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高校生編side蓮
49.未来の話し(※微エロ有り)
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季節は巡り、冬になった。
寒さに震える冬の夜は、恋人と暖め合うに限るよな。
自室のベッドに晴を引き込んで、深く唇を重ねる。
が、
「蓮…ダメだよ?」
「…分かってる…。」
言われて、セーターの中を弄ろうとしていた手を降ろした。
内心で特大の溜息を吐きながら。
俺は今、欲求不満に陥っている。
夏休みに初めて身体を繋げてから、俺達は何度も交わり合った。
だいたい週3ペースで、晴が家に泊まりにくる度に抱いて。
一度晴の深い所を知ってしまった俺の身体は、際限なく晴を求めていた。
何度しても足りなくて、善がって鳴く姿を見たくて。
本音を言えば毎日でもヤりたかったが、受け入れる側の負担を考えればそうもいかず。
それで、週3と言う頻度で耐えていたんだがーー。
事件が起こったのは、先週の夜。
いつもの如く誰もいない俺の家で晴を抱いて、寝落ち寸前のその身体を拭いている時だった。
あろうことか、急遽出張が流れたらしい親父が帰って来やがったのだ。
その時は何とかバレる事なくやり過ごせたが、晴にとっては衝撃の出来事となった。
それ以来、全員の居場所が確定していない日はやんわり断られるようになり。
いい雰囲気になっても、冒頭のように言われるようになってしまった。
快楽に流されやすい晴が、だ。
最後までできるのは多くて月に2回。
そこまで親バレしたくないのかと少し恨みがましく思ったりもしたが…まぁ普通に考えて嫌だよな。
逆に親達のそーゆーのとか死んでも見たくねぇし。
因みに、萱島家には常に憲人さんがいるから最初から選択肢に入っていない。
ラブホやらホテルも考えたが、俺だけが金を出すのを晴は良しとしないだろう。
そうすると、小遣いで生活している晴に負担を強いる事になる。
つまり、未成年特有の「場所がない問題」によって俺は欲求不満に陥ってる訳だ。
「蓮、ごめんな。」
謝る晴を膝に乗せて首を横に振る。
「いや、仕方ねぇよ。お前は悪くない。」
マジで辛いが、仕方ないのもマジだ。
語彙がおかしくなる程度にはダメージ受けてるけど。
「…俺、泊まらない方がいい?」
俺に我慢させてる自覚があるらしく、シュンとして聞いてくる。
垂れた耳と尻尾の幻影が見えて胸を抉られた。
「いや、帰んな。大丈夫だから一緒に寝よ。」
手を出せないのは辛いが、一緒にいられないのはそんなレベルじゃない。地獄だ。
俺の強めの否定にパッと顔を輝かせた晴が抱き付いて来て、この顔が見られるなら全てを耐え抜くと誓う。
添い寝だって、徹夜で素数数えれば何とかなるしな、うん。
そうして幾度となく素数を数える夜を超え、俺達は高3になった。
耐え続けた俺の忍耐も限界に近い。
これが大学でも続くなんて拷問は回避しなくては。
それに、頻度が減った分、最後までできる時に手加減できないのも問題だ。
晴の誕生祝いに俺が金を出してホテルに泊まった時は、気付いたら朝まで抱き潰してしまった。
だから、打開策を打ち出す。
「卒業したら晴と暮らすから。」
18歳になった日、俺の言葉に両親は諦めたように溜息を吐いた。
「まぁ…止めても無駄よね。晴ちゃんと萱島家が全員賛成ならいいんじゃないかしら。」
「晴ちゃんはM大志望って聞いたけど蓮はどうするんだい?」
息子の希望は知らない癖に晴の希望はリサーチしてる辺り変態性が高いと思う。
まぁ、ぶっちゃけ俺の大学なんかどうとでもなるから希望も何もないけどな。
世界中、どこだろうと入学できる自信しかない。
だから晴に合わせるつもりだったんだが…M大には医学部が無かった。
一応医師免許を取っておく事に決めた俺としては、できる限り近くの大学で妥協するしかない。
因みに医者を目指すのは父親と兄の影響…なんて事は無く、単純に安定して金を稼げるからだ。
取り敢えずそれさえあれば、将来晴を路頭に迷わせる事はないだろう。
最低限の「裕福」な生活を送る為の謂わば保険みたいなものだ。
もっと金が必要なら企業してもいいし、他にやりようはいくらでも有る。
「どっかテキトーに医学部。翔と同じでいんじゃね。」
翔の出身である私立大学最高峰と言われるその大学は、M大から近い。
「分かった。家を探そう。」
「晴ちゃんが一緒に住むならセキュリティーが万全じゃないとね!この際、蓮の大学からは遠くたって構わないわ。何ならマンション買っちゃうのも手よね!」
既に俺の合格は決定事項なため話はサクサク進む。
そして、実の息子より晴優先な両親には笑うしかない。
「晴と憲人さん達には俺から話すから。」
俺がそう言うと親父が頷いた。
「しっかり説得しなさい。
それにしても、平和的に決まりそうで良かった。
霊泉家が干渉してくるかと思ったんだが…やはり長男がT大に受かったのが大きかったようだな。」
顔も知らない従兄が国立の最難関に受かって以来、霊泉家からはパタリと干渉も偵察も無くなっていた。
確か3歳違いだから、俺が大学2年になる頃には卒業だろう。
正式な後継者がソイツに決まれば、俺達とは縁が切れたも同然になる。
「とは言え、もう暫くは油断せず行こう。」
親父の言葉に強く頷いた。
「という訳で、暫くこう言うのは禁止にします!」
「………は?」
部屋に入って早々、抱き寄せてシャツの中に手を入れようとするとペシッと叩かれた。
いやいや、今日は家に誰も帰って来ないチャンス日なんだが…禁止…だと?
話を聞くに、要は受験モードに入るかららしく、それなら強くは言いづらい。
晴の為は勿論だし、晴が受からなければ一緒に暮らすどころではない。
それでも、晴に触れないのは辛すぎる…。
俺の絶望を感じ取ったのか、晴が謝りながら手を握って来た。
「ごめんな、蓮。でも俺、絶対都内の大学行きたくて…。M大なら、蓮の大学と近いし…時間が合えば一緒に帰ったりもできるかなって思って…。」
それはつまり、晴も俺となるだけ離れないでいられる方法を考えてたって事だよな。
一転して喜びが湧き上がる。
「えっと…重いよね…ごめん…これは忘れて…。」
目を泳がせて目を伏せるが、重い訳がない。
M大に希望の学部があるらしい晴とは違い、俺は近くにいたいだけの理由で志望大学を決めている。
そこは上手くふんわりさせつつ、このタイミングが伝えた時だろうと話を切り出した。
「晴、卒業したら一緒に暮らそう。」
目を見開いた晴が少し首を傾げて言う。
「ルームシェア…?」
おい、それは色気ねぇな。
「恋人なんだから、同棲だろ?」
そう言って笑うと、一瞬ポカンとした晴がみるみる赤くなった。
憲人さん達の反応を気にかけていたが、そこは任せておけと請け負う。
すると、安心したのか晴が笑顔になった。
「全然いい!ってか嬉しい!」
弾んだ声で言われて、思わず抱き寄せた。
「毎日でもイチャつけるな?」
「えっ…そっ…う、うん?」
めっちゃ照れてんな、可愛い。
そのままスルッと腰を撫でて、耳元で囁く。
「因みに晴さん、禁欲生活はいつから?」
「言い方…!えっと、夏休みから…にする?」
「じゃあ、今日はいいんだな?」
「うっ…はい。」
「準備は?」
「えっと…してる…。」
「最高すぎだろ!今日は誰も帰って来ねぇから、全力で気持ち良くしてやる。」
「んっ…あっ……」
「これからお預けされる分、貪っておかないとな。」
甘い悲鳴を上げる晴を押し倒して、宣言通り愛しい身体を貪った。
3回目で寝落ちた晴を風呂に入れて。
翌朝、付けられたキスマの数を数える姿に欲情してまた襲い掛かってしまった。
そこからさらに3回した今、グッタリした晴がゴムの空箱と俺を恨めし気に見ている。
毛布の中に篭ってしまったのを宥めて、風呂に連れて行って。
抜けてしまった腰をマッサージしたり、好物のホットチョコを与えたりしてめちゃめちゃに機嫌を取る。
「晴、可愛いな。好きだよ。」
自分がこんな声を出せるなんて知らなかった。
腕の中の晴を見ていると、甘い言葉もキスも止まらない。
どうにか説得して、連泊に漕ぎ着けた時は胸の中でガッツポーズした。
流石にエロい事は自重したけど、寄り添って眠るだけでも幸せで。
『イチャイチャ貯金だね』なんて可愛い事を言われて、また素数の世話になったのは晴には内緒だ。
飛ぶように季節が過ぎて、晴の試験当日になった。
指定校推薦で早々に希望を叶えた俺は、萱島家の前で晴を待つ。
「え!?蓮!?」
驚く晴の手を繋いで、コートのポケットに入れて歩き出す。
昨日電話した時、思った以上に緊張した声だったからな。
せめて駅まで送りたい。
「過保護な彼氏だなぁ。」
「彼氏が甘ったれだからな。」
いつもの笑顔になった晴に胸を撫で下ろす。
「晴、ちょいこっち。」
駅に着く直前、人気のない小道でその身体を抱きしめた。
「晴、大丈夫だ。」
毎日朝から晩まで勉強していたのを俺は見てきた。
時には挫折しそうになりながらも諦めずに今日までやってきたのを、俺は知ってるから。
そんな思いを込めた言葉に、晴が頷く。
「うん。全部出し切って来るから待ってて。」
背伸びした晴の顔が近付いたと思ったら、唇が重なっていた。
人通りが無いとは言え、珍しく積極的な様子に思わず固まる。
そして、トドメとばかりに囁いた。
「早く一緒に暮らしたい。」
あまりの破壊力に、言葉が出ない。
そんな俺を見て愉しげに笑った晴は、元気に手を振って改札に消えて行った。
「いや…小悪魔かよ…。」
取り残された俺は片手で顔を覆って座り込んだ。
掌に当たる肌が熱い。
どうか、最高に可愛い俺の恋人の頑張りが報われますようにーー。
今日もしっかり晴の首にかけられた御守りを思い浮かべて、祈った。
一向に進まない時計の針に焦れていた所で、玄関のチャイムが鳴った。
「お疲れ!頑張ったな!」
抱き上げた晴の表情は明るくて、力を出し切れた事が伝わってくる。
自己採点では合格ラインだったらしく、ホッと息を吐いた。
夜は萱島家で少し早めの祝勝会らしい。
「よし、じゃあそれまで晴を労わないとな。」
「労うって…わっ、ちょっ…ンンッ…」
深くキスして、セーターの中の肌に触る。
「すげぇ久々…堪んねぇな。」
首筋を舐めた所で、息を乱しながら晴が言った。
「あっ、蓮…最後までしたくなっちゃう、からぁ!んっ…夜に…シよ?」
…晴から、夜の誘いだと…?
本日2度目のフリーズ状態に陥りかけたが、欲望がそれを凌駕した。
「今もするし、夜もする。」
昨日眠れていないだろう晴の身体を思うと吐き出させるだけが限度だろうが、それで構わない。
とにかく、触れたくて堪らない。
キスで緩く反応した晴のモノを扱き始めると、その手が俺のモノに触れてきた。
深く舌を絡ませながら、夢中でお互いの昂りを擦り付け合う。
久しぶりの行為に、気持ち良すぎておかしくなりそうだ。
ほとんど同時に熱い飛沫を放って、すぐにウトウトし始めた晴を抱き締める。
「おやすみ、晴。」
腕の中の体温に、心から安堵した。
●●●
side晴人106、107話辺りの話しです。
久々に登場した霊泉家についてはside蓮6話、7話辺りをお読みいただければ思い出していただけるかと…!笑
「最低限医者」とか言えるハイスペ彼氏だけど、高校生ってのを加味しても絶倫すぎるな。
晴は運動部だったからそれなりに体力あるけど…頑張れ。笑
寒さに震える冬の夜は、恋人と暖め合うに限るよな。
自室のベッドに晴を引き込んで、深く唇を重ねる。
が、
「蓮…ダメだよ?」
「…分かってる…。」
言われて、セーターの中を弄ろうとしていた手を降ろした。
内心で特大の溜息を吐きながら。
俺は今、欲求不満に陥っている。
夏休みに初めて身体を繋げてから、俺達は何度も交わり合った。
だいたい週3ペースで、晴が家に泊まりにくる度に抱いて。
一度晴の深い所を知ってしまった俺の身体は、際限なく晴を求めていた。
何度しても足りなくて、善がって鳴く姿を見たくて。
本音を言えば毎日でもヤりたかったが、受け入れる側の負担を考えればそうもいかず。
それで、週3と言う頻度で耐えていたんだがーー。
事件が起こったのは、先週の夜。
いつもの如く誰もいない俺の家で晴を抱いて、寝落ち寸前のその身体を拭いている時だった。
あろうことか、急遽出張が流れたらしい親父が帰って来やがったのだ。
その時は何とかバレる事なくやり過ごせたが、晴にとっては衝撃の出来事となった。
それ以来、全員の居場所が確定していない日はやんわり断られるようになり。
いい雰囲気になっても、冒頭のように言われるようになってしまった。
快楽に流されやすい晴が、だ。
最後までできるのは多くて月に2回。
そこまで親バレしたくないのかと少し恨みがましく思ったりもしたが…まぁ普通に考えて嫌だよな。
逆に親達のそーゆーのとか死んでも見たくねぇし。
因みに、萱島家には常に憲人さんがいるから最初から選択肢に入っていない。
ラブホやらホテルも考えたが、俺だけが金を出すのを晴は良しとしないだろう。
そうすると、小遣いで生活している晴に負担を強いる事になる。
つまり、未成年特有の「場所がない問題」によって俺は欲求不満に陥ってる訳だ。
「蓮、ごめんな。」
謝る晴を膝に乗せて首を横に振る。
「いや、仕方ねぇよ。お前は悪くない。」
マジで辛いが、仕方ないのもマジだ。
語彙がおかしくなる程度にはダメージ受けてるけど。
「…俺、泊まらない方がいい?」
俺に我慢させてる自覚があるらしく、シュンとして聞いてくる。
垂れた耳と尻尾の幻影が見えて胸を抉られた。
「いや、帰んな。大丈夫だから一緒に寝よ。」
手を出せないのは辛いが、一緒にいられないのはそんなレベルじゃない。地獄だ。
俺の強めの否定にパッと顔を輝かせた晴が抱き付いて来て、この顔が見られるなら全てを耐え抜くと誓う。
添い寝だって、徹夜で素数数えれば何とかなるしな、うん。
そうして幾度となく素数を数える夜を超え、俺達は高3になった。
耐え続けた俺の忍耐も限界に近い。
これが大学でも続くなんて拷問は回避しなくては。
それに、頻度が減った分、最後までできる時に手加減できないのも問題だ。
晴の誕生祝いに俺が金を出してホテルに泊まった時は、気付いたら朝まで抱き潰してしまった。
だから、打開策を打ち出す。
「卒業したら晴と暮らすから。」
18歳になった日、俺の言葉に両親は諦めたように溜息を吐いた。
「まぁ…止めても無駄よね。晴ちゃんと萱島家が全員賛成ならいいんじゃないかしら。」
「晴ちゃんはM大志望って聞いたけど蓮はどうするんだい?」
息子の希望は知らない癖に晴の希望はリサーチしてる辺り変態性が高いと思う。
まぁ、ぶっちゃけ俺の大学なんかどうとでもなるから希望も何もないけどな。
世界中、どこだろうと入学できる自信しかない。
だから晴に合わせるつもりだったんだが…M大には医学部が無かった。
一応医師免許を取っておく事に決めた俺としては、できる限り近くの大学で妥協するしかない。
因みに医者を目指すのは父親と兄の影響…なんて事は無く、単純に安定して金を稼げるからだ。
取り敢えずそれさえあれば、将来晴を路頭に迷わせる事はないだろう。
最低限の「裕福」な生活を送る為の謂わば保険みたいなものだ。
もっと金が必要なら企業してもいいし、他にやりようはいくらでも有る。
「どっかテキトーに医学部。翔と同じでいんじゃね。」
翔の出身である私立大学最高峰と言われるその大学は、M大から近い。
「分かった。家を探そう。」
「晴ちゃんが一緒に住むならセキュリティーが万全じゃないとね!この際、蓮の大学からは遠くたって構わないわ。何ならマンション買っちゃうのも手よね!」
既に俺の合格は決定事項なため話はサクサク進む。
そして、実の息子より晴優先な両親には笑うしかない。
「晴と憲人さん達には俺から話すから。」
俺がそう言うと親父が頷いた。
「しっかり説得しなさい。
それにしても、平和的に決まりそうで良かった。
霊泉家が干渉してくるかと思ったんだが…やはり長男がT大に受かったのが大きかったようだな。」
顔も知らない従兄が国立の最難関に受かって以来、霊泉家からはパタリと干渉も偵察も無くなっていた。
確か3歳違いだから、俺が大学2年になる頃には卒業だろう。
正式な後継者がソイツに決まれば、俺達とは縁が切れたも同然になる。
「とは言え、もう暫くは油断せず行こう。」
親父の言葉に強く頷いた。
「という訳で、暫くこう言うのは禁止にします!」
「………は?」
部屋に入って早々、抱き寄せてシャツの中に手を入れようとするとペシッと叩かれた。
いやいや、今日は家に誰も帰って来ないチャンス日なんだが…禁止…だと?
話を聞くに、要は受験モードに入るかららしく、それなら強くは言いづらい。
晴の為は勿論だし、晴が受からなければ一緒に暮らすどころではない。
それでも、晴に触れないのは辛すぎる…。
俺の絶望を感じ取ったのか、晴が謝りながら手を握って来た。
「ごめんな、蓮。でも俺、絶対都内の大学行きたくて…。M大なら、蓮の大学と近いし…時間が合えば一緒に帰ったりもできるかなって思って…。」
それはつまり、晴も俺となるだけ離れないでいられる方法を考えてたって事だよな。
一転して喜びが湧き上がる。
「えっと…重いよね…ごめん…これは忘れて…。」
目を泳がせて目を伏せるが、重い訳がない。
M大に希望の学部があるらしい晴とは違い、俺は近くにいたいだけの理由で志望大学を決めている。
そこは上手くふんわりさせつつ、このタイミングが伝えた時だろうと話を切り出した。
「晴、卒業したら一緒に暮らそう。」
目を見開いた晴が少し首を傾げて言う。
「ルームシェア…?」
おい、それは色気ねぇな。
「恋人なんだから、同棲だろ?」
そう言って笑うと、一瞬ポカンとした晴がみるみる赤くなった。
憲人さん達の反応を気にかけていたが、そこは任せておけと請け負う。
すると、安心したのか晴が笑顔になった。
「全然いい!ってか嬉しい!」
弾んだ声で言われて、思わず抱き寄せた。
「毎日でもイチャつけるな?」
「えっ…そっ…う、うん?」
めっちゃ照れてんな、可愛い。
そのままスルッと腰を撫でて、耳元で囁く。
「因みに晴さん、禁欲生活はいつから?」
「言い方…!えっと、夏休みから…にする?」
「じゃあ、今日はいいんだな?」
「うっ…はい。」
「準備は?」
「えっと…してる…。」
「最高すぎだろ!今日は誰も帰って来ねぇから、全力で気持ち良くしてやる。」
「んっ…あっ……」
「これからお預けされる分、貪っておかないとな。」
甘い悲鳴を上げる晴を押し倒して、宣言通り愛しい身体を貪った。
3回目で寝落ちた晴を風呂に入れて。
翌朝、付けられたキスマの数を数える姿に欲情してまた襲い掛かってしまった。
そこからさらに3回した今、グッタリした晴がゴムの空箱と俺を恨めし気に見ている。
毛布の中に篭ってしまったのを宥めて、風呂に連れて行って。
抜けてしまった腰をマッサージしたり、好物のホットチョコを与えたりしてめちゃめちゃに機嫌を取る。
「晴、可愛いな。好きだよ。」
自分がこんな声を出せるなんて知らなかった。
腕の中の晴を見ていると、甘い言葉もキスも止まらない。
どうにか説得して、連泊に漕ぎ着けた時は胸の中でガッツポーズした。
流石にエロい事は自重したけど、寄り添って眠るだけでも幸せで。
『イチャイチャ貯金だね』なんて可愛い事を言われて、また素数の世話になったのは晴には内緒だ。
飛ぶように季節が過ぎて、晴の試験当日になった。
指定校推薦で早々に希望を叶えた俺は、萱島家の前で晴を待つ。
「え!?蓮!?」
驚く晴の手を繋いで、コートのポケットに入れて歩き出す。
昨日電話した時、思った以上に緊張した声だったからな。
せめて駅まで送りたい。
「過保護な彼氏だなぁ。」
「彼氏が甘ったれだからな。」
いつもの笑顔になった晴に胸を撫で下ろす。
「晴、ちょいこっち。」
駅に着く直前、人気のない小道でその身体を抱きしめた。
「晴、大丈夫だ。」
毎日朝から晩まで勉強していたのを俺は見てきた。
時には挫折しそうになりながらも諦めずに今日までやってきたのを、俺は知ってるから。
そんな思いを込めた言葉に、晴が頷く。
「うん。全部出し切って来るから待ってて。」
背伸びした晴の顔が近付いたと思ったら、唇が重なっていた。
人通りが無いとは言え、珍しく積極的な様子に思わず固まる。
そして、トドメとばかりに囁いた。
「早く一緒に暮らしたい。」
あまりの破壊力に、言葉が出ない。
そんな俺を見て愉しげに笑った晴は、元気に手を振って改札に消えて行った。
「いや…小悪魔かよ…。」
取り残された俺は片手で顔を覆って座り込んだ。
掌に当たる肌が熱い。
どうか、最高に可愛い俺の恋人の頑張りが報われますようにーー。
今日もしっかり晴の首にかけられた御守りを思い浮かべて、祈った。
一向に進まない時計の針に焦れていた所で、玄関のチャイムが鳴った。
「お疲れ!頑張ったな!」
抱き上げた晴の表情は明るくて、力を出し切れた事が伝わってくる。
自己採点では合格ラインだったらしく、ホッと息を吐いた。
夜は萱島家で少し早めの祝勝会らしい。
「よし、じゃあそれまで晴を労わないとな。」
「労うって…わっ、ちょっ…ンンッ…」
深くキスして、セーターの中の肌に触る。
「すげぇ久々…堪んねぇな。」
首筋を舐めた所で、息を乱しながら晴が言った。
「あっ、蓮…最後までしたくなっちゃう、からぁ!んっ…夜に…シよ?」
…晴から、夜の誘いだと…?
本日2度目のフリーズ状態に陥りかけたが、欲望がそれを凌駕した。
「今もするし、夜もする。」
昨日眠れていないだろう晴の身体を思うと吐き出させるだけが限度だろうが、それで構わない。
とにかく、触れたくて堪らない。
キスで緩く反応した晴のモノを扱き始めると、その手が俺のモノに触れてきた。
深く舌を絡ませながら、夢中でお互いの昂りを擦り付け合う。
久しぶりの行為に、気持ち良すぎておかしくなりそうだ。
ほとんど同時に熱い飛沫を放って、すぐにウトウトし始めた晴を抱き締める。
「おやすみ、晴。」
腕の中の体温に、心から安堵した。
●●●
side晴人106、107話辺りの話しです。
久々に登場した霊泉家についてはside蓮6話、7話辺りをお読みいただければ思い出していただけるかと…!笑
「最低限医者」とか言えるハイスペ彼氏だけど、高校生ってのを加味しても絶倫すぎるな。
晴は運動部だったからそれなりに体力あるけど…頑張れ。笑
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