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高校生編side晴人 事件の始まり…なのにキスとかそれ以上とか⁉︎

38.救助

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更衣室のドアの向こうから、口々に俺の安否を確認する声が聞こえる。

ドンドンドン!

「鍵開けてー!」

どうやら蓮が鍵を掛けてたらしい。

そ、そりゃそうか。
あんな事してる所見られたらヤバすぎるもんな。

その行為を思い出してしまって顔が熱くなる。

「うるさっ。開けるから静かにしろ。」

蓮が鍵を回すのと同時に人が雪崩れ込んできた。

「晴人!」「晴ちゃん!」

啓太だけじゃなくて伊藤も来てくれたらしい。
何故か切羽詰まったような二人の後ろには…

「わぁ!チャイナ似合うね!」

のんびりした黒崎君までいる。

「晴人!ぶ、無事だよな⁉︎」

「晴ちゃん!ぶ、無事よね⁉︎」

啓太と伊藤は相当心配してくれたみたいで申し訳ない。

「全然大丈夫!心配かけてごめん!
あと伊藤、これもごめん…。」

俺がチャイナドレスに視線を落としながら言うと、
二人はホッと息を吐いた。

「無事ならいいんだ!それが一番!」

「そう!それこそが一番!ドレスは乾かせばいいから大丈夫よ!」

何かおかしくね?
さっきから蓮の事チラチラ見まくって挙動も不審。

文化祭だからテンション上がってるのかな?

「てかさ、何でプールに落ちちゃったの?」

黒崎君が聞いてくる。

「なぁ、ここくる迄に誰かに会った?」

蓮が質問に質問で返す。

「プールの中でってこと?誰もいなかったよ。
だって今メンテ時間で立ち入り禁止だろ?」

どうやら相川さんと木村さんはもう居ないらしい。
良かった。
変に心配かけたくないし、何でこんな事になったのか俺も分かってないし。

「えーっと、ゲーム参加者に追いかけられて、ここに逃げ込んだんだよね。
立ち入り禁止だから見つからないと思って。
でも焦ってたから滑っちゃって。」

「それで落ちたのか。…切藤が一緒なのは何でだ?」

啓太の言葉に、今度は蓮が答える。

「たまたま見回り来てたんだよ。そしたら晴が落ちて、中野に電話した。」

「あぁ!この時間の当番、蓮だったもんな!」

黒崎君が納得しかけてーー首を捻った。

「あれ?でも相川ちゃんも一緒じゃなかった?」

「あぁ。友達来てるらしいから俺だけでいいって言った。」

ギクッとする俺とは対照的に、蓮は落ち着き払ってる。

「なーるほど!災難だったけど、たまたま蓮がいて運が良かったね、萱島君!」

「ほんとよね!一人だったら溺れてても気付かれなかったかもしれない!」

黒崎君と伊藤が口々に言って、納得してくれた事に安堵する。

「うん、蓮が引っ張ってくれなかったらプールから上がれなかったかも!水吸ったチャイナドレスマジで重かった!」

俺の言葉に笑う二人の背後で、啓太だけ違う方向を見てる事に気付いた。

ジトッとしたその視線の先にいるのは蓮だ。
蓮はそれを受けて、フンッて感じで目線を逸らす。

…この二人、何か隠してないか?
知らぬ間にLAINも交換してたし、今のもアイコンタクトに見えなくもなかった。

でも仲良くなったようには見えないんだよなぁ。

「それより!ほら、晴ちゃん!タオルあるから身体拭きな!」

伊藤の申し出が有難すぎて、感じていた違和感が霧散する。

「マジでー⁉︎ありがと!!」

「俺も俺も!新品のパンツあるからあげるよ!」

黒崎君が差し出したのは、未開封のボクサーパンツ。
しかも、ちょっとお高いブランドのやつだ。

「え?何でパンツ持ってんの?」

「ん?急なお泊まり用♡」

啓太と伊藤が「それ以上言うな!」みたいな感じで黒崎君の事睨んでるけど、何だろ?

俺の疑問が顔に出てたのか、黒崎君が続ける。

「俺、愛に生きる男だからさ!セフ…」

バチッ!

「いってぇ~~!蓮、何すんだよ!!」

蓮の長い脚から繰り出されたキックが黒崎君の太腿に炸裂した。

「お前、カンナと待ち合わせしてんじゃねぇの?
お前の事探してたけど?」

「ヤッベ!そうだったわ!オコだった⁉︎」

「1分ごとに千円だってよ。」

「マジで⁉︎ちょ、俺行くわ!!」

そう言うと、俺の手にパンツを押し付けて風のように去って行った。

「アイツに落ち着きってもんを教えてやりてぇ。」

溜息混じりの蓮の言葉に皆んなで笑ってしまった。

「俺らも出るか。晴人、ゆっくり着替えろよ。」

啓太がドアを閉めて、更衣室には俺だけになる。

タオルで身体を拭き、新品のパンツを履き、制服に着替えてホッとした。

マジで有難い。
パンツとタオル、新しいのを買って返そう。

…このパンツ、俺のお小遣いで買えるのかな…。




●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
黒崎のちょっとお高いパンツはポールス●ス。
大学生のセフレから貰いました。
高校生にはなかなか痛い出費。頑張れ晴人。

カンナは他校の一軍女子で、蓮も知り合いです。
今後、名前はたまーに出ますが本編にガッツリ絡む事はないので「そんな子がいるのね」と思っていただければ大丈夫です笑

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