俺は空気が読める~魔力0の無能と馬鹿にされてダンジョンに追放された俺、実は災害級のスキルがぶっ壊れていて世界最強にして唯一の剣士になる~

島風

文字の大きさ
89 / 92

89決戦1

しおりを挟む
戦いは熾烈を極めていた。  

「光あれ、地は混沌であって、闇が深淵の面にあり……水によって生まれる『爆裂【ハイドロエクスプロージョン】』!!」  

「光あれ、地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動さん『暁光の慈悲【ヒューペリオン・ブレッシング】』!!」   

クロエちゃんの爆裂魔法にアリスの光の攻撃魔法が炸裂した。 

「す、すごいのです。わたくし、神級以上の魔法なんて初めて見ます」  

「魔王のクロエちゃんはともかく、ポンコツのアリスさんまで人外とかご主人様は仲間まで桁が外れてます。僕、ますます尊敬しちゃいます!」  

そんなルナも聖剣で邪神の使徒を圧しているとか、桁が外れている自覚がない。  

混乱の中、取り残されていた人物がいた。自身の養子だった育ての親、レオだ。彼は焦っていた。  

突然現れた化け物。実際に対峙はしていないが、とてつも無い化け物だと言うことは肌で感じた。これ程の魔力を発散するなど、経験したことの無い強さだ。  

一度は逃げようとしたが__いや、今もさっさと逃げ出したいが、自身が賢者の称号を授けられた存在であることに思い至り、竦む足を止め、踏みとどまった。  

だから逃げ出せずにいたのだが――なんと、ノア達が戦いを始め、観客が逃げる時間を稼いでいるではないか。いや、このままだと倒せるんじゃないか?  

驚くべきことに、全員の攻撃が化け物に大きなダメージを与えている。  

誰かの攻撃がヒットするたびに、化け物は怒りの咆哮をあげていた。  

と、言うことは、あの化け物は攻撃と見かけに極振りの防御力皆無の魔物に違い無い。  

はっ!! 

ならば、史上最強の爆裂魔法の使い手の私であれば、あの化け物を瞬殺できるのでは? と――レオは思いはじめていた。  

アリスやクロエが使っている魔法はレオの爆裂魔法など児戯に等しいものだとも知らずに。 

信じられないことに私が負けてしまった。さぞかし汚い手で私を出し抜いたのだろう。このままでは、ユングリング家の名声も私の賢者の名声も完全に落ちてしまう。ここで、すこしでも名誉挽回しなければ。  

既に病気に近い被害妄想と現実捏造。王都の平民は既に賢者が卑怯者で息子のノアに遠く及ばない。真の賢者と言えるのはノアであり、今も市民のために戦っている。  

賢者は逃げた上、そこで化け物に怯えて隠れている始末だ。  

てんで見当違いに思いを胸に、こっそりと後ろから魔法を放つ。  

「うおおおおおお『爆裂【プロメテウス・ブレイズ 】』 !」  

レオ渾身の爆裂魔法が邪神の使徒を襲う、が。  

襲ったんだが。  

「ガァ……?」  

「へ?」  

まったく効いてない。当の邪神の使徒も攻撃が気のせいか? と言った具合。  

いや、むしろ回復したような?  

そんなバカな?  

動揺するレオに、邪神の使徒が目を向ける。  

気のせいではなく、新たな敵と認識した化け物は軽く尻尾をふる。牽制程度だろう、だが。  

身体強化や鍛錬などしていないレオには情け容赦ない一撃となった。  

「ぴゃゃゃやややややああああああ!!」  

吹き飛んだレオは奇声を上げながら呆気なく飛んで行く。  

「誰だ? こんな時に遊んでいるのは?」  

俺は誰だか知らないが、こんな時に敵を回復するという信じられないやつに憤慨した。 

だが__。レオか?__。ほんと使えないヤツだ。 

空を飛んでいるレオを見てようやく腑に落ちた。 

死んではいないだろう。落ちたら気絶するだろうから、目を覚ましたら、治癒すればいいだけ、だから問題ない。  

レオの火系の爆裂の魔法のおかげで、せっかく削った化け物の体力がむしろ回復してしまった。  

この化け物は闇属性だが、火とも相性がいいらしい。火魔法はどうも回復になるようだ。  

「ピヒャーーーー……」  

奇声を発しながら、レオが落ちてきたのは、俺の真上。 

戦いの最中に邪魔をされて敵わん。 

もちろん避ける。 

どすん。  

「うぽぉーーーーー!」  

こんな時にまで遊んでいるレオに呆れたが、また気絶した。 

穴を作ってめり込んでいた。 

こんなところに穴を作られたら邪魔でかなわん。 

全く__だが、穴にめり込んでいる間は助ける必要もないからいいか?  

彼に期待するのは間違いだとは思うが、ほんとに使えない奴だ。  

しかし、この化け物を俺たちだけで倒すとか、かなり無理ゲー。  

決定打がない。アリスの光神級攻撃魔法にさえ耐える闇属性の化け物とか、頭おかしい。  

そう、焦っていると。  

何もない空間にぽうっと突然文字が浮かび上がった。  

『力が欲しいか?』  

欲しい。 仲間を守りたい。王都の人達を守りたい。  

強い力が欲しい。  

「……欲しい」  

俺の心の声が思わず出た。  

文字はコンマ数秒で消えた、だが。  

『力が欲しければ空気を読め』 

俺は空気を読んだ。 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...