【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 事件の始まり…なのにキスとかそれ以上とか⁉︎

37.ピンチ (side啓太)

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そんなこんなで無事に迎えた文化祭当日。

晴人のチャイナドレスは…本人には怒られるだろうが一言で言って「可憐」だった。

身体にピッタリした感じ(タイトって言った方がいいらしい)の女子の服着れるって、どんだけ華奢なんだよ。
肩がパツパツだとか胸板がキツイとかワァワァ言ってたけど、どう見ても余裕だ。

「可愛いぃぃ!負けた!」
「腰細ッッッそ!!内蔵入ってる⁉︎」

女子が騒ぐのはまぁいいだろう。
問題はウットリしてる野郎が結構いる事だ。

お前ら、魔王に始末されるぞ?


「…ウィッグ付けようと思ってたけど、そのままの方がいいわね。何か危う気で。。」

衣装係の伊藤の呟きが印象的だった。




そして、切藤から電話が掛かって来た今現在に至る。

内容は多分晴人の事だろうなと予想はしていたものの、続く切藤の言葉に俺は目が点になった。

『晴がプールに落ちたんだけど、着替えそっちにあるよな?持って来てくんね?』

「はい⁉︎」

晴人がプールに落ちたのは百歩譲って理解できる。
ゲーム参加者に見つかって、逃げ込んだ時に足を滑らせたのかもしれない。

だけど、何でそこに切藤が居て電話して来るんだ?
お前ら今ギスギスしてるよな?

『いーから急げよ。更衣室にいるから。』

「ま、待て切藤!晴人に代わってくれ!」

もしかして今二人っきりなのか⁉︎

それは、マズイ。

ここ数ヶ月、晴人が避けてるせいで切藤はフラストレーションの塊だ。

そんな状態で密室とか…マズイだろ!!


チッという舌打ちの後、晴人の声が聞こえた。

『ん…なぁに?』
『…いやそれは…マジで勘弁…。』

晴人ぉぉ⁉︎
何かいつもよりポヤポヤしてるけど、それは煽るだけだから!!

「晴人⁉︎⁉︎無事か⁉︎」

『ごめん啓太!俺は大丈夫!』

暫く反応が無くて焦ったけど、さっきよりしっかりした晴人の声にホッとする。

「良かった!全然反応しないから、切藤に何かされたのかと思った!!」

『いやいや!切藤は俺の事…』『お前さ、それ何なの?』

スマホの向こうで交わされる会話に肝を冷やす。

『それって?』

『何なんだよ切藤って。』

「切藤!落ち着け!」

どうやら、俺が声を上げる直前にスピーカーオフにされたらしい。
二人の声がほとんど聞こえなくなってしまった。

嫌な予感がする。

切藤は絶対に晴人の嫌がる事はしないだろう。
だけど、晴人が無意識にーーそれこそさっきみたいに、煽ってると捉えられそうな行動をとったら?


俺はマントとヘルメットを放り出した。
プールへダッシュする途中、教室で晴人の荷物(制服入り)を引っ掴んで全力でーー
走れなかった。

「啓太!衣装は⁉︎どこ行くのよ!」

俺の腕を伊藤がガッチリ掴んでたから。

「緊急事態だ!晴人がプールに落ちた!」

「うそ⁉︎ずぶ濡れってこと?スポーツタオルなら持ってるけど…本人から電話あったの?

「いや、切藤から。」

「えっ?」

「更衣室に、二人っきり。」

中学組の伊藤は、そこら辺の関係を良く知ってる。
だから、叫んだのはしょうがないと思う。

「マジ⁉︎⁉︎晴ちゃんの処女が!!!」

うん、まぁ気持ちは分かるんだけど…そう言うのはオブラートに包もうな。

「私も行く!何かあったら蓮の事殴る!」

流石は女王南野の親友。頼もしい。


「ねね、蓮がどーしたの?俺探してんだよね。」

この場にそぐわないのんびりした声に振り返ると、特進クラスの黒崎だった。

「えっと…切藤ならプールだと思う。晴人がプールに落ちて…」

「マジ?俺、未開封パンツ持ってるけどいる?」

「えっ?」

何故そんな物をお持ちで?

「急にセフレと会う事になった時のために持ち歩いてんの。俺、次の日同じパンツとかダメなタイプなんだよねぇ~。」

そ、そう言えばコイツ、めちゃめちゃ女遊び激しいって噂あったな。

「チャレぇな…」と呟く伊藤と、固まる俺の事なんて全く気にせず、黒崎は笑った。

「急ぐ感じ?よーし、じゃあ三人で行こうよ!」

こうして俺達は謎のメンバーでプールに向けて疾走したのだった。



●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
啓太はファッションとか流行の言葉遣いとかあんまり知りません。ちょっと古風な所があります。
蓮の事も一貫して「イケメン」じゃなくて「男前」と表現してます。































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