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巨人国 侵攻編
動き出した獣人国
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「それで、まずは話ってのはなんだ?」
「決まってんだろ、うちの領地に侵入しておいて知らん顔をさせないよ。三か国同盟を破っておいて随分と偉そうな態度じゃないかい」
「はっ!!あんな見せかけだけの同盟なんて知った事かよ。それにお前等は知らないようだが、獣人国が大変な事になっているんだぜ?教えてやろうか、あの国はな……」
帝国、獣人国、巨人国の間で交わした三か国同盟の事をサムカが口にすると、パワードは余裕の態度を貫いて獣人国の内情を知らせようとする。だが、そんな彼に対してルノが口を挟む。
「獣人国の国王が死んで兄弟同士が争い、長男の王子が将軍を味方に付けて弟と妹さんを殺そうとしていた事なら知ってます」
「何だと……ちっ、そこまで知っていたか」
「でも、長男の方は捕まって現在は幽閉され、末の妹は日の国で保護されて、次男の王子さんが現在は国を纏めている事も知ってます」
「……何だってっ?」
とんでもない事実を耳にしたパワードは呆気に取られた表情を浮かべ、ギルスもサムカを目を丸くさせる。獣人国の内乱に関わっていたルノは他の国がまだ調べていない情報も知っており、現在の獣人国の争いは収まったことを伝える。
「もう第一王子は捕まって今は第二王子が他の将軍を従えて国を纏めようとしていますよ。妹さんの方も日の国で安全に保護されているのを知らないんですか?」
「おい、待て……ちょっと待て、何を言ってんだお前?」
「だから獣人国の内乱はもう起きていません。第一王子も帝国とは友好的な関係を築きたいと言ってくれました」
「だから、何を言ってんだよお前!?」
「る、ルノ殿……その話は本当なのか?」
ルノの言葉が信じられないギルスとパワードは大声を上げ、もしも彼の話が事実ならば巨人国の計画は大きく狂う。獣人国の内部で問題が起きている間は巨人国は獣人国が帝国に力を貸す事はないと思っていたが、既に内乱が収まっていたとしたら話は別である。
同盟の内容では同盟国に対して攻撃を仕掛けた国に他の二国が攻め込むという内容のため、もしも獣人国の内乱が収まっていた場合は兄と違って礼儀を重んじる獣人国の第二王子ならばこの機に乗じて軍隊を動かし、巨人国に攻め込む可能性もあった。いくら巨人国といえど、帝国と獣人国の両大国を敵に回せば無事では済まず、逆に領地を奪われる可能性もあった。
「で、出鱈目を言うんじゃねえ!!獣人国にはこっちも大量の斥候を送っているんだ!!そんな嘘が通じると思うなよ!?」
「いや、パワードよ……このルノ殿はある方法で長距離を短時間で移動する術を身に着けている。それを使えば時間も掛けずに他の国に訪れる事も出来るだろう」
「な、何を言ってんだ!?それがどうしたって言うんだ!?」
「ルノ殿、先ほどの口ぶりから察するに貴方はもしや……」
「はい、少し前まで獣人国に滞在していました」
「マジかっ!?」
氷飛行機や飛翔術の魔法を使った高速移動をルノが扱える事を知っているギルスが恐る恐る尋ねると、ルノは自分が最近まで獣人国に赴いていた事、そして第二王子と協力して第一王子の捕縛を下ことを伝えた。
「ある事情で俺はガオン将軍の願いでガウ王子と協力してガルル王子を捕縛しました。ガルル王子が従えていた将軍は全員捕まえて今は国の復興に励んでいます」
「信じられん……いや、だが確かにあの魔法ならば移動は出来るのか?」
「おい、このガキは何を言ってるんだギルス!?まさか、本当に……」
「はあっ……たまげたねぇっ」
ルノの言葉にギルスは半信半疑の表情を浮かべて悩み、訳が分からないパワードは怒鳴り散らす事しか出来ず、サムカは感心したように頷く。やはり証拠がないと信じてくれないのかとルノが考えた時、兵士が部屋の中に入り込む。
「し、失礼します!!将軍、大変です!!」
「何事だ!?今は重要な話し合いをしている最中だぞ!?」
「申し訳ありません!!ですが、国境からの守備兵からの報告です!!」
「何っ……!?」
事前に許可も得ずに入り込んできた兵士にギルスは怒鳴りつけるが、兵士は慌てた様子で書状を差しだし、疑問を抱いたパワードが受け取って内容を読むと目を見開く。
「な、何だと!?」
「どうした!?」
「こ、国境で獣人国を見張らせていた兵士からの報告だ……獣人国の軍隊が動き出した」
「何だと!?」
巨人国と獣人国の領地の境目に存在する城から報告書が届いたらしく、書状の内容は獣人国の軍隊が国境沿いに接近しているという内容だけが記されていた。まさか動くはずがないと思い込んでいた獣人国の軍隊が巨人国の領地に接近しているという内容にパワードは信じられない表情を浮かべ、先ほどのルノの言葉を思い出す。
「ま、まさか本当に……お前、獣人国に居たのか?」
「だから、さっきから言ってるじゃないですか。もう獣人国では争いは起きてませんって」
「……有り得ねえ、は、ははっ……」
ルノの言葉が真実だと知ったパワードは力が抜けたように椅子から転げ落ちてしまい、乾いた笑い声を上げた。
「決まってんだろ、うちの領地に侵入しておいて知らん顔をさせないよ。三か国同盟を破っておいて随分と偉そうな態度じゃないかい」
「はっ!!あんな見せかけだけの同盟なんて知った事かよ。それにお前等は知らないようだが、獣人国が大変な事になっているんだぜ?教えてやろうか、あの国はな……」
帝国、獣人国、巨人国の間で交わした三か国同盟の事をサムカが口にすると、パワードは余裕の態度を貫いて獣人国の内情を知らせようとする。だが、そんな彼に対してルノが口を挟む。
「獣人国の国王が死んで兄弟同士が争い、長男の王子が将軍を味方に付けて弟と妹さんを殺そうとしていた事なら知ってます」
「何だと……ちっ、そこまで知っていたか」
「でも、長男の方は捕まって現在は幽閉され、末の妹は日の国で保護されて、次男の王子さんが現在は国を纏めている事も知ってます」
「……何だってっ?」
とんでもない事実を耳にしたパワードは呆気に取られた表情を浮かべ、ギルスもサムカを目を丸くさせる。獣人国の内乱に関わっていたルノは他の国がまだ調べていない情報も知っており、現在の獣人国の争いは収まったことを伝える。
「もう第一王子は捕まって今は第二王子が他の将軍を従えて国を纏めようとしていますよ。妹さんの方も日の国で安全に保護されているのを知らないんですか?」
「おい、待て……ちょっと待て、何を言ってんだお前?」
「だから獣人国の内乱はもう起きていません。第一王子も帝国とは友好的な関係を築きたいと言ってくれました」
「だから、何を言ってんだよお前!?」
「る、ルノ殿……その話は本当なのか?」
ルノの言葉が信じられないギルスとパワードは大声を上げ、もしも彼の話が事実ならば巨人国の計画は大きく狂う。獣人国の内部で問題が起きている間は巨人国は獣人国が帝国に力を貸す事はないと思っていたが、既に内乱が収まっていたとしたら話は別である。
同盟の内容では同盟国に対して攻撃を仕掛けた国に他の二国が攻め込むという内容のため、もしも獣人国の内乱が収まっていた場合は兄と違って礼儀を重んじる獣人国の第二王子ならばこの機に乗じて軍隊を動かし、巨人国に攻め込む可能性もあった。いくら巨人国といえど、帝国と獣人国の両大国を敵に回せば無事では済まず、逆に領地を奪われる可能性もあった。
「で、出鱈目を言うんじゃねえ!!獣人国にはこっちも大量の斥候を送っているんだ!!そんな嘘が通じると思うなよ!?」
「いや、パワードよ……このルノ殿はある方法で長距離を短時間で移動する術を身に着けている。それを使えば時間も掛けずに他の国に訪れる事も出来るだろう」
「な、何を言ってんだ!?それがどうしたって言うんだ!?」
「ルノ殿、先ほどの口ぶりから察するに貴方はもしや……」
「はい、少し前まで獣人国に滞在していました」
「マジかっ!?」
氷飛行機や飛翔術の魔法を使った高速移動をルノが扱える事を知っているギルスが恐る恐る尋ねると、ルノは自分が最近まで獣人国に赴いていた事、そして第二王子と協力して第一王子の捕縛を下ことを伝えた。
「ある事情で俺はガオン将軍の願いでガウ王子と協力してガルル王子を捕縛しました。ガルル王子が従えていた将軍は全員捕まえて今は国の復興に励んでいます」
「信じられん……いや、だが確かにあの魔法ならば移動は出来るのか?」
「おい、このガキは何を言ってるんだギルス!?まさか、本当に……」
「はあっ……たまげたねぇっ」
ルノの言葉にギルスは半信半疑の表情を浮かべて悩み、訳が分からないパワードは怒鳴り散らす事しか出来ず、サムカは感心したように頷く。やはり証拠がないと信じてくれないのかとルノが考えた時、兵士が部屋の中に入り込む。
「し、失礼します!!将軍、大変です!!」
「何事だ!?今は重要な話し合いをしている最中だぞ!?」
「申し訳ありません!!ですが、国境からの守備兵からの報告です!!」
「何っ……!?」
事前に許可も得ずに入り込んできた兵士にギルスは怒鳴りつけるが、兵士は慌てた様子で書状を差しだし、疑問を抱いたパワードが受け取って内容を読むと目を見開く。
「な、何だと!?」
「どうした!?」
「こ、国境で獣人国を見張らせていた兵士からの報告だ……獣人国の軍隊が動き出した」
「何だと!?」
巨人国と獣人国の領地の境目に存在する城から報告書が届いたらしく、書状の内容は獣人国の軍隊が国境沿いに接近しているという内容だけが記されていた。まさか動くはずがないと思い込んでいた獣人国の軍隊が巨人国の領地に接近しているという内容にパワードは信じられない表情を浮かべ、先ほどのルノの言葉を思い出す。
「ま、まさか本当に……お前、獣人国に居たのか?」
「だから、さっきから言ってるじゃないですか。もう獣人国では争いは起きてませんって」
「……有り得ねえ、は、ははっ……」
ルノの言葉が真実だと知ったパワードは力が抜けたように椅子から転げ落ちてしまい、乾いた笑い声を上げた。
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