【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 事件の始まり…なのにキスとかそれ以上とか⁉︎

35.乱入

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「晴、大丈夫か?」

目を開けると蓮が俺の顔を覗き込んでいた。
イケメンはドアップでもイケメンだ。

「ん…。」

気怠い身体はまだ荒く呼吸していて、目を閉じてたのは一瞬だったんだと自覚する。
瞼が重くて、今は何も考えずに寝たかったけど…

緩んだ蓮の腕に身じろぎした時、ぬちゃっと違和感を感じた。

「うぇっ、気持ち悪…」

パンツの中の不快感に思わず悲鳴上げると、蓮が笑う気配がする。

「シャワー使う?多分水しか出ねぇけど。」




更衣室の奥のシャワールームでチャイナドレスを脱いで脇に置き、パンツも脱ぐ。

自分が出したものに塗れたを洗い流すと、水の冷たさに頭の中がハッキリしてきた。


俺!!!何やってんの⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎


ぬるぬるになったパンツをシャワーで流しながら身悶える。


普段俺はそんなに自慰をしてない。
週一するかどうかだから、高一男子としては少ない方なんじゃないだろうか。

それもムラムラするとかじゃなくて、それくらいは出しておかないと朝焦る事があるから、事務的にササっと処理する感じ。

自分でも淡白な方なんだろうなって思ってた。


なのにーーー。


こんな…学校で!
感じまくって蓮の手の中でイッちゃうとか!!
しかも、出した量が普段の比じゃないし!!!

恥ずかしすぎて死ねるーーー。


で、でもさ!
好きな人にあんな事されて普通でいられる訳なくない⁉︎

キスされたり、好き勝手に身体弄られたら…。
これが普通の反応なのでは⁉︎

信じられないくらい感じちゃったのは、多分蓮が上手いのもあるし!

他の人に触られたこと無いから比べようがないけど、何か…手慣れてる感じだったし?



そもそも蓮は何であんな事したんだろう。

苗字呼びを怒ったり、誰かに何か言われたのか凄い気にしてたな。
まるで、俺が蓮から離れた事が不服で、原因を探ってるみたいだった。

そんな事ないって分かってるけど、そう勘違いしそうになるような言動だったと思う…。

しかもさ、俺の口を割らせるだけならもっと他にやり方はあったんじゃないかな。

あんな…蓮にとっては得にも何にもならない行為しなくても。

って言うか、俺のアソコなんか良く触れたよなぁ。
好きでもない奴のとか、気持ち悪くないか?


…もしかして、経験してて慣れてる…とか?
俺にとっては一大事だけど、蓮にとっては気負いなくできる行為なのかも…。
だってアイツ、死ぬ程モテるし…。。。

何かめちゃめちゃ気持ち良かったし、体勢の変え方とか手慣れた感じだったよな…。


男同士で?それとも、女の子と?


想像するだけで胸がズキズキして苦しい。


俺がこんな感情を持つのは間違いだって分かってる。


だけど、知ってしまったからーー。

あの熱い瞳を。優しい声を。
蕩けるようなキスも、呼吸を奪う激しいキスも。
頭が痺れるように強烈で、身悶えるように甘い触れ方だってーー。



知らなければ、こんなに苦しくなかったはずだ。
なのに、知りたくなかったとは思えなくて…。


例え理由が気まぐれでもなんでも、あの瞬間、蓮は俺だけを見てくれた。
名前を呼んでくれた。

それが、嬉しくて。
それを他の誰かにも与えたのかと思うと、辛い。



油断したら声を上げて泣いてしまいそうで、頭から水を被った。


俺は今日の記憶を絶対に忘れられない。
忘れられないまま、また蓮と距離を置く事ができるんだろうかーー。


いや、違う。やらなきゃダメなんだ。
どんなに苦しくても、そう決めたんだろーー。


「晴、平気?」

シャワー室の向こうから聞こえる蓮の声に我に返った。
気付かないうちに結構時間が経ってたのかもしれない。

「大丈夫!もう出るよ。」

俺は普通に聞こえるように意識して声を出した。

脇に置いてたチャイナドレス(汚れてないみたいで良かった)を念のため洗う。

良く絞って、パンツと一緒に着直してシャワー室を出る。
緊張してる俺と違って、蓮はゆったりとイスに座ってる。

「頭すげぇ濡れてね?」

「う、うん…眠くて頭からシャワー浴びたから。」

「バカ、お前マジで風邪引くぞ。」

蓮の態度は全然普通で、俺だけが意識してるみたいで恥ずかしい。


曖昧に笑ってお説教(?)をやり過ごすと、会話が途切れて沈黙が漂った。


でも、喋ろうとするとさっきの行為の理由について聞いちゃいそうだ。

それでもし蓮に「他の人ともしてる」から「大した事じゃない」って言われたら?

平気でいられる自信がない。
俺は、それを知るのが怖いーー。


「なぁ、あのさ……」

ふいに、蓮が口を開いた。
その目は真っ直ぐに俺を見てる。

「俺、お前にーーー」
「晴人!!!」
「萱島くーん!!大丈夫?」
「晴ちゃん!!無事⁉︎」



蓮の言葉を、三人分の声が遮った。






●●●
タイミング笑






















































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