761 / 1,646
好調な滑り出し
しおりを挟む
防具が徐々に生成されていき、少女の服の上に反映されていく。本来の髪にキャラクターの髪が反映され伸びていくと、光と共に青く美しい長髪へと変わり、顔つきもやや大人っぽくなる。
自身の身体の変化に驚いた様子の少女は、それが本当に自分の身体なのか試すように両の掌を数回握り、身体を捻ったり飛んでみたりする。
「あ・・・あれ?なんか私より頼り甲斐がありそうね」
戦士のキャラクタースキンへ変わる少女を見て、思わぬ変貌ぶりに想像してた可愛らしいキャラクターの幻想が崩れ去ったにぃな。
「カッコイイ大人ってのに憧れてたの。でも本当にこれで何か変わったの?」
まだ信用できないといった少女の表情から、不安や恐怖といった感情がまだ残っているのが伺える。当然のことだろう。初めはその目に映す現実の光景と、ゲームで遊んでいた時の自身の姿のギャップが激し過ぎて、気持ち的にはコスプレをしているような感覚になっていることだろう。
所謂、自分の理想の姿への“変身“というのは、心の何処かにある思いが表されている。少女の場合、彼女自身が口にしていたように、一人で生きていけそうな強くてカッコイイ女性の姿を、エディットしたことが一目で伝わってくる。
「戦ってみれば分かるよ。要領はゲームの時と同じだから安心して」
すると、彼女のクラスである戦士の武器が前に現れる。その武器は、彼女の体格には少し大きく感じる、西洋風の剣だった。
恐る恐る剣を手に取る少女は、見た目よりも軽く感じたその武器の質量に目を丸くするが、それは剣が軽いのではなく彼女自身の腕力が、キャラクターのステータスによって上昇したからだった。
「これでゲームと同じように戦えばイイんだよね?」
そう言って剣を構えた少女は、シンを躱し後方の二人目がけてやって来たリザード兵の一体へ狙いを定める。
「でも、極力ダメージは受けない方がいいよ?ゲームと違って痛みはあるから」
「そんなこと今更言わないでよ!」
しかし今更引き下がれない。少女は握りしめた武器を力強く握りしめ、リザード兵の接近に合わせ勢いよく振るう。
戦闘に入る隙に、にぃなは補助魔法を少女に掛け、彼女の身を守る防御力を上昇させた。
そうとは知らずに、リザード兵の攻撃を顧みずに振るった少女は、リーチの差分で勝る相手の槍を受ける。間一髪のところで体勢を低く沈め、擦る程度で済んだ。
攻撃を外したリザード兵の身体に、少女の剣が命中する。大きく切り裂かれたリザード兵は、呻き声を上げながら地面に落下し、光の粒子となって消滅していった。
「痛ぁッ!・・・こんのぉッ!」
少女はそのまま、逆サイドから迫ってくる次の標的に狙いを定め、素早い踏み込みでにぃなの前を横切り、今度は相手の攻撃を避けた後で確実にリザード兵の隙をついて斬り裂く。
「なぁんだ!思ったほど痛く無いんだね。もっと死ぬほど痛いもんだと思ったぁ!」
「私の補助魔法のおかげもあるんだからね!無茶しないでよぉ!?」
どうやら無事に戦闘が行えるようになった少女に、ほっと胸を撫で下ろすシン。実は少女がリザード兵を難なく倒せていたのは、彼女らの影に保険として仕掛けていた、シンの影による助力があったからだった。
万が一シンがリザード兵を止め切れず、戦闘準備が出来ていない後ろの二人に接近を許してしまった際に、二人に近づいた相手の動きを鈍らせる影が、リザード兵の影の中へ自動的に送り込まれるというスキルだった。
前線で思ったように実力を発揮出来ず、簡単に突破されてしまったのにはこういった裏があったのだ。
「戦闘に慣れるのにはもう少し掛かりそうか?」
「大丈夫ッ!このぐらい楽勝ッ!」
すぐに要領を掴んでしまった彼女は、にぃなを背にして正しく戦士のように逞しい戦闘を見せた。
これなら援護は必要なさそうだと判断したシンは、二人の影に掛けたスキルを解除し、自身の戦闘に集中する。
「少しの間、敵数が増えても大丈夫そう?」
「えっ?あんまり増えると分からないけど・・・どうして?」
少女の問いに、シンは短剣の先でリザード兵の奥にいる、武装したひときは異様な雰囲気を漂わせるボスらしきリザード種を指す。
「相手の親玉を仕留めてくる。そしたら二人で残りを一気に倒そう!」
「あんなところまでいける?まだ数がいるけど」
彼女の問いに、得意げな表情を浮かべるシンは、彼女にアサシンのクラスの戦い方を披露する。
「混戦状態の中で自由に動ける状況なら、不意を突きやすくなる・・・。それじゃぁちょっとの間任せたよ!」
そう言って一気に駆け出したシンは、壁となって立ち塞がるリザード兵だけ始末していき、リザード達のボス近くまで接近する。
だが、馬鹿正直に正面から突っ込むのではなく、ある程度近づくと取り巻きのリザード兵の相手をするフリをしながら、ボスの視線から消えるように近くに立ち並ぶ植木の影へと身を寄せる。
そして相手に気付かれぬように、ボスの影と植木の影を繋げ通り道にしようとした時、そのボスの方から何やら不穏な声が聞こえた。
「・・・カゲ・・・」
僅かに聞こえた声だったので聞き間違いだろうと、シンはそのまま影の中を通りボスの背後にある影へと移動する。
背後には数体の護衛のようなリザード兵が立っていたが、これだけの近距離であれば問題はない。暗殺を得意とするアサシンに掛かれば、一撃で仕留められずとも致命的な一撃を入れることができる。
影から飛び出し、リザード達のボスの背後から弱点部位の首を狙って刃を向けるシン。
だが、まるで自分の影からシンが飛び出してくるのを知っていたかのように、リザードのボスh振り返りながら大きな戟を振るう。
自身の身体の変化に驚いた様子の少女は、それが本当に自分の身体なのか試すように両の掌を数回握り、身体を捻ったり飛んでみたりする。
「あ・・・あれ?なんか私より頼り甲斐がありそうね」
戦士のキャラクタースキンへ変わる少女を見て、思わぬ変貌ぶりに想像してた可愛らしいキャラクターの幻想が崩れ去ったにぃな。
「カッコイイ大人ってのに憧れてたの。でも本当にこれで何か変わったの?」
まだ信用できないといった少女の表情から、不安や恐怖といった感情がまだ残っているのが伺える。当然のことだろう。初めはその目に映す現実の光景と、ゲームで遊んでいた時の自身の姿のギャップが激し過ぎて、気持ち的にはコスプレをしているような感覚になっていることだろう。
所謂、自分の理想の姿への“変身“というのは、心の何処かにある思いが表されている。少女の場合、彼女自身が口にしていたように、一人で生きていけそうな強くてカッコイイ女性の姿を、エディットしたことが一目で伝わってくる。
「戦ってみれば分かるよ。要領はゲームの時と同じだから安心して」
すると、彼女のクラスである戦士の武器が前に現れる。その武器は、彼女の体格には少し大きく感じる、西洋風の剣だった。
恐る恐る剣を手に取る少女は、見た目よりも軽く感じたその武器の質量に目を丸くするが、それは剣が軽いのではなく彼女自身の腕力が、キャラクターのステータスによって上昇したからだった。
「これでゲームと同じように戦えばイイんだよね?」
そう言って剣を構えた少女は、シンを躱し後方の二人目がけてやって来たリザード兵の一体へ狙いを定める。
「でも、極力ダメージは受けない方がいいよ?ゲームと違って痛みはあるから」
「そんなこと今更言わないでよ!」
しかし今更引き下がれない。少女は握りしめた武器を力強く握りしめ、リザード兵の接近に合わせ勢いよく振るう。
戦闘に入る隙に、にぃなは補助魔法を少女に掛け、彼女の身を守る防御力を上昇させた。
そうとは知らずに、リザード兵の攻撃を顧みずに振るった少女は、リーチの差分で勝る相手の槍を受ける。間一髪のところで体勢を低く沈め、擦る程度で済んだ。
攻撃を外したリザード兵の身体に、少女の剣が命中する。大きく切り裂かれたリザード兵は、呻き声を上げながら地面に落下し、光の粒子となって消滅していった。
「痛ぁッ!・・・こんのぉッ!」
少女はそのまま、逆サイドから迫ってくる次の標的に狙いを定め、素早い踏み込みでにぃなの前を横切り、今度は相手の攻撃を避けた後で確実にリザード兵の隙をついて斬り裂く。
「なぁんだ!思ったほど痛く無いんだね。もっと死ぬほど痛いもんだと思ったぁ!」
「私の補助魔法のおかげもあるんだからね!無茶しないでよぉ!?」
どうやら無事に戦闘が行えるようになった少女に、ほっと胸を撫で下ろすシン。実は少女がリザード兵を難なく倒せていたのは、彼女らの影に保険として仕掛けていた、シンの影による助力があったからだった。
万が一シンがリザード兵を止め切れず、戦闘準備が出来ていない後ろの二人に接近を許してしまった際に、二人に近づいた相手の動きを鈍らせる影が、リザード兵の影の中へ自動的に送り込まれるというスキルだった。
前線で思ったように実力を発揮出来ず、簡単に突破されてしまったのにはこういった裏があったのだ。
「戦闘に慣れるのにはもう少し掛かりそうか?」
「大丈夫ッ!このぐらい楽勝ッ!」
すぐに要領を掴んでしまった彼女は、にぃなを背にして正しく戦士のように逞しい戦闘を見せた。
これなら援護は必要なさそうだと判断したシンは、二人の影に掛けたスキルを解除し、自身の戦闘に集中する。
「少しの間、敵数が増えても大丈夫そう?」
「えっ?あんまり増えると分からないけど・・・どうして?」
少女の問いに、シンは短剣の先でリザード兵の奥にいる、武装したひときは異様な雰囲気を漂わせるボスらしきリザード種を指す。
「相手の親玉を仕留めてくる。そしたら二人で残りを一気に倒そう!」
「あんなところまでいける?まだ数がいるけど」
彼女の問いに、得意げな表情を浮かべるシンは、彼女にアサシンのクラスの戦い方を披露する。
「混戦状態の中で自由に動ける状況なら、不意を突きやすくなる・・・。それじゃぁちょっとの間任せたよ!」
そう言って一気に駆け出したシンは、壁となって立ち塞がるリザード兵だけ始末していき、リザード達のボス近くまで接近する。
だが、馬鹿正直に正面から突っ込むのではなく、ある程度近づくと取り巻きのリザード兵の相手をするフリをしながら、ボスの視線から消えるように近くに立ち並ぶ植木の影へと身を寄せる。
そして相手に気付かれぬように、ボスの影と植木の影を繋げ通り道にしようとした時、そのボスの方から何やら不穏な声が聞こえた。
「・・・カゲ・・・」
僅かに聞こえた声だったので聞き間違いだろうと、シンはそのまま影の中を通りボスの背後にある影へと移動する。
背後には数体の護衛のようなリザード兵が立っていたが、これだけの近距離であれば問題はない。暗殺を得意とするアサシンに掛かれば、一撃で仕留められずとも致命的な一撃を入れることができる。
影から飛び出し、リザード達のボスの背後から弱点部位の首を狙って刃を向けるシン。
だが、まるで自分の影からシンが飛び出してくるのを知っていたかのように、リザードのボスh振り返りながら大きな戟を振るう。
0
あなたにおすすめの小説
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる