【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 好きな人が、自分を好きかもしれない。

86.上書き ※

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「あの日、帰りが遅くなったから近道したんだ。」

背後から足音を感じて、念のため蓮に電話するふりをしたら体当たりされて。

拘束されて、暗がりに連れ込まれた。

「怖くて…そしたらバイクの音が聞こえて、蓮が来てくれた。」

そう言うと、蓮の腕が背中に回った。

宥めるように撫でてくれるその体温が心地いい。

「そう言えば、蓮は何であそこが分かったの?」

「今の話しだと、体当たりされた時通話になったんだろうな。
お前の切羽詰まった声で『公園』って聞こえた。
それで急いでバイクで向かったんだ。」

そうだったのか。

「マジで生きた心地しなかったわーー。」

「ご、ごめん…。」

「お前は悪くねぇよ。けど、あの道はもう通んな。それと、今後は暗くなったら俺が迎え行く。」

あそこを通らない事には激しく同意。

けど、もう一つは了承しかねるぞ。

「いやいや、蓮だってバイトとかあるだろ?」

「バ先来て待ってりゃいいじゃん。あそこ大通りだから危なくねぇし」

「や、でもバイトじゃない時は…」

「俺が行くまで駅前のカフェにでも入ってろ。
…晴、スマホ貸せ。」

そう言って俺のスマホを操作すると手渡して来た。

「ん。予定の共有アプリ入れたから。」

およ?何で暗証番号知ってるんだ?

って言うか予定の共有アプリ⁉︎

それって何かさ…凄くカップルっぽくない⁉︎

「この予定見て、俺がどうしても行けない時は憲人さんに連絡しろ。晴…いいな?」

カップル系アプリに動揺して反応の悪い俺に、蓮が圧をかけてくる。

「そ、それは蓮に悪ーーー」

言いかけて、遠慮するなって約束を思い出した。

「悪くねぇ。むしろ俺の精神衛生のためにそうしろ。万が一こんな事がまたあったら、家から出せなくなるから。」

家から出せなく…?

よ、良く分かんないけど不穏な響き。

「わ、分かった!22時過ぎる時は連絡する。」

「は?遅せぇわ。…20時だな。」

「え⁉︎小学生でも21時まで塾で勉強してるのに⁉︎」

「小学生は親が迎えに来んだろ。」

「ぐっ、それは確かに…。でも20時だと部活の日はほぼ毎日になっちゃう。」

「別にいいだろ。」

「良くないよ!啓太達と気軽にご飯食って帰れなくなんじゃん。せめて21時30分!」

「中野なんか放っとけ。毎日学校でベッタリなんだからいいだろ。」

「え、そんなベッタリしてる?…じゃなくて、先輩に誘われたりもあるから!」

啓太の話題は不味かったかも、蓮の眉間に皺が寄ってる。

「せめて21時半!蓮、お願い!」

拝むようなポーズで懇願する。
チラリと見上げた蓮は渋い表情だけどーーー。

「…はぁ~、分かった。21時な。」

30分削りつつ了承してくれた。

「うん!時間に関係なく大通りから帰るようにするから!」

嬉しくなって俺が付け足すと、蓮は苦笑する。

「ん。…俺も甘いよなぁ。」

「何が?」

「何でもねぇよ。」

21時でも充分厳しいと思うよ?

あ、勿論俺の為って言うのは分かってるからね!


「蓮、ありがと。心配かけてごめんな。」

「…こうやって話せる状態でいてくれたのは不幸中の幸いだな。」

頬を撫でる蓮の指。

あ、そこはアイツに舐められた所だ…。

そう思ったら、蓮の手を取ってピッタリ頬に添えてた。

「…晴?」

「ここ…舐められたんだ…。」

ピクリと蓮の手が動く。

「だから、蓮に触ってもらえば気持ち悪くなくなるかもって思って。」

「…………。」

何その沈黙。

あ、変態野郎に舐められた所に触るなんて嫌だったかな。


「蓮、その…」「俺が消す。」

え?と思ったら、頬にキスされた。

「触られんの怖い?」

「へっ?…ううん、大丈夫。」

事態が飲み込めずに反射的に答えると、蓮はまた頬にキスしてきた。

「晴、他は何処触られた?」

「え、や、何処も…」

「なぁ、俺にちゃんと教えて。」

めちゃめちゃ甘い笑顔で優しい言い方をされて。

かっっっこいいなぁぁ。

「分かんない…何か胸とか腹とかゴソゴソしてたけど…。」

強すぎるビジュアルに秒で陥落した俺は白状してしまう。

「……………そっか。じゃあ消毒しないとな。」

「消毒⁉︎うわっ⁉︎」

いつの間にか俺に覆いかぶさった蓮の手がパジャマの上から鎖骨をなぞる。

「晴、怖かったら言えよ。」

そう言ってスルスルと下に降りた手が俺の胸を撫でた。

「ひゃっ!」

怖い。

蓮がじゃなくて、快感を拾いそうな自分が。

「蓮、ダメ…あっ…!違う!服の中は触られてないから!」

全部布越しだったと主張しても、パジャマの中の素肌を撫でる手は止まらない。

「消毒と、もっと強い刺激で上書きもしような。」

微笑んでるのに目が全然笑ってないんだけど⁉︎

「こ、こら!ボタン外すな!…あっ!」

いつもスウェットで寝てるのに、どうして俺は今日に限ってパジャマをチョイスしたんだ。

ボタン外されたら、もう丸見えじゃんか!

「…んっ…蓮、そこは触られてな…あっ!」

「んー?分かんねぇじゃん。」

「や、ダメっ!乳首は触られてないぃ…!」

いやいやと首を振るけど、蓮の手は尖ったそこをクリクリと刺激してくる。

ピチャッ

「ンンッ…や、あぁん!!」

濡れた音と共に口に含まれて身体が跳ねた。

「…蓮…あっ、噛まないでっ…あぁッ!!」

「噛んだ方が悦んでるけど?ほら、見てみ?」

見下ろすと、テラリと光った俺の乳首はぷっくりと立って主張してる。

「やっ、恥ずかしッ…!」

「すげぇ可愛い。もっとしていい?」

「あっ…ダメ…声出ちゃうから…!!」

階下には父さんがいるのに!

「憲人さんは徹夜で作業だってよ。」

父さんが籠るアトリエは、夜中に音楽をかけたりするから防音になってる。

つまりこっちの音も聞こえないって事で…。

「俺しか聞いてねぇから、もっと声出して。」

いやいやいや!そう言う問題じゃないから!

そもそも蓮に聞かれるのだって死ぬほど恥ずかしいんだって!

「…アッ!…れ…ん…」

そう言いたいのに、今度は首筋とか胸とか、あらゆる所にキスされて言葉にならない。

「他は?どこ触られた?」

「ど…どこも…それで全部…!!」

あと触られた所って言ったら、今ヤバイ事になってる俺の息子だ。

絶対に死守しなくては!

先走りでヌルついてるなんて知られたら憤死する!!

「晴、嘘付いたらずっと止めないよ?」

耳に言葉を吹き込まれて頭が真っ白になった。

「あっ…あっ…!」

クチュッ

「あぁぁ!やめ…下…ちょっと撫でられただけだからぁ!」

耳に舌が入って来て、執拗な愛撫につい泣き声を上げてしまった。

「下って、ここ?」

蓮の動きがピタリと止まって、緩く勃ち上がってる俺の中心を撫でる。

「晴、ここ触られたのか?」

違うと言えない俺に、蓮は察したらしい。

「クソっ!!」

中心をパンツの上から刺激され、噛み付くように深くキスされて。

俄に激しくなった動きに翻弄される。

唇へのキスは久しぶりだ。

「お前の気持ちが追い付くまで我慢しようと思ってたけど…他の奴が触るのは許せねぇ!」

キスの合間の激しい言葉とギラギラした瞳は、怖いどころか俺の身体を熱くする。

「アッ…蓮…!…上からじゃヤダぁ!」

もっと蓮の熱が欲しくて強請ると、望み通りパンツの中に手が入って来た。

直に触られたそこはグチュグチュと卑猥な音を立てる。

鈴口をなぞられて、竿を扱き上げられてーー。

「ああっ!蓮…も、ダメ…イッちゃう…!!」

「…ッ!俺の手だけ覚えろ!お前をイかせるのは俺だけだ!」

「あぁぁぁぁッ!!!」

背を弓形にして白濁を飛ばした俺を蓮が抱き留める。

「晴、お前は俺のだ。」

耳元で囁かれる強い独占欲に、俺はギュッと蓮に縋り付いた。







●●●
お迎え
予定共有
お触り

あと何が足りないってんだ⁉︎
訳:早よ付き合え。






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