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高校生編side晴人 たくさんの初めてを君と

104.失言(?)祭り

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連行された蓮の部屋。

ベッドの上に正座する俺。

あれ、デジャブかな?


だけど前と違うのは、蓮が座らずに俺と向かい合う形で床に立ってる事。

その体からは不機嫌なオーラが出てて、内心ビクついてしまう。


「で?後ろ触ってオナってんの?」

いつもより低い声は、蓮が怒ってる時のそれだ。

「いや、えっと…その…」

目的は自分を慰める為じゃない。

だけど、触ってるのは確かだから言い淀むと、蓮の目がすがめられた。

「自分でシて気持ち良くなってんだ?最後までしたくないって言ってたのは、触られるのが嫌だって意味?」

そう問う瞳の奥が暗く翳ったように見えて。

蓮が勘違いしてる事に気付いて慌てる。

「違う!いや、違わないんだけど…蓮に触られたくないのは、恥ずかしいって言うか、こんな所触らせるの申し訳ないって意味で…」

「ふーん?」

全然信じてないような相槌にさらに焦る。

「…だから、俺が自分で準備できるようになれば最後までできるかもって…!ゴム付ければそんなに気にならないだろうし…それに…」

「………は?」

「あ、綺麗にするのはできるようになったからそこは安心して欲しいんだけど…それ以上はまだ全然で…なのに何でさっきあんな事になっちゃったのか分かんなくて…」

「ちょっ、待て…」

「3カ月経ってこれって、俺がヘタレなのは分かってるんだけど、どうしたらいいのか…こんな事誰にも聞けないし…でも蓮が嫌とかじゃないのは信じて欲しい…」

「待て待て待て!ストップ!」


俯いて話し続ける俺を、蓮が制止してきた。

何だよ、こっちはお前の誤解を解こうとして必死で説明してるのに。

「晴?」

「何。」

マットレスが沈んで、ベッドに座った蓮が俺の顔を覗き込む。

「何でお前が不機嫌なってんだよ。」

「だって、説明しろって言うからしてるのに…!」

プイッと横を向いて蓮の視線から逃れると、頬に手をあてて引き戻される。

「あー、遮ったのは悪かったけど順番ハチャメチャなんだわ。」

「蓮怒ってんだもん。」

だから急いで話さなきゃと思ったんだよ。

ムッとして目を合わせないでいると、ヒョイッと抱き上げられた。

胡座をかいた蓮の足の上に後ろ向きで乗せられる。

「ごめんって。もう怒ってねぇから、晴も機嫌直して?」

すっぽり後ろから包み込まれて、スリッと頬擦りされて。

指を絡めて恋人繋ぎした手にチュッとキスされると、不機嫌でいるのなんて難しい。

だけど後に引けないって言うか…。

「はーる?晴さーん?」

優しく呼ばれて、頬にもキスされて。

あのクールな蓮が、俺の機嫌を取るためにこんな甘い事するんだなって思うと擽ったい気持ちになる。

「晴、こっち向いて。」

だから、そう言われて素直に振り向いてしまった。

俺ってチョロいよなぁ。

でもさ、恋愛って先に好きになった方の負けなのかも。

蓮がいつから俺の事好きになったのかは分かんないけど、多分俺の方が先だと思う。

今だって、目を合わせた蓮に微笑まれて胸がキュンキュンする。

あぁ、もう!

ちょっと悔しくて、身を捩って唇を重ねた。

驚く蓮に、一矢報いた気がしてにんまりする。

だけど、次の瞬間には身体をクルリと回されてーー

「んっ、…んっ…ふっ…!」

向かい合わせで膝に乗せられて、深いキスに呼吸を奪われた。

ほんの少し優位に立てたと思ったらこれだもんな。

悔しいけど、仕方ない。

やっぱり、恋愛は惚れた方が負けなのだ。

だから、俺は蓮に勝てない訳でーー。

「晴。ちゃんと聞くから最初から全部話して。」

頭を撫でられながらそう言われて、コクンと頷いた。




「俺さ、男同士でのやり方知らなかった…って言うか、できるって事自体知らなかったんだよね。
だから方法があるって聞いて、それがその…お尻でってビックリして。
だから、無理って言ったんだけど…。」

ここまでが、3ヶ月前に蓮と話した事。

「最後までするのが嫌って言うよりも、蓮に見られたり触られたりしたくなくて…。
だって『出す』所じゃん!?
そんな所見て嫌われたらどうしようとか…色々考えちゃって…。」

蓮から何か言いたそうな気配を感じたけど、そのまま続ける。

「だけど…蓮とそういう事してると、もっと近づきたいって思うのも確かで。
それで、思ったんだ。
俺が全部できるようになって、もうあと挿れるだけなら…それなら、できるかもって…。」

サッキーとか大谷君の名前は伏せて、BL漫画とネットで知識を得た事を説明する。

「やり方も必要な物も分かったから、少しずつ慣らして綺麗にしたりはできるようになったんだけど、それ以上はなかなか進めなくて…。
なのにさっき…あんな…」

まさか、ちょっと触られただけで反応しちゃうなんて思わなかった。

顔が赤くなるけど、向かい合った蓮の視線から逃れられなくて。

あぁ!もう消えたい!

俺の中の羞恥メーターが振り切って、もう後はどうにでもなれって気持ちになった。

「蓮に黙ってたのは、まだ早いと思ってだから!
全部できるようになったらちゃんと言うつもりだったし!」

「何て?」

「だから!蓮と繋がりたいって!」

勢い込んで話してる所に絶妙なタイミングで質問されて、すんなり答えた。

けど…だけど…。

蓮の目が見開かれてるのを見て、ハッとする。

……え?今、俺何て言った!?!?

『繋がりたい』って…。。

爆弾発言をかました事に気付いて全身が発火したみたいに熱くなった。

何でこんな生々しい言い方しちゃったんだ俺の馬鹿!

「ま、待って!やり直させて……ヒャッ!?」

慌てて蓮に待ったをかけようとすると、お尻の境目をスルッと撫でられた。

「俺も、で晴と繋がりたい。」

明確な意思を持った刺激に身体がビクビク震える。

変な言い方しちゃったのに、俺を見る蓮の顔は嬉しそうで。

「俺がシたいって言ったから無理してる訳じゃねぇ?ちゃんと晴の意思?」

その言葉にコクンと頷くと、ギュッと抱きしめられた。

「マジで嬉しい。そのために頑張ってくれたんだよな?晴、ありがとな。」

そして少し身体を離すと、俺の頬を包んで続ける。

「けど、これからは1人で頑張るのナシな。
言い辛い事もあるのは分かるけど、それも全部相談して。
晴が1人で不安抱えたり悩んだりするの、俺は嫌だ。
だっての事だろ?」

その言い方にハッとする。

俺が頑張ればいいんだって思ってたけど、蓮はちゃんと2だって考えてくれてるんだ。

「だから1人で悩まないって約束しろ。いいな?」

「うん…分かった。」

「それに、晴の何見ても嫌いになる事なんてあり得ねぇから。準備は俺がやるし。」

「…はい!?」

何か話がおかしな方向になったけど!?

「ムリムリムリムリ!待ってそれだけはダメ!」

「何でだよ、お前に負担かかんねぇようにすんのは当たり前だろ。」

「それは有難いけど!でも!!」

心の負担がヤバイから!

だって最初にするのはアレな訳で…!

そこだけは絶対見せられない!

ゴネまくる俺に、蓮がハッキリ言う。

「ここにも必要な物揃ってるから。今からだってできるし…」「もう綺麗にしてるから大丈夫!」

そのままバスルームに直行しそうな気配に、慌てて蓮の言葉を遮る。

最近蓮に会う前には一応、ほんっとに念のため、綺麗にするようにしてて良かった。


なんて安堵した俺の視界には、固まる蓮の姿。


「……え?」


「あ……」




学習能力って機能、俺には搭載されてないっぽい…。


●●●
























無自覚煽りが一番ヤベーのよ。
次回※付きます!



























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