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巨人国 侵攻編
獣人国の救援
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「将軍!!我々はどうすれば……」
「し、失礼します!!大変です!!」
「今度は何だ!?」
連絡役の兵士が指示を仰ぐ前に新たな兵士が駆け込み、ギルスが何事かと問い詰めると、新しく入って来た兵士は跪いて報告を行う。
「四柱将のリキ様が5万の軍勢を率いて獣人軍の対応に向かいました!!また、四柱将のコウ将軍が軍勢を率いて間もなくこちらに到着します!!もう既にここから見える距離にまで迫っています!!」
「何だと!?」
兵士の報告を聞いたパワードは慌てて起き上がり、部屋の窓から飛び出して外の様子を伺うと、確かに遠方の方から土煙を巻き上げながら移動を行う軍隊の姿が見えた。他の人間も彼に続いて様子を伺うと、約数万の兵士がこちらに接近している光景を確認する。
数万人の巨人族の姿は圧倒され、普通の人間の2、3倍近くの巨躯の兵士が大勢移動する度に地響きが鳴り響き、その光景を確認したパワードは笑みを浮かべる。予定よりも早い到着ではあるが、彼等は帝国を攻め落とすために集まった精鋭部隊だった。
「はっ……そうだ、獣人国軍が現れようと関係ない!!あれを見やがれ、あれほどの数の巨人族を見た事があるか!?俺達に敵う存在なんているはずがないだろう!!」
「パワード、こんな時に何を言って……」
「帝国だろうが獣人国だろうが関係ない!!どっちの国もこの機に滅ぼしてやればいい!!」
若干混乱しているのかパワードは堂々とルノとサムカに対して宣戦布告と取れる発言を行うが、そんな彼を無視してルノとサムカは軍勢の方向に視線を向け、様子がおかしい事に気付く。
「あの……ここからだとよく見えませんけど、何か様子がおかしくありません?」
「そうだね、あいつらなんであんな大怪我をしてるんだい?」
「は?怪我?」
「将軍!!こちらにおいででしたか!!」
二人の言葉にパワードは呆けていると、再び連絡役と思われる新たな兵士が訪れ、彼の背後には傷だらけの状態の兵士が他の兵士に肩を借りながら現れる。一体何が起きたのか負傷した兵士は酷い火傷を負い、既に意識を失っていた。
「おい、そいつどうしたんだ!?」
「先ほど、この兵士がコウ将軍の連絡役として訪れたのですが……見ての通り、意識を失いました。ですが、内容は事前に我等が聞いていますので代わりご報告します!!コウ将軍が作戦を中止し、この地に全軍を集めるようにとの事です!!」
「作戦中止!?」
「ど、どういう事だ?一体コウ将軍は何を考えて……」
四柱将の中でも古株で兵士達の信頼が厚いコウと呼ばれる将軍が帝国に攻め入る作戦を中止させ、この地に勢力を終結させろという命令にギルスもパワードも混乱するが、詳しい話を兵士に聞く前にルノが叫び声を上げた。
「あっ!?あれって……」
「今度は何だよ!?」
「おいおい、嘘だろ……あれ、もしかして竜種じゃないかい?」
「何っ!?」
二人の言葉にギルスとパワードは慌てて視線を向けると、接近する軍勢の上空から赤色の鱗に覆われた竜種が飛来し、軍勢に向けて咆哮を放つ。その姿を見たルノは懐かしさを感じ、自分が初めて遭遇した竜種である事に気付く。
「あれ、もしかして火竜じゃないですか?」
「な、何だとぉおおおっ!?」
「落ち着け!!な、何故……火竜がここに!?」
唐突に姿を現した火竜は片目が潰れ、胸元の部分に大きな傷跡が存在した。どうやら最近に出来た傷ではないらしく、古傷を負った火竜を見てルノはギルスが過去に四柱将の一人が火竜を撃退した事があると言っていた事を思い出す。
「ギルスさん、前に四柱将の方が火竜を撃退した事があると言ってましたよね。もしかして撃退という事は討伐は果たしてなかったんですか?」
「あ、ああ……致命傷を負わせた時点で火竜が逃走したと聞いていたが」
「なら、もしかしてあの火竜って……」
「ま、まさか!?」
古傷が存在する火竜を目撃してルノは過去に巨人軍に撃退された火竜が再び襲撃を仕掛けてきたのではないかと指摘すると、ルノの言葉を証明するかのように火竜が急降下を行い、巨人軍に目掛けて突進してきた。
――グガァアアアアッ!!
独特の鳴き声を上げながら火竜は地上に存在する兵士達を蹴散らし、地面に着地した。衝突の際に数百人の兵士が吹き飛ばされ、隊列を乱してしまう。慌てて応戦しようとする者、逃げ出そうとする者、恐怖で身体が硬直する者、軍勢は大混乱を引き起こす。
着地した火竜はそのまま大きく口を開き、胸元を膨らませた瞬間、口内から火炎放射を想像させる勢いで炎を解き放つ。その威力は凄まじく、荒野に存在した岩を溶解させ、兵士達を焼き尽くす。
――アガァアアアアアッ!!
強烈な火炎の吐息で次々と兵士達を焼き払い、その光景を目撃した岩山の兵士達は驚愕と恐怖が入り混じった表情を浮かべる。あまりにも圧倒的な力を持つ竜種を目の当たりにしてギルスもパワードも動くことが出来ず、サムカでさえも唖然とした表情を浮かべた。
だが、この火竜の行動を見ていたルノだけは焼き尽くされる兵士達の姿を見て心の中で何かが切れ、気付いた時には飛翔術を利用して火竜の方向へ向けて飛び立つ。
※次回、火竜死す!!
「し、失礼します!!大変です!!」
「今度は何だ!?」
連絡役の兵士が指示を仰ぐ前に新たな兵士が駆け込み、ギルスが何事かと問い詰めると、新しく入って来た兵士は跪いて報告を行う。
「四柱将のリキ様が5万の軍勢を率いて獣人軍の対応に向かいました!!また、四柱将のコウ将軍が軍勢を率いて間もなくこちらに到着します!!もう既にここから見える距離にまで迫っています!!」
「何だと!?」
兵士の報告を聞いたパワードは慌てて起き上がり、部屋の窓から飛び出して外の様子を伺うと、確かに遠方の方から土煙を巻き上げながら移動を行う軍隊の姿が見えた。他の人間も彼に続いて様子を伺うと、約数万の兵士がこちらに接近している光景を確認する。
数万人の巨人族の姿は圧倒され、普通の人間の2、3倍近くの巨躯の兵士が大勢移動する度に地響きが鳴り響き、その光景を確認したパワードは笑みを浮かべる。予定よりも早い到着ではあるが、彼等は帝国を攻め落とすために集まった精鋭部隊だった。
「はっ……そうだ、獣人国軍が現れようと関係ない!!あれを見やがれ、あれほどの数の巨人族を見た事があるか!?俺達に敵う存在なんているはずがないだろう!!」
「パワード、こんな時に何を言って……」
「帝国だろうが獣人国だろうが関係ない!!どっちの国もこの機に滅ぼしてやればいい!!」
若干混乱しているのかパワードは堂々とルノとサムカに対して宣戦布告と取れる発言を行うが、そんな彼を無視してルノとサムカは軍勢の方向に視線を向け、様子がおかしい事に気付く。
「あの……ここからだとよく見えませんけど、何か様子がおかしくありません?」
「そうだね、あいつらなんであんな大怪我をしてるんだい?」
「は?怪我?」
「将軍!!こちらにおいででしたか!!」
二人の言葉にパワードは呆けていると、再び連絡役と思われる新たな兵士が訪れ、彼の背後には傷だらけの状態の兵士が他の兵士に肩を借りながら現れる。一体何が起きたのか負傷した兵士は酷い火傷を負い、既に意識を失っていた。
「おい、そいつどうしたんだ!?」
「先ほど、この兵士がコウ将軍の連絡役として訪れたのですが……見ての通り、意識を失いました。ですが、内容は事前に我等が聞いていますので代わりご報告します!!コウ将軍が作戦を中止し、この地に全軍を集めるようにとの事です!!」
「作戦中止!?」
「ど、どういう事だ?一体コウ将軍は何を考えて……」
四柱将の中でも古株で兵士達の信頼が厚いコウと呼ばれる将軍が帝国に攻め入る作戦を中止させ、この地に勢力を終結させろという命令にギルスもパワードも混乱するが、詳しい話を兵士に聞く前にルノが叫び声を上げた。
「あっ!?あれって……」
「今度は何だよ!?」
「おいおい、嘘だろ……あれ、もしかして竜種じゃないかい?」
「何っ!?」
二人の言葉にギルスとパワードは慌てて視線を向けると、接近する軍勢の上空から赤色の鱗に覆われた竜種が飛来し、軍勢に向けて咆哮を放つ。その姿を見たルノは懐かしさを感じ、自分が初めて遭遇した竜種である事に気付く。
「あれ、もしかして火竜じゃないですか?」
「な、何だとぉおおおっ!?」
「落ち着け!!な、何故……火竜がここに!?」
唐突に姿を現した火竜は片目が潰れ、胸元の部分に大きな傷跡が存在した。どうやら最近に出来た傷ではないらしく、古傷を負った火竜を見てルノはギルスが過去に四柱将の一人が火竜を撃退した事があると言っていた事を思い出す。
「ギルスさん、前に四柱将の方が火竜を撃退した事があると言ってましたよね。もしかして撃退という事は討伐は果たしてなかったんですか?」
「あ、ああ……致命傷を負わせた時点で火竜が逃走したと聞いていたが」
「なら、もしかしてあの火竜って……」
「ま、まさか!?」
古傷が存在する火竜を目撃してルノは過去に巨人軍に撃退された火竜が再び襲撃を仕掛けてきたのではないかと指摘すると、ルノの言葉を証明するかのように火竜が急降下を行い、巨人軍に目掛けて突進してきた。
――グガァアアアアッ!!
独特の鳴き声を上げながら火竜は地上に存在する兵士達を蹴散らし、地面に着地した。衝突の際に数百人の兵士が吹き飛ばされ、隊列を乱してしまう。慌てて応戦しようとする者、逃げ出そうとする者、恐怖で身体が硬直する者、軍勢は大混乱を引き起こす。
着地した火竜はそのまま大きく口を開き、胸元を膨らませた瞬間、口内から火炎放射を想像させる勢いで炎を解き放つ。その威力は凄まじく、荒野に存在した岩を溶解させ、兵士達を焼き尽くす。
――アガァアアアアアッ!!
強烈な火炎の吐息で次々と兵士達を焼き払い、その光景を目撃した岩山の兵士達は驚愕と恐怖が入り混じった表情を浮かべる。あまりにも圧倒的な力を持つ竜種を目の当たりにしてギルスもパワードも動くことが出来ず、サムカでさえも唖然とした表情を浮かべた。
だが、この火竜の行動を見ていたルノだけは焼き尽くされる兵士達の姿を見て心の中で何かが切れ、気付いた時には飛翔術を利用して火竜の方向へ向けて飛び立つ。
※次回、火竜死す!!
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