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高校生編side蓮 

48.本懐(※エロ有り)

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「ごめんって。もう怒ってねぇから、晴も機嫌直して?」

 懸命に説明していた所を遮られた晴は、俺の言葉にプイッと横を向く。

 怒ってる…ってより、拗ねてんだな。

「はーる?晴さーん?」

 頬擦りしなが呼びかける自分の声の甘さに驚くが、仕方ない。

 晴の機嫌を取る事は、俺にとって楽しみの一つだから。

 甘えても大丈夫だと、信頼されてる。

 そうじゃなきゃ、晴は他人に不機嫌な所を見せたりしない。

 現に、繋いだ指も頬へのキスも受け入れてくれる。

「晴、こっち向いて。」

 素直に振り返るのが愛しくて思わず微笑むと、驚いた事に唇を啄まれた。

 …お前な、『してやったり』みたいな顔してるけど、自分の事追い込んでるからな?

 抱き上げて向かい合うように体勢を変えると、俺の意図に気付いたのか晴の顔が焦りに変わった。

 もう遅いけど。

 抵抗する隙を与えず、深くキスして口内を貪る。

 呼吸を奪うような長いそれに、晴の身体から力が抜けた。

「晴。ちゃんと聞くから最初から全部話して。」

 解放された晴は息も整わないまま、それでもコクリと頷いた。




 晴から語られた経緯は、またしても俺を驚愕させるものだった。

 今回はBLだけじゃなくネットでも調べたらしい。

 何って、を…。

 そして、何と成果を実践までしていた。

 晴の口から「少しずつ慣らす」やら「綺麗にする」何て言葉が放たれる現実に、俺は暫し硬直する。

 晴が自分で…指を入れて…。

 上手くできなくて涙目になりながらも頑張る晴の脳内画像が浮かんで、俺の中心が熱く滾る。

 未知の行為に怯えつつも、そこまでしてくれたって事は…つまり、期待していいのか?

今なら望む言葉が聞けるかもしれない。

いずれ俺に話すつもりだったと勢い込む晴に、タイミングを見計らって「何を」話すつもりだったのか尋ねる。

「だから、蓮とって!」


俺と、繋がりたいーー。


「ま、待って!やり直させて……ヒャッ!?」

発言の意味に気付いた晴が慌てているが、撤回なんかさせない。

腰を撫でて、その手をゆっくりとソコに這わせる。

「俺も、で晴と繋がりたい。」

中指で縁を刺激すると、晴の身体がビクンと震えた。

戸惑いや恐怖じゃなく、快感でーー。

沸騰しそうになる頭を何とか働かせて確認する。

「俺がシたいって言ったから無理してる訳じゃねぇ?ちゃんと晴の意思?」

俺の問いに、真っ赤になりながらも迷いなく頷く晴を強く抱き締めた。

嬉しい。

だけど晴が1人で悩んでいた事を思うと胸が痛む。

「マジで嬉しい。そのために頑張ってくれたんだよな?晴、ありがとな。
だけど、これからは1人で頑張るのナシな。
言い辛い事もあるのは分かるけど、それも全部相談して。
晴が1人で不安抱えたり悩んだりするの、俺は嫌だ。
だっての事だろ?」

晴だけに負担を強いる様な事は絶対にあってはならない。

俺だけが幸せでも意味がない。

全部、2人で分け合いたいから。

「だから1人で悩まないって約束しろ。いいな?」

「うん…分かった。」

目を潤ませながら頷く晴の頭を撫でる。

それに、準備なら全部俺がする…ってかやりたいから問題ないし。

ポロリと出た言葉に、晴が思いっきり首を横に振った。

焦りまくる姿にさらに追い討ちをかける。

「ここにも必要な物揃ってるから。今からだってできるし…」

ま、流石にこれは冗談だけど。

後で怒られるのが分かってるのに、可愛いすぎてつい揶揄ってしまう。

いくら何でも、今すぐにはしねぇから安心し…「もう綺麗にしてるから大丈夫!」…ろ…。

「……え?」


「あ……」


しまった!みたいな顔をする晴を問答無用でベッドに押し倒す。

何度も舌を絡めて、肌を舐る。

「一回イッとけ。」

緊張なのか身を固くする晴の中心を口で扱いて、一度吐き出させた。

快感の余韻で力が抜けたのを確認して、ベッドサイドからローションを取り出す。

いつかそんな日が来ればと買っていたこれが、ついに日の目を見る時が来た。

少し温めて、晴の尻の狭間に塗り込む。

「ちょっ!蓮!ダメだって!」

「『もう綺麗にしてるから大丈夫』なんだろ?」

真っ赤になりながら抵抗する晴に、ここが交渉のしどころかもしれないと思い付いた。

「晴がどうしても嫌なら、最初から全部するのは諦めてもいい。」

「…え?」

「今みたいに洗浄までは晴がやっていいから、そっから先は俺にやらせろ。
かなりの譲歩じゃね?それに、自分で解すの怖いだろ?俺が傷付かないようにやるから。」

晴が俺に洗浄からされるのを断固拒否するのは重々承知している。

その上で最初からしたいと言ったのは『譲歩』を見せる為だ。

交渉において、先にふっかけておけば譲歩案の採用率は格段に増す。

案の定、晴の瞳が思案に揺れた。

それを見逃さず、窄まりにゆっくり指を挿れる。

ここからは既成事実をつくってしまえば、今後も拡張は俺にやらせてくれるだろう。

「痛くないか?」

「だ、いじょうぶ…何か変なだけ…。」

自然な流れで受け入れた晴に内心で歓喜しながら、指の数を徐々に増やしていく。

最新の注意を払ってはいるが、元々狭い晴のナカは指三本でも辛そうだ。

俺のモノの太さを考えると相当苦しいだろう。

「今日はここまでにしとく?無理させたくねぇ。」

せめて先だけでも挿れたいと荒ぶる衝動を抑え付けながら、前立腺の位置だけでも把握しておこうと指の角度を変えた時だった。

「…アッ!?」

的確にその膨らみを捉えた俺の指の動きに、晴の腰が跳ねる。

「あっ…イヤァ、それダメッ…あぁぁんッ!!」

相当気持ちいいらしいと知識では知っていたが、前を触るのとはまた違った善がり方をする晴に血が沸騰した。

刺激しながら指を増やすと、辛さよりも快感が勝るらしく腰をくねらせている。

これならいけそうだと、時間をかけて解していくと、晴の瞳が蕩けた。

「あんッ、気持ちぃ…もっと…やぁんっ!」

「ぐっ…尻振って煽ってるとしか思えねぇ。
もう限界だわ。挿れるぞ、晴。」

手早くゴムを付けて、限界まで聳り立った自分のモノを晴の窄まりにあてる。

「待って、蓮!待って!!」

「…ッ、嫌だ?」

晴の声に血を吐く思いで身体を離そうとすると、それを引き止めた晴が囁いた。

「そうじゃなくて…顔見えないの、怖い…。」

可愛いすぎて意識を飛ばしそうになりながらも、後ろからの方が負担が少ない事を伝える。

「お願い、蓮…」

だけど、そんな風に懇願されたら無理だ。

「ゆっくりするから、辛かったらすぐ言え。」

向き合う体勢にした晴の膝を折り曲げて、晒された窄まりに先端を押し付ける。

「挿れるぞ。」

そう言うと、晴の手が俺の腕に絡んだ。

「…蓮、きて…。」

「~~ッ頼むから煽んな…!」

ぶっ飛びそうな理性を掻き集めて、ゆっくりナカを押し開いて行く。

正直余裕は微塵も無くて、晴の顔が苦痛に歪まないよう確認するだけで精一杯だ。

「晴、大丈夫か?」

太い部分が前立腺を擦ると、晴が目を見開く。

「あぁんッ…やぁ、強くしちゃダメ…!」

「…うっ、スゲェ。中、うねってる…!」

堪らず奥に進むと、さらに内壁が絡み付いてきた。

込み上げる射精感を歯を食いしばって耐えて、さらに身体を埋めていく。

繋がった部分が熱くて溶けそうだ。

「…ッ晴、全部入った。よく頑張ったな。」

厳密にはまだ根本が少し出ているが、こんなのは誤差範囲だろう。

完全に埋め込むのはまだ時期尚早だ。

汗だくの晴の額を掻き上げてキスすると、晴は苦し気に、それでも笑った。

「んっ、嬉し、い…。」

「俺も。晴の中スゲェいい。」

馴染む様に動きを止めて晴を抱き締める。

このままお互いの境界線が無くなって、一つに溶けてしまえたらいいのに。

そうして、永遠に2人きりでいられたらーー。



ふいに、乾いた音と差し込む光に思考が霧散した。

祭りの終わりに打ち上げられた花火が、部屋の中を薄く照らす。

「花火…。」

声を上げた晴の白い肌に紅や碧が映る光景が、何処か現実離れして見えて。

「晴、こっち見ろ。俺の事以外考えんな。」

逸れた視線を自分へと引き戻す。

「好き。蓮、大好き…。」

重い自覚のある独占欲が、すんなり受け入れられた事に安堵して。

抱き付いてくる体温に、ほんの少し感じた不安が霧散する。

これが夢ではない事を確認するようにゆっくり腰を揺らすと、晴が喘いだ。

「あッ、あんッ…蓮、我慢しなくて…いいから…!」

「…ッバカ、お前が辛いんだぞ…!」

「ん…大丈夫、だから…もっと動いて…蓮と、ちゃんと繋がりたい…お願……あぁぁんッ!!」

めちゃめちゃに腰を振りたい衝動を必死で抑えつけている時にそんな事を言われて、俺の理性は崩壊した。

「晴…好きだ…!!」

ナカを押し潰すように、抉る様に、何度も抽送を繰り返す。

気持ち良すぎて頭がおかしくなりそうだ。

入口付近まで抜き、一気にナカを穿つと甘い悲鳴が上がった。

もっと喘がせたくて、腰を強く振りながら晴の中心に手を伸ばす。

勃ち上がって蜜を溢すそれを容赦なく扱き上げると、限界なのか晴の目から涙が溢れた。

「あっ、蓮!!ダメ…も、イッちゃう!!」

「俺も、ハァ……イクッ!」

手も腰も動きを緩める事なく攻め立てると、晴の身体が弓形に反る。

「蓮!…れん…!あァァァッ!!!」

一際強い締め付けと同時に名前を呼ばれて、ほぼ同時に俺も達した。

「晴…、晴…!」

荒い息を吐きながら、その身体を抱き締める。

「晴、好きだ。」

何度伝えても足りない言葉を口にする俺の背中に、暖かい腕が回る。

「俺も…好き。」

どちらからともなく唇が近付いて、ゆっくりと離れる。

晴の腕がパタリとシーツに落ちて、寝息が聞こえて来た。

入れたままだったモノをゆっくり晴のナカから抜くと、大量に放った物でずしりと重くなったゴムを処理する。

次は身体を拭いてやらなければと思うのに、穏やかな寝顔を前にその場から動けない。

緩慢な動きで晴を腕の中に閉じ込めて、その温もりに強く目を瞑る。

そうしないと、込み上げるものが溢れてしまいそうだった。



フィナーレなのか、窓の外で大きな音をたてて光が舞っている。


一年前の今日、決別に絶望する俺がそれを見る事はなかった。



もしあの時の自分に伝えたら、信じるだろうか。




晴と身も心も結ばれた、この幸せを。











ふるりとまつ毛が震えて、眠そうなブルーグレーが覗いたのは翌日の昼近くなってからだった。

相当疲れさせてしまった事を反省しつつ、抱き起こして体調を確認すると、露骨に目を逸らされる。

「おい、どっか痛いのか?」

心配する俺に何も言わず抱き付いてきたその耳が真っ赤で、照れてる事が判明して悶絶した。

「水飲むか?」

「ん。」

当然のように目を閉じて少し口を開ける様子にまた悶絶しながら、口移しで水を飲ませる。

「晴、風呂入ろ。」

クローゼットからスウェットを出して振り返ると、晴が泣き出しそうな顔でこっちを見ていた。

「れん…どうしよう…。」

「どうした!?」

「立てない…なんか、腰に力入んない…。俺、変になっちゃったのかな…。」

心底不安そうに言われて、駆け寄って抱き締めた。

「違う!ごめんな、それ俺のせいだから!」


ヤベェな…事後の晴の破壊力。


立てない理由を説明されて、真っ赤になって布団の中に篭ってしまったのも含めて。


俺の恋人は、世界一可愛い。





●●●
side晴人104、105話辺りの話しです。
























蓮は晴が寝落ちた後、萱島家に連絡してから、一晩中晴の寝顔を見てました。
浴衣は翌朝クリーニング業者へ。
切藤家はドライクリーニング中毒(高級服ばっかり)なので週3で業者が取りに来ます。









































































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