188 / 1,646
鸞翔鳳集
しおりを挟む
突然の轟音に何事かと船内から外の様子を伺う一行。しかし、中からはその音の原因を突き止めることは出来ない。別々の窓から外を見ていたシンとミアが、互いの顔を合わせ何か見つけたかというアイコンタクトを取るが、互いに首を横に振る。
何か知っているのではと、二人は次のハオランの方を見るが、如何やら彼にも何が起こっているのか分からないようで、驚いた様子の彼は二人の視線を感じ、そちらを振り替えると甲板に出ようと指でジェスチャーをとり、シンとミアは彼の対案に乗って三人で船内から甲板へと出て行った。
「アンタの待ち人とやらではないのか?何だ、今の音は?」
「いえ・・・そんな筈は・・・。これは一体・・・」
彼の雰囲気からはあまり想像の出来ない焦りや困惑といった感情が、その表情から伝わってくる。このことに関しては、ハオランは嘘偽りなく今の心境を話しているのだろう。だが、それ故にシンとミアは不安になった。レース経験者でもあり、シン達よりも海に詳しい彼がこうまで動揺するということは、彼にとっても予想外の展開だったのか。
「波だ!広がる波の中心部に音の発生源がある筈だ」
着水の衝撃がそれほど凄かったのか、まだ現場から起こる波が残っているのを確認したシンが二人にそれを知らせると、三人は発生源に何があるか確かめに行くという総意で一致していた。ただ、何が待ち受けているか分からない以上、怪我人のツバキと船を置き去りには出来ない。ツクヨが戻ってくる可能性もある為、誰かはここに残らなくてはならない。
留守番を志願したのは、まだ体調が戻ったばかりのシンだった。自ら提案したことだが、ハオランをここに残して二人で様子を見に行くのも違うだろう。それに彼一人で見に行ってもらうにも戻ってくるかどうか分からない。信頼を置くことの出来る人物で、一度島に降りていたミアの方が自分より適任であろうと考えての事だった。
「行ってくる。ツバキと船を頼んだ、シン・・・」
「あぁ、こっちでも辺りの警戒をしておくよ」
ハオランとミアが、轟音の原因を突き止めに行くことで話がまとまると二人は船を降り、波を起こしたと思われる中心部へと向かっていった。
「船長!これは一体・・・!?急に船が別の場所に・・・」
船を操縦する男が、船長と呼ばれる者に無線を飛ばす。他の船員達は一斉に外の様子を見に甲板に出る者や、窓にかじりつく者、マストに上り周囲の確認をする者と手際よく分担し、速やかな安全確保を行う。
「あぁ?まだ連絡は来てねぇだろ。誰だ、勝手な真似をしやがったのは・・・」
重い腰を上げた貴族風の鋭い目つきをした男は、船内の一室から外の様子を伺う。無線機からは部下の船員達による報告が、忙しなく入ってくる。だが、その男は無線機を意に介することなく、自らの目をで辺りを確認する。すると、見覚えのあある景色だったのか、その男の目は微かに見開いたように見えた。
「ここは・・・補給するのに立ち寄った島じゃねか。何で戻って来てやがる?」
その男は動揺とまではいかないものの、自分の船に起きた出来事をまるで知っていたかのように落ち着きながら考察し始める。予期せぬ出来事であるのならば、もう少し態度に出る筈だが、その男にはそういったものは一切ない。
男の言う補給の為に訪れた島こそが今シン達がいる孤島であり、彼らが聞いた轟音とはこの男の船が突然海上に転移した事により生じた衝撃音だったのだ。
そこへ今度は海賊の者なら聞き馴染みのある、そしてシン達にとっては少し前まで散々聞いた命を脅かす、身体の芯に響くような重低音が辺りに響く。
「砲撃音を確認!前方に見える島の方向からです!」
男の無線機に船員からの報告が入る。音を聞けば分かるような当たり前のことを言うなといった様子で眉をひそめ、舌打ちをする男は大きな歩幅でやや早足になると甲板に出て、自ら砲弾を手に取り設置された大砲の中に入れてレバーを引く。
砲撃音と共に撃ち放たれた砲弾は、島の方角から飛んでくる砲弾へと向かって飛んで行き、異様なほど正確な射線で島の方から飛んでくる砲弾を相殺させてみせる。
再び島一帯に響き渡る爆撃音。様子を見に行っていたミアとハオランの上空で砲弾同士の激しい衝突が起きる。
「砲弾に砲弾を当てたのか?・・・後から聞こえた砲撃は、並の狙撃手の腕前ではない・・・。我々が向かおうとしている場所には、少なくとも優れた狙撃手がいるようですね」
「そんな奴が乗ってる船ってことは・・・」
「はい・・・、さぞ名の知れた者であることでしょうね。そしてそれは間違いなく私の待ち合わせている人物ではないですね・・・。私やあなた方の他にこの島には、二グループのチームが来ているようです」
何故、この誰かに漁られた後の何もない島に、これ程のチームが集まるのかは分からない。そして現状、この島にはハオランとシン達以外、相手の存在を知らない狙撃の名手を連れたチームと、その船目掛けて砲撃を放った謎のチームが集合している事になる。
何か知っているのではと、二人は次のハオランの方を見るが、如何やら彼にも何が起こっているのか分からないようで、驚いた様子の彼は二人の視線を感じ、そちらを振り替えると甲板に出ようと指でジェスチャーをとり、シンとミアは彼の対案に乗って三人で船内から甲板へと出て行った。
「アンタの待ち人とやらではないのか?何だ、今の音は?」
「いえ・・・そんな筈は・・・。これは一体・・・」
彼の雰囲気からはあまり想像の出来ない焦りや困惑といった感情が、その表情から伝わってくる。このことに関しては、ハオランは嘘偽りなく今の心境を話しているのだろう。だが、それ故にシンとミアは不安になった。レース経験者でもあり、シン達よりも海に詳しい彼がこうまで動揺するということは、彼にとっても予想外の展開だったのか。
「波だ!広がる波の中心部に音の発生源がある筈だ」
着水の衝撃がそれほど凄かったのか、まだ現場から起こる波が残っているのを確認したシンが二人にそれを知らせると、三人は発生源に何があるか確かめに行くという総意で一致していた。ただ、何が待ち受けているか分からない以上、怪我人のツバキと船を置き去りには出来ない。ツクヨが戻ってくる可能性もある為、誰かはここに残らなくてはならない。
留守番を志願したのは、まだ体調が戻ったばかりのシンだった。自ら提案したことだが、ハオランをここに残して二人で様子を見に行くのも違うだろう。それに彼一人で見に行ってもらうにも戻ってくるかどうか分からない。信頼を置くことの出来る人物で、一度島に降りていたミアの方が自分より適任であろうと考えての事だった。
「行ってくる。ツバキと船を頼んだ、シン・・・」
「あぁ、こっちでも辺りの警戒をしておくよ」
ハオランとミアが、轟音の原因を突き止めに行くことで話がまとまると二人は船を降り、波を起こしたと思われる中心部へと向かっていった。
「船長!これは一体・・・!?急に船が別の場所に・・・」
船を操縦する男が、船長と呼ばれる者に無線を飛ばす。他の船員達は一斉に外の様子を見に甲板に出る者や、窓にかじりつく者、マストに上り周囲の確認をする者と手際よく分担し、速やかな安全確保を行う。
「あぁ?まだ連絡は来てねぇだろ。誰だ、勝手な真似をしやがったのは・・・」
重い腰を上げた貴族風の鋭い目つきをした男は、船内の一室から外の様子を伺う。無線機からは部下の船員達による報告が、忙しなく入ってくる。だが、その男は無線機を意に介することなく、自らの目をで辺りを確認する。すると、見覚えのあある景色だったのか、その男の目は微かに見開いたように見えた。
「ここは・・・補給するのに立ち寄った島じゃねか。何で戻って来てやがる?」
その男は動揺とまではいかないものの、自分の船に起きた出来事をまるで知っていたかのように落ち着きながら考察し始める。予期せぬ出来事であるのならば、もう少し態度に出る筈だが、その男にはそういったものは一切ない。
男の言う補給の為に訪れた島こそが今シン達がいる孤島であり、彼らが聞いた轟音とはこの男の船が突然海上に転移した事により生じた衝撃音だったのだ。
そこへ今度は海賊の者なら聞き馴染みのある、そしてシン達にとっては少し前まで散々聞いた命を脅かす、身体の芯に響くような重低音が辺りに響く。
「砲撃音を確認!前方に見える島の方向からです!」
男の無線機に船員からの報告が入る。音を聞けば分かるような当たり前のことを言うなといった様子で眉をひそめ、舌打ちをする男は大きな歩幅でやや早足になると甲板に出て、自ら砲弾を手に取り設置された大砲の中に入れてレバーを引く。
砲撃音と共に撃ち放たれた砲弾は、島の方角から飛んでくる砲弾へと向かって飛んで行き、異様なほど正確な射線で島の方から飛んでくる砲弾を相殺させてみせる。
再び島一帯に響き渡る爆撃音。様子を見に行っていたミアとハオランの上空で砲弾同士の激しい衝突が起きる。
「砲弾に砲弾を当てたのか?・・・後から聞こえた砲撃は、並の狙撃手の腕前ではない・・・。我々が向かおうとしている場所には、少なくとも優れた狙撃手がいるようですね」
「そんな奴が乗ってる船ってことは・・・」
「はい・・・、さぞ名の知れた者であることでしょうね。そしてそれは間違いなく私の待ち合わせている人物ではないですね・・・。私やあなた方の他にこの島には、二グループのチームが来ているようです」
何故、この誰かに漁られた後の何もない島に、これ程のチームが集まるのかは分からない。そして現状、この島にはハオランとシン達以外、相手の存在を知らない狙撃の名手を連れたチームと、その船目掛けて砲撃を放った謎のチームが集合している事になる。
0
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる