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グリルと交渉と商売の話
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〇地下室
「私と取引ですか?」
グリルが首を傾げて言った。
「そう。私の父の事、恨んでいるでしょ?」
「何をバカな。そんな事あ..」
「目」
ピクリと反応するグリル。
「なぜ、目が見えなくなったか覚えてる?」
「・・・・・・」
「父があなたを愛人にしようと迫って、拒否したからそうなったのよね」
「・・・・・・」
体が震え、握り拳を作って耐えていた。
「でも、不思議よね~。
何でそこまでされたのに、シン家に仕えているのか?」
・・・・・・・・・
「それは、裏切る事が出来ないのよね。
代々シン家を守る一族である者は、絶対の忠誠の証としてある薬を飲むのよね」
「なぜ、それを知っているですか?
我が一族の者とシン家の領主しか知らない秘密を」
「なぜだと思う? ( ̄▽ ̄)フフフフ
・・・・・・・
私が正直に言っても信じないと思うけどね」
「それで、取引とは何です?」
・・
「それは、あなたの一族を解放してあげる」
「!!!!どうやって?」
ぐいっとアイの目の前に顔を近づけて、鬼気迫る声で聞いてきた。
「簡単な事よ。私がこのシン家の当主になるれば良い。
そうすれば、あなた達は自由よ。
今の私は赤ちゃんで、魔法も使えない状態。
一人で暮らすには非常に厳しい。
だから、手伝って欲しいの」
「フフフフ。何の力もない。
アンタを助けて当主にしろですって。
笑っちゃうわ。無理に決まっているでしょ」
「まぁ~そう思って当然よね。
だから、私のプランを聞いて欲しいの?」
「プラン?」
「①お金を稼ぐ。
生活する上でも必要だし、
お金があれば色々出来るからね。
②魔法の道具を作る。
私は魔法を使えないけど、やっぱり魔法が使いたいの。
だから、魔法が使える道具を開発したい。
③魔法貴族学校へ入学。
貴族の子供がいるから、人脈を広げるには最高の場所。
それに、・・・王子様もいるしね( ̄▽ ̄)/
・・・
今度は、速攻で落としてやるんだから( ̄▽ ̄)フフフ
そして、念願のキ、キス~~~を( ̄3 ̄)チュ~~」
話の途中で、キスの妄想モードに入るアイ。
「・・・・・・・・・」
困惑するグリルだったが、手をポンと叩いて何かを思いついたようだ。
「王子様が来ましたよ~」
耳元で、そっと囁いた。
「え? 王子様? どこ?どこ?∑(°〇°)」
キョロキョロ見るアイ。
「そんな人。いません」
「え~。いないの~。じゃ~またキスを~( ̄3 ̄)~」
妄想モードに入ろうとしたが、直ぐにアイの顔を両手で抑えた。
「今、大事な話をしてると・ちゅ・う・で・しょ?」
顔を近づけて怖い声で言った。
「わ、わかった。ゴクン」
圧倒されるアイ。
(もっと私の好きなキス妄想したかったのにな~
ホント怒ると怖いんだから~( ̄3 ̄)!!)
「え~っと、何だっけ? あ!! そうだ思い出した。
④当主の座を奪う。
力を蓄えた段階で実行するわ。
私を殺そうとした父をギャフンと言わせてやるの。
とりあえずこんな感じ。
もちろん。他にも思いついた事があれば実行していくわ」
「なるほど、大きな流れとやりたい事は解りました。
ではどうやって、お金を稼ぐ?」
「さっき教えたポテトチップあるでしょ?
あれを売り出すのはどう?」
「あれは・・・・・ダメ」
「何で? 作り方も簡単だし美味しいから売れるはずよ」
「あれは、私だけが知っている物にしたい」
「え? 独占したいって事?」
コクコクとグリルが頷いた。
「でも、まだ食べた事ないのに良いの?」
「イメージしたら、凄く美味しそうだし、沢山食べたいし、
人に教えたくない」
強い意思の口調で言った。
(グリルってこう見えて、結構食いしん坊なのよね~
う~ん。何かお金を稼ぐ良い方法はないかなぁ?
元の世界にあって、ここに無い物は・・・・そうだ!!)
「ねぇ。記憶玉って町に売ってる?」
「売っているけど、なぜですか?」
「( ̄▽ ̄)フフフ。もちろん。商売のためよ」
「どうやって、商売するんです?」
鼻息を荒くして興味深々のグリル。
「魔法で録画出来る記憶玉を使って、
自分の知識やノウハウを売る作戦よ。
これなら、教える時に使う物を用意するだけで、
・・
お金が入る。ほぼタダでね。
知りたいと思った人は喜んで買ってくれるわ」
「凄い!!! 考えた事が無い発想だ」
「でしょでしょ」
( ̄▽ ̄)ニヤニヤが止まらない。
「赤ん坊が話せるだけでなく、
こんなアイディアを出すとは、信じれないです!!」
感心するグリル。
「もっと褒めて褒めて( ̄▽ ̄)/」
鼻を高くするアイ。
「それで具体的に何を教えるんですか?」
「グリルが得意な武術を基礎から教えて、記憶玉に撮るの。
撮った記憶玉を1作目は、無料で配って宣伝。
2作目以降は、興味がある人に有料で売るの。
さらに、武術を直接習いたい人にも教えて、
レッスン料を貰う。どう良い作戦でしょ?」
「嫌です。人前に出るのわ。は、恥ずかしいので・・・」
顔を下にやって、モジモジするグリル。
「でも、お金を稼げれば、ポテトチップスを沢山食べれるわよ。あなたの給料じゃ少ないでしょ」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑いながら言った。
「!!!!!」
ぱっと顔を上げて、鼻の穴が大きくなった。
「他にも、私が考案したこの世界にない珍しいレシピで
料理を作って貰うわ」
「料理も・・・した事ないんですけど・・・」
また、(×_×)ガクーンと顔を下に向けてしまった。
「そこが良いのよ。
初めて料理をする人の成長過程を見せる企画だから。
他にも面白い企画を考えたら、どんどん記憶玉に撮って宣伝や販売するわよ。
それに可愛いし、映り栄えが良いから人気者になれるわよ。
どう? 私と組む気になった?」
「う~~~~ん」
真剣に考え込むグリル。
(この考えのヒントは、ネット動画。
現代では動画配信は当たり前だけど、
この世界ではネットの環境が無いから珍しいはず。
企画次第で、きっとバカ売れするはずよ。
我ながら良い案を考えたものだ。ホホホ( ̄▽ ̄)天才)
「決めました」
「そう。それで?」
笑顔のアイ。
すると、グリルは剣を抜いてアイを刺した。
「え?」
〇赤ちゃんの部屋
「あなた。お願いよ。お願いよ」
アイの母親であるマイセルが、父親のサーガーに泣きながら訴えていた。
「もう。遅い!!」
「でも、魔法が使えなくてもアイは、
何か才能があるかもしれいわ。だって私達の子供よ。
きっとあるはずだわ。
それに、世間体が気になるなら、
この屋敷から一歩も出さなくて良い。
責任持って、あなたの役立つように教育するから、
命だけは助けてあげて。あなた。一生のお願いよ」
必死に訴えるマイセル。
「お前がちゃんと、私の役に立つように教育するんだな」
「!!!!!ええ。必ず!!」
「わかった。処刑を中止しよう」
「あなた。ありがとう」
マイセルは抱きついて喜んだ。
「ちぇ。何で許すのかな~。死ねばいいのに」
愛人であり使用人のパンスキーは、眉間にシワを寄せながら悪態をついた。
「グリル。グリル」
サーガーが呼んだ。
「何の用でしょうか。旦那様」
グリルが目の前に現れた。
「アイの処刑を中止しろ」
「それは、無理です」
「どうゆう事だ?」
「もう、処刑しました」
「!!!!!!!!」
グリルはアイが着ていた服をサーガーに見せた。
その服には左胸の所に、剣が刺さった後があり、周りに血が付いてた。
「アイーーーーーーーーーーーーー」
マイセルは、アイの服を奪って泣き崩れる。
それに対して、無表情のサーガーは、無言で部屋を出て行った。
・・
「アハハハハ。遅かったみたいですね。奥様。
アハハハハ。待って下さい旦那様~。
私が慰めてあげますよ~♪♪」
嬉しそうな顔で、サーガーの後を追うパンスキー。
マイセルとアイの服をじっと見つめるグリルだった。
〇サーガーの部屋
しばらく時間が過ぎて、
コンコンとドアをノックする音がした。
「入れ」
「ハイ」
グリルが部屋に入って来た。
「何のようだ?」
窓から遠くの景色を眺めながら、サーガーが言った。
「町へ買出しに行っても、よろしいでしょうか?」
「珍しい事もあるな。滅多に町へ行かないのに」
「実は、新しい料理を思い付いて試してみたいので、
材料を買いに行かせて下さい」
「解った行って来い」
「ありがとうございます」
一礼して去る時に、パースキーと入れ違いになった。
まだ、窓の景色を見ているサーガーに近づいて、耳元で甘い囁きをした。
「あなたは悪くないわ。魔法が使えないアイが全て悪い。
それに、死んだ者は戻って来ないわ。
だから、私が忘れさせてあがるわ」
サーガーの顔をこっちに向かせて熱いキスをした。
〇町
町の中を高級な馬車が移動していた。
「あなた。静かな町ね」
「そうだね。フランソワ。
でも、ワシは都より静かな方がいいね」
身なりが良く若い夫婦と赤ん坊がいた。
「都に居なくても良かったの?」
「ああ。今、都は権力争いで激しいからな。
それに、病気の治療のためにも静かな方が良い」
「ありがとう。あなた」
顔を夫の肩に傾けるフランソワ。
「相変わらず。仲が良いですね~。旦那~」
馬車の中を覗き込む日焼けした肌で、
白い髪の男が( ̄▽ ̄)ニヤニヤしながら言った。
「サラブレットもフランソワの様な素晴らしい女性と巡りあえるぞ」
笑みを浮かべながら話すタダル。
「アッシは、女なんて良いです」
「サラブレットもその顔だとモテるだろ?」
「はっきり言いますと、モテます。
でも、アッシの顔を好きになる女ばかりですし、
姉のブリッ子の姿を見てるので、女の本性がどうゆう物か解ってます」
両手を広げて、おどけた表情をした。
「自分のために、ブリッ子してくれる女性も可愛いではないか」
「へん。可愛くないですよ。アッシは苦手です」
「実は、サラブレットに縁談の話が来ているのだが」
「まだ、結婚と言う年では無いのでいいすっよ」
「そうだったな。まだ13歳だったな。
見た目は20代後半の落ち着きのある顔だからな~」
「へん。年齢の割りに老けて見れるんでしょ」
不機嫌になった。
「あなた。ダメよ。そんな事言ったら」
「ハハハハ。スマン。スマン」
「!!!!!!!!!!!!!!」
突然、馬車が止まった。
「キャーーーーーー」
「どうしたんだ?」
「前方に荷物を落としたメイドが拾ってるので、
止まりました」
「フランソワ。大丈夫かい?」
「ええ。この子も笑って大丈夫よ」
子供は全く怖がらず微笑んでいた。
「サラブレット。女性の手伝いをしなさい」
「ええ~。面倒っすよ。待っとけば時期に終わりますよ」
「人に親切をすると、自分に返ってくるものだよ」
「ええ~。でも・・・」
渋るサラブレット。
「何か出会いがあるかもしれないわよ。
女性には親切にしないとね」
「そんな運命の出会いなんて、この世に存在しないっすよ。
今から証明しますよ」
馬車をひょいっと降りて、メイドの元に向った。
「落ちてましたよ」
落ちていた物を拾って、メイドに渡そうとした。
「ありがとうございます」
メイドが見上げた。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
目を見開いて、持っていた物を思わず落としてしまった。
「あの~。どうしました?」
首を傾げるメイド。
「な、なななんでもももありません」
凄く動揺するサラブレット。
「アッシは、どうしたんだ?」
目を擦ってメイドを見た。
すると、メイド姿をした女性が、バラの様に美しく見えた。
「どこに落ちているか解らないので、
手伝ってくれませんか?」
「は、はい。ただいま」
落ちている物を猛スピードで拾って、自分の服で拭いてから渡した。
「重たそうなので、持ちましょうか?」
「大丈夫です。これくらい慣れていますので」
籠一杯にある物を両手でひょいっと持った。
「あ、ああああの~~~~」
「なんですか?」
「あの~~~~~~~~」
「?」
首を傾げるメイド
「こ、この町に良く来るんですか?」
「最近までは、余り来ませんでしたが、
今後はこの町に良く来ると思いますけど?」
「よし」
くるりと反対の方を向いてガッツボーズした。
「では、ありがとうざいました」
お礼をしてメイドが去って行った。
サラブレットはメイドが、見えなくなるまで見送った。
・・・・・・
「・・・・・・・可愛い。特に赤いハチマキ姿が」
ポッと顔を赤らめた。
そして、急いで馬車に戻った。
「遅かったわね。どうしたんだい?」
「やっぱり、女性には親切するべきっすね。
アッシ、この町好きっす」
口笛を吹いて、上機嫌のサラブレット
「そう。気に入ったみたいでよかったわ」
・・・・・・・
「おお。アントワネットも喜んでいるぞ」
赤ん坊がケラケラ笑った。
〇シン家
「ワープ 隠れ家」
大きな荷物を抱えたグリルは、シン家の目立たない場所に来ると辺りをキョロキョロしながら、魔法を唱えた。
「遅くなりました」
「遅いわよ。グリル」
そこには、テーブルの上にアイがオムツ姿で、頬杖をついて横になっていた。
「私と取引ですか?」
グリルが首を傾げて言った。
「そう。私の父の事、恨んでいるでしょ?」
「何をバカな。そんな事あ..」
「目」
ピクリと反応するグリル。
「なぜ、目が見えなくなったか覚えてる?」
「・・・・・・」
「父があなたを愛人にしようと迫って、拒否したからそうなったのよね」
「・・・・・・」
体が震え、握り拳を作って耐えていた。
「でも、不思議よね~。
何でそこまでされたのに、シン家に仕えているのか?」
・・・・・・・・・
「それは、裏切る事が出来ないのよね。
代々シン家を守る一族である者は、絶対の忠誠の証としてある薬を飲むのよね」
「なぜ、それを知っているですか?
我が一族の者とシン家の領主しか知らない秘密を」
「なぜだと思う? ( ̄▽ ̄)フフフフ
・・・・・・・
私が正直に言っても信じないと思うけどね」
「それで、取引とは何です?」
・・
「それは、あなたの一族を解放してあげる」
「!!!!どうやって?」
ぐいっとアイの目の前に顔を近づけて、鬼気迫る声で聞いてきた。
「簡単な事よ。私がこのシン家の当主になるれば良い。
そうすれば、あなた達は自由よ。
今の私は赤ちゃんで、魔法も使えない状態。
一人で暮らすには非常に厳しい。
だから、手伝って欲しいの」
「フフフフ。何の力もない。
アンタを助けて当主にしろですって。
笑っちゃうわ。無理に決まっているでしょ」
「まぁ~そう思って当然よね。
だから、私のプランを聞いて欲しいの?」
「プラン?」
「①お金を稼ぐ。
生活する上でも必要だし、
お金があれば色々出来るからね。
②魔法の道具を作る。
私は魔法を使えないけど、やっぱり魔法が使いたいの。
だから、魔法が使える道具を開発したい。
③魔法貴族学校へ入学。
貴族の子供がいるから、人脈を広げるには最高の場所。
それに、・・・王子様もいるしね( ̄▽ ̄)/
・・・
今度は、速攻で落としてやるんだから( ̄▽ ̄)フフフ
そして、念願のキ、キス~~~を( ̄3 ̄)チュ~~」
話の途中で、キスの妄想モードに入るアイ。
「・・・・・・・・・」
困惑するグリルだったが、手をポンと叩いて何かを思いついたようだ。
「王子様が来ましたよ~」
耳元で、そっと囁いた。
「え? 王子様? どこ?どこ?∑(°〇°)」
キョロキョロ見るアイ。
「そんな人。いません」
「え~。いないの~。じゃ~またキスを~( ̄3 ̄)~」
妄想モードに入ろうとしたが、直ぐにアイの顔を両手で抑えた。
「今、大事な話をしてると・ちゅ・う・で・しょ?」
顔を近づけて怖い声で言った。
「わ、わかった。ゴクン」
圧倒されるアイ。
(もっと私の好きなキス妄想したかったのにな~
ホント怒ると怖いんだから~( ̄3 ̄)!!)
「え~っと、何だっけ? あ!! そうだ思い出した。
④当主の座を奪う。
力を蓄えた段階で実行するわ。
私を殺そうとした父をギャフンと言わせてやるの。
とりあえずこんな感じ。
もちろん。他にも思いついた事があれば実行していくわ」
「なるほど、大きな流れとやりたい事は解りました。
ではどうやって、お金を稼ぐ?」
「さっき教えたポテトチップあるでしょ?
あれを売り出すのはどう?」
「あれは・・・・・ダメ」
「何で? 作り方も簡単だし美味しいから売れるはずよ」
「あれは、私だけが知っている物にしたい」
「え? 独占したいって事?」
コクコクとグリルが頷いた。
「でも、まだ食べた事ないのに良いの?」
「イメージしたら、凄く美味しそうだし、沢山食べたいし、
人に教えたくない」
強い意思の口調で言った。
(グリルってこう見えて、結構食いしん坊なのよね~
う~ん。何かお金を稼ぐ良い方法はないかなぁ?
元の世界にあって、ここに無い物は・・・・そうだ!!)
「ねぇ。記憶玉って町に売ってる?」
「売っているけど、なぜですか?」
「( ̄▽ ̄)フフフ。もちろん。商売のためよ」
「どうやって、商売するんです?」
鼻息を荒くして興味深々のグリル。
「魔法で録画出来る記憶玉を使って、
自分の知識やノウハウを売る作戦よ。
これなら、教える時に使う物を用意するだけで、
・・
お金が入る。ほぼタダでね。
知りたいと思った人は喜んで買ってくれるわ」
「凄い!!! 考えた事が無い発想だ」
「でしょでしょ」
( ̄▽ ̄)ニヤニヤが止まらない。
「赤ん坊が話せるだけでなく、
こんなアイディアを出すとは、信じれないです!!」
感心するグリル。
「もっと褒めて褒めて( ̄▽ ̄)/」
鼻を高くするアイ。
「それで具体的に何を教えるんですか?」
「グリルが得意な武術を基礎から教えて、記憶玉に撮るの。
撮った記憶玉を1作目は、無料で配って宣伝。
2作目以降は、興味がある人に有料で売るの。
さらに、武術を直接習いたい人にも教えて、
レッスン料を貰う。どう良い作戦でしょ?」
「嫌です。人前に出るのわ。は、恥ずかしいので・・・」
顔を下にやって、モジモジするグリル。
「でも、お金を稼げれば、ポテトチップスを沢山食べれるわよ。あなたの給料じゃ少ないでしょ」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑いながら言った。
「!!!!!」
ぱっと顔を上げて、鼻の穴が大きくなった。
「他にも、私が考案したこの世界にない珍しいレシピで
料理を作って貰うわ」
「料理も・・・した事ないんですけど・・・」
また、(×_×)ガクーンと顔を下に向けてしまった。
「そこが良いのよ。
初めて料理をする人の成長過程を見せる企画だから。
他にも面白い企画を考えたら、どんどん記憶玉に撮って宣伝や販売するわよ。
それに可愛いし、映り栄えが良いから人気者になれるわよ。
どう? 私と組む気になった?」
「う~~~~ん」
真剣に考え込むグリル。
(この考えのヒントは、ネット動画。
現代では動画配信は当たり前だけど、
この世界ではネットの環境が無いから珍しいはず。
企画次第で、きっとバカ売れするはずよ。
我ながら良い案を考えたものだ。ホホホ( ̄▽ ̄)天才)
「決めました」
「そう。それで?」
笑顔のアイ。
すると、グリルは剣を抜いてアイを刺した。
「え?」
〇赤ちゃんの部屋
「あなた。お願いよ。お願いよ」
アイの母親であるマイセルが、父親のサーガーに泣きながら訴えていた。
「もう。遅い!!」
「でも、魔法が使えなくてもアイは、
何か才能があるかもしれいわ。だって私達の子供よ。
きっとあるはずだわ。
それに、世間体が気になるなら、
この屋敷から一歩も出さなくて良い。
責任持って、あなたの役立つように教育するから、
命だけは助けてあげて。あなた。一生のお願いよ」
必死に訴えるマイセル。
「お前がちゃんと、私の役に立つように教育するんだな」
「!!!!!ええ。必ず!!」
「わかった。処刑を中止しよう」
「あなた。ありがとう」
マイセルは抱きついて喜んだ。
「ちぇ。何で許すのかな~。死ねばいいのに」
愛人であり使用人のパンスキーは、眉間にシワを寄せながら悪態をついた。
「グリル。グリル」
サーガーが呼んだ。
「何の用でしょうか。旦那様」
グリルが目の前に現れた。
「アイの処刑を中止しろ」
「それは、無理です」
「どうゆう事だ?」
「もう、処刑しました」
「!!!!!!!!」
グリルはアイが着ていた服をサーガーに見せた。
その服には左胸の所に、剣が刺さった後があり、周りに血が付いてた。
「アイーーーーーーーーーーーーー」
マイセルは、アイの服を奪って泣き崩れる。
それに対して、無表情のサーガーは、無言で部屋を出て行った。
・・
「アハハハハ。遅かったみたいですね。奥様。
アハハハハ。待って下さい旦那様~。
私が慰めてあげますよ~♪♪」
嬉しそうな顔で、サーガーの後を追うパンスキー。
マイセルとアイの服をじっと見つめるグリルだった。
〇サーガーの部屋
しばらく時間が過ぎて、
コンコンとドアをノックする音がした。
「入れ」
「ハイ」
グリルが部屋に入って来た。
「何のようだ?」
窓から遠くの景色を眺めながら、サーガーが言った。
「町へ買出しに行っても、よろしいでしょうか?」
「珍しい事もあるな。滅多に町へ行かないのに」
「実は、新しい料理を思い付いて試してみたいので、
材料を買いに行かせて下さい」
「解った行って来い」
「ありがとうございます」
一礼して去る時に、パースキーと入れ違いになった。
まだ、窓の景色を見ているサーガーに近づいて、耳元で甘い囁きをした。
「あなたは悪くないわ。魔法が使えないアイが全て悪い。
それに、死んだ者は戻って来ないわ。
だから、私が忘れさせてあがるわ」
サーガーの顔をこっちに向かせて熱いキスをした。
〇町
町の中を高級な馬車が移動していた。
「あなた。静かな町ね」
「そうだね。フランソワ。
でも、ワシは都より静かな方がいいね」
身なりが良く若い夫婦と赤ん坊がいた。
「都に居なくても良かったの?」
「ああ。今、都は権力争いで激しいからな。
それに、病気の治療のためにも静かな方が良い」
「ありがとう。あなた」
顔を夫の肩に傾けるフランソワ。
「相変わらず。仲が良いですね~。旦那~」
馬車の中を覗き込む日焼けした肌で、
白い髪の男が( ̄▽ ̄)ニヤニヤしながら言った。
「サラブレットもフランソワの様な素晴らしい女性と巡りあえるぞ」
笑みを浮かべながら話すタダル。
「アッシは、女なんて良いです」
「サラブレットもその顔だとモテるだろ?」
「はっきり言いますと、モテます。
でも、アッシの顔を好きになる女ばかりですし、
姉のブリッ子の姿を見てるので、女の本性がどうゆう物か解ってます」
両手を広げて、おどけた表情をした。
「自分のために、ブリッ子してくれる女性も可愛いではないか」
「へん。可愛くないですよ。アッシは苦手です」
「実は、サラブレットに縁談の話が来ているのだが」
「まだ、結婚と言う年では無いのでいいすっよ」
「そうだったな。まだ13歳だったな。
見た目は20代後半の落ち着きのある顔だからな~」
「へん。年齢の割りに老けて見れるんでしょ」
不機嫌になった。
「あなた。ダメよ。そんな事言ったら」
「ハハハハ。スマン。スマン」
「!!!!!!!!!!!!!!」
突然、馬車が止まった。
「キャーーーーーー」
「どうしたんだ?」
「前方に荷物を落としたメイドが拾ってるので、
止まりました」
「フランソワ。大丈夫かい?」
「ええ。この子も笑って大丈夫よ」
子供は全く怖がらず微笑んでいた。
「サラブレット。女性の手伝いをしなさい」
「ええ~。面倒っすよ。待っとけば時期に終わりますよ」
「人に親切をすると、自分に返ってくるものだよ」
「ええ~。でも・・・」
渋るサラブレット。
「何か出会いがあるかもしれないわよ。
女性には親切にしないとね」
「そんな運命の出会いなんて、この世に存在しないっすよ。
今から証明しますよ」
馬車をひょいっと降りて、メイドの元に向った。
「落ちてましたよ」
落ちていた物を拾って、メイドに渡そうとした。
「ありがとうございます」
メイドが見上げた。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
目を見開いて、持っていた物を思わず落としてしまった。
「あの~。どうしました?」
首を傾げるメイド。
「な、なななんでもももありません」
凄く動揺するサラブレット。
「アッシは、どうしたんだ?」
目を擦ってメイドを見た。
すると、メイド姿をした女性が、バラの様に美しく見えた。
「どこに落ちているか解らないので、
手伝ってくれませんか?」
「は、はい。ただいま」
落ちている物を猛スピードで拾って、自分の服で拭いてから渡した。
「重たそうなので、持ちましょうか?」
「大丈夫です。これくらい慣れていますので」
籠一杯にある物を両手でひょいっと持った。
「あ、ああああの~~~~」
「なんですか?」
「あの~~~~~~~~」
「?」
首を傾げるメイド
「こ、この町に良く来るんですか?」
「最近までは、余り来ませんでしたが、
今後はこの町に良く来ると思いますけど?」
「よし」
くるりと反対の方を向いてガッツボーズした。
「では、ありがとうざいました」
お礼をしてメイドが去って行った。
サラブレットはメイドが、見えなくなるまで見送った。
・・・・・・
「・・・・・・・可愛い。特に赤いハチマキ姿が」
ポッと顔を赤らめた。
そして、急いで馬車に戻った。
「遅かったわね。どうしたんだい?」
「やっぱり、女性には親切するべきっすね。
アッシ、この町好きっす」
口笛を吹いて、上機嫌のサラブレット
「そう。気に入ったみたいでよかったわ」
・・・・・・・
「おお。アントワネットも喜んでいるぞ」
赤ん坊がケラケラ笑った。
〇シン家
「ワープ 隠れ家」
大きな荷物を抱えたグリルは、シン家の目立たない場所に来ると辺りをキョロキョロしながら、魔法を唱えた。
「遅くなりました」
「遅いわよ。グリル」
そこには、テーブルの上にアイがオムツ姿で、頬杖をついて横になっていた。
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