臭い。
俺が考え事をしていると、隣のレイヴンが気づく素振りを見せた。
不安がらせないように、口元だけ笑みの形を作る。
「王国騎士団は引き続き調査を頼む。魔塔からも人材の派遣をお願いしたい」
「そうは言ってもなぁ。ウチは個人で動いても対して力にはならねぇぞ? 俺とレイヴンは別だけどよ。見回りしたところで賊に対して咄嗟に魔法を打ち込めるかと言われると、な。それなりのヤツを出さねぇと。まぁ、建物を壊してもいいならどうとでもなるが」
「師匠……建物を壊していいわけないでしょう。陛下、魔塔からは私が。他、魔力の扱いに長けている者を派遣します」
国王は鷹揚に頷く。
すぐ勝手に言い切っちまうんだから困ったもんだ。
「あのなぁ……そうやって面倒ごとを勝手に決めるのはやめろって」
レイヴンだけに聞こえるように囁いたってのに、当の本人は聞こえないふりをしやがって。
元々調べるつもりだったってのに、陛下の勅命で動くやり方は好きじゃねぇ。
秘密裏に処理もできねぇし、まず民を優先しろだのって話になるじゃねぇか。
俺は、レイヴンにちょっかいかけたヤツを引きずり出したいだけだ。
後の小難しいことは、その場のノリで適当なのが楽だってのによ。
「よろしく頼むぞ。これ以上の被害は食い止めたい。ギルドにも同じく調査を依頼しているな?」
「はい。何人かの冒険者が依頼を受けて動き出しています。ただ、時間帯も様々なので後は人海戦術しかないのでは、と」
「ふむ……引き続き見回りの強化と調査を頼む。私もエルフの里との連絡を密に取り合うこととしよう」
この流れじゃ逃れられねぇし、渋々飲み込むしかねぇか。
つまらねぇ話が終わって、集まった奴らも退出していく。
俺らもまずは魔塔へ帰ろうと、王宮の長い廊下をレイヴンと一緒に歩いていたが、後ろからあまり聞きたくねぇ声が聞こえてきた。
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