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高校生編side晴人 たくさんの初めてを君と

103.え、またやらかした?

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さて、季節は進んで初夏から真夏になった。

この夏休み、部活が無い俺は塾の夏期講習に通ってる。

あ、塾は見学に行った所に決めたよ。

そんでもって……

「大谷くん、アイス買いに行こうよ!」

「いい考えだ。」

「う~ん、バニラかチョコか…悩む~!」

「どちらにも普遍的な良さがあるからね。」


うん、だいぶ大谷君と仲良くなったと思う。

塾でもクラスは違うんだけど(大谷君の方が頭いいからね)昼休憩とかは同じ時間だ。

それで、まだ塾友がいない俺がすみっコで暮らしてる所に彼がやって来た。

『この間のBL読んでくれた?』

ごく自然に隣に座って話しかけてくれて、それ以来ランチ友達になった俺達。

今日も一緒にアイス食べてる訳なんだけど…そんな大谷君から、まさかの爆弾が投下された。

「それで、切藤君とは上手くの?」

「ふぁっ!?」

「BL読むのは『社会勉強』って言ってたじゃないか。
切藤君とための勉強なのかと思ってたんだけどな。」

「違ッ…」…くないわ。

元々は俺の戸惑い解決のためにサッキーが送ってくれたURLだし。

赤くなって何も言えない俺に、大谷君は何故か満足そうに頷く。

「因みに、君達が付き合ってるのはプロの腐男子である僕にはすぐ分かったけど、周りは気付いてないだろうから安心して。
で、学習の成果はどうだった?」

「プ、プロ?…ってか!してませんから!!」

「え?まさか切藤君がしくじるなんて事…」

「ち、違う!俺がイヤって言っちゃって…。」

完全に大谷君のペースに飲まれて、俺が行為に抵抗がある事も、蓮が我慢してくれてるであろう事も話してしまった。

「うっ…溺愛攻め、尊すぎる…!!」

銀縁メガネを外して目頭を押さえる大谷氏。

「でも、萱島君も今は嫌じゃないんだろう?」

「うえっ!?」

何故それを…!?

それとも、カマかけただけ!?

「何にせよ、今の状態じゃ切藤君からは動けないからね。君が行動するしかないね。」

「そ、それはおっしゃる通りです…。」


チャイムが鳴って自分のクラスに向かう大谷君の背中を見送って溜息を吐いた。

鋭すぎるーーー。

そして彼の言う通り、俺から行動するしかないのは分かってるんだ。



蓮と最後までしたいって決意してから、俺はコッソリ調べた。

を綺麗にするやり方とか、スムーズに受け入れる方法とかを。

ネットで検索したら普通に出てきてビックリしたけど、この時代に生まれた事に感謝しかない。


そして、コツコツ取り組んで3ヶ月が経過した訳なんだけど。

今の所、中を洗って指一本挿れるので精一杯。

拡げたり、自分でその…か、開発したりなんてもっての外で。

遠すぎる道のりに諦めそうになりつつも頑張ってるけど…一体いつになる事やら。

蓮を受け入れられる日は、来るんだろうかーー。




幸いな事に、その点で俺が密かに悩んでる事を除けば、蓮とは仲良く過ごせてると思う。

明日も夏祭りに一緒に行く予定だし。

去年は色々誤解があって『最悪の夏祭り』だったから、今年は楽しく過ごしたい。



そんな思いで、当日は美優さんに浴衣の着付けをお願いした。

『完璧すぎる!去年よりさらに美人だよ!』

ヘアセットまでしてもらって、良く分かんないけど心強いお墨付きをもらって。

だけど、いざ待ち合わせ場所に向かう段になると、
『似合わない』って言われたのを思い出してソワソワする。

…いや、あれは本心じゃなかったって言ってたし、大丈夫だよね?


ちょっと不安になってきた所で、先に着いてたらしい蓮を見付けた。

デニムにTシャツのシンプルな服装で立ってるだけなのにとんでもなく目立ってる。

『芸能人?』って囁きが聞こえて、周りから痛い程視線を浴びてるけど当の本人はどこ吹く風で。

慣れてるのか関心がないのか、冷たく見えるその表情は揺るがない。


それなのにーーー。

「…蓮。」

おずおずと呼びかけた俺の声に振り返った蓮が目を目開く。

「晴、それ…。」

「あ、うん。浴衣。」

ってそれは見りゃ分かりますよね、なに言ってんだ俺は。

「えーっと、その…どう、かな?」

緊張と不安と照れで上手く言葉が出て来ない。

もしかして、気合い入りすぎって思われたかな。

「…晴、こっち来て。」

「うん?」

言われた通りに近付くと、蓮が俺の耳元に顔を寄せてきた。

「…マジで危機感持つレベルに可愛い。他の奴に見せたくねぇ。」

見上げると、ちょっと目元が赤い蓮と目が合う。

さっきのクールフェイスとは大違いのその表情。

こんな顔を見れるのはきっと俺だけだ。

それが堪らなく嬉しい。


「行こうぜ。絶対俺から離れんなよ。」

照れたように視線を外した蓮の後について、お祭りの会場に入った。

「こら、ダメだって!」

腰を抱かれそうになって、慌てて制止する。

地元のお祭りなんてどれだけ知り合いがいるか。

それが分かってるからか、不服そうにしながらも蓮は何も言わなかった。

大盛況の人混みの中、少しだけ空いた距離が切ない。

「晴、リンゴ飴食う?」

「うん、食べる…。」


手、繋ぎたいなぁーーー。


俺の好きなリンゴ飴を買ってくれた蓮の顔をぼんやり見ながらそう思ってしまう。

自分からダメって言ったくせに、寂しくてしょうがない。


「ーーッ晴、それは反則。」

「え?」

「…こっち来い。」

焦ったように蓮に手を引かれて、露店の脇の暗がりに連れ込まれた。

「…んっ!?」

素早く唇を奪われて目を見開くと、熱っぽい瞳と目が合う。

「そんな顔されたら我慢できねぇわ。」

「そんな顔…?」

「触れなくて寂しいって顔。」

思ってた事を言い当てられて顔が熱くなった。

「…ち、違…!」

「本当?思ってない?」

スルリと剥き出しのうなじを撫でられると、嘘なんかつけなくて。

「…手、繋ぎたいなって。」

「手だけでいい?」

耳元で囁く蓮は確信犯だ。

だって、愉しそうなのが声に滲んでる。

「い、いい…!…んぅっ…。」

強がると、また唇を塞がれた。

「俺は、もっと触れたい。」

その言葉に、胸の奥がキュッとなる。

「浴衣の晴、破壊力ヤバイわ。」


そう言った蓮の手が、お尻を撫でた時だった。

他意のない、スキンシップの一環みたいな動きだったのに、思わず身を捩ったせいで蓮の指がその狭間に触れてーー。

「ひゃんッ!」

浴衣の薄い布地から伝わったその感触に、勝手に声が出た。

え?何、今の。

自分の声に驚いてると、多分もっと驚いてる蓮の顔が目に入る。

「悪い…いや、……え?」

想定外に触れてしまった事への謝罪の中に、困惑が滲んでる。

「お前、ここ感じんの?」

「アッ…!」

さっきより明確にその場所を触られて、ビクンと身体が震えた。

まじまじと見つめられて、羞恥に顔が火照る。

「ち、違う…!だって自分で触ってもこんなにならないし…!」

何なら何も感じなくて焦ってたくらいなのに。

なのに、何で?


「……なぁ、『自分で触っても』って何?」

「え?……あっ!?」

押し殺した蓮の声に、パニクって盛大に墓穴を掘った事に気付く。


「お前、自分で弄ってんの?」

恐る恐る見上げた視線の先にはーー。

「ヒイッ…!」

「晴、説明。」

「……ハイ……。」

ゆらりと黒いオーラを立ち昇らせる蓮に気圧されて、俺は小さく悲鳴を漏らしたのだった。

●●●























更新が遅くなってすみません!
理由は単純!決算月☆
あぁ、仕事辞めて小説書いてたい!笑

そんな訳で11月の更新は少しゆっくりになるかもですが、のんびりお待ちいただけると嬉しいです(*´∀`*)

順調にいけばside晴人(高校生編)今月中に完結します!







































































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