557 / 1,110
ゴブリンキングの脅威
第543話 ルナとの邂逅
しおりを挟む
――ナイ達が辿り着いたのはネズミの言う通りに人が住んでいる気配がない建物だった。元々は教会だと思われるが、何が起きたのか建物は半壊状態であり、屋根も崩れていた。
ナイ達は敷地内に入り込むと、三人の足元に鼠が駆けつけてきた。先ほどネズミの元に集まっていた鼠たちと同様に額の部分に紋様が刻まれており、鼠はナイ達を確認するとすぐに立ち去ってしまう。
「今の鼠……さっきの人の使い魔かもしれない」
「使い魔?」
「魔術師の中には魔物使いと呼ばれる魔物を従える力を持つ魔術師がいると前に聞いた事がある」
「じゃ、じゃあ今の鼠は只の鼠じゃなくて、鼠型の魔獣なんですか?あの鼠……」
「鼠ばかり言いすぎてこんがらがってきた……とにかく、中に入ろう」
もしかしたらネズミが従ていた鼠たちはただの鼠ではなく、鼠型の魔獣である可能性が出てきたが、今のナイ達の目的はルナを見つけ出して探し出す事であり、三人は廃墟へと入り込む。
建物に入るとナイは「気配感知」の技能を発動させ、建物内の様子を伺う。すると、建物の奥から気配を感じ取り、他の二人に喋らない様に口元に人差し指を向ける。
「しっ……近くにいる」
「本当ですか?」
「あの情報屋、本当に只者じゃなかったみたい」
三人はゆっくりと気配を感じる方向へ近づき、様子を伺う。すると、壁に背中を預けて眠っている少女の姿を発見する。
「すぅっ……すぅっ……」
「眠って……いるんでしょうか?」
「多分……」
「随分と服が汚れてる……きっと、ここまで逃げるのに色々とあったんだ」
発見したルナは身に着けている衣服が汚れ、酷く疲れた表情で眠っていた。今ならば意識がない間に連れ帰る事ができるのではないかと思われた時、建物の一部が崩れて瓦礫が落ちてしまう。
瓦礫が落ちた瞬間、ルナは目を見開くと自分に近付こうとしている三人に気付き、彼女は反射的に戦斧を手にして振り払う。
「があっ!!」
「うわっ!?」
「ひっ!?」
「にゃっ!?」
反射的にナイ達は後ろに飛んで回避すると、即座にルナは臨戦態勢に入り、ナイ達を睨みつける。その彼女の姿を見て咄嗟にナイは落ち着かせようとした。
「待ってください!!僕達は……」
「近づくな!!」
「うっ!? 」
ルナは外見に似合わずに凄まじい迫力を放ち、その気迫にヒイロとミイナも気圧されてしまう。外見が幼いので忘れがちだが、彼女は聖女騎士団ではテンと渡り合えるほどの実力者であり、歴戦の強者である。
自分の前に現れたナイ達に対してルナは警戒心を抱き、そんな彼女の警戒を解くためにナイは落ち着かせようとテンの名前を出した。
「落ち着いて下さい、僕達はテンさんの……」
「テン……!?」
しかし、テンの名前を出した瞬間にルナは頭に血が上がり、ナイに向けて戦斧を突き出す。その彼女の行為にナイは焦りを抱くが、ルナは怒鳴りつけた。
「お前等、テンの知り合いか!?」
「そ、そうです。僕達はテンさんの……」
「なら、テンに伝えろ……余計な真似はするな、私の無実は私が晴らす!!」
「うわっ!?」
ルナはナイ達がテンが自分を探し出すために送り込んだ事を知ると、彼女は敵意を露にして戦斧を振り回す。その行為にナイ達も咄嗟に武器を構えるが、それを見たルナは鼻で笑う。
「お前等みたいなガキに……私が捕まると思うのか!?」
「くっ!?」
「きゃっ!?」
「むうっ!?」
三人に対してルナは戦斧を振り払うと、同じく戦斧を武器にするミイナに目掛けてルナは攻撃を仕掛ける。斧同士が衝突して二人は鍔迫り合いの形になるが、地力は圧倒的にルナの方が上回っていた。
「邪魔だ!!」
「にゃうっ!?」
「そんな、ミイナが力負けした!?」
「ヒイロ、下がって!!」
腕力だけならばテンに匹敵する力を持つミイナでさえもルナには勝てず、呆気なく吹き飛ばされてしまう。その姿を見てナイは仕方なく旋斧を引き抜き、ルナの元へ向かう。
変わった大剣を手にしたナイを見てルナは即座にナイが魔法剣の使い手だと知り、彼女は武器その物ではなく、ナイへ向けて戦斧の柄を利用して突き出す。
「邪魔をするな!!」
「くっ!?」
「ナイさん!?」
放たれた戦斧の柄に対してナイは咄嗟に旋斧の刃で受け止めると、予想以上の衝撃によって後退し、ルナの腕力を思い知る。その力はテンを上回り、ナイが戦ってきた人間の中では一番の力を誇る相手だった。その一方でルナの方もナイが自分の一撃を受け切った事に驚く。
「やるな、私の攻撃を受け止めるとは……だが、その程度の力で私は止められないぞ!!」
「ナイさん、危ない!!」
「うわっ!?」
ルナは戦斧を振りかざすと、上段からナイへ目掛けて振り下ろす。その攻撃に対してヒイロは咄嗟にナイを突き飛ばすと、二人の間に戦斧は通過し、派手に床を叩き割る。
その光景を確認してナイは顔色を青ざめ、ヒイロも予想以上の威力に尻餅をついてしまう。そんな二人を見てルナは戦斧を引き抜くと、鼻を鳴らす。
ナイ達は敷地内に入り込むと、三人の足元に鼠が駆けつけてきた。先ほどネズミの元に集まっていた鼠たちと同様に額の部分に紋様が刻まれており、鼠はナイ達を確認するとすぐに立ち去ってしまう。
「今の鼠……さっきの人の使い魔かもしれない」
「使い魔?」
「魔術師の中には魔物使いと呼ばれる魔物を従える力を持つ魔術師がいると前に聞いた事がある」
「じゃ、じゃあ今の鼠は只の鼠じゃなくて、鼠型の魔獣なんですか?あの鼠……」
「鼠ばかり言いすぎてこんがらがってきた……とにかく、中に入ろう」
もしかしたらネズミが従ていた鼠たちはただの鼠ではなく、鼠型の魔獣である可能性が出てきたが、今のナイ達の目的はルナを見つけ出して探し出す事であり、三人は廃墟へと入り込む。
建物に入るとナイは「気配感知」の技能を発動させ、建物内の様子を伺う。すると、建物の奥から気配を感じ取り、他の二人に喋らない様に口元に人差し指を向ける。
「しっ……近くにいる」
「本当ですか?」
「あの情報屋、本当に只者じゃなかったみたい」
三人はゆっくりと気配を感じる方向へ近づき、様子を伺う。すると、壁に背中を預けて眠っている少女の姿を発見する。
「すぅっ……すぅっ……」
「眠って……いるんでしょうか?」
「多分……」
「随分と服が汚れてる……きっと、ここまで逃げるのに色々とあったんだ」
発見したルナは身に着けている衣服が汚れ、酷く疲れた表情で眠っていた。今ならば意識がない間に連れ帰る事ができるのではないかと思われた時、建物の一部が崩れて瓦礫が落ちてしまう。
瓦礫が落ちた瞬間、ルナは目を見開くと自分に近付こうとしている三人に気付き、彼女は反射的に戦斧を手にして振り払う。
「があっ!!」
「うわっ!?」
「ひっ!?」
「にゃっ!?」
反射的にナイ達は後ろに飛んで回避すると、即座にルナは臨戦態勢に入り、ナイ達を睨みつける。その彼女の姿を見て咄嗟にナイは落ち着かせようとした。
「待ってください!!僕達は……」
「近づくな!!」
「うっ!? 」
ルナは外見に似合わずに凄まじい迫力を放ち、その気迫にヒイロとミイナも気圧されてしまう。外見が幼いので忘れがちだが、彼女は聖女騎士団ではテンと渡り合えるほどの実力者であり、歴戦の強者である。
自分の前に現れたナイ達に対してルナは警戒心を抱き、そんな彼女の警戒を解くためにナイは落ち着かせようとテンの名前を出した。
「落ち着いて下さい、僕達はテンさんの……」
「テン……!?」
しかし、テンの名前を出した瞬間にルナは頭に血が上がり、ナイに向けて戦斧を突き出す。その彼女の行為にナイは焦りを抱くが、ルナは怒鳴りつけた。
「お前等、テンの知り合いか!?」
「そ、そうです。僕達はテンさんの……」
「なら、テンに伝えろ……余計な真似はするな、私の無実は私が晴らす!!」
「うわっ!?」
ルナはナイ達がテンが自分を探し出すために送り込んだ事を知ると、彼女は敵意を露にして戦斧を振り回す。その行為にナイ達も咄嗟に武器を構えるが、それを見たルナは鼻で笑う。
「お前等みたいなガキに……私が捕まると思うのか!?」
「くっ!?」
「きゃっ!?」
「むうっ!?」
三人に対してルナは戦斧を振り払うと、同じく戦斧を武器にするミイナに目掛けてルナは攻撃を仕掛ける。斧同士が衝突して二人は鍔迫り合いの形になるが、地力は圧倒的にルナの方が上回っていた。
「邪魔だ!!」
「にゃうっ!?」
「そんな、ミイナが力負けした!?」
「ヒイロ、下がって!!」
腕力だけならばテンに匹敵する力を持つミイナでさえもルナには勝てず、呆気なく吹き飛ばされてしまう。その姿を見てナイは仕方なく旋斧を引き抜き、ルナの元へ向かう。
変わった大剣を手にしたナイを見てルナは即座にナイが魔法剣の使い手だと知り、彼女は武器その物ではなく、ナイへ向けて戦斧の柄を利用して突き出す。
「邪魔をするな!!」
「くっ!?」
「ナイさん!?」
放たれた戦斧の柄に対してナイは咄嗟に旋斧の刃で受け止めると、予想以上の衝撃によって後退し、ルナの腕力を思い知る。その力はテンを上回り、ナイが戦ってきた人間の中では一番の力を誇る相手だった。その一方でルナの方もナイが自分の一撃を受け切った事に驚く。
「やるな、私の攻撃を受け止めるとは……だが、その程度の力で私は止められないぞ!!」
「ナイさん、危ない!!」
「うわっ!?」
ルナは戦斧を振りかざすと、上段からナイへ目掛けて振り下ろす。その攻撃に対してヒイロは咄嗟にナイを突き飛ばすと、二人の間に戦斧は通過し、派手に床を叩き割る。
その光景を確認してナイは顔色を青ざめ、ヒイロも予想以上の威力に尻餅をついてしまう。そんな二人を見てルナは戦斧を引き抜くと、鼻を鳴らす。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる