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第十章 たまには真面目な魔塔主といつも真面目な弟子
278.魔法使いたちとカフェ
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ウルガーと騎士は事の詳細を報告するために王宮へ先に戻ることになった。
俺とレイヴンは、気分転換も兼ねて城下町をぶらつく。
肩凝ることをした後は、適当にふらふら歩くのも悪くねぇよな。
本当は一服したいところなんだが、レイヴンがすーぐ睨んでくる。
吸うのを我慢するしかねぇか。
「テオ、全部ウルガーに押し付けましたよね? 俺たちも報告の義務はあるんですよ?」
「元々俺らは手伝いで行ったんだから別にいいだろ。アイツの得意分野じゃねぇか。やらせておけばいいんだよ」
「はぁ……後でウルガーに謝っておこう……流石に不憫すぎる」
「さっきからアイツの話ばっかりだな。俺にもっと聞きたいことはねぇのかよ」
気になってますって顔に書いてあるのに、意地張って聞こうとしねぇからな。
不満顔をして見せてから、身体を屈めてレイヴンの顔を覗き込む。
「近い!」
レイヴンは両手で俺の身体を押し返してくる。
ニヤニヤしながら仕方なく身体を離して、頭をポンと撫でた。
「内緒にしていることを無理やり聞き出す趣味はありませんから」
「気になってる癖になぁ? 素直じゃねぇな。まぁいいか。お楽しみは後に取っておくもんだ」
レイヴンは俺の様子を見て安心したのか、何か言おうとして口を開きかける。
そのくせ、途中でわざとらしくフイとそっぽを向く。
「……いえ、やっぱりいいです」
「なんだよ、意味深だな」
「言いたくなくなりましたので、気にしないでください」
「はぁ? まぁた訳分かんねぇこと言ってんな。そう言われると気になるんだよなァ?」
何を考えてんだか分からねぇが、急に頑な態度をとるじゃねぇか。
両肩を竦めてレイヴンの腕を取る。
驚くレイヴンをぐいと引っ張ると、通りがかったカフェへと無理やり押し込んだ。
「ちょ、何、なんでカフェ?」
「好きなものでも食いながら、お喋りでもどうかと思ってな」
「そんな、恋人同士みたいな……」
「間違ってねぇからいいだろが」
カフェは白を基調とした色調で、全体的に明るく清潔感がある。
ガラス張りで外の往来も楽しめる店内席と、開放的な爽やかな雰囲気のテラス席が用意されていて、全部席が埋まっても二十人は座れそうだ。
いかにも恋人同士に人気がありそうなカフェだが、まぁ一人でも楽しめそうではある。
俺はあんまり詳しくねぇが、酒場のお姉ちゃんが貴族もお忍びで行く、話題のおしゃれなカフェができたとか言ってたな。
洒落たカフェに来たってのに、今日の服装は戦闘用にがっつり着込んでるから、デート向きじゃねぇな。
ローブを羽織る俺らは、魔法使いですって言わずとも、誰でも分かる格好だ。
レイヴンが俺のローブの袖を引いて、訴えてくる。
「せめて、もっと気楽な服の時に来ましょうよ……すごい見られてるじゃないですか!」
小声で訴えるレイヴンを無視して、こっちにやってきた店員に対して指を指し、テラス席を指定する。
店員の後に続いてずんずんと進み、案内された席にどっかりと座って足を組んだ。
俺とレイヴンは、気分転換も兼ねて城下町をぶらつく。
肩凝ることをした後は、適当にふらふら歩くのも悪くねぇよな。
本当は一服したいところなんだが、レイヴンがすーぐ睨んでくる。
吸うのを我慢するしかねぇか。
「テオ、全部ウルガーに押し付けましたよね? 俺たちも報告の義務はあるんですよ?」
「元々俺らは手伝いで行ったんだから別にいいだろ。アイツの得意分野じゃねぇか。やらせておけばいいんだよ」
「はぁ……後でウルガーに謝っておこう……流石に不憫すぎる」
「さっきからアイツの話ばっかりだな。俺にもっと聞きたいことはねぇのかよ」
気になってますって顔に書いてあるのに、意地張って聞こうとしねぇからな。
不満顔をして見せてから、身体を屈めてレイヴンの顔を覗き込む。
「近い!」
レイヴンは両手で俺の身体を押し返してくる。
ニヤニヤしながら仕方なく身体を離して、頭をポンと撫でた。
「内緒にしていることを無理やり聞き出す趣味はありませんから」
「気になってる癖になぁ? 素直じゃねぇな。まぁいいか。お楽しみは後に取っておくもんだ」
レイヴンは俺の様子を見て安心したのか、何か言おうとして口を開きかける。
そのくせ、途中でわざとらしくフイとそっぽを向く。
「……いえ、やっぱりいいです」
「なんだよ、意味深だな」
「言いたくなくなりましたので、気にしないでください」
「はぁ? まぁた訳分かんねぇこと言ってんな。そう言われると気になるんだよなァ?」
何を考えてんだか分からねぇが、急に頑な態度をとるじゃねぇか。
両肩を竦めてレイヴンの腕を取る。
驚くレイヴンをぐいと引っ張ると、通りがかったカフェへと無理やり押し込んだ。
「ちょ、何、なんでカフェ?」
「好きなものでも食いながら、お喋りでもどうかと思ってな」
「そんな、恋人同士みたいな……」
「間違ってねぇからいいだろが」
カフェは白を基調とした色調で、全体的に明るく清潔感がある。
ガラス張りで外の往来も楽しめる店内席と、開放的な爽やかな雰囲気のテラス席が用意されていて、全部席が埋まっても二十人は座れそうだ。
いかにも恋人同士に人気がありそうなカフェだが、まぁ一人でも楽しめそうではある。
俺はあんまり詳しくねぇが、酒場のお姉ちゃんが貴族もお忍びで行く、話題のおしゃれなカフェができたとか言ってたな。
洒落たカフェに来たってのに、今日の服装は戦闘用にがっつり着込んでるから、デート向きじゃねぇな。
ローブを羽織る俺らは、魔法使いですって言わずとも、誰でも分かる格好だ。
レイヴンが俺のローブの袖を引いて、訴えてくる。
「せめて、もっと気楽な服の時に来ましょうよ……すごい見られてるじゃないですか!」
小声で訴えるレイヴンを無視して、こっちにやってきた店員に対して指を指し、テラス席を指定する。
店員の後に続いてずんずんと進み、案内された席にどっかりと座って足を組んだ。
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