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第十章 たまには真面目な魔塔主といつも真面目な弟子
279.甘いものには素直な態度で
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「ほら、好きなの食っていいぞ」
「……食べますけど、せめてもの抵抗でローブ脱いでいいですか?」
「はぁ? 今更だろ。そもそも俺は有名人だし」
「ホント腹立ちますけど、間違ってないのがさらにムカつきますよね」
言葉通りだから仕方ねぇよな。
気軽に城下町に来てるつもりだが、このカフェに来たのは初めてだしよ。
俺は何をしていても、目立っちまうからなぁ。
今日はローブもそうだが薬瓶もガチャガチャしてるし、何も知らねぇ町民からしたら魔法使いが何しに来たんだとビビるのも仕方ねぇか。
「師匠は放出している魔力が普通の魔法使いより多いから、魔力がない人でも肌で感じるんです。それに、その態度。傲慢だから怖がられてるんですよ。もうちょっと抑えてもらわないと困ります。悪目立ちはしたくないでしょう? ですよね、魔塔主様」
ひそひそ声のレイヴンが、嫌味たっぷりに皮肉ってくる。
注文を取りに来た店員も冷静を装ってはいるが、指先が僅かに震えているのが分かる。
ビビらせるつもりは、これっぽっちもねぇんだがなぁ。
「俺はフルーツタルトと紅茶を。師匠は?」
「俺はコーヒー」
「……かしこまりました」
頼んだものはすぐに運ばれてきたってのに、レイヴンは一切口を開こうともしないで、開いた口でケーキをひたすらもぐもぐ食いまくってるし。
食ってる姿は小動物みたいで可愛いが、なんで質問したいことを素直に聞こうとしないんだか。
「よく食うよなぁ、相変わらず」
「……美味しいので」
「で、俺に聞きたいことがあるんだろ?」
「……別に」
口をつぐむレイヴンを見てるのも、楽しいからいいけどよ。
観察しながら、ゆったりとカップに口付ける。
ほろ苦さが口の中に広がり、見てるだけで甘ったるいレイヴンと苦いコーヒーで釣り合いがとれて丁度いい。
「うわぁ……相変わらず悪人面ですね」
「失礼だな。大人の嗜みってヤツだろ。それとも二人きりで話すか?」
「……そんなに聞き出したいんですか? 俺としては忘れて頂いていいんですけど」
「何となくは分かるが、お前の口から聞くことに意味があるだろ?」
ニヤリと笑うと、レイヴンは紅茶を嗜みながら俺を睨みつける。
睨むだけで、だんまりを続けるつもりか?
ホントに素直じゃねぇな。
「ま、急がなくてもいいけどよ」
「ここでは言いませんからね。その……ケーキと紅茶を美味しく楽しみたいですし」
「その割にはやたらと早々食ってたよなぁ?」
「二個めを頂こうと思ってたんです。別に構いませんよね?」
レイヴンは悪戯な表情で俺に微笑みかける。
甘いケーキを旨そうに食いながら、容赦なくケーキを追加注文した。
コッチは見てるだけで胸やけしそうだってのに、嬉しそうにペロリと平らげていく。
甘いものを食べてるときは、可愛い顔してんだけどなぁ。
「……食べますけど、せめてもの抵抗でローブ脱いでいいですか?」
「はぁ? 今更だろ。そもそも俺は有名人だし」
「ホント腹立ちますけど、間違ってないのがさらにムカつきますよね」
言葉通りだから仕方ねぇよな。
気軽に城下町に来てるつもりだが、このカフェに来たのは初めてだしよ。
俺は何をしていても、目立っちまうからなぁ。
今日はローブもそうだが薬瓶もガチャガチャしてるし、何も知らねぇ町民からしたら魔法使いが何しに来たんだとビビるのも仕方ねぇか。
「師匠は放出している魔力が普通の魔法使いより多いから、魔力がない人でも肌で感じるんです。それに、その態度。傲慢だから怖がられてるんですよ。もうちょっと抑えてもらわないと困ります。悪目立ちはしたくないでしょう? ですよね、魔塔主様」
ひそひそ声のレイヴンが、嫌味たっぷりに皮肉ってくる。
注文を取りに来た店員も冷静を装ってはいるが、指先が僅かに震えているのが分かる。
ビビらせるつもりは、これっぽっちもねぇんだがなぁ。
「俺はフルーツタルトと紅茶を。師匠は?」
「俺はコーヒー」
「……かしこまりました」
頼んだものはすぐに運ばれてきたってのに、レイヴンは一切口を開こうともしないで、開いた口でケーキをひたすらもぐもぐ食いまくってるし。
食ってる姿は小動物みたいで可愛いが、なんで質問したいことを素直に聞こうとしないんだか。
「よく食うよなぁ、相変わらず」
「……美味しいので」
「で、俺に聞きたいことがあるんだろ?」
「……別に」
口をつぐむレイヴンを見てるのも、楽しいからいいけどよ。
観察しながら、ゆったりとカップに口付ける。
ほろ苦さが口の中に広がり、見てるだけで甘ったるいレイヴンと苦いコーヒーで釣り合いがとれて丁度いい。
「うわぁ……相変わらず悪人面ですね」
「失礼だな。大人の嗜みってヤツだろ。それとも二人きりで話すか?」
「……そんなに聞き出したいんですか? 俺としては忘れて頂いていいんですけど」
「何となくは分かるが、お前の口から聞くことに意味があるだろ?」
ニヤリと笑うと、レイヴンは紅茶を嗜みながら俺を睨みつける。
睨むだけで、だんまりを続けるつもりか?
ホントに素直じゃねぇな。
「ま、急がなくてもいいけどよ」
「ここでは言いませんからね。その……ケーキと紅茶を美味しく楽しみたいですし」
「その割にはやたらと早々食ってたよなぁ?」
「二個めを頂こうと思ってたんです。別に構いませんよね?」
レイヴンは悪戯な表情で俺に微笑みかける。
甘いケーキを旨そうに食いながら、容赦なくケーキを追加注文した。
コッチは見てるだけで胸やけしそうだってのに、嬉しそうにペロリと平らげていく。
甘いものを食べてるときは、可愛い顔してんだけどなぁ。
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