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「何をしているのですか?」
「は?何って、迎撃準備だろ。丁度試しておきたい物があるんだよ」
彼が試しておきたい物というのは、前日に徹夜で打ち込んでいた発明品のことだろう。しかし迎撃準備とは一体どういう事なのだろう。オルレラでの活躍もあるので、彼自身がガジェットによって戦闘を行うことも考えられる。
「迎撃準備って・・・まさか貴方も戦うおつもりですか?」
「う~ん・・・あんまり重たい戦闘じゃなけりゃそれもいいかもしれねぇけど。俺の本分はそうじゃなくて、あくまでサポートだからな。お!あったあった。まずは軽いものから・・・」
ツバキが荷物から取り出したのは、綺麗な装飾が施された指輪だった。
「まぁ!綺麗な指輪。でもそれが一体何のサポートに?」
「気がはぇなぁ。指輪は指輪なんだけど、これは装備品のアクセサリーってもんの一つでな。装備した者の能力を向上させたり、付与効果をもたらすことができんだよ。んで!コイツには受けるダメージを軽減させる効果が付与してある」
彼の話では、そのダメージ軽減の指輪はその名の通り受けるダメージを軽減する他にも、一定値以下のダメージを無効化する効果もあるのだという。簡単に言えば、自身のレベルよりもだいぶ低い相手の攻撃なら無効化できるというものらしい。
だが当然、格下の相手でもアイテムによる攻撃や爆発物、固定ダメージなどは無効化する事はできないそうだ。そんな話をされても、記憶のないアカリには分からなかったが、そういったダメージもあるのだという学びを得ていた。
「ほらツクヨ、コイツは前線で戦うアンタに丁度いい」
「へぇ!器用なもんだね。あの店で買った指輪だろ?こんなに様になるなんてねぇ。ありがとう、大事にするよ!」
「おいおい、そんな大層なモンじゃねぇんだから雑に使ってくれて構わないぜ?それに、大きなダメージを受けると壊れちまうから気をつけてな。ほら、シンにも・・・」
そういってツバキがシンに渡したのは、ツクヨとは違った装飾が施された指輪だった。
「ん?ツクヨのとはちょっと違うみたいだな」
「そっちは能力上昇の効果があるアクセサリーなんだ。お前らには実験台になってもらうぜ!ちゃんと使える物が作れたかどうかのな」
シンが渡されたのは、ツクヨの渡された付与効果のある装備品とは違い、補助的な効果や目にみえる効果は無いものの、装備した者のステータスを向上させる装備品らしい。
それを聞いたシンは、ツバキ達のようにこの世界の住人には見えないステータス画面を開き、実際に彼の発明品を装備してみた。すると、素早さの能力値が僅かに向上し、装備品の説明欄に相手からのヘイトを和らげる効果があると記されていた。
「ありがとうツバキ。確かにアクセサリーの類は装備してなかったからな。今後はその辺も気にして装備を整えるか・・・」
一行の会話とやり取りを見ていたギルドの傭兵の男が興味を示して、ツバキの発明品について尋ねる。
「面白れぇモン持ってんじゃねぇか坊主!実験台ってんなら、俺でよけりゃ協力するぜ?」
「え!?そんな実験を人様にさせる訳には・・・」
気の許せる仲間であるのならまだしも、どんな戦闘でも怪我や命の危険が付き纏うもの。そんな戦いの中で発明品の効果が発揮されるかどうかの実験に、他人を巻き込めないと止めに入ろうとするツクヨだったが、元々装備してないところにプラスで効果が付くだけなら、何も装備してない想定で戦っていれば問題ないと語る傭兵の男。
「おう!それじゃぁアンタには、シンやツクヨとは違うモンをくれてやるぜ!アンタのクラスは?」
「俺ぁゴリゴリの最前職、タンク役のナイトだ」
「そいつは丁度いい!じゃぁアンタにはちょっと変わったモンを・・・。こっちはだいぶ早い段階で壊れちまうが、効果が目に見えて分かり易い」
ツバキが傭兵の男に渡したのは、受けたダメージ分を自動で回復するという装飾品だった。シンやツクヨに渡した指輪とは違い、少し大きめでがっちりとしたブレスレット型の装飾品で、付与できる効果の種類や効果もより大きくなっているようだ。
「あらかじめ込めてある回復効果分を使い切ると壊れちまうから気をつけてな」
「おうよ!勝手に装備から外れるんなら、分かり易いってモンだな!」
互いにメリットのある取引で、ツバキも傭兵の男も満足そうにしている。すると、周囲の警戒にあたっていた感知スキルを展開していたギルドの傭兵が、馬車に近づいてくるモンスターの気配を感知する。
「来たぞ!後方に四足獣の小型のモンスターが複数!どうやら群れでやって来たようだ。数はそれほど多くないが、動きが早い!すぐに追いつかれるぞ」
「早速出番だな!商人の旦那ぁ!追手を振り払う、馬車を止めてくれ!」
「わっ分かったッ・・・!よろしくお願いしますよ!皆さん方!」
徐々に速度を落としていく馬車。先陣を切って身を乗り出したのは、先程ツバキから回復のアクセサリーを受け取ったギルドの傭兵で、ナイトのクラスに就いているという男だった。
「俺が奴らのヘイトを集める!後は適当に頼むぜぇ!」
そういって豪快に馬車から飛び降りた男は、スキルを使いモンスターの攻撃対象を一手に引き受けた。馬車を追っていたモンスターの群れの後方に広がっていた個体も、標的を馬車から傭兵の男に切り替え向きを変える。
「ツバキの装備を試すんだろ?んじゃぁアタシは馬車で援護するよ」
「俺も馬車に残るよ。能力の上昇はすでに確認出来てるし、近接戦闘ができる奴も残っておいた方がいいだろう」
シンとミアは馬車に残り、他にモンスターが来ても迎撃できるように待機する事になった。
「分かった!じゃぁ私は彼と一緒に後方のモンスターを片付けてくるよ!」
少し遅れて、ツクヨも馬車から飛び降りモンスターと戦い始めている傭兵の男の元へと向かっていった。他の馬車からも数人の冒険者やギルドの傭兵が身を乗り出し、モンスターの追手を瞬く間に退治してみせた。
取り囲むようにモンスターの連撃を引き受けていたナイトの男の身体からは、回復効果のあるアイテムや魔法を受けた時と同じ淡い緑色の光が溢れていた。恐らくアレがツバキの渡した装備品の効果なのだろう。
「は?何って、迎撃準備だろ。丁度試しておきたい物があるんだよ」
彼が試しておきたい物というのは、前日に徹夜で打ち込んでいた発明品のことだろう。しかし迎撃準備とは一体どういう事なのだろう。オルレラでの活躍もあるので、彼自身がガジェットによって戦闘を行うことも考えられる。
「迎撃準備って・・・まさか貴方も戦うおつもりですか?」
「う~ん・・・あんまり重たい戦闘じゃなけりゃそれもいいかもしれねぇけど。俺の本分はそうじゃなくて、あくまでサポートだからな。お!あったあった。まずは軽いものから・・・」
ツバキが荷物から取り出したのは、綺麗な装飾が施された指輪だった。
「まぁ!綺麗な指輪。でもそれが一体何のサポートに?」
「気がはぇなぁ。指輪は指輪なんだけど、これは装備品のアクセサリーってもんの一つでな。装備した者の能力を向上させたり、付与効果をもたらすことができんだよ。んで!コイツには受けるダメージを軽減させる効果が付与してある」
彼の話では、そのダメージ軽減の指輪はその名の通り受けるダメージを軽減する他にも、一定値以下のダメージを無効化する効果もあるのだという。簡単に言えば、自身のレベルよりもだいぶ低い相手の攻撃なら無効化できるというものらしい。
だが当然、格下の相手でもアイテムによる攻撃や爆発物、固定ダメージなどは無効化する事はできないそうだ。そんな話をされても、記憶のないアカリには分からなかったが、そういったダメージもあるのだという学びを得ていた。
「ほらツクヨ、コイツは前線で戦うアンタに丁度いい」
「へぇ!器用なもんだね。あの店で買った指輪だろ?こんなに様になるなんてねぇ。ありがとう、大事にするよ!」
「おいおい、そんな大層なモンじゃねぇんだから雑に使ってくれて構わないぜ?それに、大きなダメージを受けると壊れちまうから気をつけてな。ほら、シンにも・・・」
そういってツバキがシンに渡したのは、ツクヨとは違った装飾が施された指輪だった。
「ん?ツクヨのとはちょっと違うみたいだな」
「そっちは能力上昇の効果があるアクセサリーなんだ。お前らには実験台になってもらうぜ!ちゃんと使える物が作れたかどうかのな」
シンが渡されたのは、ツクヨの渡された付与効果のある装備品とは違い、補助的な効果や目にみえる効果は無いものの、装備した者のステータスを向上させる装備品らしい。
それを聞いたシンは、ツバキ達のようにこの世界の住人には見えないステータス画面を開き、実際に彼の発明品を装備してみた。すると、素早さの能力値が僅かに向上し、装備品の説明欄に相手からのヘイトを和らげる効果があると記されていた。
「ありがとうツバキ。確かにアクセサリーの類は装備してなかったからな。今後はその辺も気にして装備を整えるか・・・」
一行の会話とやり取りを見ていたギルドの傭兵の男が興味を示して、ツバキの発明品について尋ねる。
「面白れぇモン持ってんじゃねぇか坊主!実験台ってんなら、俺でよけりゃ協力するぜ?」
「え!?そんな実験を人様にさせる訳には・・・」
気の許せる仲間であるのならまだしも、どんな戦闘でも怪我や命の危険が付き纏うもの。そんな戦いの中で発明品の効果が発揮されるかどうかの実験に、他人を巻き込めないと止めに入ろうとするツクヨだったが、元々装備してないところにプラスで効果が付くだけなら、何も装備してない想定で戦っていれば問題ないと語る傭兵の男。
「おう!それじゃぁアンタには、シンやツクヨとは違うモンをくれてやるぜ!アンタのクラスは?」
「俺ぁゴリゴリの最前職、タンク役のナイトだ」
「そいつは丁度いい!じゃぁアンタにはちょっと変わったモンを・・・。こっちはだいぶ早い段階で壊れちまうが、効果が目に見えて分かり易い」
ツバキが傭兵の男に渡したのは、受けたダメージ分を自動で回復するという装飾品だった。シンやツクヨに渡した指輪とは違い、少し大きめでがっちりとしたブレスレット型の装飾品で、付与できる効果の種類や効果もより大きくなっているようだ。
「あらかじめ込めてある回復効果分を使い切ると壊れちまうから気をつけてな」
「おうよ!勝手に装備から外れるんなら、分かり易いってモンだな!」
互いにメリットのある取引で、ツバキも傭兵の男も満足そうにしている。すると、周囲の警戒にあたっていた感知スキルを展開していたギルドの傭兵が、馬車に近づいてくるモンスターの気配を感知する。
「来たぞ!後方に四足獣の小型のモンスターが複数!どうやら群れでやって来たようだ。数はそれほど多くないが、動きが早い!すぐに追いつかれるぞ」
「早速出番だな!商人の旦那ぁ!追手を振り払う、馬車を止めてくれ!」
「わっ分かったッ・・・!よろしくお願いしますよ!皆さん方!」
徐々に速度を落としていく馬車。先陣を切って身を乗り出したのは、先程ツバキから回復のアクセサリーを受け取ったギルドの傭兵で、ナイトのクラスに就いているという男だった。
「俺が奴らのヘイトを集める!後は適当に頼むぜぇ!」
そういって豪快に馬車から飛び降りた男は、スキルを使いモンスターの攻撃対象を一手に引き受けた。馬車を追っていたモンスターの群れの後方に広がっていた個体も、標的を馬車から傭兵の男に切り替え向きを変える。
「ツバキの装備を試すんだろ?んじゃぁアタシは馬車で援護するよ」
「俺も馬車に残るよ。能力の上昇はすでに確認出来てるし、近接戦闘ができる奴も残っておいた方がいいだろう」
シンとミアは馬車に残り、他にモンスターが来ても迎撃できるように待機する事になった。
「分かった!じゃぁ私は彼と一緒に後方のモンスターを片付けてくるよ!」
少し遅れて、ツクヨも馬車から飛び降りモンスターと戦い始めている傭兵の男の元へと向かっていった。他の馬車からも数人の冒険者やギルドの傭兵が身を乗り出し、モンスターの追手を瞬く間に退治してみせた。
取り囲むようにモンスターの連撃を引き受けていたナイトの男の身体からは、回復効果のあるアイテムや魔法を受けた時と同じ淡い緑色の光が溢れていた。恐らくアレがツバキの渡した装備品の効果なのだろう。
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