ゆうみお R18 お休み中

あまみや。

文字の大きさ
上 下
52 / 148
桜木郁人

逃げられない

しおりを挟む

DV恋人(教師)と借金の取り立てとショタ優馬の子育てに拘束された郁人


ーーー

(優馬side)


俺の家族は少し変わっている。


まずお父さんお母さんというものが無い。親と言える2人はどちらも男で、なんと呼べばいいのか分からないから名前で呼んでいる。

そしてその2人は教師と高校生ということ。これがどういう事なのかは理解出来ないけど、どうやら不味いことらしい。

そしてその教師が高校生に、暴力を振るっている。


これも俺には何が悪いのか、分からない。




家には毎日のように借金取りというおじさんが家に来る。

教師みたいに高校生に怒鳴って、その度に高校生は怯えている。


高校生は教師にもおじさんにも毎日毎日「ごめんなさい」と言っていて、でも俺にはいつも優しくしてくれるから、こういうのが普通なのかと思っていた。



「やめて、お願い、優馬に手出さないで」
「うるせぇなぁ……お前は黙って言う事聞いてりゃいいんだよ!!!」


高校生…郁人はいつも殴られていた。

それはたまに俺の前でする事もあって、


「…郁人、痛いの?」


教師がいなくなった後も、ぐったりして動けない時もあった。




「………」


お腹が空いて我慢出来ない時もあった。


でも、お腹の音が鳴ると郁人は必ず起きてくれた。


「………あ……ごめんね、……お腹空いたよね」



そう言ってフラフラしながら台所に立って、ご飯を作ってくれる。


教師が帰ってきたのは7時で、それまでは郁人は今みたいに台所でご飯を作ってくれていた。


そこに教師が帰ってきて、またいつものように郁人に手をあげた。


扉が開く音がした瞬間、郁人の表情が曇って早足で玄関まで向かったのを覚えている。


「おかえりなさい……、……っ、」


教師からは酷いにおいがしていて、頭がくらくらしそうだった。


「お酒……飲んだの?」
「あ?なんか悪ぃのかよ」
「いや…そういう訳じゃ、」
「チッ、ハキハキ喋れよ!!糞ガキが!!!」


そうやって怒鳴る度に郁人は怯えている。



「金」
「お金って…無いよ、昨日も1万渡したじゃん………」
「…あ”?」



そこからいつものように暴力が始まった。




「やだ…ッ、痛い、いた”い”ごめんなさいッ」


俺はそれをただ見ている事しか出来なくて、


見ていたら教師と目が合った。



「大体なぁ………このガキ売り飛ばしちまえば金くらい用意出来んだろ!!」
「っ……!!」



俺を指差して騒ぐ男。

立てないくらい殴られて動けない郁人。




「やめて、お願い、優馬に手出さないで」



腹を抑えたまま立てずにいる郁人に、教師はまた容赦無く蹴りを入れた。



「うるせぇなぁ……お前は黙って言う事聞いてりゃいいんだよ!!!」



そう言って何回も何回も、郁人の反応が無くなるまで殴って蹴って、



「…てめぇも見てないで助けたらどうなんだよ」



たまにそう聞かれることもあったけど、




「…助けて郁人と同じ目に遭うのは怖いから、見てる。」




それだけ答えて、ソファに座りながらその様子を見ているだけだった。



「…金はどこにある」



郁人の反応が無くなってから、男が聞いてきた。




「そこの戸棚。今月の生活費って言ってた」




そう言って素直に戸棚を指差すと、教師はそこから封筒を見つけて、中身を見ていた。


それから男は家を出ていって、数時間後。





「…郁人、痛いの?」



10時過ぎに目を覚ました郁人が、フラフラしながらさっきの料理の続きをしてくれた。




「…あれ」


戸棚が開いているのに気付いた郁人が不思議そうに見ている。



「お金、あの人が持ってった」
「…え、…場所、なんで……」
「俺が教えたの、教えなかったら殴るって言われた」


そんな事言われてないけど。

あの教師は俺に暴力を振るっているように見えるけど、実際殴るや蹴るの脅しは郁人の前でしか使わないし、郁人が寝ちゃった時は怒鳴らずに話してくれる。


「…!…そっ、……か」



あれが無くなって平気なはずないのに、郁人はそんな表情も見せず笑っていた。



「ご飯…もうすぐ出来るからね、それと、明日からまた帰り遅くなるから……いい子で留守番しててね」



そう言って、ご飯が出来た後も自分は少ししか食べないで、俺が食べている間傷を消毒したりスマホを見たりしていた。


「郁人、お腹空かないの?」
「大丈夫。僕少食だから」


…けど、初めて会った時よりも大分痩せている。



「……顔はやめて欲しいなぁ………」
「ほっぺた赤くなってる、痛い?」
「んー…痛いけど、平気だよ」


なんて話をしていたら、家の呼び鈴が鳴った。




「ッ…!!」


また、郁人の顔色が悪くなる。
教師の時よりも苦しそうだった。



「……俺、クローゼット行ってるね」
「うん…ごめん」



この時間に呼び鈴が鳴ったら隠れる合図。




真っ暗な空間の中で、少し怖かったけど、静かにしていた。




「桜木さん、アンタ恋人の借金いつになったら返してくれるわけ?」
「すみません…すみません、来月までには」
「それ前にも言ってたよねぇ?いい加減にしてくれないかな」


教師には借金があるらしい。




「ッ……やめて下さい!!」



あの人達と話していると、必ず郁人は怯えた声でそう叫ぶ事がある。



「てめぇの体で稼げばいいんだろ、スーパーなんかで働くよりよっぽど稼げる仕事あるって言ってんのによぉ………」
「さ…触んないで、……お金は絶対来月までに返しますから!!」




それからも少し声は聞こえたけど、そのうち無理矢理扉を閉める音が聞こえた。


その音が聞こえて数秒後、クローゼットから出て玄関へ向かう。


掴まれたのかニットの肩が少し伸びていて、本人はまた俯いてその場に座り込んでいるだけだった。




………毎日こんなものを見ていて、気になった事がある。





「郁人………もうこの部屋を出ていけばいいんじゃないの?」



全てを捨てる選択。




「………」
「俺も一緒にいるから、遠くに逃げようよ」

「………出来ない」
「なんで?借金だって郁人は………」
「…出来ない、…ごめんね」




………訳が分からない。



教師に対する愛情、恐怖。

1人にする事の罪悪感。



……そういったものかと思ってた。






ーーー


少し前のこと。



「っ……わ…ッ!」



ようやく家から出られたとひたすら走っていたら、人にぶつかってしまった。


その人も俺も転んで尻もちをついて、お互いに目が合う。



………なにか通じるものでもあったのかもしれない。



共通点があると感じて、そこから関係が変わるのも早かった。




「お母さんから……逃げてきたんだ、…そっかぁ………」
「うん、お母さん俺のこといない子って言うし、機嫌が悪いと叩いてくるから怖い」


そんな事を話しているうちに、



「優馬がいてくれたら、少しはましになってくれるかな」



そう呟いた郁人の隣で、




「………俺、行き場所、もう無いよ。」





俺も、そう呟いた。





ーーー


俺が来た事でこの環境がましになったのかは分からない。


けど、



「明日……スーパーが終わったら単発……、…日付変わるし、ご飯…作り置きしておかないと」



郁人は日に日に痩せていっている。



そんな様子を見ていたら、本当に俺が役に立っているのかは分からなくて、




「じゃあ仕事に行ってくるね、今日は遅くなるから……あの人が来たらいつもの場所に隠れて、呼び鈴が鳴っても出なくていいからね」


1人分のご飯を作り置きして、朝から仕事に行ってしまった。


……ちなみに郁人が学校に行っているところは見た事がない。


教師と付き合うまでは通っていて、そこで教師と出会った、なんてことは昔教えてくれたけど。



「ひま………」



1人の部屋は、とても静かだった。





ーーー

(郁人side)



あの男を部屋に入れた日から、僕の人生は終わったんだと思う。



「すみません…一人暮らしなので狭いですけど、……あの、今日良かったら、泊ま………」


優しかった先生は部屋に入れた途端鍵を閉めて、玄関で僕を押し倒してきた。


抵抗も出来ないまま殴られて、暴力が初めてだった僕は恐怖で怯えていることしか出来なくて、


初めは訳が分からなかった。先生がこんな事する訳ない、何かの冗談なんだと、




けどそれは冗談じゃないって、日に日に理解できるようになっていった。




先生は機嫌が悪い時には必ず僕を殴ってきた。


何度も腹や体を殴ってきて、服の下はアザが酷くて、何日経ってもそれは消えない。


そのうち学校にも行かせて貰えなくなって、アルバイトでお金を稼ぐ事を強要された。



「ごめんなさい、ごめんなさい………」


殴られると分かれば何度も謝った。

怖くて俯きながら、先生と目を合わせないように、


でもその態度が気に入らなかったのか、日に日に先生の暴力は酷くなっていった。





そんな生活に耐えられなくて、ある日。




「ここが僕の家、……これから一緒に暮らすんだよ」




子供を誘拐した。


依存先さえあれば、少しは落ち着くと考えたから。



けど誘拐なんてしてしまった僕は犯罪者な訳で、そうなると優馬を連れて外に逃げる事なんて出来ない。



本当は、毎日毎日逃げたくて仕方なかった。





「お前さぁ……女だったらヤれたのにな」

「いい加減払えないなら体で払ってくれませんかねぇ?…その見た目なら出来ると思いますけど」



一番お金を稼ぐにはそれがいいんだろうけど、怖くて出来なかった。


……まぁ、ここまでDVされてまだ処女だっていうのは、自分なりにすごいとは思うけど。




「郁人、おかえり」





僕の生き甲斐は、この子だけだ。








ーーー


「待っててくれたの…?眠かったでしょ」
「うぅん……ねむく、ない、」
「ふふ、お布団入ろっか」


この子だけは僕が守る。



絶対に手を出させたりなんてしない。




「……おやすみ、優馬」




優馬が眠った後、茶色の封筒に今日の単発バイトの稼ぎを半分入れた。


(残りは食費と返済……でも、足りない、あと1週間はやらないと………)



育ち盛りの優馬が、これ以上痩せてしまわないように、



僕が頑張らなきゃいけない。




(もっと……もっと、もっと、頑張らなきゃ……………)






ーーー

そんなある日のこと。


「〇丁目の〇〇さん、夜逃げしたらしいわよ~」


バイト先でそんな話を聞いた。



「夜逃げ…ですか?」
「そう!なんか色々あったみたいでね~、〇〇が……、…~で………………」




………夜逃げ。



…もしかすれば、上手くいけば逃げられるかもしれない。




「………っ、」






ーーー



「こんなので足りるわけねぇだろッ!!」


先生が怒鳴りながら部屋を出ていく。


体が動かないけれど、逃げるなら今しかない。




「優馬……これ着て、…ちょっとお散歩行こっか」



帰りに買った子供用のフード付きパーカーでフードを被せて、わずかなお金だけ持って逃げ出した。






ーーー


外は冷たくて、真っ暗で恐ろしくて、



隣で一緒に走る優馬の手を引いて、無我夢中で走った。



走って、走って、そして、







「もぅ………ここまでは、…来ないよね………?」



息が切れるまで逃げた。




「っはぁ……はぁ、は……………」
「郁人?これから、どうするの?」





ここまで来たらもう戻れない。




「……一緒に暮らすんだよ、今度は本当に僕と優馬だけで」



誰も邪魔のいない部屋で、




握りしめたわずかなお金、乱れた息。




本当に、あの人から逃げてきたんだと実感した。






「……2人で」






ーーー


不動産屋を回って家を探した。


家を見つけて、高校を卒業した3月には仕事も探して、



「…!ご飯、こんなにある……」
「沢山食べてね、…明日、家具も買いに行こっか」



あの男がいなければ、こんなにもお金を有意義に使えるんだと思った。



(優馬にも普通の暮らしをさせてあげたい………、学校とか、………)


誘拐してきた子供を学校になんて、入れられる訳が無い。



「優馬、勉強したい?」
「勉強?んー…、…うん」



……でもやっぱり、これからの事を考えるなら勉強はすることに越したことは無い。



「分かった、じゃあ…ちょっと探してみるね」





ーーー


仕事の合間に図書館に行って調べた。


(なるほど……この方法なら)



遅くまで調べ物をして、ようやく家に帰る。


薄暗い夜道を歩いていた、その時。





「………………、…………え…………」






目の前に見覚えのある人がいた。






「ぁ…………嘘」






少し前まで、ずっと僕を苦しめていた人。





「先生……」
「久しぶりだなぁ、郁人」



なんで、




「ひ…………ッ」
「よくこんなとこまで逃げたもんだよ、探すの大変だったんだからな」



怖い、聞きたくない


視界から消えて欲しいと思ったその姿は、消えること無く僕の目の前まで近付いてきていた。



「ぁ……、ッ」


恐怖で体が動かなかった。

すぐに手の届く所まで歩いてきて、そして、



「ッぅぐ!!」


当然腹を殴られた。

殴られた後の一瞬の過呼吸と、胸の辺りの違和感。

胸がはかはかして、鼓動の速さもいつもと違う。




「ぃたい……ッ、いたい、」
「金あるよな?早く出せ」


今持っているのは食費なども含めて生活するのに必要なお金ばかり。


これを渡したらまた生活が苦しくなる、優馬を育てるお金が無くなってしまう。




「ッ…………ぅ、」
「出さねぇならどんどん殴るからな!!」


腹、背中、まだアザの消えていない場所。


「ッぁ”、ヒグッ、……ぅ…ぁ……ぁ………………」



何度も殴られて、情けない声を出してしまった。

……それだけじゃない、涙も出ている。




「ッ……ぁ”」



逃げる隙もなく、腕を掴まれては起こされて叩かれて、何度も蹴られた。




「だれか……、…………たすけて、」



消えてしまいそうなくらい細い声で助けを求めた。


けど、誰も気付いてくれる事は無く、助けなんて来なかった。




トラウマと痛みで体が動かない、怖い、殴られたくない



何度も殴られるせいで苦しくなる息と、終わらない暴力。



段々意識が薄れて声も出なくなってきた。



抵抗すら出来ない状態で鞄を盗まれて、



「……あった、じゃあな」



全額持っていかれた。




「…………」




去っていくあの男の後ろ姿を見ながら、意識が途絶えた。





ーーー


(優馬side)


郁人の帰りが遅い。


それはいつもの事だけど、なんだか嫌な予感がする。




「ただいま」
「…!」



そう思っていたら割とすぐに帰ってきてくれた。

玄関までお見送りに駆け寄っていくと、



「……郁人?」


服も髪も乱れて、頬が赤く腫れていた。




「…………っ」
「郁人…!」



その場に脱力したかのように倒れる郁人に流石に驚いて、でも大人を運ぶなんて難しいからベッドに運ぶことも出来ない。



「郁人、大丈夫?ねぇ、」

玄関で倒れて意識の無い郁人に、何度も何度も呼びかけた。



(まさか……)



教師に見つかったんだと思った。


……家まで見つかってしまったのかは分からないけど、



(もしここまで見つかってたら………また、あの生活の繰り返し)



せっかく何にも怯えるものがなくなったのに。



…………そんなのは嫌だ。





(…………どうすれば、)







ーーー



「優馬、小学校行きたい?」
「え……、…うん」



また前と同じ質問。


別にそこまで行きたくもないんだけど、勉強の仕方とか分からないし。



「…じゃあ、行ってみよっか」
「え……、……ほんと?」



少し驚いたけど、来月から学校に通う事になった。



「絶対これは持ってて、危ない時に鳴らしてね」


防犯ブザーを肌身離さず持つように言われて、それとランドセルも買ってもらった。



「おぉー…、…かっこいい、?」
「うん、かっこいいかっこいい」



……そんな感じで、




ーーー



小学校に通い始めた。



「…桜木優馬です、よろしくお願いします!」


苗字は郁人のもの。こっちの方が便利らしい。



溶け込むのが上手かったのか、すぐに友達も出来た。




ーーー



「でさ、あいつすごいんだ、すっごい女好きで…………、……郁人?」



でも段々、



「っ……あ、えっと…ごめん、それで?」



郁人は疲れたような顔をするようになってきた。



それに、郁人が寝ている間にこっそり服を捲ると、治ってきているはずのアザがまた新しくなっている気がして、




(…………)





これは駄目だと確信した。




どうにかしなければいけない



もうあの男からは、解放されるべきだ





その気持ちはどんどん強くなっていった。







ーーー


それから数年経って、俺も中学生になっていた。



「…………だから、俺だってもうひ弱な子供じゃないよ」
「っふふ、優馬ってそればっかりだよねぇ……、…でも大丈夫、これくらい持てるから」


2人でスーパーで買い物をしてきた帰りだった。



あの日から俺は考えて考えて、




(俺が家から出なければ俺の存在はバレなかった、…じゃあ、郁人が家から出なければ)


存在に気付かれることはない。



「…髪伸びたな」
「男なのに女の子みたいで気持ち悪い?」
「別に、てかそういうの分かんないし」


そう言うと郁人は困ったように笑った。



「優馬も背伸びたね、もう抜かされちゃう」
「お前の事なんかすぐ抜かしてやるよ、…もうすぐ」







…………存在に気付かれないなら、この方法が一番良い。






「…今日の夜ご飯カレーだから、手伝ってね」
「……」
「…優馬?」




家に着いて、玄関に入った途端、






「………………ぇ………?」








郁人の意識が途絶えた。







ーーー



気が付けばもう中学3年生になっていた。



「進路……かぁ、よく分かんないな」
「俺は農業がしたいから農業高校に行くぜっ」
「そうなんだ、じゃあ俺はこの進学校行こうかな」



また友達と話していた時、



「なぁ、ところでさ……お前の母ちゃん…?姉ちゃん?可愛いよな」


当然訳の分からない話題になった。

(誰だ…?郁人、…なのか?)


「え、見た事あったっけ」
「一緒に買い物してただろ?気になってたんだけど友達と家族だとなるとちょっとなぁって…………」


……一緒に買い物、それならきっと郁人の事だろう。

髪が伸びてるし、外見も綺麗だからパッと見女に見えなくもない。


「あー…まだ外に出してた頃か」

そう、小さく呟いた。


「ん?めちゃくちゃ可愛いよなぁ、母ちゃんか姉ちゃん、紹介してよ」


……そんなことする訳ない。



「まぁその二択なら一応母さんの方が正しいかも。…でもお前処女好きじゃん」
「ちょ、教室で言うなよなっ、…まぁそうなんだけどさ」


…………



「無理だよ、あいつ非処女だし」





「いやわかってる…お前がいる時点でそんなこと分かってるんだ、けど…ッ!」

「あはは、…あ、そろそろ昼休み終わるな」






ーーー



友達と別れて帰宅した。


もう必要のなくなった防犯ブザー、ランドセルだってもう背負えないくらい背も伸びた。


力だってついた、大人に太刀打ち出来るくらいには。



(ずっと部屋に閉じ込めておけば、見つからないって)



そう分かったから






「…ただいま、郁人」



部屋に閉じ込めて、逃げられないようにした。


「んッ……んん”、んぅ………」


部屋の隅で動けないように手足を拘束して、口も目も隠してあげて強力な玩具をずっと入れては振動させていて、

当然逃げるどころか立ち上がる事すら出来なかった。


「あはっ、ただいまーいい子にしてた?」

拘束と玩具を取ってあげると郁人は苦しそうに息を整えていた。


「っふは、……ッはぁ…はぁ、」


涙で顔はぐちゃぐちゃになっていて、ただ虚ろな目をしている。



「いい子にしてたか聞いてんだよ」
「ッぁ”!!…やだ、叩かないで、……ッごめんなさい、ごめんなさい」



質問に答えなければ容赦なくあの男と同じ事をした。





「ごめんなさい………」






今日も郁人は、俯きながら謝っている。









ーーー





小さい頃に虐待の経験がある子供は繰り返しやすい傾向にあるなら優馬は間違いなくその人間です

ちょっとハ〇シュガっぽくなってしまったのはご愛嬌………



しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

無知少女とラブラブえちえちする短編集

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:177pt お気に入り:37

きつく縛って、キスをして【2】

BL / 完結 24h.ポイント:333pt お気に入り:188

極道の密にされる健気少年

BL / 連載中 24h.ポイント:1,583pt お気に入り:1,738

獣王水滸伝 ~107人のアルファ×ただ1人のオメガ~

BL / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:261

本当は、やめてほしくなかった

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:15

血の繋がりのない極道に囲まれた宝

BL / 連載中 24h.ポイント:1,313pt お気に入り:511

処理中です...