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しおりを挟む「さあ、そろそろミシェルが到着しますよ。あの子が来ると騒がしくなるから……」
噂をすればエントランスあたりが賑やかな気がする。
「クリスとレナータが大人しいから、ミシェルぐらい、おしゃべりな子がいるとちょうどいいけれど」
レナータは、カヌレ伯爵家の長男、ラッセルの妻の名だ。
彼女はお茶会に参加しているらしく、今日は残念ながら不在とのこと。
ノックの音が聞こえ、エディットが入室を許可するとミシェルの元気いっぱいな声が響いた。
「お義母様! お久しぶりです!!」
「まぁ、噂をすれば騒々しいこと」
「噂って何ですか? わあぁ!! クリスちゃん、とても素敵ですね!!」
そういうミシェルこそ、紺色のワンピースがドレスに見えるほどの抜群のスタイルと美しさだ。
体格のいいレイモンドと並ぶと、とても絵になる。
「ごきげんよう。ミシェルお義姉様」
「ごきげんよう!! お義母様、クリスちゃんに凄く似合ってますね!? 素敵な色合いだわぁ。クリスちゃんの楚々とした雰囲気にピッタリですね!!」
「わたくしの見立てに間違いはありません。ミシェルもすぐに試着をなさい」
「はい。いつも素敵な装いをありがとうございます」
ミシェルは性格がいい。
それはもう、見るからに。
貴族令嬢だったころから、この雰囲気だったというのだから驚く。
「うちって貧乏だったから、畑仕事とかしてたの。田舎だったしね。だからスタイルがいいんじゃなくて、ただ体が大きいだけなのよ」
なんて笑っていたが、そんなことはない。
現に、エディットが見立てた、どこまでも広がる美しい草原のようなグリーンをまとっても、ドレスに負けたりしないのだから。
「お義母様、これ、お胸があきすぎではないですか!?」
思ったことを口にする素直さも羨ましい。
「あなたは隠しても無駄なんですから、出してしまいなさいな」
「なぜ!? 私もクリスちゃんのような清廉な雰囲気をまといたいのに……」
「無理でしょう」
「そんなぁ!! もう少し隠したいです!! 隠さないとまたレイモンドが……」
「なぁに? あの子、そんなに独占欲強いの?」
「……いえ、うーーん」
何事かを悩み始めたミシェルは、首を傾げたあと「まぁいいか」と呟いた。
「あぁ。強いのは独占欲じゃなくて性欲ね?」
「!!!!!!!」
ミシェルの顔には『そうです』と書いてあった。わかりやすい。
みるみる赤くなる顔も可愛らしい。
こんなに素直に生きられる女性もいるのかと、感心すらしてしまう。
「まったく。レイモンドはともかく、ロジェには少々仕置きが必要なようね」
エディットが意味不明なことを呟いて、ミシェルとクリスティーヌの首を傾げさせた。
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