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第八章 解こうとした魔塔主と何も知らない弟子とエルフの里の長
227.馬上の師匠と弟子
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途中、何事もなく無事に待ち合わせした村へと辿り着いた。
ウルガーが目を付けていた馬宿に馬を借りに行く。
幸い馬は残ってたから俺は特に構わねぇが、レイヴンは自分一人では乗れないし必然的に俺と一緒だ。
ディーの方が馬は慣れてるかもしれねぇが、レイちゃんをあんな筋肉と一緒に乗せてたまるかよ。
まぁ、ウルガーは察してやがるからうまくディーを誘導してたな。
後で褒めてやるか。
「師匠が馬って……」
「お貴族様の嗜みだからな。ほぼ乗らねぇけど、レイちゃんと一緒に乗るくらいはできるしな。問題ないから安心しろって」
「テオドールとは昔競争したこともあるくらいだからな。やや乱暴だが大丈夫だろう。それでも嫌ならいつでも交代するぞ」
「団長……まぁ、いいです。行きましょう」
皆、馬の手綱を握り、やや早駆けで飛ばしていく。
レイヴンは俺の前に乗せて、しっかりと抱き込む。
ピッタリと密着した状態で馬は進んで行く。
風を切って進んでいく馬上で、レイヴンは乗り慣れないせいか緊張してるみたいだな。
身体に妙な力を入れて、手綱をギュッと握り込む。
そんなガチガチにならなくてもいいのによ。
まぁ、体験したことないんじゃ仕方ねぇが。
普段以上におとなしいとなんか気になるんだよな。
馬の手綱を取りながら、レイちゃんの顔を見てみるか。
「テ、テオ! 前、前見て!」
「大丈夫だろ。今、道は真っ直ぐだしな」
「そ、そういう問題じゃ……」
久しぶりだよなぁ、何か二人でくっついてんのが。
自然と密着するしたまにはこういうのもいいな。
レイちゃんもやたらと照れてんのか耳が赤くなってんだよな。
静かにしてんのは恥ずかしがってるってことか。
大人しく俺にくっついてんのがいいよな。
ま、ここで暴れられても危ねぇってのもあるが。
「なんだ? 怖いか?」
「……いいえ。あまり乗ったことがないので緊張はしてますけど、テオがいるから大丈夫、ですよ?」
「そうか。やけに素直なレイちゃんだなぁ」
「ここで揉めて転がり落ちるのは嫌ですし、俺も……早く帰りたいなって」
素直なレイちゃんは可愛さが三割増しなんだよな。
我慢できなくなってきて、髪に唇を落とす。
レイヴンが慌ててそっと見上げてくると、額にもチュッと唇を触れさせた。
「だ、だから! 前見てくださいって! 俺、馬に落とされるの嫌ですからね?」
「早く帰って思う存分触りてぇー……帰ったら三日三晩はレイちゃんを愛でていいか? いや、それじゃ収まらねぇか?」
「ダメに決まってるでしょう? もう! 欲求不満を爆発させないでください!」
「んなこと言ったってよ。お父上公認なんだからいいだろ?」
その言葉を聞いてレイヴンが固まる。
あ、もしかして里長から何か言われでもしたか?
まぁ別に嘘は言ってねぇし、問題ないはずだがな。
珍しく聞き流したレイヴンが、雰囲気に流されたのか俺の腕にトンと頭を乗せてくる。
なんだ、レイちゃんも甘えたい感じか?
「……今はこのくらいで限界ですから。テオには感謝もしていますし、後は戻ったらということで」
「その言葉、忘れんなよ? 楽しみだなァ?」
「あぁぁ……もう撤回したい気持ちになってきた……」
「撤回したら倍にして返してやるよ」
レイヴンのため息は、流れる景色とともにすぐに搔き消えていく。
最近のレイヴンは甘えてくるし、前より素直に好意を出してくるようになってるしな。
嬉しいじゃねぇか。
つい口元が緩んでニヤついちまう。
これくらいの変化でも俺にとっちゃ上出来だ。
また突っ込むと文句言ってむくれるかもしれねぇし、今は見ないフリでもしておくか。
馬の腹の圧迫を強めると、馬はまた速さを増していく。
並ぶ騎士二人も速さに合わせて駆け抜けていき、帰路は予想以上に順調だし、これなら早めに帰れるかもな。
ウルガーが目を付けていた馬宿に馬を借りに行く。
幸い馬は残ってたから俺は特に構わねぇが、レイヴンは自分一人では乗れないし必然的に俺と一緒だ。
ディーの方が馬は慣れてるかもしれねぇが、レイちゃんをあんな筋肉と一緒に乗せてたまるかよ。
まぁ、ウルガーは察してやがるからうまくディーを誘導してたな。
後で褒めてやるか。
「師匠が馬って……」
「お貴族様の嗜みだからな。ほぼ乗らねぇけど、レイちゃんと一緒に乗るくらいはできるしな。問題ないから安心しろって」
「テオドールとは昔競争したこともあるくらいだからな。やや乱暴だが大丈夫だろう。それでも嫌ならいつでも交代するぞ」
「団長……まぁ、いいです。行きましょう」
皆、馬の手綱を握り、やや早駆けで飛ばしていく。
レイヴンは俺の前に乗せて、しっかりと抱き込む。
ピッタリと密着した状態で馬は進んで行く。
風を切って進んでいく馬上で、レイヴンは乗り慣れないせいか緊張してるみたいだな。
身体に妙な力を入れて、手綱をギュッと握り込む。
そんなガチガチにならなくてもいいのによ。
まぁ、体験したことないんじゃ仕方ねぇが。
普段以上におとなしいとなんか気になるんだよな。
馬の手綱を取りながら、レイちゃんの顔を見てみるか。
「テ、テオ! 前、前見て!」
「大丈夫だろ。今、道は真っ直ぐだしな」
「そ、そういう問題じゃ……」
久しぶりだよなぁ、何か二人でくっついてんのが。
自然と密着するしたまにはこういうのもいいな。
レイちゃんもやたらと照れてんのか耳が赤くなってんだよな。
静かにしてんのは恥ずかしがってるってことか。
大人しく俺にくっついてんのがいいよな。
ま、ここで暴れられても危ねぇってのもあるが。
「なんだ? 怖いか?」
「……いいえ。あまり乗ったことがないので緊張はしてますけど、テオがいるから大丈夫、ですよ?」
「そうか。やけに素直なレイちゃんだなぁ」
「ここで揉めて転がり落ちるのは嫌ですし、俺も……早く帰りたいなって」
素直なレイちゃんは可愛さが三割増しなんだよな。
我慢できなくなってきて、髪に唇を落とす。
レイヴンが慌ててそっと見上げてくると、額にもチュッと唇を触れさせた。
「だ、だから! 前見てくださいって! 俺、馬に落とされるの嫌ですからね?」
「早く帰って思う存分触りてぇー……帰ったら三日三晩はレイちゃんを愛でていいか? いや、それじゃ収まらねぇか?」
「ダメに決まってるでしょう? もう! 欲求不満を爆発させないでください!」
「んなこと言ったってよ。お父上公認なんだからいいだろ?」
その言葉を聞いてレイヴンが固まる。
あ、もしかして里長から何か言われでもしたか?
まぁ別に嘘は言ってねぇし、問題ないはずだがな。
珍しく聞き流したレイヴンが、雰囲気に流されたのか俺の腕にトンと頭を乗せてくる。
なんだ、レイちゃんも甘えたい感じか?
「……今はこのくらいで限界ですから。テオには感謝もしていますし、後は戻ったらということで」
「その言葉、忘れんなよ? 楽しみだなァ?」
「あぁぁ……もう撤回したい気持ちになってきた……」
「撤回したら倍にして返してやるよ」
レイヴンのため息は、流れる景色とともにすぐに搔き消えていく。
最近のレイヴンは甘えてくるし、前より素直に好意を出してくるようになってるしな。
嬉しいじゃねぇか。
つい口元が緩んでニヤついちまう。
これくらいの変化でも俺にとっちゃ上出来だ。
また突っ込むと文句言ってむくれるかもしれねぇし、今は見ないフリでもしておくか。
馬の腹の圧迫を強めると、馬はまた速さを増していく。
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