【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 事件の始まり…なのにキスとかそれ以上とか⁉︎

29.お姫様抱っこ…だと?

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すみません、昨日予告してたタイトルと違います!
長かったので区切りました。
お先にこちらをお楽しみ下さいませ(^^)
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ギュッと閉じていた目を開けると、辺りには誰もいなかった。

木村さんも、さっき視界の端にチラッと映った蓮も、その後ろにいた(ような気がする)相川さんも…。

目の前を鮮やかな何かが通り過ぎたと思ったら、花だった。
赤、ピンク、黄色の花がフワフワと舞ってる。


頭上にキラキラ輝くのは太陽だろうか。
だけど1つじゃない。2、3、4…たくさんある。

これはもしかして、流行りの異世界転生ってやつなのでは?

ビックリし過ぎて異世界へGO






ーーーーんなことあってたまるか。

息が苦しくなって我に返った。
俺、プールに落ちたっぽい。

重力じゅうりょくガン無視で舞ってたのは、リゾートテイストにするために浮かべられた花びら。
たくさんあった太陽は、プールの天井ライト。

どうしてこうなった????
木村さんに引っ張られて、顔が凄い近付いたと思ったら、今度は違う方向に引っ張られて…。

最後は押された気がする。
え、俺何か怒らせるようなことした?
それで突き落とされたの?

思考はグルグルしてるけど、まずは苦しいからあがらないと。

水を吸ったチャイナドレスが重い。
って言うか温水モードじゃないのかよ。
水冷てぇわ!

重いし寒いし、プールの底に沈みそう。

ヤバイ、このままじゃ溺れ……ないな。

全然足着く深さだったわ。


そんな訳で俺は、泳ぐと言うよりヨイショと立ち上がって酸素のある世界に無事帰還した。

ハァ。焦ったぁ。

取り敢えずプールサイドに上がろうとして、手を掛けて腕に力を込める。
が、腰まで水から出た所でズンッと重力が追いかけて来た。

「チャイナ、マジ重い…!!」

思わず叫んだのと同時に、グイッと身体を引っ張られた。

俺を抱き込むようにプールサイドに立たせてくれたのは…

(蓮……。)

声に出しそうになったのをグッと飲み込んだ。

上下するその肩が全力疾走を物語ってる。

俺が落ちたの見て、駆けつけてくれたんだ…。


「お前、何考えてんの?」

蓮の地を這うような声の低さにビビる。
後頭部を掴まれるようにして、顔を蓮の肩口に押し付けられてる俺には何も見えないけど、どうも木村さんに言ってるみたいだ。


「ご…ごめんなさいっ。ただ、どうしても…こうするしかなくて…。」

「理由によっては許さねぇけど?」

おい、蓮!女の子怖がらせるなよ!

「…ちゃんと、お話しします…。
だけど、今は萱島君の着替えを…。
寒いと思うので…。本当にごめんなさい…。」

その言葉に蓮が少し力を抜いた気配がした。

「晴、大丈夫か?」

「………!!」

少し緩んだ腕に身動きすると、蓮の顔が見える。
久しぶりに名前を呼ばれた。
その声には間違いなく心配が滲んでいて…。
心臓がドクリと脈打つ。

「あ…濡れるから…。」

鼓動を聞かれたらヤバイと思って身体を離そうとすると、蓮は俺の腰に腕を回して来る。

えーっと、これ、さらに密着したよね…?


あぁ、もうやめてくれ!
お情で優しくするくらいなら、俺の事なんか放って置いて欲しい。
こっちはお前にバレないように必死なんだから。

「えっと、助けてくれてありがと…。もう大丈夫だか……うわぁ!」

なおも身体を離そうとする俺の言葉は最後まで続かなかった。
足が浮いたと思ったら蓮に抱き上げられてて…しかも、これはーーー

お姫様抱っこってやつでは⁉︎


「ちょっ…えっ⁉︎」

驚きすぎて上手く言葉が出ない。
木村さんも唖然としてこっちを見てる。

…けど、何か微妙に嬉しそうに見えるのは俺だけ?




●●●
受けに拒否(遠慮)されてスイッチ入っちゃう攻め、好き。。



















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