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その他
個性演出
しおりを挟むうちの子のキャラデザ個性皆無です
ーーー
(未来斗side)
「俺達って個性無くない?」
放課後、優馬の家。
「個性って?見た目?性格?」
「んー…性格の方はともかく、見た目かな」
見た目……
「それは文章だし分からないんじゃ…」
「未来斗メタフィクション発言~、そこは触れちゃ駄目だぞっ☆」
うざい
「というわけでここにいる5人全員イメチェンしましょう!早く脱げ」
半ば強制その話になった。
「脱げって言う方が脱いでくださーい、僕全裸NGなので」
「俺も嫌です!」ビシッ
「俺も」
「…脱ぐのは優馬だけでいい。」モグモグ
正直本人以外誰もやる気が無かった。
「作者の地雷フル回避な世界怖い……じゃあ、」
言いかけて次の瞬間、優馬の近くでメロンパンを食べていた澪が連れ去られた。
「わ……っ」
「お着替えしようなー」
部屋を出ていって数分後、戻ってきた。
「お、」
個性演出して帰ってきた澪………
「…どこで買ったんだそれ」
チョロボ〇みたいな格好で来た。
「何その毛虫みたいな着ぐるみ、しかも色紫って」
「しみむらで可愛いモンスターみたいな着ぐるみパジャマ見つけちゃってさー、まあ澪にこれ着せるのが今回の目的なんだけど」
まあ可愛いデザインではあるけど。
「…チョロ〇ンってさ、あれ怖いよな」
「え?チョロ……って何?」
「あ、赤帽子のゲームに出てくる毛虫」
「……??」
優馬には伝わらなかった。
「澪にあげる!そのパジャマ」ニコッ
「いらない」
ーーー
「次の個性演出は~?」
個性を出すというか、澪を見ていたらただの着せ替え遊びみたいな感じがする。
「誰がやる?郁人やる?」
「あ…眼鏡キャラでいいですか」
「眼鏡かけるだけ」
こいつ逃げやがった………
「じゃあ…海斗!お前は一番個性が薄い!!」
「な……っ」
そんなに特徴の無い髪型、個性無く校則通りに着用した制服。
「ツンデレも薄いし全く面白みのない、だから無個性って言われるんだよ」
「言いたい放題だな……俺、そんなに個性無い……?」シュン
個性が無いというか、影が薄いというか、
「…じゃあ何、どうすればいい?」
「そうだな…とりあえず赤面と変態は残しておいてあとの設定は全部変えよう」
楽しそうな優馬。海斗の赤面しやすい設定を残しておくことに海斗のこと分かってるなと感心する俺。
「何がいい?パリピ?ドジっ子?SM?」
「どれも出来るかよ……!!」
「じゃあとりあえず脱ぐか」
「え…なんで、…あ"」
俺含め誰も止めなかったので普通に脱がされた。
「っ…」
「とりあえずジャケット半脱ぎ、ネクタイ緩めにしといた、乱れてる感」
「なんで脱がしたかはともかく、これで個性演出出来るか?」
「んー……いじめられっ子感がすごい」
まあ現に今いじめられてる訳だから。
「もういいか?」
「駄目!せめてドジっ子キャラやって!」
「……」
海斗がすごく睨むような目で優馬を見ていた。
そしてドジっ子に頷いたかと思えば、立ち上がってその場で転んでみせた。
「きゃー」
「え」
何も無いところで転ぶ、という演技を優馬の履いてたスラックスを掴みながらしてくれた。
「きゃっ、ごめんなさい」
すごい棒読み演技、スラックスが上手い具合に脱げた優馬。
「あっ、優馬君黒パンだ~」
「…っ」ワナワナ
普通にやり返しただけなんだろうけど、海斗恐ろしい子………
「俺はもういいから、次未来斗」
「えっ」
ついに俺に来てしまった………、
「未来斗はーそうだな、たこ焼き頭に被る?」笑
「どう生きてたらそんなの浮かぶんだ?」
適当すぎるような、そうでもないような。
「んー…でも未来斗はこの中では個性ある方なんじゃない?パーカー、茶髪、にこにこ」
「最近あんまりにこにこ出来てない気がするんだよなぁ…、…俺も個性もっと欲しい」
初めは優馬に付き合ってる感覚だったけどちょっと楽しくなってきた。
「じゃあ思い付く限りキャラ設定に使えそうなの言ってみる。…猫キャラ、犬キャラ、うさぎキャラ」
「動物ばっかりだな…ていうかそれどういう性格?」
「猫はツンデレ、犬はデレデレ、うさぎはヤンデレってイメージ」
「なるほど」
「あとは、…露出狂とか?」
急に変質者になった。
「やだ!!」
「え、よくない……?夜中に遭遇したら服をバッと」
「しっかりした方の露出狂じゃん………」
...
「……ありがちかもだけど、優馬みたいなキャラは?」
声を出したのは海斗。
「優馬……?」
「俺?イケメンで完璧で性格良いってこと?」
「いや……あの、攻めてる時の………」
「っ…サイコパス優馬!!」
………それは、
「ぱすまはやだなぁ………」
「未来斗その呼び方やめて、…俺そんなじゃないんだけど」
(自覚無いのか………)
サイコパスとか、普通に難しい。
「なんだろ……未来斗はにこにこしてるから、笑いながら人傷付ける系じゃないか?」
「いいぞ海斗!!段々中二臭くなってきたな!!」
それをやる(かもしれない)俺の身にもなって欲しい。
すごく海斗(と優馬)に期待の目を向けられているので、逆らえなかった。
「っ……、あはは、人傷付けるのたのしー………」
...
「……未来斗、なめてる?」
「本気でやれよ、俺も優馬も本気なんだぞ」
なにこれ
(ていうかもう会話に混ざらず2人で仲良くしてるあいつら………)
「これやらないと終わらないのかよ…!……ッ、」
精一杯サイコパスになった。
「ねぇ……海斗、なんで余計な事するの…?……あははっ!そんな事聞いてないよ、
悪いのは俺じゃないよ?すぐ逃げる海斗が悪い、
これ以上痛くされたくないなら大人しくここにいなよ、次逃げたら殺すよ…?」
...
「え、なんで俺……「悪いのはお前…洗脳か!いいな…!」」
頑張った。
「も…もうやだ終わり!恥ずかしいし…なあ海斗」
「ごめん近付かないで」
「えっ」
「後は俺だけ……?あ、郁人、お前も………」
…ふと3人で蚊帳の外にいた2人の方を見ると、
「郁人見てて……個性演出、…わんっ……」
「ッ……!!」ビク
そっちはそっちで何かしてた。
「犬かな」
「犬だな!」
「あざと可愛いッ」
けど、
「あ……、…それは、……ちょっと、」
「あれ…、……犬っぽくなかった…?」
「分かっててやってるの…?!僕犬はあんまり、」
なんだか郁人の様子がおかしい………
(…あ、そういえば)
「何?なんかおかしくね?」
「そういえば郁人小学生の時に大きい犬に襲われたんだ!」
郁人は犬が苦手だって、今思い出した。
「なにそれ知らないそんな最高の情報………」
「本編16話だぞ!(宣伝)…大丈夫?郁人」
とりあえず頭撫でといた。
「犬怖い…食べられる………」ガタガタ
「大丈夫ー、大丈夫だぞー、俺が守るからなっ!」ニパ
幼馴染の俺が、ちゃんと守らないと………。
「良い友情だな………ところで俺の番って」
「いいな俺も言われたい」
「お腹空いた……」ぐうぅ
...
「最後は俺!…何がいいかな」
全く考えてなかった。
「優馬はいいんじゃない?個性あるぞ」
「何気に主役ポジだしね………」
「……主人公僕なんだけど」
「俺もう帰りたい」
………優馬が泣きそうになってる。
「その…俺も、考えて欲しいなって………」プルプル
「っあ…、…もう、分かったからそんな顔するなって………」
気まずい感じになってしまったので、とりあえず考えてみた。
「なんというか…俺、うざくない優馬が見たい」
「あ…それ俺分かるかも。なんていうか……初期っぽい優馬、みたいな?」
「初期ってどんな感じだったっけ……?澪、覚えてる?」
「一応設定としては王子様みたいな爽やかな感じ」
話し合って少しづつ出てきた。
「王子様優馬お願いします!!」
「!分かった…!!」
早く終わらせて早く帰りたいー………!!
「…こんなところでどうしたの?家に帰れなくなった………、
泣かないで?…君にそんな顔、似合わないよ。
…大丈夫、お兄さんと一緒におうち探しに行こっか」hshs
…あれ何これ
「なんで誘拐犯になった??」
「わっかんない不思議!」
「無駄に薔薇散らしちゃった……」
無駄に散らかしてしまった王子様の近くを薔薇が散るカット、ただゴミが増えただけだった。
「黒髪だから王子様っぽくないのかな、染める?」
「それは偏見だろー、あ、でも染めるなら金髪とかしてみたいなぁ」
「…あ、いいね。金髪は攻めって感じするし」
…………!
「郁人……今なんて?」
「え?…黒髪より金髪の方が攻めって感じしない?腐男子的に!」
...
「………ふうん」
ここに来て、………聞き捨てならない事を聞いてしまった。
「なるほどなー、郁人はダブル主人公は金髪攻め派か」
「え、待って何その話………、……ちょっと待って………それは、」
この俺……『黒髪と金髪のダブル主人公は黒髪攻め』を愛してやまない俺の前に、宿敵が現れてしまった。
「え……黒髪といえば王道主人公、金髪はそんな主人公を支えるイケメン……、………っこんなの考えなくたって金髪攻めじゃん!!」
お互いの目線が真っ直ぐお互いを見つめた。
………そして、
「そんなわけないだろ黒髪攻めが良いに決まってる!!!」
「違う!!王道にここは金髪攻め一択だから!!!」
俺達以外に全く伝わらない争いが始まった。
「攻めって何?」
「さあ…とりあえず関わらない方が良い」
「お腹空いた」ぐうぅ
「なんで分からないの未来斗の馬鹿………!」
「譲れないものがあるんだよ………、…あっ、海斗達はどっちが攻めだと思う?!!」
...
「「「知らない……」」」
…………
ーーー
「……リバは?」
「まあいっかぁ………それで」
「そろそろ俺帰る。あんまり遅いと父さんに怒られるし」
「僕も………」
「あ、澪その服あげる。着てっていいよ」
暗くなってきたので、帰ることにした。
澪と郁人と別れて、海斗と歩いていたら、
「……個性って難しいな。俺影薄いし、ほんとに個性ないよな」
なんて苦笑いで言っていたので、……なんだか馬鹿らしくなって、
「個性とかどうだっていいよ、いくら海斗が無個性だろうが金髪攻めが好きだろうが俺は海斗だから好きなんだし」
「…!俺別に金髪攻めが好きでは無いけど………、…っていうか、…好きって………」
…………
(もう少し言えば、本気だって伝わるかな………返事、くれるかな)
あっさり言ったつもりだけど、口に出すのも緊張する。
(伝えるって、むずかしい…………)
………しばらくの沈黙の後、
「…………も、」
「…え?」
「……俺も、同じ気持ちだよ」
…………
「それって………」
つまり、
「っ…ちゃんと言ってくれないと分かんない、同じって何?どこが……!?」
…欲張りが出てしまった。
「へ…っ、ぁ、えっと、」
「なあ、ちゃんと聞きたい………」
お互い真っ赤になって、それでもまだ足りなくて、
「ねえ………」
「…………っ、……だから、
俺も未来斗のこと無個性だって思ってる!!!」
...
...
「え………」
「あっ、ちが、そうじゃな、………えっと、」
……………
「………ごめんなさい……。」
………………
「……そっかぁ」
…………その後2週間後寝込んだ。
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