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高校生編side晴人 たくさんの初めてを君と
87.異変
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トータル2週間休んで、俺は学校に復帰した。
蓮から離れる事に慣れるのが大変だったけど。
『上書き』された後、羞恥を感じる間もなく疲れて寝ちゃったんだけど…翌朝の蓮はいつも通りだった。
あれ以来、今まで以上に優しいし過保護だけど情熱的な意味では触れて来ない。
恋人同士になったら、ああ言う事するのも「普通」になるのかな?
だ、大丈夫なのか、俺。
そんな事に動揺しつつ、平穏な毎日に戻ったーーはずが。
最初の異変は、部活に復帰した初日だった。
試合形式で練習をしてた時の事。
次は俺の番だ…って時に、急に手に力が入らなくなってフラフラと座り込んで。
慌てた部員と竹田先輩に促されて早退したものの、学校を出る頃には何ともなくなった。
久しぶりの試合だったから調子出なかったのかも。
そう思った通り、翌日の基礎練では何事もなく。
もう大丈夫だと俺も周りも思ってた。
なのに。
再び試合形式に参加した今日。
自分の番が回って来ると、息が上がって立ち上がれなくなった。
ダラリと降ろした手に握った竹刀から甦るのは、
誰かの脛を打った記憶ーー。
「晴人!!」
竹田先輩の声を最後に、俺は意識を失った。
幸い数分で気が付いた俺は、慌てて駆けつけた父さんの車で蓮父の病院に向かって。
検査の結果から、精神的なものが原因の可能性が大きいと診断された。
「強いストレスを伴った体験の心の傷は、数日後から数年後に出る事が良くあるんです。」
それは「何か」がトリガーとなって発動する事があるらしい。
「萱島さんの場合は、『試合で感じるストレスにプラスして竹刀を持つ』といった状況がそれかもしれません。
記憶の中の『その日』の経験と合致してしまう。」
精神科の先生のその言葉に、大きな恐怖を感じながら、逃げるために無我夢中で竹刀を振るった事を思い出す。
そして、これは克服し難いものらしい。
無理に恐怖心を克服しようとすると余計に酷くなる事もあるから、生活に支障が無ければその対象から離れる事が推奨されるーーと。
それは、つまり。
「剣道は、できないって事ですか?」
「そう言い切る訳ではありません。ただ、症状がでるうちは避ける必要があります。」
そんなーーー。
その後は良く覚えてない。
気付いたら家に帰って来てて、父さんがホットミルクを手渡してくれた。
「晴。先生も仰ってたけど、今後絶対に剣道ができないって決まってはいないからね?
いつかまたできる日が来るって父さんは信じてる。」
ソファに座る俺の肩を抱いてくれる父さん。
ハチミツと、ほんの少しシナモンを入れたホットミルク。
それは小さい頃から俺の元気が無い時に作ってくれるスペシャルメニューだ。
優しい甘味に、少し心が解れる。
「…うん、分かってる。ただ、突然すぎて追いつかなくて…。」
「…そうだよね。ゆっくり考えよう。」
そう言って笑いかけてくれた父さんに笑い返して、お礼を言って自分の部屋に上がった。
『剣道を誰よりも頑張ってきた』なんて言える程、熱心に打ち込んできた訳じゃない。
『自分が皆んなを上に連れて行く』なんて気概も全然無くて。
それでも、竹刀を持つと不思議と心が鎮まって、自分一人の世界に入れた。
試合に勝った時の高揚感と、負けた時の悔しさ。
気のいい仲間達と過ごす毎日。
俺は、部活が大好きだった。
そんな当たり前の楽しい日々を失うなんて、思ってもみなくてーー。
込み上げる思いにじっとしているのが辛くて、一階に降りた。
リビングのドアの向こうからは父さんが電話する声が聞こえる。
『先生はそう言っててーーー』ってワードが耳に入ってきたから、相手は母さんかもしれない。
コッソリ玄関に向かうと、そのまま外に出た。
コート着るの忘れたな、と後悔したけど。
2月の冷たい空気の中を一歩踏み出すと、モヤモヤした頭の中が空っぽになる気がして夢中で歩く。
そうして気付いたら…切藤家の前に立ってた。
大きな門の中に聳え立つ洋館には明かりが付いてない。
その事に酷くガッカリした自分が、何を求めて無意識にここにやって来たのか理解して苦笑する。
門の前に座って膝を引き寄せた。
ただ、声が聞きたいーーー。
「蓮…」「晴⁉︎」「うわぁ!!」
ポツリと呼んだ名前に驚いた声がして、その事に驚いて叫んだ。
蓮が門の内側からまじまじと俺を見てる。
「良かった、ここにいて…ってかお前何だその格好!早く中入れ!」
薄着で震える俺の手を引いて、切藤家の広い庭園を家に向かって歩いて行く。
「蓮、家にいたの?明かり付いてなかったけど。」
「裏側の部屋にいたんだよ。
憲人さんと連絡取りながら待ってた。
そしたら電話中に『晴がそっち行ったかも』って言われて。」
電話の相手は蓮のだったんだ…。
父さん、俺が外に出たの気付いてたんだな。
「遅い時間に一人で出んなって言ったろ。」
「まだ20時だもん。」
「それでも。お前に俺が必要な時は迎えに行くから。」
「……。」
ピタリとその場に立ち止まる。
「……蓮、俺ね…剣道できないんだって…。」
言ったら、ぶわっと涙が溢れた。
「明後日大会なのに…皆んなに迷惑かけちゃう…あの日、俺がもっと気を付けてれば…」
『ドラマが観たいから』なんて理由であんな所通って。
「ほんっと馬鹿だよな…部活辞める事になっても自業自得…わっ!」
蓮の腕に抱かれて、懺悔の言葉は最後まで続かなかった。
「そんな訳ねーだろ!お前は悪くない。」
「でも…」
「晴、確かに夜あそこ通ったのはいい考えだったとは言い難い。だけどな、変態野郎がいなかったら普通に帰れてたんだ。俺とか憲人さんに近道した事怒られて、それで終わりだった。」
きっと、いつも通りの平和な日常。
「それを壊したのは晴じゃない。クソみてぇな考えの変態野郎が存在した事が諸悪の根源なんだよ。
もしかしたら、被害にあったのは晴じゃなかったかもしれない。その時、被害者に対して『そこを通ってた方も悪いんだから自業自得だ』なんて思うか?」
「…思わない。」
被害者を気の毒に思うし、犯人の事は許せないって感じると思う。
「だろ?そう言う事なんだよ。
これからは自衛するって意味で反省は必要だけど、その事で自分を責める必要なんてない。」
そして、少し間を置いた。
「…だからこそ、剣道できないのは辛いよな。
晴が楽しそうに部活やってんの、俺はずっと見てきたから。」
「蓮…。」
「『自業自得』なんて我慢する必要ない。
遠慮せず、理不尽で悔しいって叫んでいい。
晴にはその権利がある。」
「ぅ……」
その言葉に、自分のせいでもあるんだからと閉じ込めてた感情が爆発する。
「…何で⁉︎…何でだよ…!」
何で俺がこんな目にあうんだよ!
どうしてあんな奴のせいで俺が部活を諦めないといけないんだ!
理不尽だ!辛い!悲しい!
堰き止めてた思いをぶち撒けてわんわん泣く俺の背を、蓮はずっと撫でてくれた。
蓮は、全部分かってくれてるーー。
俺の悔しさも、苦しさも、どうしても罪悪感から逃れられない事も。
それだけが、救いだった。
●●●
本人の意思じゃない退部って辛い。
シンドイ展開なのに次回はなんと※付きます。
高低差ありすぎて(以下略)。
蓮から離れる事に慣れるのが大変だったけど。
『上書き』された後、羞恥を感じる間もなく疲れて寝ちゃったんだけど…翌朝の蓮はいつも通りだった。
あれ以来、今まで以上に優しいし過保護だけど情熱的な意味では触れて来ない。
恋人同士になったら、ああ言う事するのも「普通」になるのかな?
だ、大丈夫なのか、俺。
そんな事に動揺しつつ、平穏な毎日に戻ったーーはずが。
最初の異変は、部活に復帰した初日だった。
試合形式で練習をしてた時の事。
次は俺の番だ…って時に、急に手に力が入らなくなってフラフラと座り込んで。
慌てた部員と竹田先輩に促されて早退したものの、学校を出る頃には何ともなくなった。
久しぶりの試合だったから調子出なかったのかも。
そう思った通り、翌日の基礎練では何事もなく。
もう大丈夫だと俺も周りも思ってた。
なのに。
再び試合形式に参加した今日。
自分の番が回って来ると、息が上がって立ち上がれなくなった。
ダラリと降ろした手に握った竹刀から甦るのは、
誰かの脛を打った記憶ーー。
「晴人!!」
竹田先輩の声を最後に、俺は意識を失った。
幸い数分で気が付いた俺は、慌てて駆けつけた父さんの車で蓮父の病院に向かって。
検査の結果から、精神的なものが原因の可能性が大きいと診断された。
「強いストレスを伴った体験の心の傷は、数日後から数年後に出る事が良くあるんです。」
それは「何か」がトリガーとなって発動する事があるらしい。
「萱島さんの場合は、『試合で感じるストレスにプラスして竹刀を持つ』といった状況がそれかもしれません。
記憶の中の『その日』の経験と合致してしまう。」
精神科の先生のその言葉に、大きな恐怖を感じながら、逃げるために無我夢中で竹刀を振るった事を思い出す。
そして、これは克服し難いものらしい。
無理に恐怖心を克服しようとすると余計に酷くなる事もあるから、生活に支障が無ければその対象から離れる事が推奨されるーーと。
それは、つまり。
「剣道は、できないって事ですか?」
「そう言い切る訳ではありません。ただ、症状がでるうちは避ける必要があります。」
そんなーーー。
その後は良く覚えてない。
気付いたら家に帰って来てて、父さんがホットミルクを手渡してくれた。
「晴。先生も仰ってたけど、今後絶対に剣道ができないって決まってはいないからね?
いつかまたできる日が来るって父さんは信じてる。」
ソファに座る俺の肩を抱いてくれる父さん。
ハチミツと、ほんの少しシナモンを入れたホットミルク。
それは小さい頃から俺の元気が無い時に作ってくれるスペシャルメニューだ。
優しい甘味に、少し心が解れる。
「…うん、分かってる。ただ、突然すぎて追いつかなくて…。」
「…そうだよね。ゆっくり考えよう。」
そう言って笑いかけてくれた父さんに笑い返して、お礼を言って自分の部屋に上がった。
『剣道を誰よりも頑張ってきた』なんて言える程、熱心に打ち込んできた訳じゃない。
『自分が皆んなを上に連れて行く』なんて気概も全然無くて。
それでも、竹刀を持つと不思議と心が鎮まって、自分一人の世界に入れた。
試合に勝った時の高揚感と、負けた時の悔しさ。
気のいい仲間達と過ごす毎日。
俺は、部活が大好きだった。
そんな当たり前の楽しい日々を失うなんて、思ってもみなくてーー。
込み上げる思いにじっとしているのが辛くて、一階に降りた。
リビングのドアの向こうからは父さんが電話する声が聞こえる。
『先生はそう言っててーーー』ってワードが耳に入ってきたから、相手は母さんかもしれない。
コッソリ玄関に向かうと、そのまま外に出た。
コート着るの忘れたな、と後悔したけど。
2月の冷たい空気の中を一歩踏み出すと、モヤモヤした頭の中が空っぽになる気がして夢中で歩く。
そうして気付いたら…切藤家の前に立ってた。
大きな門の中に聳え立つ洋館には明かりが付いてない。
その事に酷くガッカリした自分が、何を求めて無意識にここにやって来たのか理解して苦笑する。
門の前に座って膝を引き寄せた。
ただ、声が聞きたいーーー。
「蓮…」「晴⁉︎」「うわぁ!!」
ポツリと呼んだ名前に驚いた声がして、その事に驚いて叫んだ。
蓮が門の内側からまじまじと俺を見てる。
「良かった、ここにいて…ってかお前何だその格好!早く中入れ!」
薄着で震える俺の手を引いて、切藤家の広い庭園を家に向かって歩いて行く。
「蓮、家にいたの?明かり付いてなかったけど。」
「裏側の部屋にいたんだよ。
憲人さんと連絡取りながら待ってた。
そしたら電話中に『晴がそっち行ったかも』って言われて。」
電話の相手は蓮のだったんだ…。
父さん、俺が外に出たの気付いてたんだな。
「遅い時間に一人で出んなって言ったろ。」
「まだ20時だもん。」
「それでも。お前に俺が必要な時は迎えに行くから。」
「……。」
ピタリとその場に立ち止まる。
「……蓮、俺ね…剣道できないんだって…。」
言ったら、ぶわっと涙が溢れた。
「明後日大会なのに…皆んなに迷惑かけちゃう…あの日、俺がもっと気を付けてれば…」
『ドラマが観たいから』なんて理由であんな所通って。
「ほんっと馬鹿だよな…部活辞める事になっても自業自得…わっ!」
蓮の腕に抱かれて、懺悔の言葉は最後まで続かなかった。
「そんな訳ねーだろ!お前は悪くない。」
「でも…」
「晴、確かに夜あそこ通ったのはいい考えだったとは言い難い。だけどな、変態野郎がいなかったら普通に帰れてたんだ。俺とか憲人さんに近道した事怒られて、それで終わりだった。」
きっと、いつも通りの平和な日常。
「それを壊したのは晴じゃない。クソみてぇな考えの変態野郎が存在した事が諸悪の根源なんだよ。
もしかしたら、被害にあったのは晴じゃなかったかもしれない。その時、被害者に対して『そこを通ってた方も悪いんだから自業自得だ』なんて思うか?」
「…思わない。」
被害者を気の毒に思うし、犯人の事は許せないって感じると思う。
「だろ?そう言う事なんだよ。
これからは自衛するって意味で反省は必要だけど、その事で自分を責める必要なんてない。」
そして、少し間を置いた。
「…だからこそ、剣道できないのは辛いよな。
晴が楽しそうに部活やってんの、俺はずっと見てきたから。」
「蓮…。」
「『自業自得』なんて我慢する必要ない。
遠慮せず、理不尽で悔しいって叫んでいい。
晴にはその権利がある。」
「ぅ……」
その言葉に、自分のせいでもあるんだからと閉じ込めてた感情が爆発する。
「…何で⁉︎…何でだよ…!」
何で俺がこんな目にあうんだよ!
どうしてあんな奴のせいで俺が部活を諦めないといけないんだ!
理不尽だ!辛い!悲しい!
堰き止めてた思いをぶち撒けてわんわん泣く俺の背を、蓮はずっと撫でてくれた。
蓮は、全部分かってくれてるーー。
俺の悔しさも、苦しさも、どうしても罪悪感から逃れられない事も。
それだけが、救いだった。
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