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あまみや。

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桜木郁人

びっちわからせ

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心の無さすぎる郁人



ーーー

(郁人side)


家で援交してたら友人に見つかった。



「……え、」



友人は驚いていて、まあ初めて見たし仕方ないかとも思いながら、



「鍵閉めてなかった…?毎回アポ無しで入ってくるのやめてほしいんだけど」



冷静にそう返して、それに対して優馬は、



「え……いや、誰それ………」



かなり動揺していたようで、声が震えていた。



「何って、優馬と同じ。セフレだけど」


何を動揺しているのか知らないけど、


「……あ、優馬も混ざる?2人くらいなら同時に相手出来るし」



そう言って誘ったら、優馬は何故かすぐに部屋を出ていった。




ーーー


その数日後。


今度は優馬の部屋だった。


「ん…ッ、あ、ひぅ、」


優馬の様子も特に大丈夫そうだったので、普通にヤっていた。



「……出していい?」
「あ…うん、どうぞ?」



1回目が終わろうと言う頃、



(あれ…もう終わり?)



珍しくそこで終わってしまった。



「もういいの?」



動きそうもない体を何とか起こそうと動かしてみる。


そう言った次の瞬間、





「……え?」




いつの間にか手首に手錠がかけられていた。




「………優馬、これ、何の真似?」
「……」


すると、


「………わっ、」



そのまま優馬は僕を屋根裏部屋まで連れて行った。




ーーー


「ねぇ、何なの、なんか喋れよ」


ずっと喋らないのが気味が悪くて、


屋根裏部屋に連れてこられて、手錠の片方を細い柱に繋がれた。



「………」



これから一体何されるのか、そんなのは大体想像がつく。

ようやく優馬が口を開いた。



「……なんで抵抗しないの」



いつもより無気力な声で、目も少し虚ろだった。



「は?…そんなことより「お前にとって俺って何?」」


………、



(面倒臭い………)

「…ただの友達。まぁセフレでしょ」



そんな事より早くこんなの終わらせて欲しい。



「……そういう奴、他にも沢山いるんだよな」
「まぁそうだね、5人くらい………、…何?もしかして優馬1人がセフレになってると思ってた?」


そう言うと、優馬は何か箱を持ってきた。



「……?」

それが僕の前に置かれて、



中に入っていたのは玩具だった。




「………それで調教しようとでも思ってるの?思考は童貞のままだね」


優馬はしばらく無言で、その後疲れ切っている表情で少し笑った。



「俺……裏切られたみたいで苦しいんだ、大事な人だと思ってたのに、…お願いだから俺を見て、俺を捨てないで」



なんて、そんなにメンヘラには見えなかったのに。




(…面倒臭い)



執着されても面倒だ。




「…いいよ、好きにして」





ーーー


何週間もずっとこの部屋にいた。


玩具を使って放置されて、初めはこういうプレイだと思って何も思っていなかった。


これほどまでに何も感じない自分の方が少し怖かったくらい。


真っ暗で何も見えなくて、ただ玩具が動いている感覚しかなかった。


優馬は学校から帰ってくると、屋根裏部屋にいる僕を見て嬉しそうに微笑んだ。


「いなくなってなくて良かった」「大丈夫?寂しかった?」



僕も少し疲れていたからか、力なく微笑んでは「一生帰ってこなくて良かったのにね」って、嫌味を吐いた。


それでも優馬は、怒りもせず虚ろな目で笑みを浮かべるだけ。



「お前は俺の事嫌いかもしれないけど、俺はお前の事が好きだよ、お前が俺と同じ気持ちになってくれるまで、ずっと一緒にいような」



そう言って撫でられた頭。
その時に少しボサボサになった髪も少し伸びてきていた。



(さっさと死ねよ、お前が)




なんて、強気で入れるのもあと数週間。





ーーー


等々向こうも本気で来たのか、食事の量が減った。


朝に貰えるペットボトル1本分の水と食パン1枚。


それだけで1日を過ごして、風呂やトイレも2日に1度しか許して貰えなかった。



(力、入らなくなってきた)



強気な態度に反して弱っていく体。



(僕、もしかしてもう、限界なのかな)




……疲れた。




ーーー


中学生の頃に家に入ってきた男にレイプされた。


援交を繰り返すようになった。



舐められても叩かれても触られても何されてもそれはお金と快楽に変わっていく。



壊れているんじゃない、僕は壊れていない。



それに慣れてしまっただけだ。





(………本当は)





お金も


快楽も


最中の誰かの優しさも愛も



何も






何もいらないから、ただ1人になりたくなかった。






ーーー


「俺は郁人の事、1人にしないよ…?セックスしなくても愛してあげるし、一緒にいるしずっと郁人の事見てる」


最近優馬は僕が欲しい言葉ばかりくれるようになった。



「………」
「俺が守るよ、お前に触れてくる汚い手、俺が全部消してあげるから」


誰かに守って欲しかった

誰かに頼ってみたかった

誰も守ってくれなかった

誰にも頼れなかった



「………」



日に日に虚ろになっていく。





ーーー


体が重い、上手く動いてくれない。


息が苦しい、動悸がする。


何かに縋っていないと気を失ってしまいそうだった。




「今日はこれかな、…足開いて、」




もう、終わりにしたい。




「………!」



その一心で、優馬の服の袖を掴んだ。



……そして、





「………やめて」





それだけ言って、もう何も喋れなかった。


すると優馬は、




「……っ!やっと、やっと俺の事見てくれた………!」



そう言って、目を輝かせた。


久しぶりに見た優馬の目。


もう許して欲しいと必死に懇願した。


声が出なくて表情も変わらなくて、ひどく無気力だったけど。



「…そ、………と、」




外に出たい。



ずっと暗い部屋にいる恐怖を感じるようになった。






「外…か、出たいんだな、郁人が出たいならいいよ、一緒に学校行こう?

大丈夫、郁人は俺が守る。クラスメイトからも、教師からも、援交相手からも、


俺がずーっとずーーーっ…と、郁人の事見てるから。」



そう言って抱きしめる優馬の体温に、これ以上無い程に安心していた。




ーーー

数日後。

身なりを整えて、優馬と2人で学校に来た。

…けれど、数ヶ月ぶりに学校へ来た僕を待っていたのは、嬉しいことでも楽しいことでもない。



「………ひッ」



トラウマだった。



「郁人?」
「やっ、やだ!!やだやだやだ!!!人、……こわい、もう帰る………」



こっちを見てくるクラスメイトや友達の視線が怖くて、耐えられなくてトイレに逃げた。



「……!郁人、」
「優馬…今、郁人が」




ーーー


今すぐ帰りたいのに、人が怖くてトイレから出られない。


(優馬、助けて、お願い、優馬)



必死に心の中で助けを求めた。

早くしないと、誰か来てしまう。



その時、朝渡されていた電話が鳴った。



「…!」


まだ見ていなかったけど、それは、




「…ぁ……………」




援交相手だった。



「ぁ、や、やだ、なにこれ、」


見ると通知欄に書いてあった不在着信の量は100件を超えていた。


それは全て援交相手、澪が少しいるくらいだった。



「や…やだ、やだやだやだ、もうやだ!!」




こわい、もうやだ



しにたい





「…郁人、ここ?」



次の瞬間、安心する声が聞こえた。



「あ………」


その声は間違いなく優馬で、小さく漏れた声に気付いたのか優馬が反応した。


「良かった…!出てきていいよ、もう大丈夫だから」


そう言われて優馬以外に誰もいないと信じ込んで、個室から出た。


そこにいた優馬に縋るように抱きついて、怯えながら助けを求めた。


「た、たすけて、1人はやだ、僕を1人にしないで………」


そう言って、必死に頼んでは泣いていた。



「…うん、うん。なぁ郁人、俺の事愛してる?」


………そんなの、



「愛してる、好き、一生離れないで、僕の傍にいて………」


1人にしないで、



「…うん、うん。分かってるよ、…あぁ」


無我夢中で縋る僕を、優馬はずっと優しく宥めてくれていた。


そして、僕に聞こえないくらいの声で、



「……そういう訳だから、ごめんな?澪。」




そう言って優馬は、視線を僕からトイレの入口の方へ移していた。



「帰ろっか、もう学校なんて行かなくていいよ、ずっと俺の家にいよう?」
「…うん、ずっと、…一緒にいよ?」





もうこの人から抜け出せない。







ずっと、永遠に。







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