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第一章 積極的な魔塔主と翻弄される弟子
35.副団長と補佐官<レイヴン視点>
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「その……レイヴン。身体は、大事はないか?」
「え? えぇ。特には。ご心配ありがとうございます」
「いや……すまない、大丈夫ならばそれでいい。だが、何かあればすぐに言ってくれ。俺がいつでもテオを殴り倒してやるからな」
「ディートリッヒ様が私の味方になってくれるならば、心強いですね。ありがとうございます。では、失礼します」
ディートリッヒ様は何を心配してくれたんだろう?
何に対してなのか思い当たらないないまま執務室を退席する。
訓練所へと向かいながら思案して、一つだけ嫌なことを思いつく。
「まさか……師匠、余計なことを言ったんじゃ……? 俺のことを、どうにかしたとかなんとか? ……だとしたら、恥ずかしくて最悪なんだけど……」
「……何が最悪だって?」
考え込んでいたから頭上から降ってきた声に普通に驚いて、うわ! と声を上げてしまう。
探していた人物が俺の顔を覗き込んでいた。
「ウルガー! 急に話しかけてくるから、驚いた。訓練は?」
「今、休憩中。どうした? 団長に用事だったんじゃないの?」
「それは済ませてきた。その……俺が個人的な用事があったというか、なんというか……」
「分かった。ちょうど三十分の休憩を入れたところだから、少し話そうか」
ウルガーが人気のない中庭を指差したので、素直についていく。木の下で座れと促されたので、素直に隣に腰掛けると、念の為に防音魔法を展開する。
「この何かもやってする感じは、防音魔法をかけたのか。それで、人に聞かれたらマズイ話だった?」
「マズイっていうかなんていうか、ぁー……うん。その、自分のことに関する話なんだけど。俺、あんまり経験がなくて良く分からないから、ウルガーなら分かるかなと思って」
「経験? 何、接近戦でもする予定があるとか?」
「違う違う! その、もっと……あの、さ。俺……最近、変なんだよ」
ウルガーに会えたのはいいけど、なんて言おう?
師匠とそういう関係になりましたって?
俺が口を閉ざしてしまっても、ウルガーは静かに話の続きを待っていてくれる。
これ以上黙っていても仕方ない。
しどろもどろでも何でも、こんなことを相談できそうなのはウルガーしかいないから、言おう。
「師匠のせいなんだけど、最近師匠に、一人でするのも飽きたーとか言われて。その、性欲処理というか……」
「……は? お前、もしかして……テオドール様に……」
「……何か、成り行きで」
あぁぁ……言いづらい!
でも、どうしていいか分からないんだよ!
急にそういうこと、してくる師匠がいけないと思う。
俺の話を聞いていたウルガーは、俺に憐れみのような視線を向けてくる。
「え? えぇ。特には。ご心配ありがとうございます」
「いや……すまない、大丈夫ならばそれでいい。だが、何かあればすぐに言ってくれ。俺がいつでもテオを殴り倒してやるからな」
「ディートリッヒ様が私の味方になってくれるならば、心強いですね。ありがとうございます。では、失礼します」
ディートリッヒ様は何を心配してくれたんだろう?
何に対してなのか思い当たらないないまま執務室を退席する。
訓練所へと向かいながら思案して、一つだけ嫌なことを思いつく。
「まさか……師匠、余計なことを言ったんじゃ……? 俺のことを、どうにかしたとかなんとか? ……だとしたら、恥ずかしくて最悪なんだけど……」
「……何が最悪だって?」
考え込んでいたから頭上から降ってきた声に普通に驚いて、うわ! と声を上げてしまう。
探していた人物が俺の顔を覗き込んでいた。
「ウルガー! 急に話しかけてくるから、驚いた。訓練は?」
「今、休憩中。どうした? 団長に用事だったんじゃないの?」
「それは済ませてきた。その……俺が個人的な用事があったというか、なんというか……」
「分かった。ちょうど三十分の休憩を入れたところだから、少し話そうか」
ウルガーが人気のない中庭を指差したので、素直についていく。木の下で座れと促されたので、素直に隣に腰掛けると、念の為に防音魔法を展開する。
「この何かもやってする感じは、防音魔法をかけたのか。それで、人に聞かれたらマズイ話だった?」
「マズイっていうかなんていうか、ぁー……うん。その、自分のことに関する話なんだけど。俺、あんまり経験がなくて良く分からないから、ウルガーなら分かるかなと思って」
「経験? 何、接近戦でもする予定があるとか?」
「違う違う! その、もっと……あの、さ。俺……最近、変なんだよ」
ウルガーに会えたのはいいけど、なんて言おう?
師匠とそういう関係になりましたって?
俺が口を閉ざしてしまっても、ウルガーは静かに話の続きを待っていてくれる。
これ以上黙っていても仕方ない。
しどろもどろでも何でも、こんなことを相談できそうなのはウルガーしかいないから、言おう。
「師匠のせいなんだけど、最近師匠に、一人でするのも飽きたーとか言われて。その、性欲処理というか……」
「……は? お前、もしかして……テオドール様に……」
「……何か、成り行きで」
あぁぁ……言いづらい!
でも、どうしていいか分からないんだよ!
急にそういうこと、してくる師匠がいけないと思う。
俺の話を聞いていたウルガーは、俺に憐れみのような視線を向けてくる。
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