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第3章:生い立ち編2 ~見聞の旅路~
第147話 闇を切り裂く光
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アルナはバルドの案内を終えると静かに影部隊アジトを後に表のラルフ商会商館長室へ向かった。
アロイス、ポルデュラ、ベアトレスはセルジオを抱き締め涙を流すバルドを暫く眺めていた。
部屋に漂っていたバラの香りが強さを増すとセルジオはバルドの首に回した腕の力を緩めバルドの顔を覗いた。
「バルド・・・・」
バルドの名を呼び止めどなく流れる涙を袖で拭い瞳を合わせると緩やかな微笑みを向けた。
「もう、大事ないぞ。本当だ。ただ、まだ身体に力が入らぬだけだ。食べていなかったからな。少し前に小さき頃に食べていたベアトレスの作ったスープを飲んだのだぞ。大事ない。もう、大事ないから安心しろ」
己の状況を説明するとセルジオは再びバルドの首に両腕を回した。
バルドはセルジオを包みこむ様に抱き締める。一週間ほとんど何も口にしていないセルジオの身体は一回り小さく感じた。
バルドはそっとセルジオを離すと己の右斜め前に立たせセルジオの身体を反転させ、その場で跪く様に促した。
姿勢を正しアロイス、ポルデュラ、ベアトレスに視線を向けると左手を胸にあて頭を下げる。
「ポルデュラ様、アロイス様、ベアトレス殿、この度もまた、セルジオ様の命をお救い下さり感謝申します。いえ、感謝の言葉だけでは語り尽くせぬ程の恩情、この生涯をかけお返しする所存でございます」
バルドは上体を前に倒した。
「また、セルジオ様のご無事を目の当たりにし取り乱しました事、お詫び申します」
セルジオもバルドに倣い頭を下げる。
アロイスはポルデュラと目を合わせ頷き合うとセルジオとバルドに長椅子に座る様に促した。
「バルド殿、ご口上承りました。セルジオ殿は目覚めたばかりです。どうぞ、椅子に掛けて下さい」
「はっ!」
バルドはアロイスに呼応するとセルジオを伴い指示された通り長椅子に座った。
ベアトレスが待っていたとばかりに入れ直しバラの花茶のカップをテーブルに置く。
「まずは喉を潤そうぞ」
ポルデュラがバルドにバラの花茶を薦めた。
「はっ!感謝申します」
バルドはカップを口に運んだ。セルジオと共に口にするバラの花茶はバルドの波立った心をゆっくりと鎮めていった。
解毒の方法とここまでの道のりをポルデュラはバルドにかいつまんで伝えた。そして、セルジオが船中で目覚め自ら口にした覚悟へと話を進めていった。
ポルデュラは手にしたカップを静かにテーブルに置くとゆったりとした微笑みをセルジオへ向けた。
「セルジオ様、後の事はご自身でバルドに伝えるのじゃ。己の頭で考え、強く願い、己の口から出た言葉は言霊と言うてな力が宿るのじゃよ。セルジオ様がこれから行おうとしている事を口に出せば必ずや実現するのじゃ。当代の青き血が流れるコマンドールが発する言霊は闇を切り裂く光となる。さっ、ご自身でバルドに伝えるのじゃ」
ポルデュラの言葉にセルジオは頷き姿勢を正すとバルドの顔を見上げた。そんなセルジオに呼応する様にバルドはセルジオの方へ身体を向ける。
セルジオはバルドの深い紫色の瞳をじっと見つめ話し始めた。
「どこから話せばよいか・・・・」
セルジオは思案気に首を少し右側に傾けたが、間を置かずに言葉を発した。
「まずはバルドに感謝もうす」
左手を胸にあて軽く頭を下げる。
「これまで私を育み、師でいてくれた事、感謝もうす」
セルジオはバルドに力のこもった視線を向けた。
「初代様が私の中で鎮ずかに眠られるまで、私は初代様の代わりとなる事が己に与えられた天命と考えていた。だが、私は私である事に気付いたのだ。初代様の代わりとなる事などできぬ、誰もが誰かの代わりとなる事などできぬとポルデュラ様から教わった」
セルジオはポルデュラに視線を向ける。ポルデュラはコクンと一つ頷いた。
「私は私でしかない。他の誰になる事もない。ならば天が私に与えた役目はなんだと考えたのだ」
セルジオと瞳を合わせるバルドの深い紫色の瞳は潤んでいた。
「父上や黒魔女は私を恐れているのであろう事が解った。それぞれの役目があり、思惑があり、行いがある。彼らにとって私は邪魔な存在なのだ。だから私は生き続けねばならぬ。彼らの目を引き、的となり、いつまでも彼らの邪魔な存在であり続ける事こそが私の役目だと確信した」
セルジオはバルドの右手に小さな両手を乗せた。
「バルド、私に力を貸して欲しい。これからも私を育み、師として数々の事を教え、守護の騎士として私を守って欲しい。私は生き続けねばならぬっ!」
セルジオはバルドの右手を両手で強く握った。
「はっ!!!」
バルドはセルジオの両手に左手を添えてぐっと握り返し力強く呼応した。
「バルドっ!感謝もうすっ!この先も頼むっ!」
セルジオも両手に力を込めた。
「バルド、私はこの地、青と赤の因縁の始まりの地でブレン様と共に因縁の終わりの始まりを宣言する」
バルドを見上げるセルジオの深く青い瞳が深みを増した。
「ブレン様は包み隠すことなく己の強さも弱さも見せてくれた。そして今の我らを受入てくれている。今、この時を置いて機会はないと天が示してくれている気がするのだ。
毒に侵される前は因縁の終わりの始まりを告げるなど思いもしなかった。まして始まりの地で、初代様が命を落とされた地で私が宣言するなどあり得ぬ事だと思っていた。
だが、私は生かされたのだ。天に生かして頂いたのだ。そして、この地にまた戻ってきた。これは天の声に従うことこそが道理。黒魔女の思惑通りにはさせぬ。黒魔女の思惑を利用させてもらう。
そして、私はこの先、父上と黒魔女の邪魔者であり続ける。それこそが王国が安寧でありつづける私に与えられた役目。だからバルド、私をブレン様の元に連れて行ってくれっ!」
薄っすらとセルジオの身体から青白い炎が湧き立った。
バルドはセルジオの両手をそっと解くと立ち上がり長椅子の脇に控えた。
左手を胸にあて跪く。
「はっ!!!セルジオ様っ!!!」
バルドはセルジオの発した言葉に力強く呼応した。
ポルデュラがセルジオに微笑みを向ける。
「セルジオ様、上々じゃ。よくぞ申された」
アロイスがポルデュラの言葉を繋いだ。
「バルド殿、ラドフォール公爵家並びに我らラドフォール騎士団は全身全霊を懸け当代の青き血が流れるコマンドールを守護する事と致しました。この先、セルジオ騎士団との絆は益々強固なものとなることでしょう。以後、よろしく頼みます」
バルドはアロイスの方へ向き直り頭を下げる。
「はっ!!!言上の極みっ!!!感謝もうしますっ!!!」
バルドは胸にこみ上げてくる熱いものを必死に抑えた。
「失礼を致しますっ!」
そこに慌てた様子のアルナが扉を開けた。
「そなたのその慌て様、動きがあったのか?」
アロイスが静かにアルナに問いただす。
「はっ!影部隊から繋ぎが入りました。ブレン団長、エリオス様、オスカー様が入られた食堂で騒ぎが起こっています」
セルジオの身体がピクリっと動いた。
「エリオス殿とオスカー殿は無事なのか?」
アロイスは冷静にアルナに問いかけた。
「はっ!!今のところはお2人ともご無事です。お2人に危害が及ぶ事を懸念されたブレン様の行いに不満を募らせた騎士と従士が食堂に集まり、ブレン様を問いただしているとのこと。騒ぎは大きくなりつつあり、このままですと粛清が必要となる事態になり兼ねませんっ!」
ポルデュラがふわりと呼応した。
「これも必然じゃな。今、この時に起こるべくして起こったのじゃ。黒魔女の思惑通りに事が進んでいるようじゃが、はてさて、天はどちらに微笑みを向けるかの」
ポルデュラは悪戯っぽくセルジオに微笑みを向ける。
セルジオはすっくと立ち上がった。
「ポルデュラ様っ!アロイス様っ!私はこれよりその食堂にバルドと向かいますっ!アルナ様に案内をお願いできますか?」
ポルデュラとアロイスは顔を見合わせ頷くとポルデュラはベアトレスに目配せをした。
「はい、かしこまりました」
ベアトレスはポルデュラの視線に呼応すると隣室に入っていき、うっすらと青い光を放つ着衣を手に戻ってきた。
「保護の魔術が施してある。軽装備の鎧と同等程度の強度はあるぞ。バルドの物も用意した。エリオス様とオスカーの分は事が成した後にラルフ商会で受け取ればよかろう。さっ、セルジオ様、着替えをした後、当代の青き血が流れるコマンドールとしての初仕事じゃ。天の声に従い闇を切り裂く光を発するのじゃ。楽しんでまいれ」
ベアトレスは着衣をバルドに手渡した。
「はっ!!ポルデュラ様、感謝申しますっ!!」
セルジオはバルドの右斜め前に跪き左手を胸にあて頭を下げた。
くるりとバルドへ身体を向ける。
「バルドっ!青と赤の因縁の終わりの始まりを宣言する為ブレン様の元へ向かうぞっ!」
「はっ!!!」
バルドの呼応が影部隊アジトの隊長室に響いた。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
セルジオは再会を果たしたバルドに己の覚悟を伝えました。
天命と言えど小さなセルジオには荷が重い様にも思えます。主人公は幼少期から過酷な体験をしますね。
物語はいよいよ最終話に向けて進みます(後2話+エピローグで収まめます)
青と赤の因縁の終わりの始めりを宣言するためブレン団長の元に向かうセルジオとバルド。
果たしてマデュラ騎士団の騎士と従士の暴走をブレンは止めることができるのか?エリオスとオスカーの安否は?
次回もよろしくお願い致します。
アロイス、ポルデュラ、ベアトレスはセルジオを抱き締め涙を流すバルドを暫く眺めていた。
部屋に漂っていたバラの香りが強さを増すとセルジオはバルドの首に回した腕の力を緩めバルドの顔を覗いた。
「バルド・・・・」
バルドの名を呼び止めどなく流れる涙を袖で拭い瞳を合わせると緩やかな微笑みを向けた。
「もう、大事ないぞ。本当だ。ただ、まだ身体に力が入らぬだけだ。食べていなかったからな。少し前に小さき頃に食べていたベアトレスの作ったスープを飲んだのだぞ。大事ない。もう、大事ないから安心しろ」
己の状況を説明するとセルジオは再びバルドの首に両腕を回した。
バルドはセルジオを包みこむ様に抱き締める。一週間ほとんど何も口にしていないセルジオの身体は一回り小さく感じた。
バルドはそっとセルジオを離すと己の右斜め前に立たせセルジオの身体を反転させ、その場で跪く様に促した。
姿勢を正しアロイス、ポルデュラ、ベアトレスに視線を向けると左手を胸にあて頭を下げる。
「ポルデュラ様、アロイス様、ベアトレス殿、この度もまた、セルジオ様の命をお救い下さり感謝申します。いえ、感謝の言葉だけでは語り尽くせぬ程の恩情、この生涯をかけお返しする所存でございます」
バルドは上体を前に倒した。
「また、セルジオ様のご無事を目の当たりにし取り乱しました事、お詫び申します」
セルジオもバルドに倣い頭を下げる。
アロイスはポルデュラと目を合わせ頷き合うとセルジオとバルドに長椅子に座る様に促した。
「バルド殿、ご口上承りました。セルジオ殿は目覚めたばかりです。どうぞ、椅子に掛けて下さい」
「はっ!」
バルドはアロイスに呼応するとセルジオを伴い指示された通り長椅子に座った。
ベアトレスが待っていたとばかりに入れ直しバラの花茶のカップをテーブルに置く。
「まずは喉を潤そうぞ」
ポルデュラがバルドにバラの花茶を薦めた。
「はっ!感謝申します」
バルドはカップを口に運んだ。セルジオと共に口にするバラの花茶はバルドの波立った心をゆっくりと鎮めていった。
解毒の方法とここまでの道のりをポルデュラはバルドにかいつまんで伝えた。そして、セルジオが船中で目覚め自ら口にした覚悟へと話を進めていった。
ポルデュラは手にしたカップを静かにテーブルに置くとゆったりとした微笑みをセルジオへ向けた。
「セルジオ様、後の事はご自身でバルドに伝えるのじゃ。己の頭で考え、強く願い、己の口から出た言葉は言霊と言うてな力が宿るのじゃよ。セルジオ様がこれから行おうとしている事を口に出せば必ずや実現するのじゃ。当代の青き血が流れるコマンドールが発する言霊は闇を切り裂く光となる。さっ、ご自身でバルドに伝えるのじゃ」
ポルデュラの言葉にセルジオは頷き姿勢を正すとバルドの顔を見上げた。そんなセルジオに呼応する様にバルドはセルジオの方へ身体を向ける。
セルジオはバルドの深い紫色の瞳をじっと見つめ話し始めた。
「どこから話せばよいか・・・・」
セルジオは思案気に首を少し右側に傾けたが、間を置かずに言葉を発した。
「まずはバルドに感謝もうす」
左手を胸にあて軽く頭を下げる。
「これまで私を育み、師でいてくれた事、感謝もうす」
セルジオはバルドに力のこもった視線を向けた。
「初代様が私の中で鎮ずかに眠られるまで、私は初代様の代わりとなる事が己に与えられた天命と考えていた。だが、私は私である事に気付いたのだ。初代様の代わりとなる事などできぬ、誰もが誰かの代わりとなる事などできぬとポルデュラ様から教わった」
セルジオはポルデュラに視線を向ける。ポルデュラはコクンと一つ頷いた。
「私は私でしかない。他の誰になる事もない。ならば天が私に与えた役目はなんだと考えたのだ」
セルジオと瞳を合わせるバルドの深い紫色の瞳は潤んでいた。
「父上や黒魔女は私を恐れているのであろう事が解った。それぞれの役目があり、思惑があり、行いがある。彼らにとって私は邪魔な存在なのだ。だから私は生き続けねばならぬ。彼らの目を引き、的となり、いつまでも彼らの邪魔な存在であり続ける事こそが私の役目だと確信した」
セルジオはバルドの右手に小さな両手を乗せた。
「バルド、私に力を貸して欲しい。これからも私を育み、師として数々の事を教え、守護の騎士として私を守って欲しい。私は生き続けねばならぬっ!」
セルジオはバルドの右手を両手で強く握った。
「はっ!!!」
バルドはセルジオの両手に左手を添えてぐっと握り返し力強く呼応した。
「バルドっ!感謝もうすっ!この先も頼むっ!」
セルジオも両手に力を込めた。
「バルド、私はこの地、青と赤の因縁の始まりの地でブレン様と共に因縁の終わりの始まりを宣言する」
バルドを見上げるセルジオの深く青い瞳が深みを増した。
「ブレン様は包み隠すことなく己の強さも弱さも見せてくれた。そして今の我らを受入てくれている。今、この時を置いて機会はないと天が示してくれている気がするのだ。
毒に侵される前は因縁の終わりの始まりを告げるなど思いもしなかった。まして始まりの地で、初代様が命を落とされた地で私が宣言するなどあり得ぬ事だと思っていた。
だが、私は生かされたのだ。天に生かして頂いたのだ。そして、この地にまた戻ってきた。これは天の声に従うことこそが道理。黒魔女の思惑通りにはさせぬ。黒魔女の思惑を利用させてもらう。
そして、私はこの先、父上と黒魔女の邪魔者であり続ける。それこそが王国が安寧でありつづける私に与えられた役目。だからバルド、私をブレン様の元に連れて行ってくれっ!」
薄っすらとセルジオの身体から青白い炎が湧き立った。
バルドはセルジオの両手をそっと解くと立ち上がり長椅子の脇に控えた。
左手を胸にあて跪く。
「はっ!!!セルジオ様っ!!!」
バルドはセルジオの発した言葉に力強く呼応した。
ポルデュラがセルジオに微笑みを向ける。
「セルジオ様、上々じゃ。よくぞ申された」
アロイスがポルデュラの言葉を繋いだ。
「バルド殿、ラドフォール公爵家並びに我らラドフォール騎士団は全身全霊を懸け当代の青き血が流れるコマンドールを守護する事と致しました。この先、セルジオ騎士団との絆は益々強固なものとなることでしょう。以後、よろしく頼みます」
バルドはアロイスの方へ向き直り頭を下げる。
「はっ!!!言上の極みっ!!!感謝もうしますっ!!!」
バルドは胸にこみ上げてくる熱いものを必死に抑えた。
「失礼を致しますっ!」
そこに慌てた様子のアルナが扉を開けた。
「そなたのその慌て様、動きがあったのか?」
アロイスが静かにアルナに問いただす。
「はっ!影部隊から繋ぎが入りました。ブレン団長、エリオス様、オスカー様が入られた食堂で騒ぎが起こっています」
セルジオの身体がピクリっと動いた。
「エリオス殿とオスカー殿は無事なのか?」
アロイスは冷静にアルナに問いかけた。
「はっ!!今のところはお2人ともご無事です。お2人に危害が及ぶ事を懸念されたブレン様の行いに不満を募らせた騎士と従士が食堂に集まり、ブレン様を問いただしているとのこと。騒ぎは大きくなりつつあり、このままですと粛清が必要となる事態になり兼ねませんっ!」
ポルデュラがふわりと呼応した。
「これも必然じゃな。今、この時に起こるべくして起こったのじゃ。黒魔女の思惑通りに事が進んでいるようじゃが、はてさて、天はどちらに微笑みを向けるかの」
ポルデュラは悪戯っぽくセルジオに微笑みを向ける。
セルジオはすっくと立ち上がった。
「ポルデュラ様っ!アロイス様っ!私はこれよりその食堂にバルドと向かいますっ!アルナ様に案内をお願いできますか?」
ポルデュラとアロイスは顔を見合わせ頷くとポルデュラはベアトレスに目配せをした。
「はい、かしこまりました」
ベアトレスはポルデュラの視線に呼応すると隣室に入っていき、うっすらと青い光を放つ着衣を手に戻ってきた。
「保護の魔術が施してある。軽装備の鎧と同等程度の強度はあるぞ。バルドの物も用意した。エリオス様とオスカーの分は事が成した後にラルフ商会で受け取ればよかろう。さっ、セルジオ様、着替えをした後、当代の青き血が流れるコマンドールとしての初仕事じゃ。天の声に従い闇を切り裂く光を発するのじゃ。楽しんでまいれ」
ベアトレスは着衣をバルドに手渡した。
「はっ!!ポルデュラ様、感謝申しますっ!!」
セルジオはバルドの右斜め前に跪き左手を胸にあて頭を下げた。
くるりとバルドへ身体を向ける。
「バルドっ!青と赤の因縁の終わりの始まりを宣言する為ブレン様の元へ向かうぞっ!」
「はっ!!!」
バルドの呼応が影部隊アジトの隊長室に響いた。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
セルジオは再会を果たしたバルドに己の覚悟を伝えました。
天命と言えど小さなセルジオには荷が重い様にも思えます。主人公は幼少期から過酷な体験をしますね。
物語はいよいよ最終話に向けて進みます(後2話+エピローグで収まめます)
青と赤の因縁の終わりの始めりを宣言するためブレン団長の元に向かうセルジオとバルド。
果たしてマデュラ騎士団の騎士と従士の暴走をブレンは止めることができるのか?エリオスとオスカーの安否は?
次回もよろしくお願い致します。
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